交通事故の示談交渉で弁護士の「委任状」が必要な理由|書式を公開
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交通事故の被害にあって弁護士に示談交渉を依頼した場合、「委任状」に記入するよう求められることになります。被害者が弁護士に対応を委任したという委任関係を証明するためです。
また、事故の相手方が代理人を立てて示談交渉してくることもあます。その代理人が保険会社でない場合は、委任状があるのか確認するようにしてください。
本記事では、委任状は何のために必要なのか、委任状がどのように使われるのかを解説していきます。
目次
委任状は交通事故の示談交渉を弁護士に依頼する際必要
委任状は委任関係を証明する書類
交通事故の被害者が、示談交渉・裁判等といった法的な手続きを弁護士に委任する際には、委任状が必要になります。
委任状は「委任関係がある事実」を証明するための書類です。本来であれば自分自身で行うべき手続きを第三者に委任したことを明確にします。
もし代理人を立てるにあたって委任状が必要なかったら、頼まれてもいない人が勝手に法的手続きを行ったり、代理人として適さない人が代理人となったりするリスクがあります。
そうしたことを防ぐためにも、委任状は大切です。
委任状は、交通事故の被害者の方だけに必要な文書ではなく、あらゆる法律分野で登場します。
弁護士に委任するメリット
交通事故の被害者が、弁護士に委任状を渡し、示談交渉を任せることには大きなメリットがあります。
相手方の任意保険会社は、交通事故対応のプロです。日々、数多くの案件を処理する中で、専門知識や交渉のノウハウを蓄積しています。そのような相手に対し、怪我の治療を続けながら、被害者がたった一人で交渉に臨むのは、精神的にも肉体的にも大変な負担となり、結果として不利な条件で示談してしまうことにも繋がりかねません。
弁護士は、被害者の正当な利益を守るために動く「法律と交渉のプロ」です。委任状は、そのプロを被害者の代理人として立て、対等以上に交渉を進めるための第一歩となります。具体的には、以下のようなメリットが挙げられます。
保険会社との交渉窓口を一本化できる
示談交渉の相手は通常、事故相手本人ではなく、相手方の任意保険会社の担当者となります。
怪我の治療に専念したい時期に、任意保険の担当者から頻繁に電話がかかってきたり、専門用語を並べた書類が送られてきたりするのは、大変な精神的ストレスになるでしょう。
弁護士に委任状を提出し、弁護士が任意保険会社へ「受任通知」を送付した後は、すべての連絡や交渉の窓口は弁護士に一本化されます。これにより、被害者の方は保険会社との煩わしいやり取りから一切解放されるのです。
治療の経過報告や今後の見通しなど、必要な連絡はすべて弁護士が行うので、委任後は安心して治療に専念し、一日も早い回復を目指すことができます。
示談の豆知識
示談は口約束でも成立してしまう性質をもっています。
示談の相手が保険会社の場合、相手は示談交渉のプロです。保険会社はできるだけ支払う示談金(損害賠償金)の額を抑えようと、低い金額を提示してきます。
示談は示談書(免責証書)を作成して署名・捺印すると成立となりますが、示談の内容に納得していないのに「保険会社のいうことだから信用できるだろう」と安易に同意するような態度はとらないようにしましょう。
保険会社の提示額通りに合意してしまうと、本来もらえるはずの十分な金額がもらえなくなります。
保険会社に対抗できるよう、示談交渉の経験が豊富な弁護士を代理人としてたてることをおすすめします。
賠償金の増額が期待できる
弁護士に示談交渉を依頼することで、示談金が増額する可能性が高まります。
弁護士であれば、弁護士基準に沿った適切な金額を算定するのはもとより、任意保険会社に対して弁護士基準を認定するよう様々な証拠をもって主張することができるからです。
示談交渉で解決しなかった場合、民事裁判に移行するのが一般的ですが、裁判というのは裁判費用も時間も労力もたくさんかかります。
任意保険会社としては弁護士が出てくると、「裁判になったら弁護士基準で支払う可能性が高くなるから、示談の段階で弁護士基準まで引き上げておこう…」と考えて増額を認めてくれる可能性があるのです。

相手方の保険会社から慰謝料等の示談金の提示を受けている方は、こちらの計算機を使って適正な金額か確認してみましょう。計算機による計算結果の方が高くなったという方は、増額の可能性があります。
妥当な過失割合かを判断してもらえる
弁護士に依頼すれば、事故現場の状況や警察が作成した資料(実況見分調書など)、ドライブレコーダーの映像、過去の裁判例などを分析し、被害者にとって最も有利かつ法的に妥当な過失割合を主張してくれます。
過失割合とは、交通事故が起きたことに対する、当事者それぞれの責任の割合を示すものです。たとえば、被害者の過失が1割(10%)となれば、全体の損害額から1割が差し引かれてしまうので、過失割合は最終的な賠償金額に極めて大きな影響を与えます。
相手方の任意保険会社は、自身の支出を抑えるため、相手方に有利な過失割合を主張してくることが多くあります。被害者ご自身に不利な過失割合を提示されても、専門知識がなければ、それが妥当なものか判断し、効果的に反論することは困難です。
コラム|委任状を書くリスクはある?
委任状という言葉を聞くと、「一度渡したら、すべて弁護士の言いなりになってしまうのではないか」「勝手に低い金額で示談されてしまうのではないか」といった不安を感じる方もいるかもしれません。
結論から言うと、信頼できる弁護士に依頼する限り、委任状を書くことによるリスクは基本的にないです。
委任状は、あくまで「交通事故の損害賠償請求に関する交渉や手続き」といった限定された範囲で代理権を与えるものになります。弁護士が、その権限を越えて被害者の財産を勝手に処分するようなことはありません。
また、依頼人である被害者の最終的な同意なく、弁護士が勝手に示談を成立させることは絶対にできないという点も重要です。弁護士は、相手方と交渉して最善の条件を引き出し、その内容を必ず被害者本人に報告・説明します。その上で、被害者が「この内容で納得できる」と判断して初めて、示談が成立するのです。
弁護士費用についても、委任状とは別に「委任契約書」を作成し、料金体系を事前に説明があるはずなので、知らない間に高額な請求が発生することもないでしょう。
むしろ、委任状をためらったために、弁護士のサポートを受けないまま、知識や経験で勝る保険会社とたった一人で向き合ってしまうことがリスクとなりえます。
交通事故で使う委任状の書き方と注意点【書式サンプル付】
【書式】委任状のサンプル
委任状といってもどのようなものかイメージが付き辛いという方は、委任状の書式をご確認ください。委任状のサンプルを用意しています。
委任状の書式サンプル
委任状
年 月 日
住 所
委任者 ㊞
私は、次の弁護士を訴訟代理人又は手続代理人と定め、下記の事件に関する各事項を委任します。
弁護士 〇〇〇〇
事務所 〒〇〇〇-〇〇〇
東京都〇〇区〇丁目〇〇番
〇〇法律事務所
電 話 〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
FAX 〇〇-〇〇〇〇-〇〇〇〇
記
第1 事件
1 相手方
2 裁判所
3 事件の表示
第2 委任事項
1 上記事件の示談交渉、訴訟行為・手続行為、訴え・申立て、反訴・控訴・上告・上告受理・抗告・許可抗告・異議につきその提起又は申立て、それらの取下げ、取下げについての同意、和解、調停合意、請求の放棄、請求の認諾、弁済金物の受領、保管金納入及び受領
2 参加、訴訟脱退、強制執行、仮差押え及び仮処分、保全処分
3 担保保証の供託、同取消決定の申立て、同取消しについての同意、同取消決定についての抗告権の放棄、権利行使催告の申立て、担保取戻し
4 供託物の払渡(取戻・還付)及び利息利札の請求並びに受領、閲覧申請
5 債権届出、債権者集会及び債権調査期日への出席、議決権の行使ほか債権者としての権利行使
6 手形訴訟、小切手訴訟又は少額訴訟の終局判決に対する異議の取下げ及びその取下げについての同意、訴訟参加又は訴訟引受けによる脱退
7 上記事件に関する調査、照会、交渉
8 復代理人選任
委任状の書き方と主な記載項目
委任状に特に決められた書き方や書式はありません。先ほど紹介した書式もあくまでサンプルとしてご確認ください。
委任状で必要になる主な項目はつぎの通りです。
主な項目
- 委任した日付
- 委任者の氏名、住所、押印
- 受任者(代理人)の氏名、住所
- 受任の内容・範囲
特に受任の内容・範囲は、個別の状況に応じて記載されるものになります。
被害者の方は、ご本人が直筆で委任者の氏名・住所を記入、押印してください。
事故被害者が委任状を要するタイミングと用途
交通事故の被害者が代理人として弁護士と委任契約を結ぶ場合、委任状が必要になるタイミングは何度かあります。
タイミングごとにどのような用途で委任状が使われるのかみてきましょう。
(1)受任通知時
ほとんどの場合、交通事故の被害者は弁護士と委任契約を結ぶとき、委任契約書と一緒に委任状の記入を求められます。
弁護士が被害者から示談交渉の依頼を受けた場合、相手方に対して「弁護士が被害者の代わりに示談交渉に対応します」ということを伝えなければなりません。
そのために受任通知を送付するのですが、その際、委任関係を証明するものとして、委任状も一緒に提出するのです。
受任通知を相手方に出した後、被害者の方がご自身で相手方とやり取りすることはなくなります。相手方とのやり取りは、基本的に委任された弁護士が行いますので、やり取りのストレスから解放されるでしょう。
(2)自賠責保険の請求時
代理人を立てて相手方の自賠責保険に被害者請求する場合、委任状が必要です。
被害者請求
相手方の自賠責保険会社に対して、被害者が直接慰謝料・損害賠償金といった保険金を請求すること。
示談成立前でも一定の金額を得られるというメリットがある。
自賠責保険に被害者請求する場合の委任状は、各自賠責保険会社が提供する請求書類セットに含まれています。
弁護士に被害者請求を委任している場合は、弁護士から委任状を記入するように連絡がくるでしょう。
この際、印鑑登録している実印での押印が求められます。また、あわせて印鑑登録証明書も提出するよう依頼されるでしょう。
被害者の方がご自身で自賠責保険の請求をする場合、自ら必要書類を集める必要があり手間がかかります。弁護士に委任していれば、必要書類を集めたりする等の面倒な手続きは弁護士にすべて任せることができます。
(3)民事裁判提起時
代理人を立てて民事裁判を提起する場合、委任状が必要です。
相手方と示談交渉による話し合いで解決しなかった場合、民事裁判へと進むことが予想されます。
弁護士が代理人として手続きをすすめる民事裁判では、基本的にご本人が裁判所に出向く必要はありません。弁護士が裁判期日に出席します。
なお、裁判を検討する際は、手続きの流れやかかる期間なども確認しておく必要があります。詳しくは『交通事故裁判の起こし方や流れ|民事裁判になるケースは?出廷は必要?』の記事をご確認ください。
相手方の代理人が出てきたら委任状をチェック
相手方の委任状を確認すべき3ケース
交通事故の示談交渉は、事故の当事者同士で行われるとは限りません。あなたが代理人を付けるのと同じように事故相手も代理を立ててくる可能性があります。
相手方の代理人と示談交渉をするなら、委任状があるかどうか確認しておいた方がいいケースがあるので確認していきましょう。
(1)弁護士が代理人として出てきた
事故相手の代理人として弁護士が出てきた場合、かならず委任状を提示してもらうようにしましょう。
ご自身が弁護士を依頼した時に委任状がいるのと同じように、相手方の場合も委任状が必要です。
なお、相手方が弁護士を立てた場合は、委任状を含む受任通知が届くでしょう。
急に受任通知のような書類が届いて不安に感じた場合は、以下の関連記事をご覧ください。
なぜ相手方が弁護士を立てたのか、受任通知が届いた後はどう対処すれば良いのかなどがわかります。
関連記事
交通事故で加害者が弁護士を立てた!通知受取後の対応やNG行為
(2)事故相手の親族が代理人を名乗ってきた
事故相手の親族が代理人を名乗ってきた場合、できるかぎり委任状を提示してもらうのがいいでしょう。
交通事故後の流れの中では、事故相手の両親、夫や妻といった配偶者、子どもなどが代理人として出てくることが考えられます。
しかし、親族と一口にいっても、事故相手本人とは遠縁であるケースも考えられます。親族とだけ名乗って関係性をはっきり示してこない場合は後々トラブルに巻き込まれる可能性があります。事前に委任状を確認しておいた方がいいでしょう。
(3)示談屋と思われる代理人が出てきた
示談屋と思われる人物が代理人を名乗ってきた場合について、委任状云々という話の前に、示談屋が違法業者であるということを認識しておきましょう。
示談屋とは、正当な資格を有していないにも関わらず、報酬を得る目的で交通事故の示談交渉を請け負う商売を行う業者です。
しかし、こうした業者の行為は非弁行為として禁じられているので、相手方が示談屋を立ててきても、決して取り合わないようにしましょう。
示談屋は、警察に事故の報告をせず、事故の当事者同士だけで処理してしまおうとしているケースに近寄ってくる傾向があるようです。(交通事故を警察に届け出ないこと自体が報告義務違反にあたります。事故が発生したら必ず警察に届出を出すようにしてください。)
示談屋は、あたかも示談が被害者側にとって有利になるように話を持ち掛けてくることがあります。「慰謝料を多めに払うから警察には連絡しないでほしい」などと言い出してきた場合は、相手にせず、絶対に示談しないでください。
弁護士法による非弁行為の禁止について
弁護士資格がなければ、報酬を得ての示談交渉等の法律事務を行うことはできません。これを禁止しているのが弁護士法です。
報酬が発生する場合の法律事務は、弁護士のみが行うことができます。
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
弁護士法 第七十二条
非弁行為は「二年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金」の処罰を受ける可能性がある違法行為です。
関連記事
示談屋とは?無報酬でも違法?事故の示談交渉は弁護士に任せよう
代理人が保険会社の場合は、委任状なしでも示談交渉可能
事故相手は、自身の保険会社の担当者を代理人として立ててくることが多くあります。
この場合は、委任状の提示を求める必要は通常ありません。
保険会社は被保険者の同意を得た上で自動車保険の商品として、示談を代行するサービスを提供しています。これを示談代行サービス(示談代行制度)等といいます。
事故相手が任意保険に加入している場合は、この「示談代行サービス」を利用することが多いのです。
示談代行サービスは被害者も使える
示談代行サービスは、被害者も任意保険に加入していれば利用可能です。
ただし、被害者側に過失がない場合は利用できません。
保険会社が被保険者に代わって示談交渉を行うのは、被保険者側に何らかの事故原因(過失)があった場合に限られています。
事故により相手に損害を与えたことで発生した損害賠償額を、保険金として相手方に支払う場合にだけ、保険会社が示談を代理できるのです。
そのため、任意保険に加入していても、もらい事故のような過失が全くなかった場合、保険会社は示談代行サービスを行いません。示談交渉はご自身で行うか、弁護士に依頼して示談交渉をすすめる必要があります。
相手方の代理人への対応が不安な方へ
ご自身のみでの対応が不安な場合や示談代行サービスが使えない場合は、弁護士に示談交渉を依頼することをおすすめします。
示談交渉について不安があるという方は無料相談を使って、示談のこと、怪我の治療費、仕事を休んだことによる休業補償等、交通事故に関するお悩み事を弁護士になんでもお話しください。
また、示談代行サービスで保険会社に対応を任せるよりも、弁護士を立てた方が獲得示談金は多くなる傾向にあります。
その他、弁護士なら示談交渉に至るまでの幅広いサポートが可能なので、示談代行サービスが使える方でも、一度弁護士への相談を検討してみることをおすすめします。
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その委任状は本物?何を確認したらわかるのか
相手方の代理人に委任状を提示してもらった方がいいケースでは、示談交渉に入る前に委任状が本物かどうか確認しておく必要もあります。
しかし、どうやって委任状が本物かどうか見分ければいいのでしょうか。
ここからは、事故相手が委任者に委任したこと証明する委任状かどうかを確認できるポイントを紹介します。
相手方本人の署名・押印があること
委任状は本人による直筆の署名と押印があるかを確認しましょう。
特に委任者の氏名がパソコンで入力されている場合は怪しいです。
印鑑登録証明書と押印が一緒であること
委任状の提示を受ける際、相手方本人の印鑑登録証明書もあわせて提示してもらうようにしましょう。
印鑑登録証明書とは、印鑑が登録された本物であることを示す書類です。
この証明書と同一の印鑑で押印されているのであれば、委任状に押印されたものが相手方本人の実印であるとわかります。
相手方本人との関係性、身分証明書を確認
相手方本人と代理人がどのような関係なのか、確認しておくようにしましょう。家族だと言われても、実際はまったくの赤の他人である可能性も考えられます。
代理人がどのような立場の人なのか確認するにあたって、身分証明書を確認するのは有効な手段のひとつです。
親族の場合であれば、名字や自宅の住所が相手方本人と同じになることも多いでしょう。
弁護士の場合であれば、弁護士資格を証明する身分証明書や弁護士登録番号を聞いておくようにしましょう。
代理人が委任状を提示しない場合はどうする?
代理人が委任状を持っていなかったり、提示するように求めても頑なに拒否されたりしたら、委任契約の正当性や、代理人について問題がある可能性が考えられます。
警察か弁護士に相談するようにしましょう。
具体的な対処法を紹介します。
警察に相談する
相手が委任状の提示を拒否し、脅したりするような強引な示談交渉をしてきた場合は、警察に相談してみましょう。
相手方の代理人が違法業者である可能性が高い場合は、警察に相談して摘発してもらうこともひとつの手段です。
弁護士に相談する
委任状を提示してもらったほうがいいケースもあることを先にお伝えしましたが、見知らぬ相手とのやり取り自体に不安を持たれることもあるでしょう。そのような場合は、弁護士にやり取りを一任することをおすすめします。
仮に相手が違法業者であった場合、法律の専門家である弁護士ならば相手の法律的な問題を指摘することができるので、安心して任せることができるでしょう。
弁護士に相談してみたいけど相談料が気になるという方は、アトム法律事務所の無料相談をご活用ください。
交通事故を弁護士に委任する際によくある質問
Q.相手の保険会社が親切なので、自分で対応しても大丈夫?
相手方が保険会社の担当者を代理人として立ててきた場合、たとえその担当者が親切で、被害者側にとって損のない内容で示談を進めているように見えたとしても、一度弁護士に相談することが重要です。
相手方保険会社が不親切だと思う場合は、ご自身でやり取りをすること自体が苦痛で弁護士に相談に来られる方が多いです。
一方、相手方保険会社が親切だと感じる場合、保険会社からの提示内容に疑問を持たず、ご自身のみで判断してそのまま示談してしまうという方が多いです。
しかし、残念ながら担当者の態度が親切だからといって、提示されている損害賠償額が適正であるとは限りません。
保険会社は営利企業なので、支払う金額を抑えれば抑えるほど利益が出ることになります。つまり、たとえ優しい担当者であっても、損害賠償額を低く抑えることがその担当者の仕事なのです。
「信頼している担当者が提示する金額だから示談してもいいかな」と思ったとしても、一度弁護士に相談するようにしてください。
保険会社の提示額と、ご自身が得られるであろう適正な金額とでどのくらい差額があるのか、弁護士であればご案内することができます。
Q.弁護士費用を払うと赤字にならない?
弁護士に依頼することで回収額が大幅にアップし、弁護士費用を支払ってもなお、弁護士を立てなかった場合よりも多くの金額が手に入るケースは多いです。
というのも、交通事故の慰謝料を算定するにあたっては、3つの算定基準があります。
このうち弁護士を立てた場合に獲得が見込める「弁護士基準」の金額は、相手方保険会社が提示してくる「任意保険基準」の金額の2倍~3倍程度も高額なのです。

弁護士基準は過去の裁判で適切だと認められた金額を示しているので、本来は裁判を起こさなければ得られません。
しかし、専門知識と資格を持った弁護士が示談交渉に介入した場合は、裁判まで起こさずとも弁護士基準の金額獲得が見込めます。
よって、弁護士費用を支払うことを考慮しても、十分な示談金アップが期待できます(関連記事『交通事故の慰謝料の計算方法|正しい賠償金額がわかる』)。
弁護士費用特約があれば赤字の心配は基本不要
なお、ご自身が加入する任意保険に弁護士費用特約が付いている場合は、そもそも弁護士費用を負担する必要がありません。上限300万円という範囲には限られますが、弁護士費用特約をつかえば、保険会社に弁護士費用を負担してもらえるのです。

一度、任意保険の契約内容をご確認ください。
弁護士費用特約についての詳しい解説は『交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介』の記事をご覧ください。
Q.途中で弁護士を変えたい場合、委任の解除はできる?
弁護士との委任契約は、依頼者の意思でいつでも解除(解任)することができます。
弁護士との関係は信頼が第一です。方針が合わない、説明が不十分など、信頼関係が揺らいだ場合は無理に契約を続ける必要はありません。必要に応じて、弁護士の変更を検討しましょう。
ただし、解任を最終決定する前に、まずは現任の弁護士と話し合ったり、他の弁護士にセカンドオピニオンを求めたり、一度冷静になって検討するのがおすすめです。
検討の結果、解任の意向が固まれば、弁護士に解任の意思を伝えれば手続きは進みます。もっとも、弁護士費用の点については注意が必要です。一般的に、支払い済みの着手金は返還されず、それまでの活動に応じた費用を請求されることがあります。
委任契約を解除し、新しい弁護士に変更する詳しい流れや注意点については、『交通事故の弁護士を変えるべきケースと手順|やる気ないは変更理由になる?』の記事で解説しています。
Q.どの弁護士がいいか選び方がわからない
交通事故の被害でお悩みの場合は、交通事故を多くあつかう弁護士を選びましょう。
一口に弁護士だからといって、交通事故分野に精通しているとは限りません。特に後遺障害が残るようなケースでは医学的な知識も必要となってきます。「交通事故案件の解決実績が豊富な弁護士」を選ぶことで、適切な金額の示談金が得られる可能性が高まります。

弁護士の選び方に迷ったら、『交通事故の弁護士の選び方は?ランキングや評判・口コミの過信に注意』の記事も参考になります。
Q.弁護士に一度でも相談したら契約を迫られそうで不安
アトム法律事務所の弁護士による相談の場合は、あくまで相談とさせていただいておりますのでご安心ください。まずは事故の内容や治療の状況、保険会社とのやり取りのお話をお聞きし、弁護士にご依頼いただいた場合のメリットなどをご説明させていただいております。
相談の結果、増額の可能性や委任契約の必要性などについてご納得いただけた場合に限り、ご契約書等の取り交わしをさせていただく流れとなっています。相談=契約というわけではないので安心して気軽にご相談ください。
関連記事『交通事故で弁護士相談を悩んでいる方へ|被害者の疑問を総まとめ』では、弁護士への相談をより具体的にイメージしやすい情報をまとめています。弁護士に相談・依頼する流れや、弁護士との面談前のポイントがつかめるので、実際の相談をより有意義なものに出来るでしょう。
ご自身のみでの示談交渉に不安なら弁護士に相談
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自分では手に負えないやり取り、示談交渉だと思ったら、一度無料相談を利用して弁護士にご相談ください。
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まとめ
- 委任状は弁護士(代理人)との委任関係を証明するために必要な書類
- 委任状は特別に決まった書式や形式はない
- 交通事故の被害で委任状は、受任通知時・自賠責保険の請求時・民事裁判提起時に必要になる
- 相手方の代理人が出てきたら委任状をチェックしたほうがいいケースがある
- ご自身のみでの示談交渉に不安がある場合は弁護士に依頼した方がいい
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了