【お悩み解決】むちうちはレントゲンでわかる?MRIを受けるべき理由あり
交通事故にも様々な事故パターンがありますが、頻発する「追突事故」によってむちうちを負う被害者の方は多くおられます。
しかしむちうちは外見からはわからない自覚症状が多いので、検査を受けて、その症状の存在を明らかにしなければなりません。
結論から言えば、むちうちはレントゲンではほとんどわからないので、MRI検査を受けることをおすすめします。
この記事ではむちうち状態になってしまい検査について悩んでいる方に向けた解説記事です。治療段階からの疑問はもちろん、先を見据えて示談金や後遺症についても触れていますので、参考にお読みください。
むちうちでMRI検査を受けるべき理由
むちうちはレントゲンではわからない
むちうちとは、交通事故の衝撃で頭が前方・後方に大きくしなり、頸部の組織を痛めてしまうことで様々な神経症状がでる状態のことです。
交通事故後のレントゲン検査は主に骨の損傷の程度を確認するためにおこなわれます。
一方でMRI検査は臓器・血管・組織などの状態を撮影する検査です。レントゲン検査との違いは組織の損傷がわかることにあります。
むちうちは組織の損傷であるためレントゲン検査ではほとんどわかりません。レントゲンで確認できないからと見落とされることもありえますので、MRI検査が望ましいのです。
なお、MRI検査は放射線を使用しないことから妊婦さんや子どもも比較的利用しやすい検査といえるでしょう。
どちらの検査が優れているというわけではなく、疑わしいケガの内容や被害者の状態によって使い分けることが重要です。
医師には交通事故時の状況や衝撃の強さ、負傷した箇所についてできるだけ細かく説明するようにしてください。
なお、交通事故と因果関係のある検査費用は相手方が支払ってくれます。そうはいっても、事故から日が経つほど支払いを渋られるので、事故直後には医師の指示をよく聞いてしっかり検査を受けておきましょう。
後遺障害認定の証拠資料になる
軽度のむちうちであればMRI検査にも映らないことは考えられます。いいかえれば、MRIでわかるほどのむちうちは後遺症が残る可能性があるでしょう。
交通事故で後遺症の賠償金をもらうためには後遺障害認定を受けることが必要です。
後遺障害認定を受けるためには、後遺症の存在が客観的に認められることが重要で、症状の存在を示す客観的資料が欠かせません。
そのため事故直後から治療段階にかけてMRI検査を受けておき、交通事故との因果関係や損傷の存在を明らかにしておきましょう。
とくに、後遺障害12級13号の認定を受けるためにはMRI検査結果による異常確認が必須です。
POINT
むちうちによる後遺障害認定については、本記事内「むちうちで認定されうる後遺障害等級と認定基準|MRI検査結果がポイント」をお読みください。
むちうちで検査を受けようか悩んでいる人に役立つQ&A
あまり痛くないのでMRI検査は大げさ?
むちうちはあとから症状が出ることもあります。また、むちうちの症状が出る範囲は広いので、「首を痛めたのに、なぜかめまいがする」ということも十分考えられるのです。
以下は交通事故によるむちうちでみられる症状の一覧になります。
- 頸部の違和感
- 上肢のしびれ
- 頭痛
- 背部痛
- 吐き気
- めまい
- バレ・リュー症候群(むちうちが原因で起こったと考えられる自律神経失調症状) など
このほか、事故の衝撃が大きい場合にはむちうちにとどまらず脊髄を損傷してしまい、より重篤な状態になってしまうことも考えられます。
事故から数日~数週間たってから症状が出てきた場合でも、事故とは関係ないと思わずに受診しましょう。
なお、あとから痛みなどが出てきた場合は、速やかに受診すること、警察署にて人身事故への切り替え手続きをすることが重要です。
補足情報|むちうちの治療方法
むちうちになった場合はまず病院の整形外科に行き、診断を受けます。
そしてそのあと鎮痛剤や湿布が処方され、それと並行して次のような理学療法がおこなわれることが一般的です。
- 牽引療法:機械または徒手で頸部を引っ張る
- 電気療法:身体に電気による刺激を与える
- 運動療法:可動域訓練や筋肉強化のための運動をおこなう
- 温熱療法:ホットパックなどで筋肉を温める
- ブロック注射:痛みを緩和させ自然治癒力を上げるために局所麻酔を打つ
なお、バレ・リュー症候群については整形外科ではなく麻酔科や神経内科などで治療を受けることになります。
整形外科の医師から勧められた場合や、倦怠感・吐き気などの不調が続く場合は麻酔科・神経内科を受診してください。
交通事故後に医師がMRIを撮ってくれないときは?
治療方針は主治医の判断になるので、必ずしもMRI検査の受診を勧めてもらえるわけではありません。
MRIを撮ってほしいと主治医に依頼するときには、どういった症状があるのか、どんな不安があるのかを具体的に説明して、主治医と相談するようにしましょう。
交通事故で通院する病院は変えられる?
交通事故の通院先を変えることは可能です。
しかし、今かかっている病院への通院を無断でやめることは避けてください。
相手の保険会社が治療費・検査費を支払ってくれなかったり、医師の心証が悪くなって後から協力を仰ぎづらくなったり、新しい通院先の先生も途中からの診察では治療の経過がわからなかったりします。
通院先にMRIがないというときや病院を変えたいというときには、今かかっている医師にMRI検査を受けられる外部検査機関や病院への紹介状を書いてもらいましょう。
関連記事では交通事故に通院する病院を変える方法を解説しているので、あわせて参考にしてください。
MRIで異常なしだと治療費は打ち切られる?
むちうちの場合にはMRIで異常なしと判断された場合や、平均治療期間である3ヶ月頃になると治療費の打ち切りを打診されることがあります。
交通事故の治療費は、相手方保険会社が病院に直接支払ってくれることが多いのですが、途中でその支払いが打ち切られてしまうことがあるのです。
まだ医師が治療を継続すべきだと判断しているにもかかわらず、治療をやめてしまうと、以下のようなデメリットが考えられるので、すぐに治療費の打ち切りを受け入れるべきではありません。
- 治療期間が短くなるので、治療期間に応じて金額が決まる「入通院慰謝料」が低額になる
- 治療が不十分なまま後遺症が残ったとしても、後遺障害に対する慰謝料・損害賠償金が認められない可能性がある
よって、治療費打ち切りの打診を受けた場合には、次のような対応をとって最後まで治療を継続しましょう。
治療費打ち切りへの対応
- 医師にまだ治療が必要である旨を記載した意見書を書いてもらい、相手方保険会社に提出。治療費打ち切りの延長を交渉する。
- 治療費が打ち切られたら、治療費を立て替えながら治療を続け、あとから相手方保険会社に請求する
治療費が打ち切られやすいタイミングや詳しい対応方法、治療費打ち切り後も治療を続ける際のポイントは、『交通事故の治療費打ち切りを阻止・延長する対応法!治療期間はいつまで?』をご覧ください。
MRIに映らないとむちうちとは認めてもらえない?
交通事故との因果関係が認められる損傷であれば、医師の診断にもとづき、むちうち状態にあることは認めてもらえます。
「頚椎捻挫」や「外傷性頚部症候群」といった診断名がつくことが多いです。
そのためMRIに映らないからといって、相手の保険会社から治療費や休業損害の支払いをただちに拒否されることは考えづらいです。
もっともMRIに限らず、客観的に症状の存在が認められないことを根拠に、比較的軽い症状であると判断される可能性は十分あります。
その結果、治療費の打ち切りを早く打診されてしまい、それに伴って慰謝料の算定期間が短くなったり、休業損害も早々に認められなくなったりすることはあるでしょう。
比較的軽傷であっても、弁護士が交渉に入ることで示談金が増額することは多いです。弁護士費用特約が使える場合には、よりメリットを得やすくなりますので、一度弁護士への相談も検討してみてください。
検査や治療が面倒…後回しにするデメリットはありますか?
むちうちの症状は軽いことも多いので、仕事などを優先して治療を後回しにしてしまいがちです。
また、反対に痛みやしびれが強く出る日には自己判断で欠勤・早退する人もいます。
しかし、交通事故において治療を後回しにしたり、自己判断で仕事を休んだりすると次のようなデメリットが生じるので注意しましょう。
治療を後回しにすると
- 症状と事故との関連性が証明しにくくなり、慰謝料や治療費が十分にもらえない可能性がある
- 治療期間が長引いたのは被害者が治療に消極的だったからだとして、慰謝料が減額される可能性がある
- 後遺症が残っても、後遺障害残存に対する賠償金がもらえない可能性がある
治療を後回しにするリスクをもっと詳しく▶ 頚椎捻挫で仕事は何日休む?補償や休めない場合の対処法も解説
自己判断で仕事を休むと
- 必要性のある休業ではなかったとして、休業損害が支払われない可能性がある
- 必要以上に通院することで過剰診療や漫然治療を疑われ、慰謝料や治療費が十分に支払われない可能性がある
交通事故被害者の中には、「たくさん通院すればその分、慰謝料が高額になるのでは?」と考える人もいますが、それは誤りです。
慰謝料と通院日数の関係や、慰謝料の観点から見た時の適切な通院頻度については『交通事故の被害者は毎日通院した方がいい?』にて確認してみてください。
整形外科で検査さえ受けておけば整骨院に通っていい?
交通事故でむちうちを負った場合、整骨院で施術を受けても相手方に施術料や入通院慰謝料を請求することが可能です。
入通院慰謝料とは
交通事故によるケガや入通院によって生じる精神的苦痛に対する補償。
治療期間や通院日数などから金額が算定される。
ただし、整骨院は厳密には病院ではありません。
そのため、次の点を守らなければ、整骨院通院の必要性・相当性が疑われて十分な施術料・慰謝料が支払われない可能性があるので注意しましょう。
- 最初は病院の整形外科にて詳しい診察・検査を受ける
- 病院の医師の許可を得たうえで整骨院へ通う
- 整骨院への通院が始まっても、月に1回以上は病院へも通う
整骨院に通う場合は以下の関連記事もあわせてお読みいただき、不当な不利益を受けないようにしましょう。
関連記事
むちうちの治療後に知っておきたいこと
むちうちで請求できる損害賠償金
むちうちで請求できる損害賠償金には、入通院慰謝料、治療費、休業損害、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益などがあげられます。
実費で支払われるものもありますが、なかには保険会社との交渉によって適正額まで引き上げなければ、本来もらえるはずの金額よりも低くなってしまうものもあるのです。
とくに慰謝料相場を知っておくことは重要といえます。保険会社の算定基準は不十分なことが多いので、弁護士が算定する弁護士基準(裁判基準)での慰謝料請求がポイントです。
以下のバナーより「慰謝料計算機」をご利用いただければ、簡単かつスピーディーに慰謝料の目安がわかります。
症状固定になったら後遺障害認定を受ける
むちうちの治療後、症状固定の診断を受けたら、後遺障害認定を受けましょう。このとき、医師が作成した後遺障害診断書のほか、事故直後に撮影したMRI検査結果などの検査結果も提出してください。
審査機関による審査を受けて「後遺障害等級」が認定されれば、後遺障害慰謝料・逸失利益を請求できるようになるのです。
後遺障害慰謝料とは
交通事故により後遺障害が残ったことで生じる、精神的苦痛に対する補償。
逸失利益とは
後遺障害によって労働能力が下がることで減ってしまう、生涯収入に対する補償。
むちうちの場合に残りうるしびれや痛みも「神経症状」として後遺障害等級に認定される可能性があります。
軽い後遺症だから認定はされないだろうと決めつけるのではなく、きちんと申請手続きをしましょう。
なお、症状固定は以下の点から、交通事故後の流れの中でも重要なポイントだと言えます。
- 症状固定後は、原則として治療費や入通院慰謝料、休業損害は支払われない
- 症状固定の翌日から、「後遺障害分の費目を請求する権利」の時効がカウントされ始める
- 基本的に、治療期間6ヶ月未満で症状固定になると後遺障害認定されにくい
よって、たとえ医師から症状固定の診断を受けても、まだ治療の必要性を感じるのであればその旨を伝え、相談しなければなりません。
また、症状固定後から損害賠償請求に関する動きが本格化していくので、その後の流れについてもしっかり確認しておきましょう。
読んでおきたい記事
以下の内容がわかります。
- 症状固定後に後遺障害認定を受ける方法
- 症状固定でよくあるトラブル
むちうちで認定されうる後遺障害等級と認定基準|MRI検査結果がポイント
むちうちによって痛みやしびれが残った場合は、後遺障害14級9号または12級13号に認定される可能性があります。
各等級の認定基準や後遺障害慰謝料の相場は以下の通りです。
等級 慰謝料* | 認定基準 |
---|---|
14級9号 110万円 | 他覚的所見**はないが、神経学的検査***などから後遺障害の残存が説明・推定できる |
12級13号 290万円 | 他覚的所見**から後遺障害の残存が証明できる |
*過去の判例に基づく相場額。実際にもらえる金額は示談交渉で決まる。
**MRI画像、CT画像など
***患部に刺激を与えて痛みの有無や反射などを確認する検査
上の表を見てもわかる通り、14級に認定されるのか12級に認定されるのかによって後遺障害慰謝料額は大きく変わります。
自身の後遺症がどちらの等級に該当するものなのか見極め、認定基準をよく理解することが、後遺障害認定の審査対策として重要です。
この点、弁護士なら認定基準だけでなく過去の認定事例についても精通しているので、効果的な対策が立てられます。一度相談してみることがおすすめです。
以下のお役立ち記事は、後遺障害14級や後遺障害12級の認定基準、認定を受けるためのポイントを解説しています。
また、想定した後遺障害等級認定を受けられなかった方や、そもそも非該当と通知された方は、異議申し立ての記事も参考にしてください。
むちうちの慰謝料に関する疑問、弁護士が無料で回答します
交通事故でむちうちを負った方は、アトム法律事務所の無料相談がおすすめです。
弁護士が算定する慰謝料の相場を聞いてみたいという方は、電話やLINEから気軽にご連絡ください。
なお、正式にご依頼いただくにあたって気になるであろう弁護士費用についても明確にお答えしますのでご安心ください。費用については、ご自身が使える弁護士費用特約の有無がわかれば、より具体的な説明が可能です。
また、相手の保険会社から損害賠償金に関する提示を受けている場合は、その書面をお手元にご用意ください。
むちうちの示談交渉では弁護士を立てよう
交通事故でむちうちを負った場合、「軽傷だから弁護士に相談する必要はない」と思うかもしれませんが、そうとは限りません。
ケガの程度に限らず、相手方の任意保険会社は法的に認められうる慰謝料相場よりも低い金額を提示してくることが多いです。
しかし、示談交渉の経験や損害賠償金の知識は相手方任意保険会社の方が豊富なので、被害者自身で増額交渉しても十分に聞き入れられることはほぼありません。
しかし、弁護士を立てれば以下の点から、むちうちの場合でも慰謝料・損害賠償金の大幅増額が見込めます。
- 相手方任意保険会社も弁護士の主張であれば無下にはしにくい
- 弁護士が出てくると、相手方保険会社は裁判への発展を恐れて態度を軟化させる
「本当に弁護士を立てる意味はあるの?」と思う方でも、ひとまず法律相談をしてみて、獲得が見込める慰謝料・損害賠償額を確認してみると、思っているより高い金額が出る可能性があります。
弁護士費用の負担を減らす方法
弁護士費用は高いと思われがちですが、以下の方法により負担を減らすことが可能です。
相談料・着手金無料の法律事務所を選ぶ
弁護士に依頼する前の法律相談が無料だったり、着手金無料だったりすると初期の負担をおさえることにつながります。
弁護士費用の支払い方法は法律事務所ごとに様々ですが、示談金を受け取った後の支払いとする弁護士も多いです。支払い方法や時期は依頼前に必ず確認しておきましょう。
弁護士費用特約を利用する
弁護士費用特約が利用できる場合、弁護士費用を自身の保険会社に負担してもらえます。家族の保険に付いている弁護士費用特約でも使えることがあるので、あわせて確認してみてください。
弁護士費用特約の詳細を知りたい方は、ご自身の保険会社に問い合わせてみてください。あるいは以下の解説記事でも、交通事故で弁護士費用特約を利用するメリットや弁護士費用特約利用の範囲について解説しています。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了