事故相手が見積もりを出さない!対処法と動くべきタイミング

交通事故の被害に遭い、事故相手が自身の車の修理見積もりを出さないために、示談交渉が進まず困っている方は少なくありません。
「保険会社に任せているのに話が動かない」「このまま放置して大丈夫なのか」と、不安や焦りを感じるのも無理はないでしょう。
結論として、適切な手順で催促や法的対応を取れば、状況を前に進めることは十分に可能です。
相手が見積もりを出さなくても、被害者側が何もできないわけではありません。
相手の対応に振り回されず、被害者として取るべき行動を整理するためのガイドとしてお役立てください。
目次
事故相手が見積もりを出さない場合の対処法
相手から修理見積もりの提出を待っているだけでは、示談はなかなか前に進みません。
相手が動かない場合でも、状況に応じて段階的に対応を進めていくことが重要です。
自分側の保険会社を通じて状況を再確認・催促する
見積もりが提出されないまま時間が経過している場合は、ご自身が加入している保険会社に、現在の状況をあらためて確認しましょう。
その際、「なぜまだ見積もりが出ていないのか」「どこで手続きが止まっているのか」をあらためて整理してもらうことで、今後どの程度待つ必要がありそうか、目安をつけやすくなります。
あわせて、見積もりが提出されないことで不安や支障が生じていることを伝え、いつ頃までに動きがなければ次の対応を検討すべきかを確認しておくことも重要です。
一般的な修理見積もりであれば、修理工場への入庫後1〜2週間程度で作成されることが多く、事故から1ヶ月以上経っても進展がない場合は、手続きが停滞している可能性があります。
第三者機関や弁護士を利用して解決を進める
事故から1〜2ヶ月以上が経過し、ご自身の保険会社を通じて相手側に確認や催促を続けても見積もりが提出されない状況が続いている場合、通常の交渉ルートでは大きな進展は期待しにくいといえます。
このような場合には、第三者を介した解決手段として、交通事故紛争処理センター(ADR)や弁護士への相談を検討する段階に入ります。
- 交通事故紛争処理センター(ADR)の利用
裁判をせずに話し合いで解決を目指せる手段として検討されます。 - 弁護士への依頼
弁護士名義での通知は、法的対応を視野に入れていることを示し、相手方の態度が変わるきっかけになることがあります。
弁護士への依頼を検討する場合、ご自身の保険に弁護士費用特約が付いていれば、実質自己負担なく依頼できる場合があります。
まずは保険証券を確認してみましょう。
事故相手が見積もりを出さない主な理由
事故相手が見積もりを提出しない背景には、必ずしも支払いを拒んでいるとは限らず、いくつかの事情が重なっているケースもあります。
相手の状況を整理して知っておくことで、ご自身の保険会社からの説明内容を理解しやすくなり、状況に応じた冷静な対応が取りやすくなります。
単なる怠慢・対応を後回しにしているケース
「仕事が忙しい」「週末に車屋に行こうと思って忘れていた」など、事故対応の優先度が低く、修理工場への持ち込みや見積もり依頼を後回しにしているケースです。
悪意はなくても対応が進まず、結果として示談が停滞します。
この場合は、ご自身の保険会社を通じて期限を明示した催促をしてもらうことが有効です。
修理や保険利用を迷っているケース
保険を使うと等級が下がるため、自費にするか保険を使うか判断できず、見積もり取得自体を先延ばしにしていることがあります。
判断がつくまで修理工場への入庫を控えているケースも少なくありません。
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相手側の見積もり・手続きが進んでいないケース
相手が既に修理の検討や保険手続きを始めているものの、見積もりや手続きが相手側の事情で進んでいないケースもあります。
例えば、複数の修理工場で見積もりを比較している途中であったり、修理工場の見積額と保険会社の査定額に差があり、修理方法や部品交換の可否をめぐって調整が続いている場合です。
このようなケースでは、相手本人に悪意がなくても、結果として見積もりの提出が遅れ、示談交渉が進まなくなることがあります。
無保険または支払能力に不安があるケース
相手が任意保険に未加入で、修理費を自己負担する必要がある場合、支払いへの不安から対応を避けていることがあります。
連絡が途絶えるリスクが高く、状況が長期化しやすいため注意が必要です。
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お金や過失割合で納得していないケース
過失割合や事故責任に納得しておらず、修理費や車の評価額などの金額面にも不満を持っているため、交渉が停滞しているケースです。
お金や過失割合での対立が続く場合、保険会社を通じた調整でも話し合いが進みにくくなることがあります。
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事故相手の見積もりを待つ間に進められる準備
交通事故相手から見積もりがもらえない間も、保険会社とのやり取りを進める中で、情報を整理しておくことができます。
あらかじめ必要な情報をまとめておくことで、相手の見積もりが提出された際に示談交渉がスムーズに進みやすくなります。
自分の損害を確定させるための資料を揃える
事故相手から見積もりをもらえない間も、自分側の損害内容については、加入している保険会社と連携しながら整理しておくことができます。
- 車の修理見積もりを取得する
修理工場で見積もりを取り、修理内容や概算金額を出してもらいます。 - 人身事故の場合の資料を整理する
現在の治療状況や診断書、診療報酬明細書などをまとめておきます。
自分側の損害が整理されていれば、相手の見積もりが提出された時点で示談を進めやすくなります。
なお、人身事故の場合でも、示談を進めるために治療を急いで終える必要はありません。
治療を続けるべき期間や、自己判断でやめるリスクについては『交通事故の治療はいつまで?平均治療期間や勝手にやめるリスク、やめるタイミング』で詳しく解説しています。
証拠や交渉経緯を整理・保全する
時間が経つにつれて事故当時の記憶は薄れ、状況の把握が難しくなります。
後から認識の食い違いが生じないよう、最低限の資料と経緯は整理しておきましょう。
- ドライブレコーダー映像や現場写真、事故当時のメモ
- 自分側の保険会社から受けた説明や連絡内容(日時・内容・担当者など)
これらをまとめて保管しておくと、状況確認や今後の対応方針を検討する際に役立ちます。
対応が長期化した場合や、専門家への相談が必要になった場合にも、話をスムーズに進めやすくなります。
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見積もりがもらえないことで生じるリスク
相手から見積もりが提出されない状態が続くと、示談が進まないだけでなく、不利な影響が生じるおそれがあります。
早めにリスクを把握しておくことで、適切なタイミングで次の対応に切り替えやすくなります。
示談や支払いが長期化するリスク
相手の見積もりが提出されないままでは、損害額や過失割合に基づく計算ができず、示談が成立しません。
その結果、修理費や慰謝料などの支払いが遅れ、立替負担が長期化するおそれがあります。
精神的・生活面への負担が増えるリスク
解決の見通しが立たない状態が続くと、「いつ終わるのか分からない」という不安やストレスが蓄積します。
また、相手の対物保険で修理を受ける場合、示談交渉が終わるまで修理工場が着工できず、車が使えない期間が長引くこともあります。
車を十分に使えない期間が長引くことで、通勤や日常生活に支障が出ることもあります。
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時効により賠償請求できなくなるリスク
交通事故の損害賠償請求権には時効があります。
- 物損事故:事故の翌日から3年
- 人身事故:事故の翌日から5年
相手の対応を待っている間に時間が経過し、時効が成立すると賠償請求ができなくなるため、放置は避けるべきです。
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FAQ|事故相手が見積もりを出さない・もらえないときの疑問
見積もりが提出されない状況では「この場合はどうなるのか」といった具体的な疑問が生じやすくなります。
ここでは、よくあるケースごとの対応方法をQ&A形式で整理します。
Q.相手が「修理しない」と言っている場合はどうすればいいですか?
修理するかどうかは相手の自由ですが、賠償額を確定させるためにはお互いの賠償額を把握しておく必要があります。
修理をしない場合であっても、相手方保険会社に対し、修理見積もりの作成やアジャスターによる損害確認に協力するよう、こちら側の保険会社を通じて求めることは可能です。
「修理はしなくて構わないが、損害額算定のための見積もりには応じてほしい」と伝えるのが実務的です。
Q.修理が進まない間、代車やタクシーは使えますか?
必要性が認められれば、代車費用や交通費(タクシー代等)が賠償対象となる場合があります。
ただし、利用期間や金額には「相当性」が求められ、無制限に認められるわけではありません。
ご自身の保険会社に事前に確認し、利用状況の記録を残しておくことが重要です。
Q.自分から事故相手の見積もりを取ることはできますか?
原則として、相手車両の修理見積もりは相手側が取得するものです。
ただし、相手が見積もり取得に全く応じない場合には、写真資料などをもとに概算見積もりを取ることもあります。
その場合でも、最終的な損害額として認められるかは別途判断されるため、ご自身の保険会社や弁護士への相談が有効です。
まとめ|段階的に対応すれば解決は可能
事故相手が見積もりを出さない状況は、被害者にとって精神的な負担が大きいだけでなく、示談の長期化や時効といったリスクを招くおそれがあります。
相手が見積もりを出さない理由はさまざまですが、専門家が関与することで状況が動くケースも少なくありません。
重要なのは、状況に応じて対応の段階を切り替えていくことです。
事故相手とのやり取りに限界を感じた場合や、今後の対応に不安がある場合は、交通事故に注力している弁護士へ相談することも一つの選択肢です。
一人で抱え込まず、専門家のサポートを活用しながら早期解決を目指しましょう。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
