交通事故による嗅覚脱失の後遺障害認定|等級ごとの慰謝料相場はいくら?

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交通事故で嗅覚脱失

嗅覚脱失という後遺症は、食べ物の味覚がわかりにくくなったり、火災などの危険を察知しにくくなったり、日常生活に支障をきたす可能性があります。

嗅覚脱失が交通事故の後遺障害であると認定されれば、後遺症に対する補償も請求できるので、示談金全体として増額されるのです。

交通事故によって嗅覚脱失という後遺症が残った方に向けて、どういった後遺障害等級に認定される可能性があるのか、いくらの慰謝料が請求できるのかを解説します。

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交通事故による嗅覚脱失の原因と検査方法

嗅覚脱失とは、嗅覚器官の障害により、においを嗅ぐことができなくなることです。交通事故で鼻腔内が損傷したり、嗅覚神経が切断されたりすると嗅覚脱失につながります。

嗅覚脱失の原因

交通事故による嗅覚脱失には鼻を損傷した場合と、頭部を損傷した場合のパターンが考えられます。

嗅覚障害は、呼吸性嗅覚障害、末梢神経性嗅覚障害、混合性嗅覚障害、中枢神経性嗅覚障害の4つに分類可能です。

呼吸性嗅覚障害鼻骨骨折や鼻中隔骨折で鼻の一部が閉鎖
末梢神経性嗅覚障害匂いの情報を伝達する細胞群が断裂
混合性嗅覚障害呼吸性嗅覚障害と末梢神経性嗅覚障害の合併
中枢神経性嗅覚障害頭部を打ち付けて前頭葉や側頭葉を損傷

頭部外傷や脳震盪による嗅覚脱失の場合は回復することもありますが、損傷の内容次第では嗅覚の回復が難しい場合もあるのです。

嗅覚脱失の検査

交通事故の損害賠償では、事故と症状の因果関係を示すことが重要といえます。嗅覚脱失は目に見える症状ではないので、一定の検査で嗅覚脱失を証明しなくてはいけません。

嗅覚脱失を示す検査としては、T&Tオルファクトメーターまたは静脈性嗅覚検査の結果が用いられます。

T&Tオルファクトメーター(基準嗅覚検査)

T&Tオルファクトメーター(基準嗅覚検査)は、においがする5種類の液体を8段階の濃度ごとに、ろ紙に染み込ませ、どの段階までにおいを感じることが出来るのかを調べる検査です。

静脈性嗅覚検査(アリミナン静脈注射)

静脈性嗅覚検査(アリミナン静脈注射)は、においの強い物質を注射して、そのにおいが肺から呼気と一緒に鼻腔を通過するまでの時間や、においを感じる時間などを検査します。嗅覚障害の有無や程度を調べる際に用いられる検査です。

このように、交通事故による後遺症は症状に合わせた検査結果で示す必要があるでしょう。後遺障害申請にあたって必要な検査については、医師の指示のもとでおこなうものの、どんな検査が必要になるのかは法律の専門家である弁護士にアドバイスを受けることをおすすめします。

交通事故による嗅覚脱失の後遺障害等級

交通事故によって嗅覚脱失となり、完治せずに後遺症となった場合には、後遺障害の認定請求を行いましょう。後遺障害として認められることで、障害の程度に応じた等級の認定がなされ、請求できる損害賠償金額が増加します。

嗅覚脱失については、後遺障害9級5号、12級相当、14級相当と認定される可能性があります。それぞれの等級と障害の程度は下表のとおりです。

等級障害の程度
9級5号鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
12級相当嗅覚の脱失
14級相当嗅覚の減退

自賠責の認定する後遺障害に認定されるためには、検査結果にて次のように嗅覚脱失が確認される場合と考えておきましょう。

  • T&Tオルファクトメーターを用いた基準嗅覚の検査:平均的な嗅覚損失値が5.6以上であるとき
  • アリナミン静脈注射:においを全く感じていないとき

くわしい認定基準は弁護士におたずねください。

9級5号:鼻を欠損して嗅覚を失った場合

鼻の軟骨部分の全部もしくは大部分を欠損して、鼻の機能に著しい障害を残すものとして、後遺障害9級5号に認定されます。

なお、鼻の欠損では、外貌醜状と等級が併合されることはありません。つまり鼻の欠損が外貌醜状に該当する「外貌に著しい障害を残すもの」として後遺障害7級12号認定を受けられる場合、7級に対応した補償を受けられます。

12級相当:鼻は欠損していないが嗅覚を失った場合

交通事故により嗅覚を失ったものの、鼻の欠損に至っていない場合、後遺障害等級は12級相当と判断されます。

14級相当:鼻は欠損していないが嗅覚が低下した場合

交通事故により嗅覚が低下したものの、鼻の欠損に至っていない場合、後遺障害等級は14級相当と判断されます。

交通事故に取る嗅覚脱失で請求できる慰謝料

交通事故の慰謝料には、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料という2つの慰謝料があり、被害に応じて請求可能です。それぞれの慰謝料について計算方法を解説します。

嗅覚脱失による入通院慰謝料

交通事故で嗅覚脱失となった場合、治療のために入通院を行った期間に応じて入通院慰謝料を請求することができます。

弁護士が慰謝料を算定するときには、「慰謝料算定表」を使っています。この慰謝料算定表には重傷用と軽傷用の2パターンがありますので、嗅覚脱失に至った原因によって使い分けねばなりません。重傷用と軽傷用のいずれの表を利用するのかは、弁護士におたずねください。

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

いずれの慰謝料算定表も、横列の入院月数と縦列の通院月数の交差する数字が慰謝料の金額です。たとえば、入院1ヶ月・通院5ヶ月、通院6ヶ月、通院7ヶ月の入通院慰謝料相場をみてみましょう。

治療期間軽傷重傷
入院1ヶ月・通院5ヶ月105万円141万円
入院1ヶ月・通院6ヶ月113万円149万円
入院1ヶ月・通院7ヶ月119万円157万円

このように、入院期間は同じでも通院期間が長いほど慰謝料は増額傾向にあります。また、慰謝料は精神的苦痛を緩和するための金銭なので、ケガの程度が重いほど金額は増えるのです。

嗅覚脱失による後遺障害慰謝料

嗅覚脱失について後遺障害等級が認定された場合には後遺障害慰謝料を請求できます。後遺障害等級に応じて、後遺障害9級5号の場合は690万円、12級相当の場合は290万円、14級相当の場合は110万円が後遺障害慰謝料の相場です。

後遺障害等級後遺障害慰謝料相場額
9級5号690万円
12級相当290万円
14級相当110万円

交通事故で嗅覚脱失となった場合は、早めに弁護士に相談することをお勧めします。弁護士は、後遺障害の認定申請をサポートし、適切な慰謝料を請求することが可能です。

なお、相手の任意保険会社が提案してくる金額は、あくまで保険会社の基準にとどまる低額なものと予想されます。後遺障害慰謝料を適正な金額で受けとるには、慰謝料の計算方法の仕組みを知っておくと良いでしょう。

下記のバナーより「慰謝料計算機」の利用も可能です。慰謝料計算機を使えば、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の相場が自動計算されます。個別の事情を反映するものではありませんが、手軽に目安額がわかって便利です。

嗅覚脱失で後遺障害等級の認定を受けるにはどうするか?

嗅覚脱失の後遺障害認定申請方法

嗅覚脱失の後遺障害認定申請方法は、以下のとおりです。

  1. 医師の診断書や後遺障害診断書を取得する。
  2. 後遺障害診断書などの必要書類を提出する。
  3. 後遺障害等級認定審査請求を行う。

医師の診断書や後遺障害診断書は後遺障害の認定申請において重要となる書類です。診断書には、嗅覚脱失の程度や原因、治療方法などが記載されています。作成は、医師に依頼しましょう。

後遺障害等級認定の審査請求は、審査機関である損害保険料算出機構に対して行います。

嗅覚脱失の後遺障害認定申請に必要な書類

嗅覚脱失の後遺障害認定申請に必要な書類は、以下のようなものとなります。

  • 医師の診断書
  • 後遺障害診断書
  • 事故の状況を証明する書類(警察の事故証明書、治療費の領収書など)

等級認定を受けるには、適切な記載がなされている後遺障害診断書や、多くの証明書類が必要となります。
どのような書類が必要となるのかについては、専門家である弁護士に相談して確認するべきでしょう。

嗅覚脱失の後遺障害認定申請時の注意点

嗅覚脱失の後遺障害認定申請時の注意点は、以下のとおりです。

  • 早めに申請する
  • 必要な書類を揃える
  • 弁護士に相談する

嗅覚脱失の後遺障害認定申請は、複雑な手続きです。必要な書類を早めに申請することで、申請がスムーズに進みます。

もっとも、嗅覚脱失の後遺障害認定申請は、複雑な手続きです。早めに弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士に相談することで、後遺障害の認定申請をサポートしてもらい、適切な慰謝料を請求することができます。

後遺障害の申請についてもっと詳しく知りたい方は、関連記事も参考にしてください。

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アトム法律事務所では、交通事故でケガをした方への無料法律相談をおこなっています。

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こうしたお悩みは、一度弁護士に相談してみませんか。法律の専門家の立場から、被害者のお悩みにお答えします。ご相談はお電話またはLINEでおこなっております。まずは相談予約をお取りください。

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弁護士費用について心配な方は、ぜひ弁護士費用特約の有無の確認してみましょう。

交通事故の弁護士費用特約とは、被害者が加入する任意保険会社が被害者の弁護士費用を支払ってくれるという特約です。補償範囲は約款で定められており、多くのケースで相談料10万円まで、弁護士費用を300万円までを、被害者の代わりに支払ってくれます。

弁護士費用特約とは

交通事故の弁護士費用は、よほどの重大なケガでないかぎり、特約補償内でおさまることが多いです。そのため、被害者は自己負担なく弁護士を立てることができます

また、被害者名義でなくても、一定の範囲であれば家族名義の特約が適用されることもあるので、一度確かめてみてください。

そして、もし弁護士費用特約がない場合でも、まずは無料相談で見積もりを取ってもらいましょう。自身で弁護士費用を支払ってでも、弁護士を入れることで増額できる可能性があるなら、弁護士に依頼するメリットは大いにあります。

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弁護士への依頼を悩んでいる方は、以下の記事も参考にしてみてください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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