狭い道でのすれ違い事故の過失割合は?坂道は事故の過失割合に影響する?
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この記事でわかること
すれ違い事故は、狭い道で発生しやすい事故の1つです。
事故当事者のうちどちらにどれくらいの過失があるのかを示した「過失割合」は、互いがすれ違おうとした時の状況によって異なります。
また、すれ違い事故が坂道で起こった場合は過失割合にどう影響するのか、すれ違い事故にまつわるよくある質問にもお答えしているので、最後までご覧ください。
目次
狭い道でのすれ違い事故の過失割合
すれ違い事故の過失割合は基本的に50:50
すれ違い事故の過失割合は、基本的に50:50になります。
狭い道ですれ違う場合は、互いに徐行し衝突しないよう注意しながら走行するはずです。
こうした状況ではどちらのほうが悪いとは言い難く、双方に等しく50%の過失割合がつくのです。
ただし、事故状況によっては50:50の過失割合にならないこともあります。
一方が停止していた場合のすれ違い事故
一方が停止していたところ、向かいから走行してきてすれ違おうとした車両が衝突したというケースでは、すれ違おうとした側の過失割合が加算されます。
「停止していた側:すれ違おうとした側=0:100」になるケースもあります。
ただし、すれ違う直前に一方が停止したのであれば、すれ違う側に加算される過失割合はそれほど大きくなりません。
一方が路肩、一方が中央に寄っていたすれ違い事故
すれ違う際、一方は衝突しないよう路肩に寄っていたのに、もう一方は道路の中央に寄っていてぶつかってしまうことがあります。
こうした場合の過失割合は「路肩に寄った側:中央に寄った側=40:60または30:70」です。
路肩に寄った側は衝突を避けるための行動を取っているのに対して、中央に寄った側は衝突を避けるための努力をしていなかったと判断できます。
こうした点から、中央に寄っていた側の過失割合が大きくなるのです。
一方のハンドルミスによるすれ違い事故
一方のハンドルミスですれ違い事故が起きた場合は、ハンドルミスした側の過失割合が10%程度加算されることがあります。つまり、過失割合は「ハンドルミスしていない側:ハンドルミスした側=40:60」になるということです。
ただし、これは「自動車運転者として通常は犯さないようなハンドルミス」があった場合のことです。
ごく狭い道路にて高度な運転技術が必要とされる中で生じたハンドルミスの場合は、加算される過失割合が10%より少なくなる可能性があります。
すれ違い事故でよくある質問に弁護士が回答
坂道でのすれ違い事故の過失割合は?
坂道であること自体は、基本的に過失割合の修正要素として認められません。
「坂道のため発進時に車体が下がり、追突された」「坂道であったこともあり速度違反をしてしまい、事故にあった」といったように、坂道が原因で何らかの過失をおかしてしまったケースなら、修正要素として認められる場合があります。
交通事故の過失割合の決まり方は、『交通事故の過失割合とは?決め方の具体的な手順』の記事をご覧ください。
すれ違い事故で「自損自弁」と提案されたら?
自損自弁とは、交通事故当事者がそれぞれ自分に生じた損害の補償を自分で負担することです。
交通事故では通常、被害者に生じた損害は加害者が負担します。過失割合によっては被害者が加害者の損害を補償することもあります。
しかし、自損自弁では自分の損害は自分で補償するため、相手方から損害賠償金は受け取りません。
それぞれの損害額が少額であり、自分で負担できる程度であれば、「相手方との争いを長く続けて時間的にも精神的にも大変な思いをするより、自損自弁で終わらせたほうが良い」と考えられるためです。
ポイント
自損自弁は軽微な事故で持ち掛けられることが多いです。しかし、自損自弁と言われてもすぐに判断せず、関連記事『接触事故にあったときの現場対応と過失割合!自損自弁と言われたらどうする?』も参考に検討してください。
軽い接触事故でも警察を呼ぶべき?
すれ違いざまの接触でミラーが壊れるなどの「物的損害」も、必ず警察に通報しましょう。また、接触した相手から「自分はケガをしていません」と言われても警察への通報は必ずおこなってください。
理由はふたつあり、ひとつは保険の請求に「交通事故証明書」という書類が必要だからです。交通事故証明書は事故発生を客観的に証明するもので、自動車安全運転センターという警察庁所管の機関で交付されます。警察に事故発生を通報しないと、交通事故証明書の交付を受けられません。
次に、ひき逃げの罪に問われてしまう可能性があるからです。事故相手は後から痛みが出てきたり、周囲の説得を受けたりして警察に通報する場合があります。
損害が軽微なものであろうと、事故現場で何と言われようと、交通事故は速やかに警察へ通報しましょう。
すれ違い事故で相手が立ち去った場合は?
すぐに警察へ通報して、被害届の提出、捜査への協力といった対応をとることになります。
また、事故相手の特定から賠償請求までは時間がかかることもあるでしょう。自身の車両保険で損害を補てんすることも視野に入れなければいけません。
『当て逃げ被害の対処法|捜査はどこまで?示談や慰謝料も解説』の記事を読めば、当て逃げ被害後に何をするべきかがわかります。
すれ違い事故の過失割合は弁護士にお問い合わせください
過失割合はさまざまな要素により変動する
ここまで解説した通り、すれ違い事故の過失割合は基本的に「50:50」です。50:50にならないケースについても、すでに紹介した通りです。
しかし、過失割合はその他の要素によっても変動します。例えば一方が速度違反をしていたり、脇見運転をしていたりすれば、過失割合はさらに調整されます。
このように過失割合は柔軟に算定されるものです。このことを利用して加害者側が不当な過失割合を提示してくることも考えられます。
適切な過失割合を把握しておくことは重要なので、一度弁護士に問い合わせることをおすすめします。
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無理にご依頼をおすすめすることはありません。お気軽にご連絡ください。
ご依頼に進んだ場合の費用
- 弁護士費用特約に加入している方:費用はご自身の保険会社に負担してもらえます。
- 弁護士費用特約に加入していない方:基本的に着手金が無料となります。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了