むちうちの嘘は事故後にバレる?保険会社に疑われたときの対処法とリスクを弁護士が解説

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交通事故の後、整形外科で「むちうち」と診断され通院している方には、「保険会社からむちうちが嘘だと思われているんじゃないか?」とご不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。

保険会社からこんなことを言われた…

「本当にむちうちなんですか?」
「軽い事故だったのに、通いすぎじゃないですか?」
「皆さん3か月で治療終わってますよ」
「治療費は今月末で打ち切らせていただきますね」

この記事では、交通事故に強い弁護士が、むちうちで嘘を疑われる理由とその対処法、バレた場合のリスク、そして適正な補償を受け取るための対策まで、わかりやすく解説します。

目次

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むちうちの嘘はバレる?疑われる理由と現場の実態

むちうちとは、「頸椎捻挫」「外傷性頸部症候群」「頸部打撲」など、複数の呼び方がありますが、基本的には同じものです。

特に追突事故では、ぶつかられた衝撃で首が鞭のようにしなるため、首の筋肉や靭帯、神経などにダメージが及び、様々な症状が出ます。

そもそも事故のむちうちの症状とは?

むちうちの主な症状には、以下のようなものがあります。

  • 首の痛み・違和感
  • 肩こりや背中の張り
  • 手足のしびれ
  • 頭痛・めまい・吐き気

首には多くの神経が通っているため、手足など首からは離れたところにも症状が出たり、吐き気など一般にはイメージしづらい症状が出ることもあるのが特徴です。

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むちうちになったと嘘をついてもバレる可能性がある

もしもあなたが事故にあい、特に痛みなどの症状がなくても病院で「首が痛む」と言えば、むちうちの診断がくだされることがあります。

しかし故意に嘘をついたような場合、医師の診断書や通院頻度、関係者への聞き取り、そのほか様々な証拠から、むちうちが嘘であると保険会社にバレることもあります。

保険会社の担当者は、年間何十件ものむちうちの事案を担当しています。そのため、その経験から嘘に気づくことも難しくはないのです。

むちうちが嘘だと疑われやすい理由3つ

実際には、むちうちの症状があるのに、保険会社から「むちうちというのは嘘なんじゃないか?」「もう治っているのではないか?」と疑われることもよくあります。

その理由は、以下のようなものです。

(1)むちうちには医学的所見がない場合がほとんどだから

むちうちの多くは、首の内部の筋肉や神経などの軟部組織の損傷が原因で、骨には異常が見られません。

しかしレントゲンでは骨の異常しか見つけられないほか、CTやMRIを利用しても、軟部組織の損傷は確認できない場合があります。

実際に後遺障害を獲得できるようなむちうちであっても、「医学的には証拠がない」とされるものが多いのです。

(2)事故状況に対して治療期間が長くなることがあるから

保険会社は、一般的にむちうちの治療期間を「3ヶ月」としていることが多いです。

そのような基準を設けているため、軽微な追突事故で3ヶ月を超えて通院していると、「症状を誇張しているのでは?」とみられることがああります。

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(3)事故後すぐむちうちになるとは限らないから

事故直後は興奮していて気付かなかったが、家に帰ったら首が痛くなってきた、数日経って吐き気の症状が出てきた、ということはよくあります。

しかし保険会社としては、事故から数日経ってから「痛い」と訴えても、「本当に事故が原因か?」「別の原因があるのでは?」と疑ってくることがあります。

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むちうちが嘘だとバレた時のリスクとは

もしも嘘をついて通院していたことが保険会社にバレた場合、以下のようなリスクがあります。

保険会社にむちうちの治療費、慰謝料を支払ってもらえない

保険会社が「症状は事故によるものではない」と判断すると、治療費や慰謝料の支払いを拒否してきます。

その場合、すでに通院した病院や整骨院から、あなた自身が治療費の請求を受けることになります。

また慰謝料は主に通院した期間で決定しますが、むちうちが嘘だとわかったら、慰謝料も支払ってはもらえないでしょう。

受け取った保険金を返金しなければいけない

すでに慰謝料などを保険金として先払いしてもらっていたような場合、支払われた保険金を返還するよう請求されるケースもあります。

数十万の請求を受けたような場合、生活に大きな影響が出ます。

保険会社から詐欺で訴えられる可能性もある

意図的な虚偽申告をしたと認められた場合、最悪の場合は詐欺罪に問われることもあります。裁判で有罪となると、前科がつくほか、懲役刑が科せられてしまいます。

むちうちが嘘だと保険会社に決めつけられたときの対応法

本当にむちうちの症状があるのに、保険会社が疑ってくるような場合、誤解されないための工夫が重要です。

定期的な通院を続ける

疑われたからといって通院をやめてしまっては、「やっぱり嘘だったんだ」と保険会社にさらなる疑いを与えてしまいます。

もし症状が残っているなら、通院は続けた方がよいでしょう。

事故相手の保険会社には正直に対応する

保険会社の担当者の態度が悪かったり、疑われたりするとつい対応するのが嫌になってしまいます。

しかしそれで求められる書類の提出をしなかったり、保険会社からの電話を無視したりすると、あなたのあずかり知らぬところで治療の終了が決まってしまうこともあります。

保険会社からの質問には正直に答え、落ち着いて対応するようにしましょう。

むちうちの症状を正確に主治医に伝える

例えば、事故から数か月経って急に「実は事故後からずっと吐き気がしていた」と言っても信じてもらうことは難しいです。

むちうちには、痛みやしびれだけではない様々な症状があります。これは事故とは関係ないかも、と思っても、まずはあなたの感じている症状を主治医に正確に、なるべく全部伝えることが大事です。

「痛い」「だるい」といった主観だけでなく、「下を向くとき、首の後ろ側がずきっと痛む」「事故直後を10とすると、今の痛みは6くらい」というような、具体的な説明を心がけましょう。

レントゲンやMRI、CTを撮影する、神経学上の検査を受ける

むちうちの症状はレントゲンなどの画像検査には残りにくいものですが、そもそも画像が残っていないとなると、保険会社に対抗することができません。

客観的データを残すことで、症状の信憑性が高まります。

また、手に痺れがあるような場合は、スパーリングテスト・ジャクソンテストと呼ばれる神経学的検査を行うことで、むちうちの症状を証明できることがあります。

主治医にむちうちの症状についての意見書を書いてもらう

主治医に協力してもらえそうなのであれば、「むちうちの症状は事故によるものだと思われる」「まだ治療が必要」という内容の意見書を書いてもらうのも効果的です。

保険会社も、主治医の言うことであればとむちうちを信じてくれることもあります。

事故に詳しい弁護士に依頼する

事故被害者には強気に出ている保険会社の担当者も、あなたが弁護士を代理人としてたてることでトーンダウンする場合もあります。

また、保険会社とのやりとり自体がストレスになっているような場合、弁護士が代理してくれることで心理的負担も軽減されます。

むちうちが嘘だと治療費の支払いを打ち切られたときの対処法

保険会社に「むちうちは嘘だ」と決めつけられ、治療費の支払いを打ち切られた場合でも、できることはあります。

むちうちの症状が残っているなら健康保険で通院する

症状が残っているのに通院を諦めてしまうと、治るはずの痛みが治らなかったり、その後の生活に大きな影響があります。

通院をする場合は、自費で通院を続けるよりも、健康保険に切り替えることであなた自身の経済的負担を軽減できます。

最終的にあなたが負担した治療費の支払いが認められるかは、最終的な示談の際に決定されます。

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むちうちの症状が軽減したなら治療を終了するのも手

もしもあなた自身、症状がだいぶ軽減してきている、もう通院はやめたいと考えているなら、医師と相談し、通院終了を決断するのも選択肢のひとつです。

むちうちで保険会社ともめたら弁護士に交渉を依頼

どうしてもあと何ヶ月か保険会社の対応で治療を続けたい、というような場合は弁護士を通じて保険会社と交渉することもできます。

実際に、弁護士が介入することで治療費の対応を延ばせることもあります。しかし保険会社が主張を押し通して、治療打ち切りをしてしまうこともあります。

その場合であっても、弁護士がいると最終的な示談金の交渉の面でも有利になったり、自賠責保険への請求手続きを代理できたりもしますので、依頼するのが無駄ということはありません。

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事故のむちうちで適正な慰謝料を受け取るために

治療が終了したら、慰謝料などの示談交渉が始まります。

しかしこのとき、適正な慰謝料を受け取るためには少しコツがあります。

事故直後なるべく早めに整形外科に通院する

整骨院や接骨院ではなく、医師のいる整形外科で初診を受けることで、信頼性が高まります。

また、初診が遅れると「本当に事故のせいなのか?」「別の原因があったのでは?」と疑われやすくなります。

仕事が忙しかったり、重い症状ではないと思われる場合であっても、まずは早めの通院を心がけましょう。

むちうちの場合は週2回程度通院する

通院頻度の目安は、「週2~3回」とよく言われます。

通院の期間が空きすぎると「治療の必要性がないのでは」「もう治ったのでは」と見られてしまうためです。

「慰謝料」は主に通院期間で決定するため、なるべく長い通院期間を認めてもらえるよう、定期的な通院を行いましょう。

もしもやむを得ない事情により通院期間が数週間以上空くような場合は、事前に保険会社に連絡しておくのがいいでしょう。

仕事を休んだ場合は休業損害証明書を作成する

もしも事故による通院や痛みで仕事を休んだり、遅刻早退したような場合は、「休業損害」の請求が可能です。

勤務先に「休業損害証明書」を作ってもらうことで、休業損害が認められれば、示談金が増額されます。

なお実際には休んでいないのに、休んだと嘘をついて休業損害を請求すると、むちうちだと嘘をつくのと同様に保険金を受け取れなくなりますので注意しましょう。

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6ヶ月経っても症状が残っているようなら後遺障害申請する

もしもあなたがむちうちで6か月以上通院しているにも関わらず、まだ症状が残っているような場合は、後遺障害が認定される可能性があります。

後遺障害が認定された場合、新たに「後遺障害慰謝料」「後遺障害逸失利益」などが支払われる可能性があり、さらに示談金が増額されます。

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むちうちでの不安はアトム法律事務所に相談

アトム法律事務所では、事故でむちうちになられたにもかかわらず嘘だと疑われている方のご相談も受け付けております。

むちうちのように「目に見えない症状」で苦しむ方が、適正な補償を受けられるよう、初回相談無料で対応しております。

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「もう誰に相談していいかわからない」
そんなときは、一人で悩まず、交通事故のプロにご相談ください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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