交通事故の死亡原因で多いのは?歩行者・自動車・自転車の死亡事故の特徴も解説

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交通事故の死亡原因

政府統計「交通事故死者数について」によると、令和4年の交通事故による死者数は2,610名でした。そのうちの半数以上におよぶ1,471名が65歳以上の高齢者という結果です。

6年連続で交通事故の死者数が減少しているものの、日々交通死亡事故は発生しています。

この記事では、交通事故の死亡原因について、事故態様別の傾向と特徴をみていきましょう。

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交通事故の死亡原因と死亡状況(令和4年)

警察庁の発表した「令和4年における交通事故の発生状況について」による交通事故の死亡原因と死亡状況をみていきましょう。

死亡・重傷事故は買い物や通勤時に多い

交通事故の死者・負傷者数が最も多いのは、買い物や通勤時とされています。令和4年の発表によると、買い物時で6,235名、通勤で4,900名、訪問で2,451名です。

令和4年の傾向としては、前年に比べて観光・娯楽、飲食に関する移動時の事故が増えています。

交通事故死者・重傷者数の状況(通行目的別状態別)

状況死亡・重症者数
業務1,928名
通勤4,900名
観光・娯楽1,213名
ドライブ1,197名
散歩1,458名
飲食821名
買物6,235名
訪問2,451名
送迎444名

※警察庁「交通事故分析資料 令和4年における交通事故の発生状況等について」より抜粋作成

原付以上の車両、自転車乗用中、歩行中に区分して、上位3つの事故状況をまとめると、次のような傾向がみられます。

状態123
原付以上の車両通勤買物業務
自転車乗用中買物通勤訪問
歩行中買物散歩通勤

※警察庁「交通事故分析資料 令和4年における交通事故の発生状況等について」より抜粋作成

原付以上の車両では通勤時に最も多くの死亡・重傷事故が起こっています。一方で自転車乗用中や歩行中は買物が多く、通勤や散歩といった状況が続きます。

なお、交通事故が通勤や業務中であれば労災保険の適用を受けることも可能でしょう。関連記事『通勤や業務中の交通事故で労災保険と任意・自賠責を両方使うメリット』を読むと、より理解が深まります。

死亡者数が最も多いのは歩行者

交通事故で死亡した方は、歩行者(歩行中)が最も多く、全体の36.6%を占めています。

つづいて、自動車乗車中が33.3%、二輪車乗車中が16.7%、自転車乗用中が13%という結果になりました。

交通事故による死亡者の属性と割合

死亡者割合
歩行者36.6%
自動車乗車中33.3%
二輪車乗車中16.7%
自転車乗用中13%

※警察庁「交通事故分析資料 令和4年における交通事故の発生状況等について」より抜粋作成

歩行者の死亡原因で最も多いのは横断中

歩行者の事故類型別死者数をまとめると、横断中の事故が最も多く、65歳以上では77%、65歳未満では40%となっています。

特に多い事故類型の4つを詳しくみると、横断歩道を横断中の場合よりも、横断歩道以外を横断している方が死者数の割合が高い状況です。

歩行者の事故類型別死者数の割合(小数点以下四捨五入)

事故類型65歳以上65歳未満
横断歩道の横断中29%19%
横断歩道以外の横断中49%21%
路上横臥7%30%
背面通行中7%12%

※警察庁「交通事故分析資料 令和4年における交通事故の発生状況等について」より抜粋作成

横断歩道がある場合には、横断歩道を歩行するように定められています。そのため、横断歩道以外を横断する乱横断については、歩行者側にも過失があると判断されやすいです。

歩行者にみられる法令違反としては、走行車両の直前・直後の横断、横断歩道外横断、横転禁止場所の横断などが多いとされています。(「令和3年における交通事故の発生状況等について」より抜粋)

65歳未満は路上横臥も多い

路上横臥とは道路上で横になってしまっていることをいい、主な原因は酩酊、急病、はいかいなどが考えられます。

事故類型別死者数をみると、65歳未満の歩行者で特に多いです。

とくに夜間には路上で横になっている人の発見がしづらく回避行動が遅れることなども予想されます。

歩行者と自転車との死亡事故では安全運転義務違反も多い

令和4年の自転車と歩行者の事故で、歩行者の死亡者数数は312名でした。

312名のうち約39%にあたる122名が歩道、約25%にあたる77名が交差点内の事故で亡くなっています。

自転車側の法令違反があったものとしては、前方不注意、安全不確認、動静不注視といった「安全運転義務違反」が70%近くを占めていました。

自転車乗車中の事故の死亡原因と死亡事故の傾向

自転車のヘルメット未着用の死亡事故は半数が頭部損傷

警察庁の発表した「令和3年における交通事故の発生状況等について」によると、自転車乗車中にヘルメット未着用で死亡した336名のうち、最も多い人身損傷主部位は頭部で全体の58%でした。

自転車乗車中の死亡事故における人身損傷主部位(ヘルメット無し)

主損傷部位割合
頭部58%(195名)
頸部8%(27名)
胸部12%(40名)
腰部5%(18名)
窒息・溺死26名(8%)

※警察庁発表「令和3年における交通事故の発生状況等について」より一部抜粋/小数点以下四捨五入

ヘルメット着用の有無によって致死率が約1.6倍も違うという結果も出ており、頭部を守ることの大切さがわかります。

ポイント

頭部損傷や頸部損傷は幸い命を取り留めても、重大な後遺症にもつながる大ケガです。

関連記事では、交通事故で頭部外傷・外傷性脳損傷を負った場合の後遺症や、頸部損傷について解説しています。

自転車乗用中の死亡事故は65歳以上が多い

警察庁の発表した「交通事故分析資料(令和4年)」によると、令和4年に自転車乗用中に死亡した人数は336名で、そのうち65歳以上の死者数は220名でした。

なお、ヘルメットを着用していた場合よりも、ヘルメット非着用者の致死率は約2.6倍という結果になっています。

関連記事『自転車事故での死亡を防ぐには?賠償金相場や自転車事故の統計も詳しく解説』では、自転車事故による死亡に関して、さらに詳しく解説しています。

自動車乗車中の事故の死亡原因と死亡事故の傾向

警察庁の発表した「令和3年における交通事故の発生状況等について」によると、自動車乗車中の事故の死亡者は860名でした。

死亡事故は車両単独事故や正面衝突が多い

自動車乗車中の交通事故を事故類型別にまとめると、死者数が最も多い事故は車両単独の事故による455名で、全体の約53%を占めています。

つづいて正面衝突が全体の約21%にあたる183名、出会い頭が11%にあたる90名です。

事故類型別シートベルト着用有無別自動車乗車中死者数

事故類型死者数
車両単独455名
正面衝突183名
追突64名
出会い頭90名
右折時29名
その他30名

※警察庁発表「令和3年における交通事故の発生状況等について」より一部抜粋/小数点以下四捨五入

シートベルト非着用時の致死率は、着用時の約17倍にあたるという結果も出ています。とくに車両単独事故では、455名のうち245名がシートベルト非着用でした。

正面衝突や出会い頭の事故については事故の衝撃も大きく、死亡事故につながりやすいものと予想されます。関連記事では、そうした事故の過失割合の考え方や賠償金について解説しているので、あわせてお読みください。

高齢運転者による死亡事故は操作ミスと安全不確認が多い

警察庁の発表した「令和4年における交通事故の発生状況について」によると、75歳以上の高齢運転者による死亡事故は379件起こっています。

高齢運転者による死亡事故の要因と事故類型は、じつは75歳以上と75歳未満で若干異なります。

75歳以上の高齢運転者で最も多い事故の人的要因は不適切な操作でした。これはハンドルの操作ミス、ブレーキとアクセルの踏み間違いなどがあげられています。

一方で75歳未満の運転者に最も多い事故の人的要因は安全不確認でした。不適切な操作は全体の4番目にとどまっており、高齢運転者といっても事故の要因には差異があります。

ポイント

踏み間違い事故については、関連記事『踏み間違い事故の対策。アクセルとブレーキを間違うのは高齢者だけでもない?』でも解説している通り、運転者の過失となる見込みです。

高齢運転者による死亡事故は単独事故も目立つ

75歳以上の高齢運転者では、車両単独の事故が約44%と最も多い結果です。内訳としては、工作物との衝突が最も多く、ついで路外逸脱が多くなっています。

車両単独の次は車両相互の事故が約33%を占めており、出会い頭や正面衝突が多い結果です。

人対車両の事故は全体の約23%となり、横断中の事故がほとんどでした。

75歳未満の場合は人対車両が多い

75歳未満の運転者で最も多い死亡事故類型は人対車両の事故で、全体の約44%を占めています。とくに、横断中の事故発生が多い結果でした。

つづいて車両相互の事故が全体の約37%、車両単独は約20%となっています。

このように、75歳以上の高齢運転者は車両単独の事故が最も多く、75歳未満の運転者は人対車両の死亡事故が最も多いという統計結果でした。

交通死亡事故の損害賠償請求ならまずは弁護士相談がおすすめ

歩行中やバイク、乗用車、自転車に乗っていた時など、死亡事故の被害者になってしまう状況は様々です。

交通事故の賠償問題で重要になってくるのは、過失割合です。過失割合とは、事故の当事者がどの程度事故発生の責任を負うかの割合といえます。

賠償金は過失割合に応じて減額されるため、被害者に過失があれば、受けとる賠償金は減ってしまうのです。

相手の保険会社は支払う金額を少しでも減らしたいという理由から、「被害者もよそ見をしていたのでは」や「被害者側の信号は本当に青でしたか?」など、遺族に心無い言葉をかけてくることも考えられます。

一方、死亡した被害者に全く過失がない場合は、それだけ相手に対して請求すべき金額が高額化します。被害者側に対して「本来の相場」よりも低い金額を提示してくる可能性があるでしょう。

つまり、死亡事故については相手保険との交渉が苛烈になる可能性があるのです。

交通事故で家族を亡くされた無念さは計り知れません。しかし、ある程度の期間が経った段階で賠償請求のことも考えていく必要があります。

アトム法律事務所では、交通事故で死亡してしまった方のご家族からのご相談を無料で受け付けています。

  • 事故相手と過失割合で折り合いがつかない
  • 損害賠償金をいくら請求するべきか悩んでいる
  • 相手の保険会社との交渉に疲れた

こうしたお悩みに、法的なアドバイスが可能な可能性があります。

法律相談のご予約は年中無休で受付中なので、まずは以下のバナーよりご予約をお取りください。

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死亡事故で弁護士に依頼すべきかまだ迷いがある方は関連記事『死亡事故で弁護士に依頼するメリットと選び方』もおすすめします。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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