交通事故で背骨骨折(脊椎・脊柱)|後遺症ごとの後遺障害等級と慰謝料相場

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背骨骨折の後遺症

交通事故で背骨(脊椎・脊柱)を骨折した場合には、骨折の仕方や部位によって適切な治療を受ける必要があります。具体的には保存療法、外科手術、リハビリなど様々で、治る過程も個人差がでてくるものです。

そして、どんなに懸命に治療を続けても後遺症が残ってしまうこともあるでしょう。

この記事では、背骨骨折の基礎知識から賠償で重要な後遺障害の認定基準、慰謝料相場やその請求方法についてを網羅的に解説します。

とくに「どのような後遺症が残る可能性があるのか」「慰謝料はいくらになるのか」が気になる方に向けて、症状別・等級別にわかりやすく整理しています。

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交通事故による背骨骨折(脊椎・脊柱)の概要

背骨は頭から足の付け根のあたりまで支える柱のような骨で、身体を支える重要な役割をもちます。まずは背骨の構造を知っておきましょう。

背骨とは首からお尻までの椎骨の集まり

背骨は椎骨という小さな骨が連なった構造をしており、7つの首の骨(頚椎)、12個の胸の骨(胸椎)、5個の腰の骨(腰椎)、1個の仙骨、数個の尾骨で構成されているものです。

たとえば、「第12胸椎圧迫骨折」などと診断を受けた場合には、12個の胸椎のうち上から12番目が骨折したという意味になります。

多くの椎骨があつまって背骨(脊椎・脊柱)を構成していることから、背骨骨折を脊椎骨折や脊柱骨折ということもあります。

脊椎と身体の部位

脊椎における部位ケガをした部位
頚椎首の骨折
胸椎胸の骨折
腰椎腰の骨折
仙骨、尾骨お尻の骨折

背骨骨折の代表的な症状

背骨骨折(脊椎骨折)の代表的な症状

背骨骨折の症状は、骨折の場所や程度によって様々です。

頚椎骨折では、首周りの痛み、動かしにくさや違和感などの症状が出ることがあります。破裂骨折などの重傷事案では損傷が頚髄にまでいたり、激しい痛みや麻痺、しびれの症状も懸念されます。

胸椎骨折や腰椎骨折は、痛みが強くあらわれ、とくに寝起きや立ち上がりなど姿勢を変更するとひどくなるでしょう。また、しびれや麻痺が出てくることもあります。

仙骨や尾骨の骨折では、ときに神経の損傷を合併することがあります。下肢の筋力や知覚が低下し、排尿や排便の異常などの症状が出ることもあるのです。

背骨骨折の治療方法

背骨骨折の治療は、骨折の種類や部位によって異なってくるでしょう。

軽度の骨折では、安静にして痛み止めを服用して治癒を待つこともあります。こうした治療を「保存療法」といい、コルセットや専用装具で固定しておくこともひとつです。

ただし重度の骨折では、手術が必要になることもあります。

背骨の骨折の治療期間は、骨折した部位や程度、治療方法によって大きく異なります。保存療法の場合でも、骨が癒合するまでには一定の期間を要するため、入院やリハビリを含めた具体的な治療の見通しについては、主治医に確認しましょう。

背骨骨折による後遺症

背骨骨折による後遺症は、骨折の程度や治療方法によって違います。軽度の骨折では、後遺症が残らずに完治することも十分あるのです。

ただし骨折の態様しだいでは、変形、動かしづらさ、神経症状などの後遺症が残ることがあります。 交通事故による背骨骨折の疑いがある場合は、ただちに病院を受診してください。

背骨骨折の後遺症

  • 変形障害:骨折した背骨が変形したまま治り、姿勢や身体のバランスに支障が出るもの
  • 運動障害:背骨の可動域が制限され、首や腰を曲げ伸ばししにくくなるもの
  • 荷重機能障害:頚部や腰部を支える力が低下し、硬性補装具が必要になるもの
  • 神経障害:神経が圧迫されることにより、痛みやしびれが残るもの

これらの後遺症が残った場合、後遺障害等級の認定を受けられる可能性があります。分類ごとの認定基準や慰謝料相場は、次の章で詳しく解説します。

後遺症の程度によっては、寝返りをうつとき、起き上がるとき、後ろを振り向くとき、重い物を持つときなどに痛みが出るといった形で、日常生活に影響が残ることがあります。こうした支障は後遺障害の審査でも考慮されるため、症状を記録しておくことが大切です。

骨折にも種類がある

骨折とひとくちにいっても折れ方によって治療方法が変わります。とくに交通事故では、外部から衝撃を受けることで圧迫骨折や破裂骨折が生じやすいです。

車に追突された場合や、転落事故にあった場合など、外部からの強い衝撃により背骨がはさまれて変形することで圧迫骨折になる可能性があります。

  • 破裂骨折
    • 頚椎破裂骨折、胸椎破裂骨折など

外部からの激しい衝撃により、背骨の椎体が前後から押しつぶされることで、背骨の中の神経まで損傷してしまう骨折です。神経にいたることで麻痺やしびれなどの症状があらわれます。

背骨骨折による後遺障害等級と認定基準

交通事故による背骨骨折で後遺症が残ったら、「後遺障害」に該当するかどうかの審査を受けましょう。後遺障害であると認定されれば、後遺障害の等級に応じて後遺障害慰謝料や逸失利益などの賠償金が支払われます。

背骨骨折による後遺障害には、変形障害、運動障害(荷重機能障害)、神経障害の3つがあり、いずれも画像検査の結果が欠かせないものです。
後遺障害等級認定を受ける場合にはどんな検査や資料が必要になるのかを弁護士に確認しておきましょう。

脊柱の変形障害|6級、8級、11級認定の可能性

背骨骨折による変形障害の後遺障害等級は、変形の程度によって、後遺障害6級5号、8級相当、11級7号に認定される可能性があります。

変形障害による後遺障害等級の認定基準

等級後遺障害
6級5号脊柱に著しい変形を残すもの
8級相当脊柱に中程度の変形を残すもの
11級7号脊柱に変形を残すもの

変形障害の認定基準としては、脊椎圧迫骨折や脱臼(以下「脊椎圧迫骨折等」という。)などにより生じた椎体の高さの比較や、脊柱が倒れてしまった角度の測定により判断されるのです。X線写真の結果で測定するコブ法を用いるため、画像検査の結果は必ず提出しなければなりません。

なお、コブ法とは、脊柱のカーブの頭側・尾側においてそれぞれ水平面から最も傾いている脊椎を求め、頭側で最も傾いている脊椎の椎体上縁の延長線と、尾側で最も傾いている脊椎の椎体の下縁の延長線が交わる角度(側彎度)を測定する方法です。

「後彎」について 「側彎」について

6級5号の認定基準

6級5号「脊柱に著しい変形を残すもの」が認定されるためには、エックス線写真、CT画像、MRI画像(以下「エックス線写真等」という。)で圧迫骨折等が確認でき、かつ以下のいずれかの条件に該当している必要があります。

  1. 2個以上の椎体の前方(腹側)の高さが減少し、1個あたりの椎体の後方(背中側)の高さより低くなったことが原因で、後彎(脊椎の背中側が曲がる、背中が丸くなる)が生じているもの
  2. 1個以上の椎体の前方の高さが減少し、1個あたりの椎体の後方の高さより50%以上低くなったことが原因で、側彎(脊椎が横方向に曲がる)が生じ、その角度がコブ法で50度以上であるもの

8級相当の認定基準

8級相当「脊柱に中程度の変形を残すもの」に認定されるためには、エックス線写真等で脊椎圧迫骨折等が確認でき、かつ以下のいずれかの条件に該当している必要があります。

  1. 6級5号の認定基準の2に相当する後彎(骨折等により1個以上の椎体の前方の高さが減少し、1個あたりの椎体の後方の高さより50%以上低くなったもの)が生じているもの
  2. 側彎が生じており、その角度がコブ法で測定すると50度以上であるもの
  3. 環椎(第一頚椎)または軸椎(第二頚椎)の変形・固定(環椎と軸椎の固定術が行われた場合も含む。)により、次のいずれかに該当するもの
    1. 60度以上の回旋位となっているもの
    2. 50度以上の屈曲位または60度以上の伸展位となっているもの
    3. 側屈位となっており、X線写真等により、頭蓋底部の両端を結んだ線と軸椎の下面との平行線が交わる角度が30度以上の斜位になっていることが確認できるもの

11級7号の認定基準

11級7号「脊柱に変形を残すもの」が認定されるのは、エックス線写真等により脊椎圧迫骨折等を確認することができる場合であって、次のいずれかの条件に該当しているときです。

  1. 脊椎圧迫骨折等があり、X線写真等で確認できるもの
  2. 脊椎固定術が行われたもの(ただし、移植した骨がいずれかの脊椎に吸収された場合は認定されない。)
  3. 3個以上の脊椎について、椎弓切除術等の椎弓形成術を受けたもの

補足

いずれの等級にしても、エックス線写真などにより変性所見が見つかることが重要になります。事故後はできるだけ早期に、画像検査を受けるようにしましょう。

脊柱の運動障害・荷重機能障害|6級、8級認定の可能性

背骨骨折による運動障害の後遺障害等級は、骨折部位の強直の程度によって決まります。強直の程度によって、後遺障害6級5号、8級2号に認定される可能性があります。

運動障害の認定基準としては、骨折部位をどの程度動かすことができるのかという可動域、脊椎固定術が行われたかどうか、周辺部の組織などで判断されるものです。

運動障害による後遺障害等級の認定基準

等級後遺障害
6級5号脊柱に著しい運動障害を残すもの
8級2号脊柱に運動障害を残すもの

6級5号の認定基準

6級5号「脊柱に著しい運動障害を残すもの」に認定されるためには、以下のいずれかの条件に該当したうえで、頚部および胸腰部が強直していること(脊椎が完全に固まってしまうか、もしくはこれに近い状態の可動域制限が生じること)が必要です。

  1. 頚椎と胸腰椎のそれぞれに脊椎圧迫骨折等が存在し、エックス線写真等で確認できるもの
  2. 頚椎と胸腰椎のそれぞれに脊椎固定術が行われたもの
  3. 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの

8級2号の認定基準

8級2号「脊柱に運動障害を残すもの」に認定されるためには、以下のいずれかの条件に該当している必要があります。

  1. 次のいずれかの理由で、頚部または胸腰部の可動域が参考可動域角度(可動域の正常値)の50%以下に制限されているもの
    1. 頚椎または胸腰椎に脊椎圧迫骨折等を残しており、エックス線写真等で確認できるもの
    2. 頚椎または胸腰椎に脊椎固定術が行われたもの
    3. 項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの
  2. 頭蓋と上位頚椎(第一頚椎と第二頚椎)の間に著しい異常可動性が生じているもの

荷重機能障害

背骨骨折により、頚部および腰部の保持に困難があるため、硬性補装具を必要とする場合も運動障害として取り扱われます。

荷重機能障害による後遺障害等級の認定基準

等級後遺障害
6級相当頚部及び腰部の両方の保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とするもの
8級相当頚部又は腰部のいずれかの保持に困難があり、常に硬性補装具を必要とするもの

6級相当と8級相当の違いは、頚部と腰部の両方の保持に困難があるのか、一方の保持に困難があるのかという点です。

なお、荷重機能障害が認められるには、「荷重機能の障害の原因が明らかに認められる」ことも必要です。

「荷重機能の障害の原因が明らかに認められる」場合とは、脊椎圧迫骨折・脱臼、脊柱を支える筋肉の麻痺、又は項背腰部軟部組織の明らかな器質的変化が存し、それらがエックス線写真等により確認できる場合をいいます。

神経障害|12級、14級認定の可能性

背骨骨折の後遺症として痛みやしびれなどの神経障害が残った場合、後遺障害12級13号または14級9号に認定される可能性があります。

どちらの等級になるかは、痛みやしびれの強さではなく、症状を医学的にどこまで裏付けられるかで決まります。

14級9号と12級13号の違い

具体的には、画像所見や神経学的検査といった他覚的所見(医師や第三者が客観的に確認できる異常)の有無と、実際に生じている症状の程度から総合的に判断されます。

そのため、「しびれている」「痛い」という自覚症状の訴えだけでは認められにくいでしょう。

神経症状による後遺障害等級の認定基準

等級後遺障害
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

参考までに、12級と14級の一般的な認定基準の違いを紹介します。

12級13号の認定基準

12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」に認定されるためには、後遺症の存在を医学的に証明できることが必要です。

「医学的に証明できる」とは、画像や検査によって神経の障害が客観的に示せる状態を指します。以下の2つの条件を満たしているのが理想的と言えるでしょう。

  1. 画像所見から神経圧迫の存在が考えられる。
  2. 圧迫されている神経の支配領域に神経学的な異常所見が確認できる。

ポイントは、画像所見と神経学的な異常所見が「同じ神経」で説明できることです。

14級9号の認定基準

14級9号「局部に神経症状を残すもの」に認定されるためには、後遺症の存在を医学的に説明あるいは推定できることが必要になります。

「医学的に説明できる」とは、12級13号ほど明確な他覚的所見がなくても、事故の状況や受傷部位、その後の治療経過から見て、症状が残っていることに医学的な筋道が立つ状態を指します。

以下の2つの条件を満たせば認定されやすくなるでしょう。

  1. 画像所見から神経圧迫が示唆されている。
  2. 神経学的な異常所見が確認できる。
    (圧迫が示唆されている神経の支配領域以外に異常所見が確認できる場合も含む。)

12級13号・14級9号共通の前提

いずれの等級においても、以下のような要素が総合的に評価されます。

  • 受傷の状況(例:どのような事故で、どの部位にどの程度の衝撃を受けたか)
  • 初診時の症状(例:事故直後にどんな症状を訴え、診断書に何が書かれているか)
  • 症状の一貫性・継続性(例:事故直後から症状固定まで一貫して痛み・しびれがあるか)
  • 治療経過の記録(例:通院頻度、通院期間の長さ、治療内容)
  • 検査による症状の裏付け(例:CT・MRI、神経学的検査の結果の推移)

症状固定時にも神経症状が、常時、残っていること」が、後遺障害の認定において重要なポイントです。

後遺障害の等級認定では、医学的な根拠の積み重ねが何よりも重要です。症状や検査結果をしっかり記録し、主治医とも連携しながら備えておきましょう。

ご自身の後遺障害等級が気になる方へ

背骨骨折の後遺障害は、変形の程度、可動域の測定値、画像所見と症状の整合性など、判断の分かれ目が細かく決められています。ご自身の症状がどの等級に当てはまりそうかは、検査結果や診断書の内容を見なければ判断が難しいところです。

アトム法律事務所では無料の法律相談を受け付けています。予約受付は24時間行っています。まずはお気軽にご相談ください。

変形障害と運動障害の2つが残った場合は?

脊柱に変形障害と運動障害の後遺障害が残った場合、これらは同一系列の障害として扱われるので、併合処理は行われません。

併合とは、複数ある後遺障害のうち重い方の等級が繰り上がるような処理のことです。

後遺障害等級の併合ルールについて知りたい方は、関連記事『後遺障害等級の認定ルール「併合・相当・加重」後遺症が複数残った時の慰謝料は?』をご覧ください。

後遺障害等級認定手続きのポイント

後遺障害等級の認定を申請するためには、まず医師から後遺障害診断書をもらう必要があります。
後遺障害診断書には、背骨骨折の症状や、日常生活に支障が生じているかどうかなどが記載され、認定を受けるうえでは大切な資料です。

後遺障害診断書をもらったら、後遺障害認定に関する書類一式と共に相手方の任意保険会社または自賠責保険会社に提出します。

後遺障害診断書を受け取ったら、提出前に次の点を確認しましょう。

後遺障害診断書のチェックポイント

  • 傷病名:事故で負ったケガと一貫した記載になっているか
  • 自覚症状:痛みやしびれの部位・程度・日常生活への影響が具体的に書かれているか
  • 他覚症状および検査結果:画像所見や神経学的検査の結果が記載されているか

記載が不十分な場合は、主治医に補記をお願いしたり、別途意見書の作成を依頼したりすることが有効な場合があります。

また、後遺障害の審査では「事故直後から症状固定までの流れ」が書面から読み取れるかが重視されます。通院を途中で中断せず、そのときどきの症状を医師に伝えて記録に残してもらうことが大切です。

後遺障害の申請手続きは2つ

後遺障害認定の申請を受けるための手続きには、相手の任意保険会社に一任する方法(事前認定)と、相手の任意保険会社を介さず自賠責保険会社に直接申請する方法(被害者請求)の2つがあります。

どちらの方法にもメリットとデメリットがありますが、後遺障害認定を受けられるかが微妙な場合や、想定している等級がある場合は、自身で書類を作成・収集して、直接自賠責保険会社に申請する方法がよいでしょう。

ただし被害者請求は被害者自身での手間・負担が大きいので、弁護士に依頼して任せてしまうことをおすすめします。

後遺障害の認定申請手続きについて詳しく知りたい方は『後遺障害等級が認定されるには?後遺症との違いや認定の仕組みを解説』の記事をご覧ください。

背骨骨折に関連した質問3選!

ここからは背骨骨折に関連した質問について解説します。

(1)頚椎棘突起骨折の後遺症にはどんなものがある?

頚椎棘突起骨折では、損傷の程度次第で痛みやしびれといった後遺症が残る可能性があります。

そのため後遺障害としては12級13号、14級9号の神経障害に該当しうるものです。

椎骨

もっとも頚椎棘突起とは、頚椎の背中側に突き出た突起のことです。この突起自体が変形障害や運動障害といった後遺症を残す可能性はあまりありません。

(2)脊椎固定術抜釘をすると運動障害に認定されない?

脊椎固定術をおこなっていることが、運動障害の認定基準のひとつです。

つまり、抜釘のタイミング次第では後遺障害等級に影響を及ぼす可能性がありますので、症状固定の時期、抜釘の時期、抜釘するかどうかは弁護士にも相談してみましょう。

(3)軸椎骨折ではどんな後遺症が懸念される?

交通事故で頭部や頚部に衝撃を受け、頚椎を骨折してしまうとき、軸椎骨折として後遺障害が残る場合があります。後遺障害としては、変形がみられることによる変形障害や可動性が下がることで運動障害にあたる可能性があるでしょう。

軸椎とは第二頚椎(C2)のことで、背骨のうち首の部分に当たる7本ある頚椎のうち、上から2番目に位置する部分です。

軸椎(C2)を含む上位頚椎部(C1~C3)が損傷された場合、頚髄損傷による四肢麻痺や感覚の障害を患うリスクもあります。最悪の場合、生命維持に必要な機能が停止してしまい死亡する可能性もあります。

脊髄損傷による麻痺の後遺障害等級については『交通事故の麻痺と後遺障害|全身麻痺(四肢麻痺)や下半身麻痺になったら』の記事もあわせてご覧ください。

軸椎骨折の後遺障害事例

神戸地判令和3年11月17日(令和1年(ワ)1570号・令和2年(ワ)1041号・令和3年(ワ)1506号)

信号機のある変形十字路交差点で、右折進行中の被害者の自動車に、対向直進してきた加害者の二輪車(時速140~150km)が衝突。

被害者(原告)は、第2頚椎骨折、環軸椎脱臼、心房細動などの傷害を負い、入通院治療を受けたが、軸椎歯突起骨折後の運動障害、頚椎部の変形障害及び頚部痛の後遺障害が残存した。


裁判所の判断

「後遺障害等級8級に相当するものとして、労働能力喪失率は45%と解するのが相当」「後遺症による慰謝料としては、830万円が相当」

神戸地判令和3年11月17日(令和1年(ワ)1570号・令和2年(ワ)1041号・令和3年(ワ)1506号)
  • 後遺障害8級2号「脊柱に運動障害を残すもの」
  • 逸失利益は、基礎収入を356万4,240円、症状固定時57歳とし、労働能力喪失期間を平均余命の2分の1以下である13年(ライプニッツ係数9.3936)として、1,506万6,470円が認められた
  • 被害者側にも右折時の過失があるとして、25%の過失相殺がされた

本件では、加害者側は「事故後も事故前と遜色ない収入を得ている」として、後遺障害による労働能力の喪失がないとして、逸失利益の賠償額を争いました。

しかし、裁判所は、「本件事故に遭った後は、近場、短期間の現場での警備業務に限られ、体調が優れず継続的に通院しており、就労の機会、日数も限られていること、現在の待遇については、勤務先の配慮を得ていること」等の事情から、通常どおり、労働能力の喪失を認め、8級の喪失率(45%)で逸失利益を算定しました。

なお、後遺障害慰謝料についても、8級の相場どおり830万円が認められています。

交通事故による背骨骨折の慰謝料相場と増額の見通し

交通事故で背骨を骨折してしまったら、慰謝料、休業損害、治療費といった損害賠償請求をするべきです。また後遺障害等級認定を受けたならば、後遺障害に関する賠償金も請求できます。

ここからは慰謝料がいったいどれくらいになるのか、どうやって請求するのかをみていきましょう。

背骨骨折の慰謝料相場と計算方法

背骨骨折で請求できる慰謝料は、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料があります。
それぞれの慰謝料相場額と計算方法について解説を行います。

入通院慰謝料の相場額

入通院慰謝料とは、背骨骨折の治療のために入院・通院した場合に請求可能です。計算方法は治療期間がベースになっているので、治療期間が長いほど慰謝料は高額になるでしょう。

入通院慰謝料の具体的な相場額は、以下の表を用いて計算します。

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

上記の計算表からすると、仮に6か月通院した場合に116万円が相場です。入院をしていればさらに高額になる可能性があります。

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料は、後遺障害等級に応じておおよその相場があるものです。
以下に後遺障害慰謝料相場を示します。

等級 相場額
1級・要介護2,800万円
2級・要介護2,370万円
1級2,800万円
2級2,370万円
3級1,990万円
4級1,670万円
5級1,400万円
6級1,180万円
7級1,000万円
8級830万円
9級690万円
10級550万円
11級420万円
12級290万円
13級180万円
14級110万円

たとえば、第12胸椎圧迫骨折で変形障害が残った場合、変形の程度によって、後遺障害6級5号、8級相当、11級7号に認定される可能性があります。後遺障害6級5号なら1,180万円、8級相当なら830万円、11級7号なら420万円が相場になるのです。

ただし、表に記載した金額相場は裁判で認められてきた金額です。相手の任意保険会社がこうした金額を積極的に提案してくれるものではなく、弁護士を立てて交渉し、この金額に近づけねばなりません。

増額交渉(弁護士なし)

背骨骨折の慰謝料請求方法

慰謝料の請求方法には、示談、ADR、裁判の3つがあります。

交通事故ではいきなり裁判を起こすのではなく、まずは裁判外で当事者同士が話しあって、合意の上で金額を決める示談で解決することが多いです。

示談段階から弁護士を立てて交渉することで、ADRや裁判まで進まずとも、裁判で得られる金額に近づけることを目指します。

もっとも示談交渉が決裂した場合には、ADRや裁判といった次の段階へ進みます。
ただしADRや裁判をしたからといって、必ず被害者側の主張が通るわけではありません。

そのため、法律の専門家である弁護士に依頼をして、最善の方策を取るべきでしょう。

補足

慰謝料のほかにも、休業損害、逸失利益といった損害賠償を請求できる可能性があります。こうした金額についても、相手の任意保険会社の提示額を信じ込まず、弁護士に見積もってもらってください。

後遺障害の有無にかかわらず請求できる主な費目

  • 入通院慰謝料:治療のために入通院することになった精神的苦痛に対する賠償
  • 治療費:投薬料、手術料、コルセットなどの装具費用
  • 休業損害:事故の影響で仕事を休んだことによる収入減の補償
  • その他:通院交通費、診断書発行手数料など

とくに後遺障害が残った場合に請求できる逸失利益は、被害者の年齢、事故前の年収、後遺障害等級など様々な要素を総合して計算します。そのため、逸失利益は争いになりやすい項目の一つといえるでしょう。

逸失利益で争いがあった判例を紹介します。

脊椎変形障害の裁判例

京都地裁 令和4年9月15日 令和3年(ワ)第328号

バス運転手(症状固定時47歳)が、青信号交差点の横断歩道上を自転車で直進中、右折の対向車(被告乗用車)と衝突し、第7、12胸椎圧迫骨折等を負ったケース。脊椎の変形障害(後遺障害8級)が認定された。


裁判所の判断

「…本件事故による後遺障害により、労働能力を20%喪失したものと認める。」

京都地裁 令4.9.15
  • 脊柱の運動障害や神経障害は認められないが、原告の仕事への影響や将来の不利益の可能性はある
  • 労働能力喪失期間は20年(47歳から67歳まで)。
  • 過失割合は加害者9割、被害者1割。
損害賠償額

999万0,005円

逸失利益は複雑な計算式になるので、弁護士に計算をしてもらうことをおすすめします。

慰謝料や逸失利益については、以下の計算機を利用することで知ることが可能です。ご自身で請求できる金額がいくらか知りたい方は、一度ご利用ください。

背骨骨折でアトムが増額を実現した解決事例

実際に、アトム法律事務所が背骨骨折の被害者から依頼を受け、増額を実現した事例を紹介します。

自転車同士の事故で背骨骨折(11級相当)、約2.6倍に増額

背骨骨折の増額事例(通勤中に路地から飛び出した自転車に衝突され背骨骨折を負った事例)

通勤中に自転車で直線道路を走行していたところ、路地から飛び出してきた自転車に衝突されて転倒し、背骨を骨折したケース。

1か月半の入院後は通院治療を続けていたが、事故から約2年が経過した時点でも痛みが残存し、2週間に一度の通院が必要な状態だった。

そのような中、相手方保険会社から症状固定を求められたため、今後の対応についてご相談いただいた。

なお、自転車同士の事故であったため、自賠責保険による後遺障害等級の認定を受けることはできない事案だった。


弁護活動の成果

自賠責保険の等級認定がない状態から、後遺障害11級に相当するとして交渉し、これを前提とした賠償額で示談が成立。

保険会社の当初の提示額の約326万円から、最終的な受取金額が約836万円まで増額された(約2.6倍に増額)。

年齢、職業

20~30代、会社員

傷病名

背骨骨折

後遺障害等級

11級相当(自賠責保険による等級認定はなし)

自動車同士の事故で背骨骨折(11級)、約1.8倍に増額

背骨骨折をふくむ重傷事案の増額事例

前方を走行していた被害者の自動車を、後続の相手方自動車が追い抜こうとした際に衝突したケース。

被害者は、膵臓破裂、背骨骨折、腸閉塞、右膝の負傷、両足首骨折という重傷を負い、後遺障害11級が認定された。

その後、相手方保険会社から示談金の提示を受けたものの、金額に納得できず、増額の余地があるかご相談いただいた。


弁護活動の成果

示談交渉では折り合いがつかなかったため、交通事故紛争処理センターへ和解あっせんを申し立てた。

被害者が症状固定の時点で60代半ばであったことから、逸失利益をどの年齢まで認めるか(労働能力喪失期間)等が争点となったが、弁護士が粘り強く主張した結果、請求額の約93%にあたる金額で合意に至った。

結果として、提示額の約490万円から、最終的な受取金額が約903万円まで増額された(約1.8倍に増額)。

年齢、職業

60~70代、調理師

傷病名

膵臓破裂、背骨骨折、腸閉塞、両足首骨折など

後遺障害等級

11級

同様の事案でも過失割合や既往症の有無などにより金額は大きく異なります。ご自身のケースでいくら請求できるかは、弁護士にご確認ください。

背骨骨折で慰謝料請求するなら弁護士に相談しよう

弁護士に相談・依頼することで増額可能

背骨骨折により慰謝料を請求する場合には、弁護士への相談や依頼を行うことで相場の金額を得られる可能性が高まります。

法律の専門家である弁護士であれば、慰謝料やそのほかに請求できる損害賠償金の金額を適切に計算することが可能でしょう。

また、相場よりも低い金額で示談しようとする加害者側に対して、弁護士から主張を行ってもらうと、専門家による根拠のある主張であることから、相場額への増額が成功しやすくなるのです。

相場額への増額だけでなく、後遺障害等級の認定や示談交渉を代わりに行ってもらえるというメリットもあるため、弁護士への相談を検討してみてください。

アトムなら無料の法律相談可能

アトム法律事務所では、無料の法律相談を行っております。

そのため、費用面を気にせず、慰謝料の相場額や、相場の金額を得るためにすべきことについて相談が可能です。

弁護士に依頼する際の費用が気になる方は、弁護士費用特約の利用をご検討ください。

弁護士費用特約とは

弁護士に支払う費用を、保険会社が代わりに負担してくれる特約。

多くのケースで、弁護士費用は保険会社が負担する限度額内に収まるので、自己負担を気にせず弁護士への依頼が可能となる。

関連記事:交通事故の弁護士特約とは?使い方・使ってみた感想やデメリットはあるかを解説

仮に、弁護士費用特約が利用できない場合でも、アトム法律事務所では、依頼の時点で原則として費用をいただいておりません。

加害者側からの支払いがなされた後に、費用をいただいているため、金銭面に不安がある方でも依頼が可能です。

無料の法律相談の受付は24時間行っていますので、一度ご連絡ください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律税務グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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