交通事故で家族が意識不明になった場合の対処法は?後遺症はどうなる?

交通事故被害者が意識不明の状態になった場合、ご家族には意識は戻るのか、後遺症は残るのかなど、さまざまな心配が押し寄せてくるでしょう。
意識不明になったとしても、2~3時間以内に意識が戻れば、後遺症もなく回復する可能性があります。また、6時間以内に意識が戻った場合も、回復の見込みがあるでしょう。
一方、6時間以上意識不明の状態が続く場合は、寝たきりの状態になったり、幸い回復をしても日常生活や社会復帰に大きな支障が出る後遺症が残ったりする可能性があります。
意識不明になった被害者家族の方々は、今後どうなるのか不安で仕方がないかと思います。
本記事は、交通事故で意識不明になった後の回復の見込みや、被害者のご家族がすべきこと、後遺症が残った場合の賠償金などについて徹底解説します。
目次

交通事故での意識不明の基礎知識
意識不明とは?
意識不明とは、一般的に外部からの呼びかけや痛み、刺激によっても覚醒しない状態のことをいいます(なお、意識不明とは反対の状態のことを医学的には意識清明といいます)。
具体的には、意識レベル(覚醒度)の測定基準のJCS(Japan Coma Scale:ジャパンコーマスケール)で100点以上、GCS(Glasgow Coma Scale:グラスゴーコーマスケール)で8点以下の場合には意識不明とされることが多いです。
交通事故の意識不明後の生存率や回復率は?
交通事故で意識不明の状態になってからの生存率や回復率につき、具体的な確率を示す統計は確認することができません。
もっとも、生存率については早期の適切な対応の有無により大きく左右されると考えられています。
そのため、交通事故で意識不明の状態となっている人がいた場合、すぐに救急車を呼び、必要に応じて人工呼吸や心臓マッサージなどの応急措置を取るといった対応が望ましいです。
また、交通事故で意識不明になった場合の回復の見込みは、脳損傷部位やダメージの程度及び意識不明継続時間の程度などにより異なります。
意識不明継続時間のケース別の予後(回復の見込み)は、大きく以下の3つに分類できます。
- 意識不明が2~3時間以内
回復の可能性が高く、後遺症も残らないことが多い - 意識不明が6時間以内
回復が期待できる - 意識不明が6時間以上継続
後遺症が残る可能性が高い
各ケース別における詳細や注意点を解説します。
意識不明が2~3時間以内
意識不明が2~3時間以内だった場合、意識不明の原因は脳震盪である可能性があります。
脳震盪では意識障害や記憶障害などが発生することがありますが、一時的なものであることが多いです。
ただし、頭痛、睡眠障害、疲労、集中力の低下などの症状が数週間から数カ月続く「脳震盪後症候群」が発生することもあるので、回復後もしばらくは意識的に様子を見てみてください。
意識不明が6時間以内
6時間以内に意識が回復したり、音などの刺激に対する反応があったりする場合も、回復する見込みがあります。
交通事故では後遺症が残った場合、「後遺障害認定」というものが必要になりますが、意識不明の場合は「6時間以内に意識が回復したか」が認定の目安の1つとなります。
意識不明が6時間以上継続
交通事故で意識不明になり、6時間以上継続した場合は、その後に意識回復をしても後遺症が残る可能性が高くなります。
また、3カ月以上意識が戻らない場合には、遷延性意識障害、いわゆる植物状態と診断され、回復は非常に困難となります。
交通事故による意識不明で発症しうる後遺症は?
交通事故で意識障害になった場合に発症しうる後遺症には、以下のものがあります。
- 遷延性意識障害
- 高次脳機能障害(認知障害)
- 麻痺(身体性機能障害)
- 外傷性てんかん
それぞれの後遺症について詳しく見ていきます。
遷延性意識障害
意識不明の状態が長く継続すると、目を開けられても、意思疎通ができない遷延性意識障害という状態(植物状態)になる可能性があります。
日本脳神経外科学会は、下表の6項目に該当する状態が3ヶ月以上継続することを遷延性意識障害(植物状態)と定義づけています。
遷延性意識障害に該当する6つの状態
- 自力での移動ができない
- 自力での摂食ができない
- 失禁してしまう
- 声は出せるが意味のある発語はできない
- 簡単な命令(眼を開く、手を握るなど)にはかろうじて応じることもあるが、それ以外の意思疎通はできない
- 眼球がかろうじて物を追うことはあっても認識はできない
遷延性意識障害と脳死の違い
遷延性意識障害(植物状態)は、脳死と混同されることがありますが、以下の点において脳死とは違いがあります。
- 生命維持に必要な脳幹の機能は維持されている
- 自発呼吸が可能である
- 回復の可能性がわずかながら残されている
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高次脳機能障害
意識不明の状態から回復しても、 脳外傷の程度によっては、記憶力や注意力、判断力などの認知機能が低下する高次脳機能障害の後遺症が残ってしまう可能性もあります。
高次脳機能障害の主な症状には、下記のようなものがあります。
- 記憶障害:記憶ができない、物忘れがひどい、新しく何かを覚えられない
- 注意障害:集中ができない、周囲の音や他人の動きに気を取られて動作を継続できない
- 遂行機能障害:指示をもらわないと行動できない、約束を守れない
- 社会的行動障害:行動や感情をコントロールすることができなくない、いらいらしやすい
- 言語障害:言葉を発することができない(失語症)、正しい発音ができない(構音障害)
- 視覚障害:視野が欠ける、空間の半分が認識できなくなる(半空間無視)
- 聴覚障害:聞こえが悪い
- 失認症:視覚や聴覚に問題はないのに、目にしたものや耳にしたものが理解できない
この後遺症は、外見からは判断しにくいため、周囲の理解とサポートが非常に大切になります。
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麻痺(身体性機能障害)
麻痺(身体性機能障害)は、脳損傷により身体の一部または全体の運動機能が低下する障害です。
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外傷性てんかん
外傷性てんかんとは、交通事故などの頭部外傷に伴う大脳の神経細胞の過剰な興奮を原因とする、意識消失やけいれん、顔や手足のひきつけなどのてんかん発作を反復して引き起こす脳障害(疾患)です。
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交通事故後の意識不明の原因は、外傷性脳損傷(脳挫傷)や頭部外傷などさまざまなものが考えられます。意識不明の代表的な原因は、以下のとおりです。
- 脳への血流が不十分(心停止)
- 頭部外傷(脳しんとう、びまん性軸索損傷、脳出血(外傷性くも膜下出血、脳内出血)など)
- 頭蓋内の圧力の上昇(頭蓋骨骨折)
バイク事故では、運転者の身体が露出した状態になること・バランスが取りにくく、転倒しやすいことなどから、衝撃で身体が投げ出され、地面などに頭や体を強く打ち付ける可能性が高くなります。
そうした経緯で、自動車事故よりも意識不明となってしまう可能性が高いといえるでしょう。
交通事故で家族が意識不明になった場合の対処法
交通事故でご家族が意識不明になったら、以下のことをする必要があります。
- 今後治療を受ける病院を探す
- 治療経過を記録する
- 保険会社に連絡を入れる
- 示談交渉に向けた準備をする
それぞれについて詳しく解説します。
今後治療を受ける病院を探す
交通事故で意識不明になった場合、その後は長期間、入院や通院をする可能性があります。
しかし、事故直後に救急搬送された病院はあくまでも応急処置をするだけで、その病院に専門医がいるとは限りません。
また、自宅から遠く通院やお見舞いが大変というケースもあるでしょう。
そのため、今後適切な治療を受けられる病院や、通院・お見舞いがしやすい病院を探しておきましょう。
頭部外傷による意識不明であれば、基本的には脳障害の専門医のいる脳神経内科や脳神経外科で治療を受けることになります。
治療経過を記録する
交通事故で意識不明になってからの治療記録を残しておくことも、重要です。
各種検査結果や治療経過は医師も確認し、診断書などに記載してもらえます。しかし、MRI画像やCT画像では異常を確認できないケースもあります。
また、意識不明になった後に発生しうる高次脳機能障害では、性格の変化など近しい人でないとわからないような症状が出ることもあります。
こうした点から、たとえ意識不明で後遺症が残ったとしても、後遺障害認定や示談交渉で十分な医学的証拠を出せない可能性もあるのです。
そのため、ご家族も被害者の方の様子を確認し、記録に残しておくことが重要です。
保険会社に連絡を入れる
交通事故後、被害者の方が意識不明の状態になったら、ご家族が代わりに加入している保険会社に連絡を入れるようにしてください。
どのような保険が使えるのか、案内を受けられます。
例えば交通事故では、以下の保険が使えます。
- 人身傷害保険
- 搭乗者傷害保険
意識不明で治療が長くなると、入通院費用が高くなります。また、長期間の休業の可能性もあり、その間収入が得られません。
保険会社に連絡をすれば、そうした金銭的な負担軽減につながる保険の紹介を受けられます。
また、そもそも交通事故にあった場合は保険会社への連絡が必要なケースが多いので、一度連絡を入れてみましょう。
弁護士費用特約の確認もしておくと安心
保険会社に連絡する際には、「弁護士費用特約」が保険に含まれているかも確認してみてください。
弁護士特約があれば、弁護士に示談交渉などを依頼する際の費用を保険で賄えます。
意識不明になるような交通事故では、損害賠償額が大きくなり、示談交渉が難航しやすくなります。まだ弁護士に依頼するか決めていなくても、特約があるか確認しておくことがおすすめです。
示談交渉に向けた準備をする
交通事故被害者の方が意識不明になった場合、意識が戻らず意思表示ができなかったり、脳機能に重大な後遺症が残り判断能力が大幅に低下したりすると、被害者本人による示談交渉はできません。
その場合、被害者が未成年者の場合、法定代理権を有する親権者が示談交渉の対応をしますが、成年の場合、成年後見制度を利用し、「成年後見人」を選任して示談交渉の対応をすることになります。
成年後見人は、候補者であるご家族が選任されることが一般的ですが、候補者以外の弁護士等が選任をされるケースもあります。
成年後見開始の申立ては、ご本人以外にも、配偶者や4等身以内の親族などの近親者でもできます。家庭裁判所に所定の書類を提出し、手続きをしましょう。
なお、成年後見人を立てる手続きでは申し立て手数料などの費用がかかります。こうした費用は加害者側に請求可能です。
成年後見制度とは?
認知症や知的障害等により判断能力が著しく低下した人の財産を保護するため、財産管理や法律行為を代わりに行う人(成年後見人)を裁判所が選任する制度
示談交渉を弁護士に任せることも可能
被害者ご本人での示談交渉が難しい場合、弁護士を代理人として示談交渉をすることも可能です。
成年後見人となったご家族が示談交渉をする場合、以下の点から交渉で不利になりがちです。
- 交通事故の賠償問題に関する知識や示談交渉の経験が少ない
- 成年後見人の方が事故現場に居合わせていなかった場合、事故状況などについて詳しく把握できない状態で交渉することになる
意識不明で回復しなかったり、将来にわたって介護が必要になったりする場合は、特に損害賠償額が大きくなります。
その分加害者側もシビアな姿勢で交渉に臨んでくると思われるため、弁護士を立てることもご検討ください。

交通事故で意識不明になり後遺症が残ったら
交通事故で意識不明になった後、リハビリテーションなどを行ってもなお後遺症が残存した場合には、後遺障害等級の認定を受けましょう。
それにより、等級に応じた後遺障害慰謝料・逸失利益を請求できるようになります。
- 後遺障害慰謝料
後遺障害が残ったことで生じる精神的苦痛への補償 - 逸失利益
後遺障害により労働能力が低下し、減ってしまう生涯収入に対する補償

ここでは、意識不明後の後遺症で該当しうる後遺障害等級と、認定の受け方を解説します。
該当しうる後遺障害等級と認定基準
交通事故で意識不明になり、後遺症が残った場合に該当しうる後遺障害等級とその認定基準は、下表のとおりです。
遷延性意識障害が残った場合
等級 | 認定基準 |
---|---|
要介護1級1号 | 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常時介護を要するもの |
高次脳機能障害が残った場合
等級 | 認定基準 |
---|---|
要介護1級1号 | 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常時介護を要するもの |
要介護2級1号 | 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの |
3級3号 | 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの |
5級2号 | 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
7級4号 | 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
9級10号 | 神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
高次脳機能障害で後遺障害等級が認定されるには
- 交通外傷による脳の損傷を裏付ける画像検査結果(画像所見)があること
- 一定程度の意識障害が継続したこと
- 一定の異常な傾向が生じていること
という要件を満たしている必要があります。
2については、意識不明などの重度の意識障害(事故後に開眼・応答のない半昏睡又は昏睡状態)の場合には、6時間以上継続していたことが必要となります。
また、「介護を要する」とは、具体的には「重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に介護を有するもの」という内容になります。
麻痺(身体性機能障害)が残った場合
等級 | 慰謝料 |
---|---|
要介護1級 | 高度の四肢麻痺 |
要介護2級1号 | ・高度の片麻痺 ・中等度の四肢麻痺で、随時介護が必要な状態 |
3級3号 | 中等度の四肢麻痺 |
5級2号 | ・軽度の四肢麻痺 ・中等度の片麻痺 ・高度の単麻痺 |
7級4号 | ・軽度の片麻痺 ・中等度の単麻痺 |
9級10号 | 軽度の単麻痺 |
12級13号 | 運動性・支持性・巧緻性・速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺 |
麻痺は、その範囲(四肢麻痺、片麻痺、対麻痺、単麻痺)や程度(高度、中程度、軽度)に応じて後遺障害の等級が認定されます。
なお、脳損傷による麻痺では対麻痺が生じることはありません。
外傷性てんかんが残った場合
等級 | 認定基準 |
---|---|
5級2号 | 転倒する発作等※が1ヵ月に1回以上あるもの |
7級4号 | 転倒する発作等が数ヵ月に1回以上あるもの、または転倒する発作等以外の発作が1ヵ月に1回以上あるもの |
9級10号 | 転倒する発作等以外の発作が数ヵ月に1回以上あるもの、または服薬継続によっててんかん発作がほぼ完全に抑制されているもの |
12級13号 | 発作の発現はないものの、脳波上明らかなてんかん性棘波を認めるもの |
※意識障害の有無を問わずに転倒する発作、または意識障害を呈して状況にそぐわない行為を示す発作
後遺障害認定を受けるための流れ
後遺症が残ったときには、後遺障害等級認定の申請を行う必要があります。
後遺障害等級認定の申請方法は、次のとおりです。
- 症状固定のタイミングで後遺障害診断書の作成を主治医に依頼する
- 申請書類を相手の任意保険会社か自賠責保険会社に提出する
- 損害保険料率算出機構にて後遺障害等級認定審査を受ける
申請書類一式の様式をもらえるので、相手の保険会社に書式が欲しいことを伝えてください。
もっとも、後遺障害等級認定の申請は、相手の任意保険会社に任せる方法と、被害者側(自分自身)で相手の自賠責保険会社に申請する方法の2つの種類があります。それぞれの方法にメリット・デメリットがあるので、申請に際しては一度弁護士に相談することがおすすめです。
なお、後遺障害等級認定の申請期限は症状固定の翌日から3年間です。申請期限を過ぎると、後遺障害等級認定を受けることができなくなるので、注意してください。
症状固定とは?
交通事故で負った怪我の状態が安定しているものの、治療を続けてもこれ以上の改善が期待できない段階の状態。医師の判断が尊重される。意識不明という状態では症状固定時期の判断が難しい。
なお、後遺障害の申請は弁護士がサポートできることも多いです。後遺障害申請の流れを知りたい方は関連記事『交通事故の後遺障害とは?認定されたらどうなる?認定の仕組みと認定率の上げ方』も参考にして、弁護士への相談も並行しておくと良いでしょう。

意識不明後に損害賠償請求しうる慰謝料額その他の賠償金額
意識不明後に損害賠償請求しうる損害項目にはさまざまなものがあり、後遺障害の程度によっては死亡事故以上に損害額が高額になるケースもあります。
ここからは、各損害項目の賠償金額の相場について解説します。
慰謝料額の相場
入通院慰謝料
後遺障害認定されるか否かにかかわらず、入通院期間に応じた入通院慰謝料を請求できます。
入通院慰謝料の相場は以下の計算機から確認可能です。
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後遺障害慰謝料
後遺障害認定された場合、後遺障害等級に応じた後遺障害慰謝料を請求できます。
等級別の後遺障害慰謝料の相場は下表のとおりです。
後遺障害等級 | 後遺障害慰謝料の相場 |
---|---|
1級 | 2,800万円 |
2級 | 2,370万円 |
3級 | 1,990万円 |
4級 | 1,670万円 |
5級 | 1,400万円 |
6級 | 1,180万円 |
7級 | 1,000万円 |
8級 | 830万円 |
9級 | 690万円 |
10級 | 550万円 |
11級 | 420万円 |
12級 | 290万円 |
13級 | 180万円 |
14級 | 110万円 |
ただし、ここで紹介した慰謝料相場は過去の判例に基づく「弁護士基準」に沿ったものです。
加害者側の任意保険会社は別の基準に沿った金額を提示してきますが、弁護士基準の金額よりも大幅に低いことが多いのでご注意ください。
近親者慰謝料
意識不明により重大な後遺障害が残り、死亡事故にも比肩する状態だと判断されれば、ご家族に対する慰謝料が認められる可能性があります。
ただし、本当にご家族分の慰謝料も認められるか、どの程度の金額になるかは交渉次第です。
慰謝料以外の主な項目の賠償金相場
治療費
必要かつ相当な範囲の実費全額を請求できます。
通院交通費
タクシー利用が相当とされる場合以外は、公共交通機関の利用料金を請求できます。
自家用車で通院していた場合は、1㎞あたり15円のガソリン代を請求できます。
休業損害
有職者の場合(仕事をしている場合)は、事故前の収入(年収)を基礎として、受傷によって休業したことによる現実の収入減を請求できます。
家事従事者(主婦)の場合は、自賠責基準で日額6100円、弁護士基準で日額1万円程度を請求できます。
将来介護費用(付添費用)
職業付添人の場合は実費全額を、近親者付添人の場合は、日額8000円程度を原則被害者の平均余命までの期間請求できます。
将来雑費
紙おむつや手袋などの介護用品の購入に必要かつ相当な金額を請求できます。
家屋・自動車等改造費
被害者の受傷の内容、後遺症の程度・内容などを具体的に検討し、必要性(例:在宅介護のためバリアフリーにする必要がある)が認められれば相当額を請求できます。
逸失利益
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数で算定された金額を請求することができます。
労働能力喪失率は、後遺障害等級に応じた目安が定められており、労働能力喪失期間は、原則被害者の症状固定時の年齢から67歳になるまでの期間です。
交通事故で意識不明になった場合の弁護士の役割
弁護士に依頼する主なメリットは、次のとおりです。
- 適正な後遺障害等級が獲得できる可能性が高まる
- 適切な賠償金(示談金)を受け取れる可能性が高まる
- 相手方保険会社とのやり取り(示談交渉や訴訟など)を任せられる
適正な後遺障害等級が獲得できる可能性が高まる
弁護士であれば、後遺障害診断書の書き方にアドバイスをしたり、被害者請求の方法で申請する際に、必要書類だけでなく、認定に有利となるような資料(医師・専門家の意見書や画像鑑定報告書など)を添付することにより、適正な後遺障害等級が額得できる可能性が高められます。
また、後遺障害等級の認定結果に納得がいかない場合には、異議申し立てという手続きによって、認定結果を変えられる可能性もあります。
適切な損害賠償金(示談金)を受け取れる可能性が高まる
弁護士であれば、上記の弁護士基準に沿った金額での示談交渉が可能になります。
また、被害者にも過失割合がある場合、最終的な損害賠償金(示談金)から被害者の過失割合分が減額(過失相殺)されますが、弁護士であれば、適正な過失割合で解決できる可能性を高めることができる結果、適切な損害賠償金(示談金)を受け取れる可能性が高まるというメリットもあります。
相手方保険会社とのやり取りを任せられる
ご家族が意識不明になった場合、その周りの方の心労は想像を絶するものです。また、仮に意識が回復しても、事故前の状態まで状態が良くなるとも限りません。
弁護士に依頼すれば、相手方保険会社とのやり取り(示談交渉や訴訟など)を弁護士に任せられることにより、被害者やそのご家族の負担を減らし、治療や介護に専念することができます。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了