交通事故の示談交渉で弁護士の「委任状」が必要な理由|書式を公開
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交通事故の被害にあって弁護士に示談交渉を依頼した場合、「委任状」に記入するよう求められることになります。被害者が弁護士に対応を委任したという委任関係を証明するためです。
また、事故の相手方が代理人を立てて示談交渉してくることもあます。その代理人が保険会社でない場合は、委任状があるのか確認するようにしてください。
本記事では、委任状は何のために必要なのか、委任状がどのように使われるのかを解説していきます。
目次
委任状は交通事故の示談交渉を弁護士に依頼する際必要
委任状は委任関係を証明する書類
交通事故の被害者が、示談交渉・裁判等といった法的な手続きを弁護士に委任する際には、委任状が必要になります。
委任状は「委任関係がある事実」を証明するための書類です。本来であれば自分自身で行うべき手続きを第三者に委任したことを明確にします。
もし代理人を立てるにあたって委任状が必要なかったら、頼まれてもいない人が勝手に法的手続きを行ったり、代理人として適さない人が代理人となったりするリスクがあります。
そうしたことを防ぐためにも、委任状は大切です。
委任状は、交通事故の被害者の方だけに必要な文書ではなく、あらゆる法律分野で登場します。
【書式】委任状サンプル公開
委任状といってもどのようなものかイメージが付き辛いという方は、委任状の書式をご確認ください。委任状のサンプルを用意しています。
委任状
年 月 日
住 所
委任者 ㊞
私は、次の弁護士を訴訟代理人又は手続代理人と定め、下記の事件に関する各事項を委任します。
弁護士 〇〇〇〇
事務所 〒〇〇〇-〇〇〇
東京都〇〇区〇丁目〇〇番
〇〇法律事務所
電 話 〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
FAX 〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
記
第1 事件
1 相手方
2 裁判所
3 事件の表示
第2 委任事項
1 上記事件の示談交渉、訴訟行為・手続行為、訴え・申立て、反訴・控訴・上告・上告受理・抗告・許可抗告・異議につきその提起又は申立て、それらの取下げ、取下げについての同意、和解、調停合意、請求の放棄、請求の認諾、弁済金物の受領、保管金納入及び受領
2 参加、訴訟脱退、強制執行、仮差押え及び仮処分、保全処分
3 担保保証の供託、同取消決定の申立て、同取消しについての同意、同取消決定についての抗告権の放棄、権利行使催告の申立て、担保取戻し
4 供託物の払渡(取戻・還付)及び利息利札の請求並びに受領、閲覧申請
5 債権届出、債権者集会及び債権調査期日への出席、議決権の行使ほか債権者としての権利行使
6 手形訴訟、小切手訴訟又は少額訴訟の終局判決に対する異議の取下げ及びその取下げについての同意、訴訟参加又は訴訟引受けによる脱退
7 上記事件に関する調査、照会、交渉
8 復代理人選任
委任状に特に決められた書式はありません。こちらで紹介した書式もあくまでサンプルとしてご確認ください。
委任状で必要になる主な項目はつぎの通りです。
主な項目
- 委任した日付
- 委任者の氏名、住所、押印
- 受任者(代理人)の氏名、住所
- 受任の内容・範囲
特に受任の内容・範囲は、個別の状況に応じて記載されるものになります。
被害者の方は、ご本人が直筆で委任者の氏名・住所を記入、押印してください。
交通事故被害者で委任状が必要になるタイミングと用途
交通事故の被害者が代理人として弁護士と委任契約を結ぶ場合、委任状が必要になるタイミングは何度かあります。
タイミングごとにどのような用途で委任状が使われるのかみてきましょう。
(1)受任通知時
ほとんどの場合、交通事故の被害者は弁護士と委任契約を結ぶとき、委任契約書と一緒に委任状の記入を求められます。
弁護士が被害者から示談交渉の依頼を受けた場合、加害者側に対して「弁護士が被害者の代わりに示談交渉に対応します」ということを伝えなければなりません。
そのために受任通知を送付するのですが、その際、委任関係を証明するものとして、委任状も一緒に提出するのです。
受任通知を相手方に出した後、被害者の方がご自身で加害者側とやり取りすることはなくなります。加害者側とのやり取りは、基本的に委任された弁護士が行いますので、やり取りのストレスから解放されるでしょう。
(2)自賠責保険の請求時
代理人を立てて相手方の自賠責保険に被害者請求する場合、委任状が必要です。
被害者請求
加害者側の自賠責保険会社に対して、被害者が直接慰謝料・損害賠償金といった保険金を請求すること。
示談成立前でも一定の金額を得られるというメリットがある。
自賠責保険に被害者請求する場合の委任状は、各自賠責保険会社が提供する請求書類セットに含まれています。
弁護士に被害者請求を委任している場合は、弁護士から委任状を記入するように連絡がくるでしょう。
この際、印鑑登録している実印での押印が求められます。また、あわせて印鑑登録証明書も提出するよう依頼されるでしょう。
被害者の方がご自身で自賠責保険の請求をする場合、自ら必要書類を集める必要があり手間がかかります。弁護士に委任していれば、必要書類を集めたりする等の面倒な手続きは弁護士にすべて任せることができます。
(3)民事裁判提起時
代理人を立てて民事裁判を提起する場合、委任状が必要です。
加害者側と示談交渉による話し合いで解決しなかった場合、民事裁判へと進むことが予想されます。
弁護士が代理人として手続きをすすめる民事裁判では、基本的にご本人が裁判所に出向く必要はありません。弁護士が裁判期日に出席します。
なお、裁判を検討する際は、手続きの流れやかかる期間なども確認しておく必要があります。詳しくは『交通事故の裁判の起こし方や流れ|費用・期間や裁判になるケースを解説』の記事をご確認ください。
交通事故の示談交渉の流れ
交通事故から解決までの流れ
委任状が必要になるタイミングがわかったところで、交通事故の示談交渉がどのようにすすめられていくのか流れを確認しておきましょう。
交通事故の発生から解決までの流れを見ていきます。
事故発生から示談金の受け取りまでの大まかな流れとしては、怪我が完治した場合と怪我が完治せずに後遺症が残ってしまった場合に分けられます。
順を追って確認していきましょう。
入通院治療
交通事故でお怪我をされた場合、まずは怪我の治療が必要です。治療に専念しましょう。
交通事故で怪我をした場合、以下のような傷害に対する損害賠償を事故の相手方に請求することができます。
傷害に対する主な損害賠償項目
- 治療費
- 入通院慰謝料
- 休業損害
- 入院雑費
- 通院交通費 など
上記の費目は、治療が終わり、治療が終了するまでにかかった治療費、仕事を休んだ期間に得られなかった収入等が確定しなければ請求できません。
万が一治療中に、上記の費目の金額について加害者側から提示されても、受け入れたり金額の交渉をしたりせず、治療終了まで待ってもらいましょう。
完治しなかった場合
交通事故による怪我が治療をしても完治しなかった場合、後遺障害等級の認定を受ければ、後遺障害に対する損害賠償金も、事故の相手方に請求できます。
後遺障害等級には1級から14級があり、後遺症の症状や程度に応じて認定されます。
後遺障害に対する主な損害賠償項目
- 後遺障害慰謝料
- 後遺障害逸失利益
後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する補償で、後遺障害等級に応じて金額が決まります。
また、後遺障害によって失った労働能力と事故前の年収等を加味して、後遺障害が残らなければ得られたであろう将来的な収入に対する補償(逸失利益)を請求することも可能です。
後遺障害等級は、まず後遺障害申請を行い、第三者機関が後遺障害の有無や障害の重さ(等級)を審査して認定されるかどうかが決まります。
後遺障害申請について詳しくはこちらの記事『交通事故で後遺障害を申請する|認定までの手続きの流れ、必要書類を解説』をご覧ください。
示談交渉
示談交渉は、交通事故で受けた損害が確定してからはじまるのが一般的です。
示談交渉の相手は通常、事故相手本人ではなく、相手方の任意保険会社の担当者となります。
自動車を運転する方は、加入が義務付けられている自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)だけでなく、加入が任意の任意保険にも加入していることが多いです。
しかし、相手が任意保険未加入の場合や自転車の場合などは、事故相手本人と示談交渉することもあります。
相手が無保険の場合は、交渉をスムーズに進めたり示談金をきちんと支払ったりしてもらうための対策が必要なので、『交通事故相手が無保険でお金がない!賠償請求の方法とリスク対策』の記事をご確認ください。
もっとも、示談交渉の相手が保険会社であろうと、本人であろうと、示談は「話し合い」をもって進められていくことになります。話し合いの末、お互いが合意したら示談書(免責証書)にサインして示談成立となります。
示談の豆知識
示談は口約束でも成立してしまう性質をもっています。
示談の相手が保険会社の場合、相手は示談交渉のプロです。保険会社はできるだけ支払う示談金(損害賠償金)の額を抑えようと、低い金額を提示してきます。
示談は示談書(免責証書)を作成して署名・捺印すると成立となりますが、示談の内容に納得していないのに「保険会社のいうことだから信用できるだろう」と安易に同意するような態度はとらないようにしましょう。
保険会社の提示額通りに合意してしまうと、本来もらえるはずの十分な金額がもらえなくなります。
保険会社に対抗できるよう、示談交渉の経験が豊富な弁護士を代理人としてたてることをおすすめします。
相手方の代理人が出てきたら委任状をチェック
加害者側の委任状を確認すべき3ケース
交通事故の示談交渉は、事故の当事者同士で行われるとは限りません。あなたが代理人を付けるのと同じように事故相手も代理を立ててくる可能性があります。
相手方の代理人と示談交渉をするなら、委任状があるかどうか確認しておいた方がいいケースがあるので確認していきましょう。
(1)弁護士が代理人として出てきた
事故相手の代理人として弁護士が出てきた場合、かならず委任状を提示してもらうようにしましょう。
ご自身が弁護士を依頼した時に委任状がいるのと同じように、相手方の場合も委任状が必要です。
なお、相手方が弁護士を立てた場合は、委任状を含む受任通知が届くでしょう。
急に受任通知のような書類が届いて不安に感じた場合は、以下の関連記事をご覧ください。
なぜ加害者側が弁護士を立てたのか、受任通知が届いた後はどう対処すれば良いのかなどがわかります。
(2)事故相手の親族が代理人を名乗ってきた
事故相手の親族が代理人を名乗ってきた場合、できるかぎり委任状を提示してもらうのがいいでしょう。
交通事故後の流れの中では、事故相手の両親、夫や妻といった配偶者、子どもなどが代理人として出てくることが考えられます。
しかし、親族と一口にいっても、事故相手本人とは遠縁であるケースも考えられます。親族とだけ名乗って関係性をはっきり示してこない場合は後々トラブルに巻き込まれる可能性があります。事前に委任状を確認しておいた方がいいでしょう。
(3)示談屋と思われる代理人が出てきた
示談屋と思われる人物が代理人を名乗ってきた場合について、委任状云々という話の前に、示談屋が違法業者であるということを認識しておきましょう。
示談屋とは、正当な資格を有していないにも関わらず、報酬を得る目的で交通事故の示談交渉を請け負う商売を行う業者です。
しかし、こうした業者の行為は非弁行為として禁じられているので、相手方が示談屋を立ててきても、決して取り合わないようにしましょう。
示談屋は、警察に事故の報告をせず、事故の当事者同士だけで処理してしまおうとしているケースに近寄ってくる傾向があるようです。(交通事故を警察に届け出ないこと自体が報告義務違反にあたります。事故が発生したら必ず警察に届出を出すようにしてください。)
示談屋は、あたかも示談が被害者側にとって有利になるように話を持ち掛けてくることがあります。「慰謝料を多めに払うから警察には連絡しないでほしい」などと言い出してきた場合は、相手にせず、絶対に示談しないでください。
弁護士資格がなければ、報酬を得ての示談交渉等の法律事務を行うことはできません。これを禁止しているのが弁護士法です。
報酬が発生する場合の法律事務は、弁護士のみが行うことができます。
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
弁護士法 第七十二条
非弁行為は「二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」の処罰を受ける可能性がある違法行為です。
代理人が保険会社の場合は、委任状なしでも示談交渉可能
事故相手は、自身の保険会社の担当者を代理人として立ててくることが多くあります。
この場合は、委任状の提示を求める必要は通常ありません。
保険会社は被保険者の同意を得た上で自動車保険の商品として、示談を代行するサービスを提供しています。これを示談代行サービス(示談代行制度)等といいます。
任意保険に加入している交通事故加害者は、この「示談代行サービス」を利用することが多いのです。
示談代行サービスは被害者も使える
示談代行サービスは、被害者も任意保険に加入していれば利用可能です。
ただし、被害者側に過失がない場合は利用できません。
保険会社が被保険者に代わって示談交渉を行うのは、被保険者側に何らかの事故原因(過失)があった場合に限られています。
事故により相手に損害を与えたことで発生した損害賠償額を、保険金として相手方に支払う場合にだけ、保険会社が示談を代理できるのです。
そのため、任意保険に加入していても、もらい事故のような過失が全くなかった場合、保険会社は示談代行サービスを行いません。示談交渉はご自身で行うか、弁護士に依頼して示談交渉をすすめる必要があります。
加害者の代理人への対応が不安な方へ
ご自身のみでの対応が不安な場合や示談代行サービスが使えない場合は、弁護士に示談交渉を依頼することをおすすめします。
示談交渉について不安があるという方は無料相談を使って、示談のこと、怪我の治療費、仕事を休んだことによる休業補償等、交通事故に関するお悩み事を弁護士になんでもお話しください。
また、示談代行サービスで保険会社に対応を任せるよりも、弁護士を立てた方が獲得示談金は多くなる傾向にあります。
その他、弁護士なら示談交渉に至るまでの幅広いサポートが可能なので、示談代行サービスが使える方でも、一度弁護士への相談を検討してみることをおすすめします。
関連記事
交通事故を弁護士に依頼するメリットと必要な理由|弁護士は何をしてくれる?
その委任状は本物?何を確認したらわかるのか
相手方の代理人に委任状を提示してもらった方がいいケースでは、示談交渉に入る前に委任状が本物かどうか確認しておく必要もあります。
しかし、どうやって委任状が本物かどうか見分ければいいのでしょうか。
ここからは、事故相手が委任者に委任したこと証明する委任状かどうかを確認できるポイントを紹介します。
加害者本人の署名・押印があること
委任状は本人による直筆の署名と押印があるかを確認しましょう。
特に委任者の氏名がパソコンで入力されている場合は怪しいです。
印鑑登録証明書と押印が一緒であること
委任状の提示を受ける際、加害者本人の印鑑登録証明書もあわせて提示してもらうようにしましょう。
印鑑登録証明書とは、印鑑が登録された本物であることを示す書類です。
この証明書と同一の印鑑で押印されているのであれば、委任状に押印されたものが加害者本人の実印であるとわかります。
加害者本人との関係性、身分証明書を確認
加害者本人と代理人がどのような関係なのか、確認しておくようにしましょう。家族だと言われても、実際はまったくの赤の他人である可能性も考えられます。
代理人がどのような立場の人なのか確認するにあたって、身分証明書を確認するのは有効な手段のひとつです。
親族の場合であれば、名字や自宅の住所が加害者本人と同じになることも多いでしょう。
弁護士の場合であれば、弁護士資格を証明する身分証明書や弁護士登録番号を聞いておくようにしましょう。
代理人が委任状を提示しない場合はどうする?
代理人が委任状を持っていなかったり、提示するように求めても頑なに拒否されたりしたら、委任契約の正当性や、代理人について問題がある可能性が考えられます。
警察か弁護士に相談するようにしましょう。
具体的な対処法を紹介します。
警察に相談する
相手が委任状の提示を拒否し、脅したりするような強引な示談交渉をしてきた場合は、警察に相談してみましょう。
相手方の代理人が違法業者である可能性が高い場合は、警察に相談して摘発してもらうこともひとつの手段です。
弁護士に相談する
委任状を提示してもらったほうがいいケースもあることを先にお伝えしましたが、見知らぬ相手とのやり取り自体に不安を持たれることもあるでしょう。そのような場合は、弁護士にやり取りを一任することをおすすめします。
仮に相手が違法業者であった場合、法律の専門家である弁護士ならば相手の法律的な問題を指摘することができるので、安心して任せることができるでしょう。
弁護士に相談してみたいけど相談料が気になるという方は、アトム法律事務所の無料相談をご活用ください。
ご自身のみでの示談交渉に不安なら弁護士に相談
弁護士依頼に関するお悩みにお答え
示談交渉を弁護士に依頼しようか、依頼の一歩手前でお考えの方でよくみられるお悩みを紹介します。
弁護士依頼に関するお悩み5選
- 相手方保険会社の担当者が親切なので、自分で対応しても大丈夫?
- 弁護士費用を支払ってまで依頼すべきかわからない
- 弁護士に依頼したら示談金が増額するのは本当?
- 弁護士の選び方がわからない
- 弁護士に一度でも相談したら契約を迫られそうで不安
よくみられるお悩みそれぞれに対して、お答えしていきます。
なお、弁護士に依頼して後悔しないか不安な方には、『交通事故で弁護士依頼は後悔する?失敗談と対策』の記事もおすすめです。後悔するケースと対処法を知っておくことで、安心して弁護士に依頼できるでしょう。
相手方保険会社の担当者が親切なので、自分で対応しても大丈夫?
加害者が保険会社の担当者を代理人として立ててきた場合、たとえその担当者が親切で、被害者側にとって損のない内容で示談を進めているように見えたとしても、一度弁護士に相談することが重要です。
相手方保険会社が不親切だと思う場合は、ご自身でやり取りをすること自体が苦痛で弁護士に相談に来られる方が多いです。
一方、相手方保険会社が親切だと感じる場合、保険会社からの提示内容に疑問を持たず、ご自身のみで判断してそのまま示談してしまうという方が多いです。
しかし、残念ながら担当者の態度が親切だからといって、提示されている損害賠償額が適正であるとは限りません。
保険会社は営利企業なので、支払う金額を抑えれば抑えるほど利益が出ることになります。つまり、たとえ優しい担当者であっても、損害賠償額を低く抑えることがその担当者の仕事なのです。
「信頼している担当者が提示する金額だから示談してもいいかな」と思ったとしても、一度弁護士に相談するようにしてください。
保険会社の提示額と、ご自身が得られるであろう適正な金額とでどのくらい差額があるのか、弁護士であればご案内することができます。
弁護士費用を支払ってまで依頼すべきかわからない
弁護士に依頼することで回収額が大幅にアップし、弁護士費用を支払ってもなお、弁護士を立てなかった場合よりも多くの金額が手に入るケースは多いです。
というのも、交通事故の慰謝料を算定するにあたっては、3つの算定基準があります。
このうち弁護士を立てた場合に獲得が見込める「弁護士基準」の金額は、相手方保険会社が提示してくる「任意保険基準」の金額の2倍~3倍程度も高額なのです。
弁護士基準は過去の裁判で適切だと認められた金額を示しているので、本来は裁判を起こさなければ得られません。
しかし、専門知識と資格を持った弁護士が示談交渉に介入した場合は、裁判まで起こさずとも弁護士基準の金額獲得が見込めます。
よって、弁護士費用を支払うことを考慮しても、十分な示談金アップが期待できます。(関連記事『交通事故の慰謝料の計算方法|正しい賠償金額がわかる』)
なお、ご自身が加入する任意保険に弁護士費用特約が付いている場合は、そもそも弁護士費用を負担する必要がありません。上限300万円という範囲には限られますが、弁護士費用特約をつかえば、保険会社に弁護士費用を負担してもらえるのです。
一度、任意保険の契約内容をご確認ください。
弁護士費用特約についての詳しい解説は『交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介』の記事をご覧ください。
弁護士に依頼したら示談金が増額するのは本当?
弁護士に示談交渉を依頼することで、示談金が増額する可能性が高まります。
弁護士であれば、弁護士基準に沿った適切な金額を算定するのはもとより、保険会社に対して弁護士基準を認定するよう様々な証拠をもって主張することができます。
示談交渉で解決しなかった場合、民事裁判に移行するのが一般的ですが、裁判というのは裁判費用も時間も労力もたくさんかかります。
保険会社としては弁護士が出てくると、「裁判になったら弁護士基準で支払う可能性が高くなるから、示談の段階で弁護士基準まで引き上げておこう…」と考えて増額を認めてくれる可能性があるのです。
相手方の保険会社から慰謝料等の示談金の提示を受けている方は、こちらの計算機を使って適正な金額か確認してみましょう。計算機による計算結果の方が高くなったという方は、増額の可能性があります。
弁護士の選び方がわからない
交通事故の被害でお悩みの場合は、交通事故を多くあつかう弁護士を選びましょう。
一口に弁護士だからといって、交通事故分野に精通しているとは限りません。特に後遺障害が残るようなケースでは医学的な知識も必要となってきます。「交通事故案件の解決実績が豊富な弁護士」を選ぶことで、適切な金額の示談金が得られる可能性が高まります。
弁護士に一度でも相談したら契約を迫られそうで不安
アトム法律事務所の弁護士による相談は、あくまで相談とさせていただいております。まずは事故の内容や治療の状況、保険会社とのやり取りのお話をお聞きし、弁護士にご依頼いただいた場合のメリットなどをご説明させていただいております。
相談の結果、増額の可能性や委任契約の必要性などについてご納得いただけた場合に限り、ご契約書等の取り交わしをさせていただく流れとなっています。相談=契約というわけではないので安心して気軽にご相談ください。
関連記事『交通事故で弁護士相談を悩んでいる方へ|被害者の疑問を総まとめ』では、弁護士への相談をより具体的にイメージしやすい情報をまとめています。弁護士に相談・依頼する流れや、弁護士との面談前のポイントがつかめるので、実際の相談をより有意義なものに出来るでしょう。
アトム法律事務所の無料相談
自分では手に負えないやり取り、示談交渉だと思ったら、一度無料相談を利用して弁護士にご相談ください。
交通事故の解決実績が豊富なアトム法律事務所の弁護士にご相談ください。24時間365日年中無休で無料相談のお受付を実施中です。気軽にお問い合わせください。
まとめ
- 委任状は弁護士(代理人)との委任関係を証明するために必要な書類
- 委任状は特別に決まった書式や形式はない
- 交通事故の被害で委任状は、受任通知時・自賠責保険の請求時・民事裁判提起時に必要になる
- 相手方の代理人が出てきたら委任状をチェックしたほうがいいケースがある
- ご自身のみでの示談交渉に不安がある場合は弁護士に依頼した方がいい
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了