Uターン事故の過失割合を状況別に紹介!直進車と転回車が接触したら?

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Uターン事故

Uターン事故は、直進車と転回車が接触する交通事故の一種です。

自動車同士のUターン事故の場合、基本的な過失割合は転回車80%・直進車20%ですが、状況によって過失割合が修正される可能性もあります。たとえば、転回車が合図を怠った場合や、直進車が転回車を十分に注意していなかった場合などです。

また、バイクと自動車のUターン事故である場合や、自転車と車両(自動車・バイク)のUターンである場合も過失割合は異なります

本記事では、Uターン事故の過失割合を状況別に詳しく解説します。Uターン事故にあった方は、ぜひ参考にしてください。

なお、本記事で紹介する過失割合は、「別冊判例タイムズ38」(東京地裁民事交通訴訟研究会編)に記載されている情報をベースにしています。

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Uターン事故の基本

そもそも、Uターンとは何なのかについて、基本を理解しておきましょう。

Uターンは道路交通法上「転回」のこと

Uターンは、道路交通法上の「転回」にあたります。歩行者や車両の正常な交通を妨げるおそれがある場合、転回してはいけないと法律で定められています。条文を確認しておきましょう。

車両は、歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外の施設若しくは場所に出入するための左折若しくは右折をし、横断し、転回し、又は後退してはならない。

道路交通法第25条の2第1項

Uターン事故は転回側の過失がほとんど

歩行者や車両の正常な交通を妨げるおそれがある場合は転回してはいけないので、基本的に転回した側の過失が大きくなることがほとんどです。

もっとも、直進車にも交通事故の発生を防ぐために安全に配慮した運転をする義務があるため、Uターンした転回側だけに100%の過失が付くわけではありません。

Uターン事故の過失割合

Uターン事故の過失割合について、事故状況ごとに基本の過失割合と修正要素を紹介します。

注意

ここから紹介するUターン事故の過失割は、あくまで目安であるという点に注意してください。過失割合は、事故個別の状況を細かく反映しながら総合的に判断していく必要があります。

そのため、ご自身のケースではこれから紹介する過失割合とは異なる可能性が十分にあるでしょう。具体的な過失割合に関しては、法律相談を通して弁護士に見解を聞いてみてください。

弁護士相談を検討している方には、アトム法律事務所の弁護士による「交通事故の無料相談」がおすすめです。

過失割合(1)自動車同士のUターン事故

自動車同士のUターン事故では、「Uターンした車が転回中の事故」と「Uターンした車が転回終了直後の事故」とで過失割合が異なります。

直進車転回車
転回中2080
転回終了直後3070

もっとも、ここで紹介した過失割合は基本の過失割合です。基本の過失割合に、事故状況を反映した修正要素の数値を加えて、最終的な過失割合に調整していきます。

ここからは、転回中の事故と転回終了直後の事故に分けて、自動車同士のUターン事故における修正要素を確認しておきましょう。

転回中の事故

転回中の事故とは、対向車線から転回しようとした転回車に対して、直進車が接触した状況をさします。

自動車同士のUターン事故で、転回中に起きた事故における基本の過失割合は、直進車:転回車=20:80です。また、修正要素に応じて過失割合が変わるので、下記表をご覧ください。

直進車転回車
基本2080
直進車に15km以上の速度違反+10-10
直進車に30km以上の速度違反+20-20
直進車にその他の著しい過失+10-10
直進車にその他の重過失+20-20
転回危険場所-10+10
転回禁止場所-20+20
転回車に合図なし-10+10
転回車にその他の著しい過失-10+10
転回車にその他の重過失-20+20

転回終了直後の事故

転回終了直後の事故とは、対向車線から転回しきった転回車に対して、直進車が接触した状況をさします。

自動車同士のUターン事故で、転回終了後に起きた事故における基本の過失割合は、直進車:転回車=30:70です。また、下記表の通り、修正要素に応じて過失割合が変わるので注意してください。

直進車転回車
基本3070
直進車に15km以上の速度違反+10-10
直進車に30km以上の速度違反+20-20
直進車にその他の著しい過失+10-10
直進車にその他の重過失+20-20
転回危険場所-10+10
転回禁止場所-20+20
転回車に合図なし-5+5
転回車にその他の著しい過失-10+10
転回車にその他の重過失-20+20

過失割合(2)バイクと自動車のUターン事故

バイクと自動車のUターン事故では、「Uターンした自動車の転回中の事故」「Uターンしたバイクの転回中の事故」「Uターンした自動車の転回終了直後の事故」「Uターンしたバイクの転回終了直後の事故」の4つの状況別に過失割合が異なります。

直進車転回車
自動車転回中バイク:10自動車:90
バイク転回中自動車:30バイク:70
自動車転回終了直後バイク:20自動車:80
バイク転回終了直後自動車:40バイク:60

もっとも、ここで紹介した過失割合は基本の過失割合なので、バイクと自動車のUターン事故における修正要素を4つの状況別に確認しておきましょう。

自動車の転回中の事故

自動車の転回中の事故とは、対向車線から転回しようとした転回車(自動車)に対して、直進車(バイク)が接触した状況をさします。

バイクと自動車のUターン事故で、自動車の転回中に起きた事故における基本の過失割合は、直進車:転回車=10:90です。また、修正要素に応じて過失割合が変わるので、下記表をご覧ください。

直進車
(バイク)
転回車
(自動車)
基本1090
直進車に15km以上の速度違反+10-10
直進車に30km以上の速度違反+20-20
直進車にその他の著しい過失・重過失+10~20-10~20
転回車合図なし-10+10
転回危険場所-10+10
転回禁止場所-20+20
転回車にその他の著しい過失・重過失-10+10

バイクの転回中の事故

バイクの転回中の事故とは、対向車線から転回しようとした転回車(バイク)に対して、直進車(自動車)が接触した状況をさします。

バイクと自動車のUターン事故で、バイクの転回中に起きた事故における基本の過失割合は、直進車:転回車=30:70です。また、修正要素に応じて過失割合が変わるので、下記表をご覧ください。

直進車
(自動車)
転回車
(バイク)
基本3070
直進車に15km以上の速度違反+10-10
直進車に30km以上の速度違反+20-20
直進車にその他の著しい過失・重過失+10~20-10~20
転回車合図なし-5+5
転回危険場所-5+5
転回禁止場所-10+10
転回車にその他の著しい過失・重過失-10+10

自動車の転回終了直後の事故

自動車の転回終了直後の事故とは、対向車線から転回しきった転回車(自動車)に対して、直進車(バイク)が接触した状況をさします。

バイクと自動車のUターン事故で、自動車の転回終了後に起きた事故における基本の過失割合は、直進車:転回車=20:80です。また、下記表の通り、修正要素に応じて過失割合が変わるので注意してください。

直進車
(バイク)
転回車
(自動車)
基本2080
直進車に15km以上の速度違反+10-10
直進車に30km以上の速度違反+20-20
直進車にその他の著しい過失・重過失+10~20-10~20
転回車合図なし-10+10
転回危険場所-10+10
転回禁止場所-20+20
転回車にその他の著しい過失・重過失-10+10

バイクの転回終了直後の事故

バイクの転回終了直後の事故とは、対向車線から転回しきった転回車(バイク)に対して、直進車(自動車)が接触した状況をさします。

バイクと自動車のUターン事故で、バイクの転回終了後に起きた事故における基本の過失割合は、直進車:転回車=40:60です。また、下記表の通り、修正要素に応じて過失割合が変わるので注意してください。

直進車
(自動車)
転回車
(バイク)
基本4060
直進車に15km以上の速度違反+10-10
直進車に30km以上の速度違反+20-20
直進車にその他の著しい過失・重過失+10~20-10~20
転回車合図なし-5+5
転回危険場所-5+5
転回禁止場所-10+10
転回車にその他の著しい過失・重過失-10+10

過失割合(3)自転車と車両のUターン事故

自転車と車両(自動車・バイク)のUターン事故では、「Uターンした車両が転回中の事故」と「Uターンした自転車が転回中の事故」とで過失割合が異なります。

直進車転回車
車両転回中1090
バイク転回中5050

もっとも、ここで紹介した過失割合は基本の過失割合なので、自転車と車両のUターン事故における修正要素を状況別に確認しておきましょう。

車両の転回中の事故

車両の転回中の事故とは、対向車線から転回しようとした転回車(車両)に対して、直進車(自転車)が接触した状況をさします。

自転車と車両のUターン事故で、車両の転回中に起きた事故における基本の過失割合は、直進車:転回車=10:90です。また、修正要素に応じて過失割合が変わるので、下記表をご覧ください。

直進車
(自転車)
転回車
(車両)
基本1090
直進車の著しい過失・重過失+10~20-10~20
転回車合図なし-10+10
転回危険場所-10+10
転回禁止場所-20+20
直進車が児童等・高齢者-10+10
転回車に15km以上の速度違反
転回車に30km以上の速度違反
転回車にその他の著しい過失・重過失-5~10+5~10

*は修正要素として考慮せず

自転車の転回中の事故

自転車の転回中の事故とは、対向車線から転回しようとした転回車(自転車)に対して、直進車(車両)が接触した状況をさします。

自転車と車両のUターン事故で、自転車の転回中に起きた事故における基本の過失割合は、直進車:転回車=50:50です。また、修正要素に応じて過失割合が変わるので、下記表をご覧ください。

直進車
(車両)
転回車
(自転車)
基本5050
直進車の著しい過失・重過失-5~10+5~10
転回車合図なし-5+5
転回危険場所-5+5
転回禁止場所-10+10
直進車が児童等・高齢者+10-10
転回車に15km以上の速度違反+10-10
転回車に30km以上の速度違反+20-20
転回車にその他の著しい過失・重過失+10~20-10~20

Uターン事故の過失割合に疑問があれば弁護士に相談

Uターン事故に巻き込まれ、保険会社と過失割合や示談金について争いになっている場合は、弁護士に相談しましょう。

アトム法律事務所では、弁護士による無料の法律相談を実施中です。法律相談をご希望の場合は、下記バナーの電話・LINE・メールのいずれかを選んで、相談の予約をお取りください。

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Uターン事故は、転回車側の過失が大きくなることが多いですが、直進車にも一定の過失が付くこともあります。

多くのケースにおいて、過失割合は相手方の保険会社との話し合いで決めていくことになるでしょう。保険会社は、事故状況をマニュアルにあてはめて短絡的に過失割合を判断していることも多いです。

交通事故の案件や法律の専門家である弁護士でなければ、正しい過失割合かどうかは判断できません。

また、過失割合だけでなく、保険会社は慰謝料・示談金も、被害者が本来受け取れるはずの金額より低いものしか提示してこないでしょう。

被害者が本来受け取るべき妥当な慰謝料・示談金を受け取るためには、弁護士にまずはご相談ください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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