交通事故の裁判のデメリットは?長期化・費用負担と判断基準

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「保険会社の提示額が低すぎて納得できない」
「裁判も考えているけれど、裁判にかかる費用や時間が不安」

交通事故の賠償金に不満があるとき、裁判は増額を目指せる手段のひとつです。

一方で裁判にはデメリットもあり、特に以下のようなリスクを考える必要があります。

  • 費用がかかる
  • 解決までに時間がかかる
  • 精神的・生活面の負担が増える
  • 結果が不確実

この記事では、交通事故裁判のデメリットを整理した上で、裁判を起こすメリットや判断基準をわかりやすく解説します。

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交通事故裁判を起こす4つのデメリット

裁判に踏み切れない理由として多いのは「損をしたくない」「失敗したら怖い」といった不安です。
実際、交通事故裁判には、大きな負担やリスクが存在します。

まずはデメリットを正しく理解し、自分のケースで裁判を検討する価値があるのかを見極めましょう。

(1)費用がかかる

交通事故で裁判を起こす場合、裁判費用(訴訟費用)がかかります。
具体的には、訴えを起こすときの収入印紙代や、裁判所から書類を送るための郵便料(切手代)などが必要です。

訴訟提起にかかる収入印紙代の目安

訴額申立手数料
~100万円10万円ごとに1000円
100万円~500万円20万円ごとに1000円
500万円~1000万円50万円ごとに2000円
1000万円~10億円100万円ごとに3000円
10億円~50億円500万円ごとに1万円
50億円~1000万円ごとに1万円

また、弁護士に依頼して裁判を進める場合は、訴訟費用とは別に弁護士費用もかかります。

裁判を検討するときは、費用負担も踏まえたうえで、どの程度の増額が見込めそうかを事前に整理しておくことが大切です。

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(2)解決までの期間が長い

裁判は主張のやり取りや争点整理などを段階的に進めていくため、解決までに時間がかかるケースが多いのが実情です。

目安としては、次のようなイメージです。

  • 早くても半年程度
  • 一般的には1年前後
  • 争点が多いと数年に及ぶこともある

特に、過失割合や後遺障害等級などで争いがある場合は、審理が長引きやすくなります。

「早く解決して生活を立て直したい」という方にとって、裁判の長期化は大きなストレスになり得るため、増額の可能性とあわせて慎重に判断することが重要です。

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(3)精神的・生活面の負担が増える

裁判が進む間は、相手方との争いが続くため、精神的な負担が長引きやすい点にも注意が必要です。

例えば裁判中は以下のような状況が続き、日常生活にも影響が出ることがあります。

  • 相手方の反論書面が届くたびに不安になる
  • 「自分の主張は認められるのか」と気持ちが落ち着かない
  • 事故の経緯を何度も思い出してしまう
  • 解決までの見通しが立たず、ストレスが続く

特に仕事や家事をしながら裁判対応を続けるのは負担になりやすく、体調やメンタル面に影響が出るケースもあります。

本人訴訟は負担が大きい

弁護士をつけずに自分で裁判を進めることを、本人訴訟と言います。

本人訴訟の場合、専門用語を用いた書面の作成や証拠の整理など、弁護士に任せられる手続きも自分で対応することになります。

また、裁判期日は平日に設定されることが多く、1回で終わるとは限りません。

状況によっては仕事を休んで出廷が必要になるなど、仕事や生活への影響が大きくなる可能性があります。

(4)結果が不確実

交通事故裁判は、起こせば必ず賠償金が増えるわけではありません。
裁判では、当事者の主張だけでなく、提出された証拠をもとに裁判所が判断するため、こちらの希望通りの結果にならない可能性もあります。

例えば、裁判では次のような判断がされることもあります。

  • 証拠が不十分で主張が認められない
  • 後遺障害が認められない、または想定より低い等級になる
  • 過失割合が予想より重く認定される
  • 損害額(治療の必要性や期間など)が限定的に判断される

また、交通事故裁判は判決まで進まず、途中で和解が成立して終わるケースも多いです。
和解は早期解決につながる一方で、当事者同士が譲歩してまとまることもあるため、請求したとおりの金額が満額で認められるとは限りません。

裁判を検討する際は、「どれくらい増えるか」だけでなく、「期待したほど増えない可能性もある」ことを踏まえた上で、増額の見込みや争点を整理して判断することが重要です。

交通事故裁判を起こす3つのメリット

交通事故裁判には費用や時間などのデメリットもありますが、状況によっては裁判に進むことで賠償金が増え、納得できる解決につながる可能性があります。

交通事故裁判のメリットは、主に次の3つです。

  • 妥当性の高い賠償金が見込める
  • 遅延損害金が加算される可能性がある
  • 弁護士費用相当額を請求できる場合がある

(1)妥当性の高い賠償金が見込める

交通事故で裁判を起こすメリットのひとつは、過去の判例をもとにした「妥当性のある賠償金」に近づきやすいことです。

保険会社の提示額に納得できない場合でも、裁判では金額の根拠が整理され、適正な水準で判断される可能性があります。

そもそも交通事故の慰謝料や賠償金は、計算に用いる基準によって金額が変わります。
主な基準は次の3つです。

  • 自賠責基準:最低限の補償
  • 任意保険基準:保険会社が用いる基準
  • 弁護士基準(裁判基準):過去の裁判例をもとにした基準

3つの基準の中で最も高額になりやすく、法的にも正当といえるのが「弁護士基準」で算出された金額です。

慰謝料金額相場の3基準比較

実際、弁護士基準とそれ以外の基準では慰謝料額に差が出やすく、受取額が大きく2倍以上変わる可能性もあります。
そのため、保険会社の提示額に納得できない場合、裁判は賠償額を見直す手段になり得ます。

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(2)遅延損害金が加算される可能性がある

交通事故裁判で判決まで進んだ場合、賠償金に遅延損害金が加算される可能性があります。

遅延損害金は、支払いが遅れたことに対する「利息」のようなもので、事故日から解決日までの期間に応じて発生します。

裁判は時間がかかりやすい一方で、解決までの期間が長くなるほど遅延損害金が積み上がり、受取額が増えるケースもあります。

そのため、裁判の長期化はデメリットになり得る反面、金額面ではプラスに働く可能性がある点も押さえておきましょう。

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(3)弁護士費用相当額を請求できる場合がある

交通事故裁判で弁護士に依頼し、判決が出た場合、認められた賠償金とは別に弁護士費用相当額が加算されることがあります。

これは、裁判に必要な弁護士費用の負担を一定程度考慮し、相手方に支払いを命じるものです。

弁護士費用相当額は、実際に生じた弁護士費用ではなく、賠償額の約10%程度を目安として加算されることがあります。

そのため、裁判をすることで弁護士費用が完全に自己負担になるとは限らず、実質的な負担を軽くできる可能性があります。

なお、弁護士費用相当額が加算される場合があるのは、弁護士に依頼して裁判をした場合に限られます。

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交通事故で裁判すべきか迷った時の判断基準

交通事故裁判は、ケースによって向き・不向きがはっきり分かれます。

「裁判を起こしたのに増額しなかった」「時間と費用だけかかった」と後悔しないためにも、まずは自分の状況がどちらに近いかを整理しておきましょう。

裁判を慎重に考えた方が良いケース

次のようなケースは、裁判にしても増額幅が大きくならず、費用や長期化の負担が目立ちやすいため慎重な判断が必要です。

  • 物損事故・軽傷で短期通院の場合
    増額幅が小さく、費用負担のが大きくなりやすい
  • お互いの主張の差が少ない場合
    裁判にしても判断が大きく変わりにくい
  • 早期解決を最優先したい場合
    裁判の長期化が負担になりやすい

このようなのケースでは、裁判に進むよりも、示談交渉の段階で適正額を確認し、必要に応じて弁護士に任せて交渉を進めた方が結果的に納得しやすいこともあります。

裁判を検討すべきケース

一方で、裁判によって結果が変わりやすいのは、賠償金の増額余地が大きく、法的に争う材料があるケースです。
次のような場合は、裁判を検討する価値が出やすいと言えます。

  • 賠償金額が大きくなりやすい場合
    後遺障害が残っている、休業損害や逸失利益が問題になるなど、金額が大きくなるほど増額幅も出やすくなります。
  • 被害者側の主張に法的な根拠や証拠がある場合
    診断書・検査結果・通院記録・実況見分調書・ドライブレコーダー映像など、裏付けがあると裁判で主張が通りやすくなります。
  • 保険会社の提示額と希望する金額との差が大きい場合
    保険会社の提示額が希望する金額よりも大きく低額な場合は、示談交渉では十分な金額となりにくいため裁判を検討するべきといえます。

例えば、後遺障害等級や過失割合で争いがあるケースでは、判断が少し変わるだけでも賠償額が大きく動きやすいため、裁判で争う意味が出やすいです。

また、保険会社との交渉が平行線で話が進まない場合も、裁判に進むことで争点が整理され、解決に向かうことがあります。

弁護士に依頼すれば交通事故裁判のデメリットを抑えられる

交通事故裁判には費用や期間などのデメリットがありますが、弁護士に依頼することで負担を大きく減らせる可能性があります。

(1)手続きや出廷の負担を大幅に減らせる

裁判において弁護士が代理人になることで、以下のような専門的な手続きを任せられます。

  • 訴状・準備書面など書類の作成
  • 証拠の整理と提出
  • 裁判所とのやり取りや期日の対応
  • 相手方(保険会社側)との主張の応酬
  • 和解案の調整・交渉

また、「裁判=何度も裁判所に行く」というイメージを持たれがちですが、実際は弁護士が期日に出席して進めることも多く、被害者本人が出廷する場面は限られるケースがあります。

そのため、仕事を休む回数や日常生活への影響を抑えられる可能性があります。

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(2)裁判の見込みを整理でき無謀な裁判を避けられる

裁判を迷う一番の理由は、「本当に慰謝料が増えるのか」「負けたら損をしないか」が見えにくいことです。
弁護士に依頼すれば、裁判例や証拠の状況を踏まえて、事前に次のような点を整理できます。

  • どれくらい増額が見込めそうか
  • 裁判で争いになりそうなポイントはどこか(過失割合・後遺障害など)
  • 証拠は足りているか
  • 費用負担はどの程度になりそうか(訴訟費用・弁護士費用などの見通し)

つまり、感情だけで裁判に踏み切るのではなく、勝算と採算を確認したうえで判断できるということです。
この「見込みを整理できる」こと自体が、裁判の大きなリスク回避になります。

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弁護士費用特約が使えるか確認しよう

弁護士費用特約とは、交通事故の示談交渉や裁判を弁護士に依頼したときの費用を、保険会社が一定額まで補償する特約です。

特約を利用できれば費用負担を抑えて弁護士に依頼しやすくなり、裁判を検討するハードルも下がります。

弁護士費用特約とは

弁護士費用特約の補償上限は一般的に300万円程度が目安で、交通事故の多くのケースはこの範囲でカバーできることが多いです。

ただし、ご自身のケースや状況によっては弁護士費用の一部が自己負担となる可能性もあるため、利用条件は事前に確認しておくと安心です。

特約は主に自動車保険に付帯していますが、火災保険や家族の保険に付いている場合もあるため、まずは加入状況を確認してみましょう。

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交通事故の弁護士特約とは?使い方・使ってみた感想やデメリットはあるかを解説

裁判のデメリットが不安なら弁護士への相談がおすすめ

交通事故の裁判には、費用の負担・長期化・精神的負担・結果の不確実性といったデメリットがあります。

一方で、被害者側の主張に法的な根拠や証拠があるようなケースでは、裁判に進むことで賠償金が増える可能性もあります。

裁判に踏み切る前に重要なのは、「増額の見込み」と「費用負担の見通し」を整理しておくことです。
保険会社の提示額が適正か、裁判でどの程度増額が期待できるかは事故状況や証拠によって変わるため、弁護士に相談して見通しを確認すると判断しやすくなります。

弁護士に依頼する際の費用面が不安な場合は、弁護士費用特約を利用できるかも確認しておきましょう。
ご自身のケースや状況によっては弁護士費用の一部が自己負担となることもありますが、特約を使える場合は弁護士費用の負担を抑えて裁判を検討しやすくなります。

アトム法律事務所でも相談を受け付けていますので、まずはお電話にてご相談ください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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