車同士の事故の過失割合は?交差点・追突・駐車場などの代表例を一挙紹介
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車同士の事故の過失割合は、「事故の責任が、どの運転手にどの程度認められるか」を数値で表したものです。
たとえば、下図のような車同士の事故の過失割合は、「2対8」「20:80」のように表示します。

過失割合は、事故や状況、信号や一時規制の有無、車種など、様々な要素によって変わります。
自分の過失割合が大きくなればなるほど、その分、相手に請求できる金額は少なくなるため、注意が必要です。
本記事では、交差点・追突・追い越し・正面衝突・すれ違い・駐車場など、代表的な車同士の事故類型についての「過失割合」を紹介します(なお、「車同士の事故」には、自動車同士の事故だけではなく、バイク同士の事故も含む)。
ご自身の事故がどのケースに当てはまるのか、ぜひ確認してみてください。
※ここで紹介する過失割合は、「別冊判例タイムズ38」(東京地裁民事交通訴訟研究会編)に記載されている情報をベースにしています。
目次
(1)十字路交差点での車同士の事故の過失割合
交差点での事故は、信号の色や道路の優先関係などが複雑に絡み合うため、事故の状況によって過失割合が大きく変わります。
特に「出会い頭の事故」や「直進車と右折車の衝突(右直事故)」は、よくあるケースのひとつです。
この章では、交差点における事故パターンごとの過失割合について、具体例や表を使ってわかりやすく解説します。
出会い頭(直進車同士)の事故
出会い頭の事故とは、交差点に進入した2台の車がほぼ直角にぶつかる事故で、「相手が見えづらかった」「優先関係が曖昧だった」といったケースで起こりやすいのが特徴です。
特に信号や標識の有無、道路の幅や優先関係によって、過失割合が大きく変わってきます。
以下に典型的なパターンをまとめましたので、ご自身のケースと照らし合わせて確認してみてください。
信号機がある場合
信号機のある交差点における車同士の事故の過失割合は、青:赤の場合だと基本的に0:10です。
信号無視をしているのが一方のみだからです。
黄:赤の場合、2:8になります。

黄色信号は「安全に停止できない場合を除き停止しなければならない」という信号であり、これを無視して交差点に進入した黄色信号側の車にも一定の責任が認められるからです。
赤:赤の場合、過失割合は5:5になります。

双方に赤信号無視という同じ違反行為があり、事故の責任も同じくらい認められるからです。
信号機のある交差点における過失割合まとめ
| A/B | A | B |
|---|---|---|
| 青/赤 | 0% | 100% |
| 黄/赤 | 20% | 80% |
| 赤/赤 | 50% | 50% |
信号機がない場合
道幅が同程度のとき
信号機がない交差点での車同士の事故では、交差道路の幅・速度が同程度の場合、基本的には左方車:右方車=4:6となります。

ただし、車の速度などにより、過失割合は変動します。
信号がなく、交差する道の幅が同じくらいだった場合の過失割合まとめ
| 左方車/右方車 | 左方車 | 右方車 |
|---|---|---|
| 双方が同程度の速度 | 40% | 60% |
| 減速せず/減速 | 60% | 40% |
| 減速/減速せず | 20% | 80% |
広路と狭路のとき
片方の道路が広い道路で、速度が同程度のときは、広路車:狭路車=3:7です。
ただし、速度が変わる等の理由により、過失割合は変動します。
信号がなく、片方が明らかに広い道路だった場合の過失割合まとめ
| 広路車/狭路車 | 広路車 | 狭路車 |
|---|---|---|
| 双方が同程度の速度 | 30% | 70% |
| 減速せず/減速 | 40% | 60% |
| 減速/減速せず | 20% | 80% |
一時停止の規制があったとき
片方の道路に一時停止の規制があった場合は、非規制車:規制車=2:8が基本の過失割合になります。

片方の道路に一方通行の規制があった場合も、非規制車:規制車=2:8が基本の過失割合になります。
ただし、こちらも車両の速度等の違いで、過失割合は変化します。
信号がなく、片方に一時停止の規制があった場合の過失割合まとめ
| 規制なし/規制あり | 規制なし | 規制あり |
|---|---|---|
| 双方が同程度の速度 | 20% | 80% |
| 減速せず/減速 | 30% | 70% |
| 減速/減速せず | 10% | 90% |
| Bが一時停止ののち進入 | 40% | 60% |
片方が優先道路だったとき
片方が優先道路だったときの過失割合は、優先車:非優先車=1:9が基本となります。

信号がなく、片方が優先道路だった場合の過失割合まとめ
| 優先車 | 非優先車 | |
|---|---|---|
| 過失割合 | 10% | 90% |
出会い頭の事故における過失割合は、関連記事『出会い頭事故の意味や原因|過失割合の決まり方と信号や一時停止違反などの影響』が参考になります。
対向する直進車と右折車の事故
交差点で、対向して進行する直進車と右折車が衝突する事故は、いわゆる「右直事故」と呼ばれ、両方青信号だった場合は直進車が優先されるという基本ルールがあります。
したがって、青信号同士の右直事故では右折車に多くの過失が認められ、基本の過失割合は「直進車:右折車=2:8」です。

ただし、信号の色が黄や赤だった場合や、どちらかが矢印信号を見て進行していた場合には、過失割合が大きく変動することがあります。
以下の表では、信号の状況ごとの過失割合の一例をまとめています。事故の状況を思い出しながら、当てはまるケースを探してみてください。
右直事故の過失割合(信号がある交差点の場合)まとめ
| 直進車/右折車 | 直進車 | 右折車 |
|---|---|---|
| 青/青 | 20% | 80% |
| 黄/青から黄 | 70% | 30% |
| 黄/黄 | 40% | 60% |
| 赤/赤 | 50% | 50% |
| 赤/青から赤 | 90% | 10% |
| 赤/黄から赤 | 70% | 30% |
| 赤/赤(右折の矢印は青) | 100% | 0% |
右直事故についての詳細は、『右直事故の過失割合は?早回り右折など修正要素や10対0のケースも解説』をご覧ください。
(2)車同士の追突事故の過失割合
追突事故は、交通事故の中でも発生件数が非常に多く、基本的なルールはあるものの、状況によって過失割合が変わることもあります。
停車中の車への追突事故と、走行中の車への追突事故とで、責任の割合に差が出ることがあります。
この章では、典型的な追突事故のパターンごとに、基本の過失割合や修正要素を解説します。
追突された車が停車していた場合

停車中の車に後続車が衝突した場合、基本的には追突した側が全面的に責任を負う(10:0)のが原則です。
なぜなら、停車中の車は動いておらず、後ろから走ってくる車がしっかり停止できていれば防げた事故だからです。
ただし、被害車両の停車位置や停め方が明らかに危険だった場合、たとえば以下のような場合は、被害車両にも一部過失が認められるケースがあります。
- 追突された車が急停止していた
- 停車禁止場所で長時間停まっていた
- 夜間、道路交通法で定められた灯火(ハザードランプ、尾灯など)をつけずに駐停車していた
ご自身の停車状況が問題視されるかどうかは、個別の事情に左右されるため、慎重な判断が必要です。
追突された車も走行していた場合
前方車が走行していた場合にも、後続車が適切な車間距離を保持していれば追突することはないので、基本的には追突した側が全面的に責任を負う(10:0)のが原則です。
ただし、車が走行中に急ブレーキをかけたことが原因で追突された事故では、状況によっては被害者側にも過失が認められることがあります。

たとえば、以下のような「やむを得ない理由がない急ブレーキ」の場合は、追突された車にも過失が加算される可能性があります。
- 信号を見間違えて突然停止した
- 道を間違えて無理に停まった
- 小動物が飛び出してきたが、回避の必要性が薄かった
一方、やむを得ない事情による急ブレーキは、追突されても基本的に過失割合に影響しません。
- 前方に歩行者や自転車が飛び出してきた場合
- 落下物や道路の破損など、危険回避が必要な状況だった場合
つまり、「急ブレーキをかけた理由」が合理的であるかどうかが、過失割合の判断に大きく影響します。
ご自身のケースで不安がある場合は、事故状況を客観的に整理したうえで、専門家に相談してみるのが安心です。
追突事故の過失割合については『追突事故の過失割合は10:0が原則!急ブレーキの過失や判例も紹介』の記事もあわせてご覧ください。
(3)同じ方向に走行中の車同士の事故の過失割合
追い越し事故の過失割合
追い越し事故は、運転操作や判断ミスが原因で起こりやすく、発生場所によって過失割合が大きく異なります。
特に「追越し禁止場所」での事故では追い越した側に重い責任が認められる傾向があります。
この章では、追越し禁止場所・そうでない場所それぞれの事故について、想定される過失割合を具体的に解説します。
追越し禁止場所である場合

追越し禁止の場所で事故が起きた場合は、追い越しを試みた側の責任が重く見られます。
基本的な過失割合は、追い越された車:追い越した車=1:9です。
なお、追越し禁止場所には、下記のような場所があります。
- 道路標識等で追い越しが禁止されている場所
- 道路の曲がり角付近
- 上り坂の頂上付近
- 勾配の急な下り坂
- トンネル(車両通行帯がある場合を除く)
- 交差点内とその手前30メートル以内の場所(優先道路を通行している場合は除く)
- 踏切とその手間30メートル以内の場所
- 横断歩道や自転車横断帯とその手前30メートル以内の場所
追越し禁止場所では「そもそも追い越してはいけない」という交通ルールが明確にあるため、追越した車の行動そのものが重大な過失と見なされるのです。
ただし、追い越された車にも以下のような行動があった場合には、追い越された側の過失が加算されることがあります。
- 道幅に余裕がない場合でも道路の左側に寄らず、追い越しを妨害した(避譲義務違反)
- 周囲を確認せずに急な減速や蛇行運転をした
以下の表は、代表的な修正要素による過失割合の変化を示したものです。
ご自身のケースと照らし合わせて確認してみてください。
| A(追い越された側) | B(追い越した側) | |
|---|---|---|
| Aの避譲義務違反* | +10% | -10% |
| Aの道路交通法第27条第1項違反** | +20% | -20% |
| Aの著しい過失 | +10% | -10% |
| Aの重過失 | +20% | -20% |
| Bの著しい過失 | -10% | +10% |
| Bの重過失 | -20% | +20% |
*追い越しにあたって道幅に余裕がないとき、道路の左側に寄って場所を譲る義務
**追い越される際、速度を上げて追い越しを妨害する行為
追い越し禁止場所ではない場合

追い越し自体が禁止されていない場所でも、追い越し中の事故が発生すれば、追い越しをした車の方に基本的に大きな責任が問われます。
この場合の基本的な過失割合は、追い越される車:追い越す車=2:8です。
ただし、以下のような事情があると、過失割合が調整されることになります。
〈追い越された側に加算される例〉
- 道幅が十分あるにもかかわらず、左側に寄らずに走行していた(避譲義務違反)
- 蛇行運転など、追い越しを妨げるような運転をしていた
〈追い越した側に加算される例〉
- 凹凸の多い道や見通しの悪い場所での無理な追い越し
- 前方の交通状況を確認せずに加速した
- 明らかにスピードを出しすぎていた
詳しい過失割合の変動パターンについては、以下の表を参考にしてください。
| A(追い越された側) | B(追い越した側) | |
|---|---|---|
| Aの避譲義務違反* | +10% | -10% |
| Aの道路交通法第27条第1項違反** | +20% | -20% |
| Aの著しい過失 | +10% | -10% |
| Aの重過失 | +20% | -20% |
| 追越危険場所*** | -5% | +5% |
| Bの著しい過失 | -10% | +10% |
| Bの重過失 | -20% | +20% |
*追い越しにあたって道幅に余裕がないとき、道路の左側に寄って場所を譲る義務
**追い越される際、速度を上げて追い越しを妨害する行為
***凹凸の多い道路、スリップしやすい道路、見通しが悪い道路、狭い道路、歩行者や対向車等の通行が多い道路など
追い越し事故の過失割合についてさらにくわしく知りたい場合は、関連記事『追い越し事故の過失割合は?追い越しのルールや事故防止のポイントもわかる』をご確認ください。
車線変更事故の過失割合
一般道路で車線変更をした前方車(B)と、後方を直進してきた後方車(A)が衝突した場合、基本的な過失割合は「後方車(A):前方車(B)=3:7」です。

進路変更は事故を起こす可能性がある行為なので、道路交通法はみだりに進路変更してはならない旨を規定しています。
また、進路変更後の進路の後続車について、速度または方向を急に変更させるおそれがあるときは、進路変更をしてはならない旨も規定しています。
つまり、進路変更をする際には周囲に十分に注意し、特に後続車の進行の妨げにならないようにするという注意義務を法律では課しているのです。それにも関わらず進路変更をした結果、後続車と衝突してしまったのなら、前方車に重い責任として7割の過失が認定されます。
一方、追突した後続の車両にも3割の過失が課されています。
これは、十分に前方に注意していれば先行者の車線変更に対応できたにも関わらず、十分に前方に注意していなかったことについて、過失ありとされるのです。
もっとも、事故ごとに生じる個別の事情(修正要素)によって、最終的な過失割合は変動します。
| A(後続車) | B(前方車) | |
|---|---|---|
| Aがゼブラゾーン進行 | +10~20% | -10~20% |
| Aが15km以上の速度違反 | +10% | -10% |
| Aが30km以上の速度違反 | +20% | -20% |
| Aのその他の著しい過失 | +10% | -10% |
| Aのその他の重過失 | +20% | -20% |
| 進路変更禁止場所 | -20% | +20% |
| Bの合図なし | -20% | +20% |
| Aの初心者マーク等 | -10% | +10% |
| Bのその他の著しい過失 | -10% | +10% |
| Bのその他の重過失 | -20% | +20% |
車線変更事故の過失割合についてさらにくわしく知りたい場合は、関連記事『車線変更事故の過失割合|合流地点の事故は?よくあるケースや判例を解説』をご確認ください。
高速道路の合流地点での事故
加速車線から高速道路の本線に合流してきた合流車(B)が、本線を直進してきた本線車(A)と衝突した場合、基本的な過失割合は「本線車(A):合流車(B)=3:7」となります。
合流車の方が過失割合が大きい理由は、道路交通法で高速道路の本線を走行する車両が優先されるからです。
もっとも、事故ごとに生じる個別の事情(修正要素)によって、最終的な過失割合は変動します。

| 修正要素 | A(本線車) | B(合流車) |
|---|---|---|
| B進入路手前進入 | -10% | +10% |
| Bのその他の著しい過失・重過失 | -10~20% | +10~20% |
| Aの速度違反 | +10~20% | -10~20% |
| Aの急加速 | +10~20% | -10~20% |
| Aのその他の著しい過失・重過失 | +10~20% | -10~20% |
(4)車同士の正面衝突の過失割合
正面衝突事故では、どちらがセンターラインをはみ出したかが過失割合を大きく左右します。
センターラインオーバーで正面衝突した場合

通常、センターラインを越えて対向車線にはみ出した側に100%の責任(過失割合10:0)が認められます。
ただし、以下のように「やむを得ない事情」があった場合は、衝突された側にも過失がつく可能性があります。
- 路上工事などでセンターラインを越えざるを得なかった
- センターラインの左側が、車の走行に不十分な幅である など
センターラインがない場合
正面衝突のときの過失割合
進路の区分が明確でないため、基本的な過失割合は対向車側:被害車両側=8:2が目安となります。
こちらも前方不注意や速度超過などの修正要素により、過失割合は変動することがあります。
正面衝突の過失割合については、『対向車が突っ込んできた事故の過失割合。センターオーバーによる正面衝突の対処法』で解説しています。
すれ違いざまに接触したときの過失割合
すれ違い事故とは、道幅が狭い道路などですれ違う車同士が接触してしまう事故です。
基本的には、どちらも同程度の注意義務を負っているため、過失割合は5:5とされるのが原則です。
ただし、以下のようなケースでは、どちらかの過失割合が大きくなることもあります。
- 一方の車が路肩に寄って徐行していたのに、もう一方がセンター寄りを通常速度で通過した
→ 過失割合:路肩側30〜40%:中央側60〜70% - 一方のドライバーがハンドル操作を誤った(ハンドルミス)
→ ハンドルミスをした側:60%の過失
すれ違い事故は、「どちらがより注意していたか」「回避可能だったか」が判断基準となります。
自分の運転に落ち度があったかどうかを客観的に振り返ることが大切です。
すれ違い事故の過失割合についてもっと詳しく知りたい方は『狭い道でのすれ違い事故の過失割合は?坂道は事故の過失割合に影響する?』の記事もお読みください。
(5)道路外に出入りする車と直進車の事故の過失割合
こちらでは、道路外に出入りする車との事故の過失割合を紹介します。
道路外への出入りをする車は、交通の流れにさからう運転をすることになるため、過失割合が高くなる傾向があります。
道路外から進入する車との事故

直進車(A)と、道路外から進入する車(B)の場合、基本の過失割合はA:B=2:8です。
左折進入の場合も同様に、直進車2:路外車8が基本になります。
道路外へ出る車との事故

直進車(A)と、道路外に出るため右折する車(B)の場合、基本の過失割合はA:B=1:9です。
(6)車同士の丁字路交差点での事故の過失割合
こちらでは、丁字路交差点における事故の過失割合を紹介します。
直進車と右左折車の事故
直進路直進車(A)と突き当り路右左折車(B)の過失割合は、道幅が同幅員の場合、A:B=3:7です。

ただし、道幅、一時停止規制の有無、優先道路かどうかにより、過失割合は変わります。
| A | B | |
|---|---|---|
| 同幅員 | 30% | 70% |
| A:広路 B:狭路 | 20% | 80% |
| A:規制なし B:一時停止規制あり | 15% | 85% |
| A:優先道路 B:劣後道路 | 10% | 90% |
右折車同士の事故
丁字路交差点における右折車同士の事故については、十字路交差点での右折車同士の事故と類似しているため、基本的には同様の過失割合になります。
たとえば、道幅が同幅員のときの過失割合は、直進路右折車:突き当り路右折車=4:6です。

| A | B | |
|---|---|---|
| 同幅員 | 40% | 60% |
| A:広路 B:狭路 | 30% | 70% |
| A:規制なし B:一時停止規制あり | 25% | 75% |
| A:優先道路 B:劣後道路 | 20% | 80% |
丁字路交差点での事故の過失割合について、もっと詳しく知りたい方は関連記事『T字路交差点での事故の過失割合は?一時停止規制や優先道路別に解説』もあわせてお読みください。
(7)転回(Uターン)と直進車の事故の過失割合
転回(Uターン)は交通の流れをさえぎることになり、危険性が高いため、傾向として、転回車の過失割合が高くなります。
転回中の事故の過失割合は、直進車:転回車(Uターン車)=2:8が基本です。

転回終了直後の事故の過失割合は、直進車:転回車=3:7が基本です。

もっと詳しく知りたい方は『Uターン事故の過失割合を状況別に紹介!直進車と転回車が接触したら?』の記事もご覧ください。
(8)駐車場での車同士の事故の過失割合
駐車場内の事故は、道路と違って明確な優先関係がわかりづらく、トラブルになりやすいのが特徴です。
そのため、どちらが進行していたか、進路変更のタイミングなど、状況ごとに過失割合が異なります。
駐車区画から出てくる車との事故

通路を進行していた車(A)と、駐車区画から出てきた車(B)の事故の場合、基本の過失割合はA:B=3:7です。
出庫車(B)は安全確認を怠ったとされるため、より重い責任が問われます。
駐車区画に入る車との事故

通路を進行していた車(A)と、駐車区画へ入ろうとしていた車(B)の場合、基本の過失割合はA:B=8:2です。
入庫車(B)は進路変更する立場であり、通路優先の原則が適用されます。
駐車場での車同士の事故の過失割合について、もっと詳しく知りたい方は関連記事『駐車場事故の過失割合の考え方!駐車場でぶつけられたら10対0?バック優先?』もご覧ください。
point
駐車場内では一時停止線や信号がないため、安全確認をどれだけしていたかが過失判断のカギになります。
事故直後の状況をメモや写真で残しておくと、後の示談交渉でも有利に働くでしょう。
(9)緊急車両と一般車両の事故の過失割合
道路交通法上、緊急車両の通行が優先されます。
見通しがきかない交差点において、青信号で進入した四輪車(A)と、赤信号で進入した救急自動車(B)が出会い頭に事故をおこした場合、基本の過失割合はA:B=8:2です。

車同士の事故の過失割合の決め方・交渉の重要性
過失割合は、事故の種類だけでなく、運転者それぞれの行動によって変動します。
また、示談金額にも直接影響する重要な要素であり、1割の違いが大きな金額差につながることもあります。
この章では、過失割合がどのように決まるのか、なぜ正確な把握と交渉が必要なのかを解説します。
事故の過失割合は「基本の過失割合」と「修正要素」の組み合わせで決まる
交通事故の過失割合は、「基本の過失割合」+「修正要素」の組み合わせによって決定します。
事故の過失割合の決め方
- 基本の過失割合:
過去の裁判例の事例をもとに事故のパターン別に定められた目安
(例)出会い頭、追突、右直事故など - 修正要素:
個別の事情に応じて加算・減算される要素
(例)当事者の速度違反、急な進路変更、合図なしの右左折など
事故類型は同じでも、細かな運転状況(修正要素の有無)によって最終的な過失割合が変動するため、個別の詳しい状況の確認・考慮が欠かせないことが注意点となります。
一般的な過失割合決定手続きの流れ
過失割合は警察が決めるのではなく、原則として当事者同士の話し合いにより決められます。
そのため、交通事故証明書に過失割合は記載されておらず、物損事故でも人身事故でも過失割合に違いはありません。
もっとも、事故当事者がお互い任意保険に加入している場合には、保険会社同士の協議により過失割合が決められることが多いです(交通事故被害者の過失割合が0%の「もらい事故」の場合、被害者側保険会社は介入できないので、被害者本人と加害者側保険会社の話し合いにより決まります。)。
過失割合は一般的に下記の流れで決まります。
事故状況の確定
ドライブレコーダーや防犯カメラの映像、実況見分調書(事故現場で事故当事者双方立会いの下警察が作成する書類)、目撃者の証言などの立証資料から事故状況を確定させ、該当する事故のパターンの基本過失割合を確認する
修正要素の検討
該当する事故のパターンに定められている修正要素の有無を検討する
ADR・調停
当事者間で過失割合が合意できなかった場合には、交通ADR機関への示談・和解あっ旋の申込みや調停の申し立てを行い、中立な第三者を介入させた話し合いで過失割合の合意を目指す
裁判
第三者を介入させた話し合いでも合意に至らなかった場合、最終的には裁判所の判決によって過失割合は決まる
事故の過失割合が1割変わると、示談金額も大きく変わる
過失割合は、被害者が受け取れる損害賠償額に直結します。
たとえば、過失が1割あると、その分だけ示談金が減額(過失相殺)されてしまうからです。
具体例
示談金100万円で過失1割の場合
計算方法:100万円×(1-0.1)
受取額:90万円(10万円減額)
過失相殺は慰謝料や休業損害、逸失利益などだけでなく、ケガの治療費についても適用され、過失割合分の治療費は自己負担となります。
事故によっては、損害賠償金額が総額で数百万円〜数千万円になることもあり、1割の差が数十万円以上になる可能性もあります。
なお、自賠責保険は、被害者の過失が7割未満であれば、過失割合による減額(過失相殺)は行われないメリットがあるので、過失割合によっては自賠責保険から受け取れる保険金の方が高額になるケースがあります。
相手方任意保険会社は交渉に慣れており、被害者側に不利な過失割合を提示してくることもあるため、冷静かつ根拠をもった反論が必要です。
納得できる金額を受け取るには、弁護士に相談して交渉を任せるのが安心です。
車同士の過失割合は弁護士にお問い合わせください
過失割合をめぐる示談交渉は、専門的な知識と冷静な判断が求められる場面です。
一方的に不利な条件を提示された場合でも、適切な主張によって改善できる可能性があります。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
