交通事故の死亡原因で多いのは?歩行者・自動車・自転車の死亡事故の特徴も解説
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政府統計「令和5年における交通事故の発生状況について」によると、令和5年の交通事故による死者数は2,678名でした。そのうちの半数以上におよぶ1,465名が65歳以上の高齢者という結果です。
交通事故の死傷者数は令和4年度までは6年連続では減少したものの、令和5年度は前年からわずかながら上昇しており、交通死亡事故の危険は日々生じています。
この記事では、交通事故の死亡原因について、事故態様別の傾向と特徴をみていきましょう。
目次
交通事故の死亡原因と死亡状況(令和5年)
警察庁が毎年発表している「令和5年における交通事故の発生状況について」「令和5年中における交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」による交通事故の死亡原因と死亡状況をみていきましょう。
死亡事故は交差点内で発生しやすい
道路形状別の死亡事故発生件数は、交差点内が最も多く、全体の34.6%となっています。
続いて、一般単路が31.5%、交差点付近が14.2%となっており、交差点における死亡事故が非常に多いといえるでしょう。
道路形状別の死亡事故発生割合
道路形状 | 割合 |
---|---|
交差点内 | 34.6% |
一般単路 | 31.5% |
交差点付近 | 14.2% |
カーブ | 12.7% |
踏切・その他 | 4.3% |
トンネル・橋 | 2.7% |
※警察庁「令和5年における交通事故の発生状況について」より抜粋作成
交差点付近では安全運転や安全確認を特に心がける必要があるといえます。
死亡者数が最も多いのは歩行者
交通事故で死亡した方は、歩行者(歩行中)が最も多く、全体の36.3%を占めています。
つづいて、自動車乗車中が31.3%、二輪車乗車中が19%、自転車乗用中が12.9%という結果になりました。
死亡者 | 割合 |
---|---|
歩行者 | 36.3% |
自動車乗車中 | 31.3% |
二輪車乗車中 | 19.0% |
自転車乗用中 | 12.9% |
※警察庁「令和5年における交通事故の発生状況等について」より抜粋作成
歩行者は特に夜間が危険
「令和5年における交通事故の発生状況について」から、歩行者の昼夜別の死者数については、昼間が342人、夜間が631人となっています。
夜間では自動車や二輪車からの発見が遅れる可能性が高く、事故の危険性が高いといえるので、特に注意すべきでしょう。
歩行者の死亡原因で最も多いのは横断中
歩行者の事故類型別死者数をまとめると、横断中の事故が最も多く、65歳以上では73.4%、65歳未満では41.1%となっています。
特に多い事故類型の4つを詳しくみると、横断歩道を横断中の場合よりも、横断歩道以外を横断している方が死者数の割合が高い状況です。
事故類型 | 65歳以上 | 65歳未満 |
---|---|---|
横断歩道の横断中 | 22.5% | 19.8% |
横断歩道以外の横断中 | 50.9% | 21.3% |
路上横臥 | 6.3% | 25.2% |
背面通行中 | 7.3% | 13.2% |
※警察庁「令和5年における交通事故の発生状況等について」より抜粋作成
横断歩道がある場合には、横断歩道を歩行するように定められています。そのため、横断歩道以外を横断する乱横断については、歩行者側にも過失があると判断されやすいです。
歩行者にみられる法令違反としては、走行車両の直前・直後の横断、横断歩道外横断などが多いとされています。(「令和5年における交通事故の発生状況について」より抜粋)
65歳未満は路上横臥も多い
路上横臥とは道路上で横になってしまっていることをいい、主な原因は酩酊、急病、はいかいなどが考えられます。
事故類型別死者数をみると、65歳未満の歩行者で特に多いです。
とくに夜間には路上で横になっている人の発見がしづらく回避行動が遅れることなども予想されます。
道路で寝ている人が事故に遭ったケースについて詳しくは、『道路で寝ている人が事故に遭った!損害賠償金や過失割合はどうなる?』をお読みください。
自転車乗車中の事故の死亡原因と死亡事故の傾向
自転車のヘルメット未着用の死亡事故は半数が頭部損傷
警察庁の発表した「令和5年における交通事故の発生状況等について」によると、自転車乗車中に交通事故で死亡した346名のうち、最も多い人身損傷主部位は頭部で全体の50.3%でした。
主損傷部位 | 割合 |
---|---|
頭部 | 50.3%(174名) |
頸部 | 12.1%(42名) |
胸部 | 13.6%(47名) |
腰部 | 3.8%(13名) |
窒息・溺死 | 8.7%(30名) |
※警察庁発表「令和5年における交通事故の発生状況等について」より一部抜粋/小数点以下四捨五入
ヘルメット着用の有無によって致死率が約1.9倍も違うという結果も出ており、頭部を守ることの大切さがわかります。
ポイント
頭部損傷や頸部損傷は幸い命を取り留めても、重大な後遺症にもつながる大ケガです。
関連記事では、交通事故で頭部外傷・外傷性脳損傷を負った場合の後遺症や、頸部損傷について解説しています。
自転車乗用中の死亡事故は65歳以上が多い
警察庁の発表した「令和5年における交通事故の発生状況等について」によると、令和5年に自転車乗用中に死亡した人数は346名で、そのうち65歳以上の死者数は208名でした。
なお、ヘルメットを着用していた場合よりも、ヘルメット非着用者の致死率は約1.9倍という結果になっています。
関連記事『自転車事故の死亡者の現状と発生原因を統計から解説!賠償金相場と注意点』では、自転車事故による死亡に関して、さらに詳しく解説しています。
自動車乗車中の事故の死亡原因と死亡事故の傾向
警察庁の発表した「令和3年における交通事故の発生状況等について」によると、自動車乗車中の事故の死亡者は860名でした。
死亡事故は車両単独事故や正面衝突が多い
自動車乗車中の交通事故を事故類型別にまとめると、死者数が最も多い事故は車両単独の事故による455名で、全体の約53%を占めています。
つづいて正面衝突が全体の約21%にあたる183名、出会い頭が11%にあたる90名です。
事故類型 | 死者数 |
---|---|
車両単独 | 455名 |
正面衝突 | 183名 |
追突 | 64名 |
出会い頭 | 90名 |
右折時 | 29名 |
その他 | 30名 |
※警察庁発表「令和3年における交通事故の発生状況等について」より一部抜粋/小数点以下四捨五入
シートベルト非着用時の致死率は、着用時の約17倍にあたるという結果も出ています。とくに車両単独事故では、455名のうち245名がシートベルト非着用でした。
正面衝突や出会い頭の事故については事故の衝撃も大きく、死亡事故につながりやすいものと予想されます。関連記事では、そうした事故の過失割合の考え方や賠償金について解説しているので、あわせてお読みください。
高齢運転者による死亡事故は操作ミスと安全不確認が多い
警察庁の発表した「令和5年における交通事故の発生状況について」によると、75歳以上の高齢運転者による死亡事故は384件起こっています。
高齢運転者による死亡事故の要因と事故類型は、じつは75歳以上と75歳未満で若干異なります。
75歳以上の高齢運転者で最も多い事故の人的要因は不適切な操作でした。これはハンドルの操作ミス、ブレーキとアクセルの踏み間違いなどがあげられています。
一方で75歳未満の運転者に最も多い事故の人的要因は安全不確認でした。不適切な操作は全体の4番目にとどまっており、高齢運転者といっても事故の要因には差異があります。
ポイント
踏み間違い事故については、関連記事『踏み間違い事故の対策。アクセルとブレーキを間違うのは高齢者だけでもない?』でも解説している通り、運転者の過失となる見込みです。
高齢運転者による死亡事故は単独事故も目立つ
警察庁の発表した「令和4年における交通事故の発生状況について」によると、75歳以上の高齢運転者では、車両単独の事故が約44%と最も多い結果です。
内訳としては、工作物との衝突が最も多く、ついで路外逸脱が多くなっています。
車両単独の次は車両相互の事故が約33%を占めており、出会い頭や正面衝突が多い結果です。
人対車両の事故は全体の約23%となり、横断中の事故がほとんどでした。
75歳未満の場合は人対車両が多い
75歳未満の運転者で最も多い死亡事故類型は人対車両の事故で、全体の約44%を占めています。とくに、横断中の事故発生が多い結果でした。
つづいて車両相互の事故が全体の約37%、車両単独は約20%となっています。
このように、75歳以上の高齢運転者は車両単独の事故が最も多く、75歳未満の運転者は人対車両の死亡事故が最も多いという統計結果でした。
交通死亡事故の損害賠償請求ならまずは弁護士相談がおすすめ
歩行中やバイク、乗用車、自転車に乗っていた時など、死亡事故の被害者になってしまう状況は様々です。
交通事故の賠償問題で重要になってくるのは、過失割合です。過失割合とは、事故の当事者がどの程度事故発生の責任を負うかの割合といえます。
賠償金は過失割合に応じて減額されるため、被害者に過失があれば、受けとる賠償金は減ってしまうのです。
相手の保険会社は支払う金額を少しでも減らしたいという理由から、「被害者もよそ見をしていたのでは」や「被害者側の信号は本当に青でしたか?」など、遺族に心無い言葉をかけてくることも考えられます。
一方、死亡した被害者に全く過失がない場合は、それだけ相手に対して請求すべき金額が高額化します。被害者側に対して「本来の相場」よりも低い金額を提示してくる可能性があるでしょう。
つまり、死亡事故については相手保険との交渉が苛烈になる可能性があるのです。
交通事故で家族を亡くされた無念さは計り知れません。しかし、ある程度の期間が経った段階で賠償請求のことも考えていく必要があります。
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- 事故相手と過失割合で折り合いがつかない
- 損害賠償金をいくら請求するべきか悩んでいる
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こうしたお悩みに、法的なアドバイスが可能な可能性があります。
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死亡事故で弁護士に依頼すべきかまだ迷いがある方は関連記事『死亡事故で弁護士に依頼するメリットと選び方』もおすすめします。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了