交通事故による外傷性てんかんの後遺障害・慰謝料は?等級認定の基準も解説

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交通事故とてんかん

交通事故による頭部への衝撃で脳が損傷し、後遺症として「外傷性てんかん」を発症することがあります。

てんかんとは、意識消失や痙攣、顔や手足のひきつけなどの発作を反復して引き起こす脳障害(疾患)です。

交通事故による外傷性てんかんは、発作の頻度や内容等によって、後遺障害5級~12級に認定される可能性があり、後遺障害慰謝料の相場は約290万円~1400万円です(弁護士基準)。このほか、入通院慰謝料等の請求もできます。

本記事では、交通事故によるてんかんの症状、後遺障害慰謝料の相場等を解説します。

てんかんを発症しても車の運転はできるのかといった運転免許のルールについても説明していますので、最後までご確認ください。

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交通事故によるてんかんとは?

てんかんとは、脳の神経細胞に異常な電気活動が発生し、さまざまな発作を引き起こす病気です。

てんかんには、大きくわけて、原因不明の「突発性てんかん」と、脳の病気が原因で起こる「症候性てんかん」があります。

突発性てんかん原因不明
症候性てんかん脳の病気が原因

交通事故で頭部外傷を負ったために発症してしまったてんかん(外傷性のてんかん)は、症候性てんかんに分類されます。

ここからは、交通事故で発症する「外傷性てんかん」の症状や原因、治療について解説します。

交通事故後の外傷性てんかんの症状

交通事故後の外傷性てんかんにおける主な症状は、下記のとおりです。

  • 全身のけいれん、身体の一部が硬直する
  • 急に動作が止まる、失神
  • 手足のしびれや震え
  • 耳鳴り
  • 動悸
  • 吐き気
  • 言葉が出にくくなる

ただし、同じ外傷性てんかんでも部分発作を起こす「部分てんかん」と、全般発作を起こす「全般てんかん」とで具体的な症状は違います。

種類症状
部分発作意識障害のない発作(単純部分発作)
意識障害を伴う発作(複雑部分発作)
全般発作強直間代発作(全身けいれん発作)
欠伸発作
ミオクロニー発作
脱力発作

てんかん発作は、ほとんどの場合は一過性(数秒〜数分間で終わる)のものですが、数時間以上も続くてんかん重積状態になることもあります。

発作の頻度は、1日に何度も起こる場合もあれば、数年に1回しか起こらない場合もあります。発作の重症度も、軽いものから重いものまで様々です。

発作を繰り返すことで、正常な脳神経細胞も傷ついてしまい、症状が悪化したり他の症状を引き起こすことになります。

また、外傷性てんかんでは、高次脳機能障害を併発することもあります。

交通事故後に外傷性てんかんを発症する原因

交通事故後に発生する外傷性てんかんは、頭部外傷による頭蓋骨骨折、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血など、脳に損傷が生じる傷病が原因となる可能性があります。

  • 頭蓋骨骨折
  • 急性硬膜下血腫
  • 外傷性くも膜下出血
  • 頭蓋骨陥没骨折

これらの傷病は、頭部への強い衝撃によって脳が損傷を受ける「外傷性脳損傷」を引き起こす可能性が高いです。外傷性脳損傷が生じると、大脳内の神経細胞に過剰な電気的興奮が起こり、その結果、てんかんを発症する可能性があります。

なかでも、頭部外傷によって頭蓋骨陥没骨折を負った場合は、高頻度で外傷性てんかんを発症するリスクがあるといわれています。

ただし、てんかんの詳しい発症メカニズムについては、現代医学では完全には解明されていません。

交通事故後の外傷性てんかんの治療

てんかんの治療は、抗てんかん薬による薬物療法が中心です。

抗てんかん薬には複数の種類があり、発作のタイプ、年齢、性別、体重、副作用等を考慮して服用する薬が決められるでしょう。

また、薬物療法と同時に食事療法がとられることもあります。

薬物治療や食事療法によっても発作が抑制されない場合には、外科手術を行う場合があります。

なお、てんかん患者は、自立支援医療制度が適用され、治療費の負担を軽減できます。

交通事故後の外傷性てんかんの検査

てんかんの検査には、脳波検査、CTやMRI等の画像検査、血液・尿検査等があります。

なかでも重要な検査は脳波検査といわれますが、てんかんでは棘波や鋭波などが現れるといわれています。

このほか、SPECTやPET、ビデオ脳波モニタリング等もおこなわれることがあります。

後遺障害の申請にあたっては上記のような検査とともに、神経心理検査等の結果も重要になります。

交通事故によるてんかんと後遺障害等級

交通事故後に外傷性てんかんによる発作が完治せず後遺症となったら、「症状固定」と診断されます。

この場合、症状の程度に応じた後遺障害等級が認定されれば、後遺障害慰謝料や逸失利益の請求が可能です。

外傷性てんかんで認定されうる後遺障害等級と認定基準についてみていきましょう。また、外傷性てんかんによって高次脳機能障害も発症した場合についても合わせて解説します。

外傷性てんかんの後遺障害等級と認定基準

外傷性てんかんによる発作が完治せず、後遺症となった場合には、後遺障害等級の5級、7級、9級、12級のいずれかに認定される可能性があります。

てんかんの後遺障害等級

等級後遺障害
5級2号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級4号神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
9級10号神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの

それぞれの後遺障害等級の認定基準を紹介します。

外傷性てんかんで後遺障害5級の場合

後遺障害5級に認定される外傷性てんかんの具体的な判断基準は、以下のようなものです。

後遺障害5級

  • 1か月に1回以上の発作があり、かつ、その発作が「意識障害の有無を問わず転倒する発作」であるもの
    又は
  • 1か月に1回以上の発作があり、かつ、その発作が「意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作」であるもの

転倒する発作とは

「転倒する発作」には、「強直間代発作」、「脱力発作」などがあります。

  • 【強直間代発作】
    • 意識消失が起こり、その後直ちに四肢等が強く突っ張る強直性のけいれんが続く
    • 次第に短時間の収縮と弛緩を繰り返す間代性のけいれんに移行する
  • 【脱力発作】
    • 意識は通常あるものの筋緊張が消失して倒れてしまう

状況にそぐわない行為を示す発作

「意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作」とは、具体的には以下のようなものです。

  • 意識混濁を呈するとともにうろうろ歩き回るなど目的性を欠く行動が自動的に出現
  • 発作中、周囲の状況に正しく反応できない

外傷性てんかんで後遺障害7級の場合

後遺障害7級に認定される外傷性てんかんの具体的な判断基準は、以下のようなものです。

  • 転倒する発作等が数か月に1回以上あるもの
    又は
  • 転倒する発作等以外の発作が1か月に1回以上あるもの

外傷性てんかんで後遺障害9級の場合

後遺障害9級に認定される外傷性てんかんの具体的な判断基準は、以下のようなものです。

  • 数か月に1回以上の発作が転倒する発作等以外の発作であるもの
    又は
  • 服薬継続によりてんかん発作がほぼ完全に抑制されているもの

外傷性てんかんで後遺障害12級の場合

てんかん発作が生じていなくても、脳波上に異常が認められる場合、後遺障害12級が認定されます。

後遺障害12級に認定される外傷性てんかんの具体的な判断基準は、以下のようなものです。

  • 発作の発現はないが、脳波上に明らかにてんかん性棘波を認めるもの

高次脳機能障害も併発する後遺障害の等級と認定基準

1か月に2回以上のてんかん発作がある場合、てんかんに伴って重度の高次機能障害を発症していると考えられています。

後遺障害3級以上に該当する場合は、高次機能障害としての後遺障害等級も認定される可能性があります。

高次脳機能障害で認定されうる等級は、以下の通りです。

等級認定基準
1級1号※神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級1号※神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3級3号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5級2号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級4号神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
9級10号神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの

※要介護

高次脳機能障害は症状によって認定される後遺障害等級が異なりますので、関連記事『高次脳機能障害で後遺障害等級認定される後遺症とは?症状固定の時期も解説』も参考にしてください。

また、複数の症状で後遺障害認定されると、それらを併合した等級によって、後遺障害慰謝料などの金額が判断されます。

等級の併合については関連記事『後遺障害等級の認定ルール「併合・相当・加重」後遺症が複数残った時の慰謝料は?』をご覧ください。

後遺障害慰謝料を請求するためには、まずは、後遺障害の申請手続きを進める必要あがります。後遺障害の申請手続きについて、詳しく知りたい方は、以下の関連記事もご覧ください。

後遺障害等級認定の申請手続きに関する記事

交通事故によるてんかんの慰謝料・賠償金

交通事故で外傷性てんかんを発症した場合に請求できる、慰謝料・賠償金の内訳や相場を見ていきましょう。

ただし、ここで紹介する慰謝料相場は「弁護士基準」と呼ばれる過去の判例に沿ったものです。

示談交渉の際、加害者側の任意保険会社は自社基準に沿った、低い金額を提示してきます。提示された金額はうのみにしないようにしましょう。

外傷性てんかんの後遺障害慰謝料の相場

外傷性てんかんが後遺障害等級に認定されると、後遺障害慰謝料の請求が可能です。

後遺障害慰謝料の相場は、認定された等級ごとに異なります。また、後遺障害慰謝料の計算に用いる基準によっても金額が異なります。

後遺障害慰謝料の相場

後遺障害等級自賠責基準弁護士基準
5級618万円1,400万円
7級419万円1,000万円
9級249万円690万円
12級94万円290万円

交通事故の慰謝料の計算基準には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判基準)の3つがあります。

弁護士基準が、法的にみて適正な賠償額となります。弁護士に依頼することで、弁護士基準まで慰謝料増額が目指せる可能性があります。

交通事故の3つの計算基準

慰謝料金額相場の3基準比較
  • 自賠責基準
    自賠責保険からの支払基準
  • 任意保険基準
    任意保険会社の独自の支払基準。自賠責基準とほぼ同額で提示されることも多い
  • 弁護士基準(裁判基準)
    交通事故の裁判例にもとづいた支払基準。弁護士が交渉や、裁判で主張する水準

外傷性てんかんの入通院慰謝料の相場

交通事故による外傷性てんかんの治療のために入通院を行った場合は、入通院慰謝料を請求することも可能です。

これは、交通事故後のケガの治療期間中に負った精神的苦痛を緩和する金銭のことです。

交通事故による外傷性てんかんの治療期間に応じて、入通院慰謝料を請求できます。入通院慰謝料の金額表は、以下の通りです。

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

入通院慰謝料の目安を知りたい方は、慰謝料計算機も活用してみましょう。
もっとも、いわゆる相場観の把握にとどめ、より精度の高い慰謝料見込額を知りたい方は弁護士への無料相談を利用してください。

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外傷性てんかんの慰謝料以外の賠償金

交通事故により外傷性てんかんになった場合、慰謝料以外にも以下のような損害について賠償金の請求が可能です。

  • 治療関係費
    投薬代、手術代など治療のために必要となった費用
  • 休業損害
    治療のために仕事を休んだことで生じる減収に対する補償
  • 後遺障害逸失利益
    後遺障害により生じる将来の減収(労働能力の喪失)に対する補償
  • 物的損害
    自動車の修理代や代車費用など

損害賠償請求が可能な費目と相場額に関する詳細は『交通事故の損害賠償とは?賠償金の範囲や計算方法、請求時の注意点を解説』の記事で知ることが可能です。

【判例つき】てんかんを発症した交通事故での慰謝料請求の注意点

交通事故で外傷性てんかんを発症し、加害者側に慰謝料請求する場合は、以下の点に注意しましょう。

  • 事故とてんかん発症の関連性を否定されることがある
  • てんかんの既往歴があると、慰謝料が減額されることがある

これらの点について、実際の判例も交えながら解説します。

交通事故とてんかん発症の因果関係

てんかんを発症した交通事故では、相手方が、事故とてんかんの因果関係を否定してくることがあるため、注意が必要です。

外傷性てんかんは、交通事故による頭部外傷で発症することがあります。しかし、てんかんは脳卒中や脳腫瘍などで発症することもある病気です。

また、こうした原因のはっきりとした「症候性てんかん」だけでなく、原因不明で発症する「突発性てんかん」もあります。

そのため、慰謝料請求では「本当に交通事故によるてんかんなのか?」が問題になる可能性があるのです。

交通事故とてんかんの関連性が認められなければ、治療費や慰謝料などは請求できません。

実際、裁判で交通事故とてんかんとの関連性が否定されたケースもあります。

軽度外傷性脳損傷からの外傷性てんかん主張も否定された裁判例

大阪高判平26・5・15(平成24年(ネ)2679号)

介護職の女性が追突事故後に外傷性てんかんを発症したとして約4,400万円を請求。一審で脳のMRI検査により器質的損傷が認められず敗訴したため、控訴審では「画像に写らない軽度外傷性脳損傷(MTBI)」を主張したが、WHOの診断基準を満たさず否定され、後遺障害等級14級にとどまった。


裁判所の判断

「脳に器質的損傷を生じたとも、軽度外傷性脳損傷を生じたとも認められない」

大阪高判平26・5・15(平成24年(ネ)2679号)
  • 「雲に乗ったようなフワフワした感じ」等の愁訴は事故直後のカルテに記載がない
  • WHOの診断基準(錯乱・見当識障害、30分以下の意識消失、24時間未満の外傷後健忘等)も満たさない
  • 脳波検査で明確な異常なし
損害賠償額

140万8,997円

この判例では、労災保険で準用9級、精神障害者手帳3級の行政認定を受けていても、民事裁判では後遺障害等級14級にとどまりました。行政認定と民事裁判では立証の厳格さが異なることを示した重要な事例です。医療記録の一貫性(事故直後から症状がカルテに記載されていること)も重視されました。

なお、交通事故による外傷性てんかんであると証明するには、脳波検査や画像検査(MRIやCT検査)の結果を提示することがポイントです。

スパイク波(棘波)・鋭波など脳波異常所見が認められ、下記の診断基準(Walkerの基準)を満たしていれば、外傷性てんかんと診断されます。

  1. (受傷後8日目以降にも)てんかん発作の症状が起きている
  2. 外傷以前にはてんかん発作の症状を起こしていない
  3. 他に脳又は全身疾患がない
  4. 脳損傷を起こすのに十分な強い外傷だった
  5. 頭部外傷後、最初のてんかん発作が早期に起こった
  6. てんかんの発作型、脳波所見及び脳損傷部位が一致している

てんかんの既往歴による慰謝料減額

てんかんを発症した交通事故では、被害者にてんかんの既往歴がある場合、相手方から慰謝料の減額を主張される可能性があります。

例えば「もともとてんかんではあったが、発作はほぼ抑えられていた。しかし、交通事故により再発した。」という場合は、慰謝料が減額されることがあります。

てんかん発作は今回の交通事故だけが原因とは言えず、それにもかかわらず加害者が慰謝料を全額補償するのは公平ではないと考えられるからです。

実際の判例を見てみましょう。

既往症てんかんの増悪が認められた追突事例

大阪地判平9・7・31(平成8年(ワ)7324号)

会社員兼植栽業の男性が追突事故で頸椎捻挫を負った。男性は過去の自損事故で外傷性てんかんの後遺障害があったが、事故前は投薬で症状をほぼ抑制していた。事故後、脳波に異常が認められ、外傷性てんかんの症状が再発。既往症の右内耳障害の影響で回転性めまいも出現し、事故との因果関係が争点となった。


裁判所の判断

「本件事故によって(略)再度脳波に異常が認められ外傷性てんかんの症状が出現した」

大阪地判平9・7・31(平成8年(ワ)7324号)
  • 交通事故とてんかん症状の因果関係を認めた。
  • 後遺障害等級14級10号(回転性めまいや吐き気等)。
  • 既往症の影響を考慮し損害額から3割減額。
損害賠償額

273万1,459円

ただし、もともとてんかんがあったとしても、それによってどの程度慰謝料が減額されるかは示談交渉、あるいは裁判次第です。

加害者側は不当に大幅な減額を主張してくる可能性があるので、減額の正当性に疑問がある場合は弁護士にご相談ください。

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てんかんと自動車運転に関するQ&A

ここでは、「てんかんがあると車の運転はできないのか?」「もしてんかんで事故を起こしてしまったらどうなるのか?」などについて、疑問にお答えする形で解説します。

Q.てんかんがあると、車の運転はできない?

日本てんかん協会によると、てんかん患者の約8割は治療で発作を制御でき、自動車運転を含む日常生活を支障なく送ることができるといわれています。

そのため、自動車運転免許は、病名ではなく、あくまで症状の程度により取得が制限されています。

具体的には、てんかん患者も、下記のような一定の条件を満たしていれば自動車運転免許の取得は可能です。

  • 発作が過去5年以内に起こったことがなく、医師が「今後、発作が起こる恐れがない」旨の診断を行った場合
  • 発作が過去2年以内に起こったことがなく、医師が「今後、X年程度であれば発作が起こる恐れがない」旨の診断を行った場合(日本てんかん学会は、「X年」を 2〜3 年が適当としている)
  • 医師が1年間の経過観察の後「発作が意識障害及び運動障害を伴わない単純部分発作に限られ、今後症状悪化の恐れがない」旨の診断を行った場合
  • 医師が2年間の経過観察の後「発作が睡眠中に限って起こり、今後症状の悪化の恐れがない」旨の診断を行った場合

ただし、注意点として、大型免許と第2種免許の取得は、投薬なしで5年間発作がなく、再発のおそれがない場合に限定されます。

自動車運転免許の可否は、医師の診断書もしくは臨時適性検査に基づき、都道府県の公安委員会が判断しています。

さらに、上記に該当する患者でも運転免許取得・更新時には病状を申告することが求められています。

なお、てんかん以外にも、一定の病気により運転免許の取得が制限されることがあります。
詳しくは、運転免許試験場に設けられている相談窓口にお問い合わせください。

てんかんで車を運転する場合は、申告が必要

2012年に、京都で病状を申告せず免許を更新したてんかん患者が、てんかん発作を起こして車を暴走させ、通行人7人が死亡事故をおこしてしまいました。この事故等がきっかけとなり、2014年6月、道路交通法が改正されました。

それまでてんかん患者は、運転免許の取り消しを心配し、過去にてんかん発作が起こったなど病状の申告率が低いという状況にありました。

そのため現在では、病状などを確認する質問票の提出が義務化され、故意に虚偽の申告をした場合、1年以下の拘禁刑(旧懲役)又は30万円以下の罰金が科せられます。

一方で、正しい申告を促すため、病気の症状などを理由に免許を取り消しになった場合には、取り消しから3年未満に運転適性の状況が回復すれば、実地・学科試験免除(適正検査のみ)で免許を再取得可能にするという改正も行われました。

Q.てんかん患者の交通事故は多い?

てんかん患者の交通事故はそれほど多いとはいえません。2014年に日本てんかん学会と警察庁が協力して行った実態調査によると、てんかん患者のうち、運転中にてんかん発作の経験がある者が12%(39/330人)いること、発作誘因には睡眠不足が最も多いこと、運転中の発作が原因で交通事故が起きた割合が36%(14/39人)であることなどが分かっています。
(参考:日本内科学会雑誌第105巻第8号 てんかん患者の自動車運転と関連法律

実際、警察庁によると、令和3年には、てんかん発作を原因とする交通事故が64件発生しており、4人が死亡しています。
(参考:https://www.asahi.com/articles/ASQBC3R8VQB6TIPE001.html

Q.てんかん発作で交通事故を起こしたらどのような罰則を受ける?

てんかん発作による交通事故を受けて、厳罰化の声も高まった結果、自動車運転死傷処罰法が制定され、2014年5月から施行されています。

現在では、一定の症状を呈するてんかんは「運転に支障を及ぼすおそれがある病気」にあたり、正常な運転が困難な状態に陥って、人を死亡させた場合は、「15年以下の拘禁刑」に処せられる可能性があります(準危険運転致死罪。自動車運転死傷処罰法3条2項)。

従来、業務上過失致死(刑法211条)で1か月以上5年以下の懲役(※拘禁刑の前身)、又は100万円以下の罰金にしか処せられてこなかったことからすると、かなりの厳罰化が進んだと言えるでしょう。

てんかん発作と死亡事故の刑罰(一例)

従来現在
法律刑法自動車運転死傷処罰法
罪名業務上過失致死準危険運転致死
刑罰5年以下の懲役、
又は100万円以下の罰金
15年以下の拘禁刑

交通事故によるてんかんを弁護士に依頼するメリット

外傷性てんかんを弁護士に相談・依頼するメリット

交通事故により外傷性てんかんに関して慰謝料などの損害賠償請求をする場合には、弁護士への相談や依頼を行いましょう。

弁護士への相談や依頼により、以下のようなメリットが生じます。

  • 請求できる損害賠償金額の相場を知ることができる
  • 後遺障害等級の申請手続きについてサポートを受けられる
  • 依頼すると弁護士が窓口となるので加害者側と連絡を取らずに済む
  • 依頼により弁護士が示談交渉を行うと相場の損害賠償金を得られやすくなる

後遺障害等級の申請手続きや損害賠償請求には専門的な知識や経験が必要となるため、弁護士に相談・依頼することをお勧めします。

特に、加害者側は相場より低額な金額で示談しようと示談金額を提示してくることが多いので、専門家である弁護士に高額な弁護士基準の相場で示談するよう増額交渉してもらうべきでしょう。

弁護士に依頼することで生じるメリットについては『交通事故を弁護士に依頼するメリット9選と必要な理由|弁護士は何をしてくれる?』でより詳しく知ることが可能です。

また、弁護士を選ぶ際には、以下の関連記事を確認すると効果的でしょう。

関連記事

外傷性てんかんの弁護士費用を安くする方法は?

弁護士に相談・依頼する際に気になる弁護士費用については、弁護士費用特約を利用することで軽減することが可能です。

弁護士費用特約とは、被害者の弁護士費用を保険会社が支払ってくれるという特約になります。

具体的な補償額は約款次第ですが、法律相談料として10万円まで、弁護士費用として300万円までと定める特約が多いです。

交通事故の損害賠償請求の件で弁護士を立てた場合、多くのケースで、弁護士費用特約の補償範囲におさまります。

つまり被害者は弁護士費用を支払うことなく、自分の代理人として活動してくれる弁護士を依頼できるのです。

特約は、被害者本人の名義でなくても一定範囲内の家族名義のものが利用できる場合があります。

弁護士費用特約の補償対象者

外傷性てんかんの解決事例

ここからは、過去にアトム法律事務所で取り扱った交通事故事例について、プライバシーに配慮したかたちで一部ご紹介します。

高次脳機能障害、外傷性てんかん等で後遺障害3級3号が認定された事例

治療中から弁護士が受任し、治療終了後、弁護士のサポートのもと後遺障害の被害者請求を実施。相手方との交渉を粘り強く進めたケース。


弁護活動の成果

弁護士が後遺障害申請のサポートをおこない、3級3号を獲得。示談交渉にも尽力し、約5,876万円の賠償金を回収した。

年齢、職業

60~70代、会社員

傷病名

高次脳機能障害、外傷性てんかん等

後遺障害等級

3級3号

くも膜下出血、頭蓋骨骨折、てんかん等の増額事例

治療中から弁護士が受任し、治療終了後に相手方との交渉を進めたケース。


弁護活動の成果

弁護士が示談交渉に尽力し、約1,500万円の賠償金を回収した。

年齢、職業

70~80代、主婦

傷病名

くも膜下出血、頭蓋骨骨折、てんかん等

後遺障害等級

9級

脳挫傷、外傷性くも膜下出血、てんかん等の増額事例

弁護士相談の段階で後遺障害等級が既に認定済だったものの、慰謝料などの金額に増額の余地があったケース。


弁護活動の成果

提示額の約505万円から、最終的な受取金額が約707万円まで増額された。

年齢、職業

10~20代、学生

傷病名

脳挫傷、外傷性くも膜下出血、てんかん等

後遺障害等級

12級13号

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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