ガードレールにぶつかった!事故後の報告義務と点数|弁償はどうなる?

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ガードレール事故

ガードレールにぶつかる事故を起こしてしまったら、さまざまな考えがめぐるでしょう。

「ガードレールの弁償はどうすればいい?」
「ガードレールを少し擦っただけなら警察に報告しなくても大丈夫?」
「ガードレールに突っ込んでケガをしてしまったけど補償はどうなる?」

本記事では、ガードレールにぶつかる事故を起こした後にとるべき対応や、違反点数・弁償などについて解説します。

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ガードレールにぶつかった後の事故対応

ガードレールにぶつかった場合には、以下のような流れで対応してください。

  1. ケガ人を救護し周りの安全を確保する
  2. 警察に連絡する
  3. 保険会社に連絡する
  4. ガードレールの所有者に連絡する
  5. ガードレールを弁償する

(1)ケガ人を救護し周りの安全を確保する

事故が起きたらケガ人を救護し、事故現場における周りの安全を確保してください。

ご自身がケガをしている場合は無理に動かないようにして救護を待ち、病院で適切な治療を受けましょう。

高速道路上で事故が起きたのであれば、二次被害を防ぐためにより丁寧な対応が必要です。
詳しく知りたい方は『高速道路で事故にあった時の対処法|料金所付近の事故の過失割合は?』の記事をご覧ください。

(2)警察に連絡する|報告義務あり

事故発生の報告は、道路交通法72条で義務として定められています。事故が起きたら、ケガ人の有無を問わず警察に連絡してください。

警察に報告しないと「交通事故証明書」が発行されません。交通事故証明書がないと、損害賠償金や保険金を請求する際に事故が起きた事実を証明できず、適切な補償が受けられなくなります。

ガードレールに軽く擦ったという程度であっても、必ず警察に連絡しましょう。

交通事故証明書がどのくらい重要なのかについては『交通事故証明書のもらい方は?後日取得やコピーの可否も解説』で知ることができるので、あわせてご確認ください。

(3)保険会社に連絡する

事故が発生したら、すみやかに加入する保険会社に連絡してください。

保険会社には、契約者の氏名・保険証券番号・事故車の登録番号などを伝えます。
加えて、ガードレールや車両の損壊状況、ケガ人の有無などの情報も伝えてください。

保険会社への連絡を怠ると、本来利用できる保険が利用できなくなる恐れがあるので、事故後はできる限り早めに連絡を行いましょう。

(4)ガードレール所有者に連絡する

ガードレールにぶつけてしまったら、ガードレールの所有者に連絡してください。

ガードレールの所有者とは、ガードレールが接地されている道路の管理者のことをいいます。道路の管理者は、道路の種類によって以下の通り分けられます。

道路の種類管理者
国道国土交通省
都道府県
政令指定都市
県道都道府県
政令指定都市
市町村道市町村
高速道路国土交通省

所有者の連絡先は、インターネットなどで調べて連絡してください。
参考に国土交通省の地方整備局のページを一部紹介します。

参考

警察や保険会社が代わりに所有者に対して連絡をとってくれることもありますが、基本的にはガードレールにぶつけた本人が責任をもって連絡するほうがいいでしょう。

また、ガードレールの他にも、電柱にぶつけてしまった場合は別途、電力会社や電話会社に連絡する必要があります。

(5)ガードレールを弁償する

ガードレールの所有者に連絡してしばらくすると、修理費用や見積りに関する連絡が来るでしょう。

公共のものが壊れると税金でまかなわれると勘違いされることもありますが、壊れた原因を引き起こした当事者が負担しなければならないと法律で決まっています。

(原因者負担金)
道路管理者は、他の工事又は他の行為により必要を生じた道路に関する工事又は道路の維持の費用については、その必要を生じた限度において、他の工事又は他の行為につき費用を負担する者にその全部又は一部を負担させるものとする。

道路法 第五十八条

自損事故の場合だと当事者は基本的に一人なので問題になりませんが、追突事故の際にガードレールが壊れたといった場合には当事者が複数人存在するので責任の所在が複雑になります。

当事者が複数人いる場合、まずはガードレールにぶつけた本人が全額負担したのちに、当事者間で過失割合に応じて具体的な支払いの金額を決めることになるでしょう。

過失割合について詳しくは『交通事故の過失割合とは?決め方の具体的な手順とパターン別の過失割合』の記事をご確認ください。

ガードレールの弁償費用はどのくらい?

壊れたガードレールの規格や長さによって費用は変わってきます。

ガードレールは1メートルあたり大体5000円~10000円程度になるようです。

しかし、多くのガードレール3~4メートルでワンセットとなっており、取替えの際にはワンセットで取り換える必要があります。
加えて、設置のための工事費用や作業員の人件費なども含まれるので、弁償費用が10万円以上の高額になることも十分にあり得るのです。

任意保険の対物賠償保険に加入していれば、保険が弁償してくれることになるでしょう。
ただし、対物賠償保険では自身の車両の修理費用は対象外のためカバーされません。車両保険に加入しているかも確認してみましょう。

ガードレール事故でケガした時の補償|ケース別に

自損事故でガードレールにぶつかってケガした

運転者の不注意でガードレールにぶつかってしまうような自損事故では、当事者が自分自身しかいません。

自損事故は相手が存在しない単独事故です。
そのため、ガードレールや車両が壊れるような物損事故だけでなく、自分がケガした場合の人身事故に関する補償も、基本的に自己負担する必要があるでしょう。

ただし、自損事故に対応している自動車保険に加入していれば、保険金が支払われる形となります。

  • 物損事故部分に関する保険
    対物賠償責任保険(ガードレールの修理代金)
    車両保険(自動車の修理代金)
  • 人身事故部分に関する保険
    自損事故保険(運転者のケガに関する補償)
    人身傷害補償保険・搭乗者傷害保険(運転者や同乗者のケガに関する補償)

加入状況はそれぞれ異なりますので、保険の契約内容や補償範囲を確認しておきましょう。
特に、車両保険を利用する際には等級が低下することで保険料が増加するため、補償される金額と今後の保険料を比べて利用するかどうかを判断すべきです。

痛みを感じていなくても病院を受診しておこう

事故発生直後は痛みを感じていなくても、しばらくしてから痛みを感じる可能性があります。

この場合、痛みを感じてから病院を受診し、事故によるケガがあったとして保険を利用しようとしても、事故から日時が経過しているために事故が原因か不明であるとして、保険利用が認められない恐れがあるのです。

そのため、ガードレールで自損事故が起きたのであれば、痛みを感じていなくても早期に病院を受診しておくべきでしょう。

追突されてガードレールにぶつかってケガした

ガードレールにぶつかったのは自分の車であるものの、運転中や停車中に後ろから追突された衝撃でぶつかることになったというケースがあります。

追突されたためにガードレールにぶつかってケガしたのであれば、ぶつかってきた相手方に対して損害賠償請求が可能なため、ガードレールの弁償についても請求を行いましょう。

もらい事故の場合における注意点

適切に停車している際に追突された場合には、基本的に被害者の過失がなかったと判断されます。
このように、被害者に過失が一切ない事故のことを、もらい事故と呼びます。

もらい事故では被害者に過失がないため、被害者が任意保険に加入していたとしても保険会社が代理で示談交渉をしてくれる示談交渉サービスが利用できません。被害者だけでの示談交渉に不安がある場合は、弁護士にご相談ください。

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もらい事故や過失割合10対0になるケースについて詳しくは、以下の関連記事がおすすめです。

玉突き事故では誰に請求できるのか

ガードレールにぶつかったのは自分の車であるものの、3台以上の車両が次々と追突された衝撃でぶつかることになったという玉突き事故が起きることもあります。

基本的に玉突き事故では、基本的に前方で追突された車両に過失は認められません。
玉突きでガードレールにぶつかってケガしたら、一番後方を走行していた車に対して損害賠償請求できます。ガードレールの弁償も、一番後方の車に請求できるでしょう。

もっとも、前方を走行していた車が不必要な急ブレーキを踏んだために玉突き事故が発生したというような場合では、追突された車両の過失も一部認められます。

どんな順番で追突事故が起こったのか、追突事故の原因など、事故の状況によって誰にどの程度の過失が認められるのかが異なるので、関連記事をご確認いただき、弁護士への相談もおすすめします。

ガードレール事故でよくある疑問

ガードレール事故で違反点数はつく?

ガードレールだけが壊れるような物損事故において、原則的に違反点数はつきません
ただし、警察にきちんと事故の報告を行っていること、スピード違反やよそ見運転などの他の違反行為がなかったことが前提です。

ドライバーとしての責務を果たしていれば、違反点数が付くこともありませんし、反則金や罰則もありません。

ガードレール事故を警察に報告しないとどうなる?

ガードレールにぶつかる事故を起こしたにもかかわらず、警察への報告を怠ると「報告義務違反」となります。
また、ガードレールを壊しているのに報告しないという、いわゆる当て逃げは「危険防止措置義務違反」にも該当します。

そのため、警察への報告を怠ると違反点数が合計7点(=安全運転義務違反2点+当て逃げの付加点数5点)となり、前歴の回数に応じて30~90日の運転免許停止や1年の運転免許取り消しの行政処分を受けることになります。

さらに、危険防止措置義務違反は「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」、報告義務違反は「3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金」の刑事処分を受ける可能性もあるでしょう。

警察に事故の報告さえしておけば、このような処分を受けることは通常ありません。

「誰も見ていないから報告しなくても大丈夫だろう」と考えず、事故が起きたら必ず警察に報告してください。

自賠責保険さえあればガードレールの弁償はどうにかなる?

自賠責保険は、事故相手がケガした場合に使える対人賠償保険です。自賠責保険はガードレールの弁償に充てることはできません。

自動車には自賠責保険の加入が義務付けられているので、事故が起きても自賠責保険さえあればどうにかなると考える方も多いです。
しかし、自賠責保険は物損事故に対応していないので、自己負担か加入する任意の自動車保険を使うことになるでしょう。

まとめ

ガードレールにぶつかる事故を起こしたら、警察や保険会社に連絡しましょう。

警察への報告を怠ると報告義務違反となりますので、事故を起こしたら必ず警察に連絡してください。

ガードレールを壊しても、対物賠償保険などの任意保険に加入していれば保険で対応可能です。

どの保険がどの損害に対応しているのか整理し、万が一の時のリスクに備えて適切な保険に加入しておきましょう。
もっとも、保険があるからと慢心していては危険です。事故で生じるリスクを改めて考え、安全運転に努めましょう。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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