交通事故で意識不明|家族がすべき対処法や後遺症、賠償請求を解説

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頭を打って意識不明

バイク乗車中に車と接触して車体から投げ出されたり、正面衝突したりして頭部を強く打ちつけてしまうと意識不明の状態に陥ってしまうことがあります。

意識不明になったとしても、2時間以内に意識が戻れば後遺症もなく回復する可能性があります。6時間以内に意識が戻った場合も、回復の見込みがあるでしょう。

一方、6時間以上意識不明の状態が続く場合は、寝たきりの状態になったり、回復しても後遺症が残ったりする可能性があります。

意識不明になった被害者のご家族は、今後どうなるのか不安で仕方がないかと思います。今回は交通事故で意識不明になった後の回復の見込みや、被害者のご家族がすべきこと、後遺症が残った場合の賠償金などについて解説します。

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交通事故で意識不明になったら|回復の見込みや原因は?

交通事故でご家族が意識不明の状態になったら、意識は戻るのか、後遺症は残るのかなど、様々な心配が押し寄せてくるでしょう。

事故時に一緒にいなかった場合は、「どんな事故だったのか?」「なぜこんなことに?」という疑問もあるかと思います。

そこでまずは、交通事故で意識不明になった場合の回復の見込みや生じうる後遺症、意識不明になる原因について解説します。

交通事故で家族が意識不明…回復する?

交通事故で意識不明になった場合の予後としては、大きく以下の3つのパターンがあります。

  • 2時間以内に意識が回復する
    回復の可能性が高く、後遺症も残らないことが多い
  • 6時間以内に意識が回復する
    回復が期待できる
  • 6時間以上意識が回復しない
    後遺症が残る可能性が高い

それぞれのパターンにおける詳細や注意点を解説します。

2時間以内に意識が回復する

2時間以内に意識が回復する場合、意識不明の原因は脳震盪である可能性があります。

脳震盪では意識障害や記憶障害などが発生することがありますが、一時的なものであることが多いです。

ただし、頭痛、睡眠障害、疲労、集中力の低下などの症状が数週間から数カ月続く「脳震盪後症候群」が発生することもあるので、回復後もしばらくは意識的に様子を見てみてください。

6時間以内に意識が回復する

6時間以内に意識が回復したり、音などの刺激に対する反応があったりする場合も、回復する見込みがあります。

交通事故では後遺症が残った場合、「後遺障害認定」というものが必要になりますが、意識不明の場合は「6時間以内に意識が回復したか」が認定の目安の1つとなります。

6時間以上意識が回復しない

交通事故で意識不明になり、6時間以上回復しない場合は、後遺症が残る可能性が高くなります。

また、3カ月以上意識が戻らない場合には、遷延性意識障害、いわゆる植物状態と診断されるでしょう。

交通事故による意識不明で生じうる後遺症は?

交通事故で意識障害になった場合に生じうる後遺症には、以下のものがあります。

  • 高次脳機能障害
    • 記憶障害:事故の記憶があいまい、物忘れがひどい
    • 言語障害:言葉を発音できない
    • 運動障害:麻痺が残って動かせない
    • 視覚障害:視野が欠けたり、見えづらかったりする
    • 聴覚障害:聞こえが悪い
  • 遷延性意識障害:目を開けられても、意思疎通ができない

意識不明の状態から回復しても、記憶障害が残っていたり、以前のように言葉を発することができない場合もあるでしょう。また、麻痺が残り手足が思うように動かせなかったり、視覚や聴覚といった感覚器官に後遺症が残ったりというケースもあります。

さらには、目を開けられても、意思疎通ができない遷延性意識障害という状態になることもあるでしょう。

以下の関連記事では麻痺が残った方や植物状態(遷延性意識障害)、高次脳機能障害と診断された方に向けての解説をしています。併せて参考にしてください。

意識不明の原因になるような交通事故とは?

交通事故後の意識不明の原因としては、脳損傷や頭部外傷など様々なものが考えられます。意識不明の代表的な原因は、以下の通りです。

  • 脳への血流が不十分(心臓が止まったとき・ 心停止)
  • 頭部外傷(脳しんとう、脳内や脳の周囲で出血したとき)
  • 頭蓋内の圧力の上昇

例えばバイクに乗るときは身体が露出した状態になるため、交通事故の衝撃で身体が投げ出され、地面などに頭や体を強く打ち付けることがあります。

そうした経緯で意識不明となってしまうことがあるでしょう。

交通事故で家族が意識不明の場合にすべきこと

交通事故でご家族が意識不明になったら、以下のことをする必要があります。

  • 今後治療を受ける病院を探す
  • 治療経過を記録する
  • 保険会社に連絡を入れる
  • 示談交渉に向けた準備をする

それぞれについて詳しく解説します。

今後治療を受ける病院を探す

交通事故で意識不明になった場合、その後は長期間、入院や通院をする可能性があります。

しかし、事故直後に救急搬送された病院はあくまでも応急処置をするだけで、その病院に専門医がいるとは限りません。

また、自宅から遠く通院やお見舞いが大変というケースもあるでしょう。

そのため、今後適切な治療を受けられる病院や、通院・お見舞いがしやすい病院を探しておきましょう。

頭部外傷による意識不明であれば、基本的には脳神経内科や脳神経外科で治療を受けることになります。

治療経過を記録する

交通事故で意識不明になってからの治療記録を残しておくことも、重要です。

各種検査結果や治療経過は医師も確認し、診断書などに記載してもらえます。しかし、MRI画像やCT画像では異常を確認できないケースもあります。

また、意識不明になった後に発生しうる高次脳機能障害では、性格の変化など近しい人でないとわからないような症状が出ることもあります。

こうした点から、たとえ意識不明で後遺症が残ったとしても、後遺障害認定や示談交渉で十分な医学的証拠を出せない可能性もあるのです。

そのため、ご家族も被害者の方の様子を確認し、記録に残しておくことが重要です。

保険会社に連絡を入れる

交通事故後、被害者の方が意識不明の状態になったら、ご家族が代わりに保険会社に連絡を入れるようにしてください。

どのような保険が使えるのか、案内を受けられます。

例えば交通事故では、以下の保険が使えます。

  • 人身傷害保険
  • 搭乗者傷害保険

意識不明で治療が長くなると、入通院費用が高くなります。また、長期間の休業の可能性もあり、その間収入が得られません。

保険会社に連絡をすれば、そうした金銭的な負担軽減につながる保険の紹介を受けられます。

また、そもそも交通事故にあった場合は保険会社への連絡が必要なケースが多いので、一度連絡を入れてみましょう。

弁護士費用特約の確認もしておくと安心

保険会社に連絡する際には、「弁護士費用特約」が保険に含まれているかも確認してみてください。

弁護士特約があれば、弁護士に示談交渉などを依頼する際の費用を保険で賄えます。

意識不明になるような交通事故では、損害賠償額が大きくなり、示談交渉が難航しやすくなります。まだ弁護士に依頼するか決めていなくても、特約があるか確認しておくことがおすすめです。

示談交渉に向けた準備をする

交通事故で被害者の方が意識不明なり、意識が戻らなかったり脳機能に重大な後遺症が残ったりした場合、被害者ご本人での示談交渉はできません。

ご家族の中から「成年後見人」を立てて示談交渉に対応することになります。

成年後見人の申し立てができるのは、ご本人以外であれば配偶者や4等身以内の親族などです。家庭裁判所に所定の書類を提出し、手続きをしましょう。

なお、成年後見人を立てる手続きでは申し立て手数料などの費用がかかります。こうした費用は加害者側に請求可能です。

示談交渉を弁護士に任せることも可能

被害者ご本人での示談交渉が難しい場合、弁護士を代理人として示談交渉をすることも可能です。

成年後見人となったご家族が示談交渉をする場合、以下の点から交渉で不利になりがちです。

  • 交通事故の賠償問題に関する知識や示談交渉の経験が少ない
  • 成年後見人の方が事故現場に居合わせていなかった場合、事故状況などについて詳しく把握できない状態で交渉することになる

意識不明で回復しなかったり、将来にわたって介護が必要になったりする場合は、特に損害賠償額が大きくなります。

その分加害者側もシビアな姿勢で交渉に臨んでくると思われるため、弁護士を立てることもご検討ください。

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交通事故で意識不明になり後遺障害が残ったら

交通事故で意識不明になった後、後遺症が残った場合には、後遺障害等級の認定を受けましょう。

それにより、等級に応じた後遺障害慰謝料・逸失利益を請求できるようになります。

  • 後遺障害慰謝料
    後遺障害が残ったことで生じる精神的苦痛への補償
  • 逸失利益
    後遺障害により労働能力が低下し、減ってしまう生涯収入に対する補償

ここでは、意識不明の後に残りうる後遺障害の等級と、認定の受け方を解説します。

該当しうる後遺障害等級と慰謝料相場

交通事故で意識不明になり、後遺症が残った場合に認定されうる後遺障害等級と慰謝料相場は以下の通りです。

高次脳機能障害が残った場合

等級慰謝料
要介護1級2,800万円
要介護2級2,370万円
3級1,990万円
5級1,400万円
7級1,000万円
9級690万円

遷延性意識障害が残った場合

等級慰謝料
要介護1級2,800万円

身体の麻痺が残った場合

等級慰謝料
要介護1級2,800万円
要介護2級2,370万円
3級1,990万円
5級1,400万円
7級1,000万円
9級690万円
12級290万円

ただし、ここで紹介した慰謝料相場は過去の判例に基づく「弁護士基準」に沿ったものです。

加害者側の任意保険会社は別の基準に沿った金額を提示してきますが、弁護士基準の金額よりも大幅に低いことが多いのでご注意ください。

また、意識不明により重大な後遺障害が残り、死にも比肩する状態だと判断されれば、ご家族に対する慰謝料が認められる可能性があります。

ただし、本当にご家族分の慰謝料も認められるか、どの程度の金額になるかは交渉次第です。

後遺障害認定を受けた場合、後遺障害慰謝料と合わせて逸失利益も請求可能です。

逸失利益とは

また、後遺障害認定されるか否かにかかわらず、入通院期間に応じた入通院慰謝料も請求できます。

これらの相場は以下の計算機から確認可能です。

関連記事

後遺障害認定を受けるための流れ

後遺症が残ったときには、後遺障害等級認定の申請を行う必要があります。

後遺障害等級認定の申請方法は、次のとおりです。

  1. 後遺障害診断書の作成を医師に依頼する
  2. 申請書類を相手の任意保険会社か自賠責保険会社に提出する
  3. 損害保険料率算出機構にて後遺障害等級認定審査を受ける

申請書類一式の様式をもらえるので、相手の保険会社に書式が欲しいことを伝えてください。

もっとも、後遺障害等級認定の申請を相手の任意保険会社に任せる方法と、被害者側で相手の自賠責保険会社に申請する方法があります。それぞれの方法にはメリット・デメリットがあるので、申請に際しては一度弁護士に相談することがおすすめです。

なお、後遺障害等級認定の申請期限は症状固定の翌日から3年間です。申請期限を過ぎると、後遺障害等級認定を受けることができなくなるので、注意してください。

症状固定とは?

交通事故で負った怪我の状態が安定しているものの、治療を続けてもこれ以上の改善が見られない状態。医師の判断が尊重される。意識不明という状態では症状固定時期の判断が難しい。

なお、後遺障害の申請は弁護士がサポートできることも多いです。後遺障害申請の流れを知りたい方は関連記事『交通事故の後遺障害とは?認定されたらどうなる?認定の仕組みと認定率の上げ方』も参考にして、弁護士への相談も並行しておくと良いでしょう。

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交通事故で意識不明になった場合の弁護士の役割

弁護士に依頼するメリットは、次のとおりです。

  • 慰謝料を含む損害賠償金の増額
  • 後遺障害等級認定の申請補助
  • 相手方の保険会社との交渉
  • 訴訟の提起

ご家族が意識不明になった場合、その周りの方の心労は想像を絶するものです。また、仮に意識が回復しても、事故前の状態まで状態が良くなるとも限りません。

弁護士であれば、適切な賠償を受けること、そして被害者やそのご家族の負担を減らすお手伝いが可能です。

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交通事故の被害者にとって重要なポイントは「弁護士費用特約の有無」です。

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交通事故の被害者に代わって、保険会社が弁護士費用を支払ってくれる特約。保険会社ごとの約款しだいだが、基本的に法律相談料10万円、弁護士費用300万円までを補償上限とする場合が多い。

弁護士費用特約の補償上限を超える恐れがある場合には、弁護士が事前にお伝えします。「弁護士費用が心配」という人も、弁護士を入れることで増額できる分と、弁護士費用を比較してみましょう。

今後の生活の事を考えると、お金にシビアになるのは当然のことでしょう。弁護士費用に関するご質問も、一切遠慮なくお問い合わせください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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