物損事故は保険会社に任せるだけで大丈夫?連絡が来ない場合の対応も紹介
この記事でわかること
物損事故に遭ったとき、多くの方が「とりあえず保険会社に任せておけば大丈夫」と考えます。
しかし、保険会社にすべてを任せることで不利益が生じる恐れがあり、そもそも相手の保険会社から連絡が来ないというケースも少なくありません。
この記事では、物損事故を保険会社に任せた場合の対応範囲や、任せきりにすることによるリスク、保険会社からの連絡がない場合の対処法などについて紹介します。
目次

物損事故を保険会社に任せると、どこまで対応してもらえる?
物損事故における保険会社の対応内容
物損事故において、自分または相手の保険会社が対応してくれる内容は主に以下の通りです。
対応内容 | 説明 |
---|---|
示談交渉 | 過失割合や賠償金額について、相手の保険会社と交渉してくれる |
修理費用の支払い | 契約内容によるが、自己の車両保険が使える場合、修理費用の立替も可能 |
代車の手配 | 修理に日数がかかる場合、必要に応じて代車を手配してくれることがある |
保険金の支払い手続き | 損害確認後、損害に応じた保険金の支払いを進めてくれる |
物損事故により生じた修理用などの損害の立て替えや、示談金の金額を被害者の代わりに交渉して決めてくれます。
物損事故はいつ解決する?保険会社に任せた場合の目安期間とは
事故の内容や当事者の対応状況によって異なるものの、物損事故の対応にかかる期間は、おおよそ2~3ヶ月程度となるでしょう。
見積もりの期間や、示談交渉がスムーズに進むかどうかにより期間が異なります。
「保険会社に任せたから大丈夫」と思っていても、想定より時間がかかることは珍しくありません。
何の動きもない状態が1週間以上続くようであれば、ご自身でも保険会社に連絡を入れる、もしくは弁護士に相談するなどの対応を考えるべきです。
保険会社に「任せきり」にすることの注意点
保険会社は事故対応のプロですが、すべてを丸投げにすることにはリスクもあります。
任せきりにするデメリット
- 状況報告が不十分になるおそれがある
- 相手方の保険会社との今後の付き合いを考えて、被害者にとって不利益な示談内容になるおそれがある
一方で、適度に関与することで、よりスムーズに解決しやすくなります。
自分でもチェックすべきポイント
スムーズな解決を目指すためには、以下の点を自身でも確認しておきましょう。
- 進捗の確認:保険会社に定期的に連絡し、示談交渉の進み具合をチェック
- 示談内容の妥当性:過失割合や修理費用に納得できるかを検討する
示談内容が正当なものであるのかどうかについては、専門家である弁護士に相談して確認してもらうと良いでしょう。
相手の保険会社から連絡がこない理由や対処法
物損事故の後、相手の保険会社から連絡がなかなか来ないことで、不安になる方も多いです。
保険会社からの連絡が遅れる主な理由
保険会社からの連絡は、以下のような事情で連絡が遅れることがあります。
- 当事者(相手方)から事故報告がまだされていない
- 担当者が多忙で連絡が後回しになっている
- 過失割合など複雑な案件で社内審査に時間がかかっている
連絡がない場合の対処法
相手の保険会社からの連絡が遅いと感じた場合には、以下のような対応を検討しましょう。
- 保険会社のカスタマーセンターやそんぽADRセンターに相談する
- 相手方本人に連絡し、保険会社への報告をするよう促す
- 弁護士に今後の対応について相談する
そんぽADRセンターとは、保険会社とトラブルに関する苦情受付や、保険会社との紛争処理を主に行っている機関です。相談や苦情の申し出は基本的に無料で行えます。
弁護士特約があるなら弁護士相談も検討を
ご自身の自動車保険に「弁護士特約」がついている場合、弁護士費用を保険でカバーできる可能性があります。
弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットが生じます。
- 保険会社とのやりとりに不安がある場合のサポート
- 不利な過失割合の修正交渉
- 遅延している示談交渉の早期解決
- 損害賠償請求の法的対応
連絡が来ない・交渉がうまく進まないなど「このままで大丈夫なのか」と不安を感じたら、早めに弁護士に相談するのがおすすめです。
まとめ|物損事故を保険会社に任せて不安なときは弁護士相談を
物損事故のあと、保険会社に任せるのは基本的な対応ですが、「100%信頼して丸投げ」するよりも、適度に関わることで安心かつ納得のいく解決につながります。
特に、以下のような人は弁護士への相談を検討してみましょう。
- 相手の保険会社から連絡が来ず、不安や不信感を感じている
- 示談交渉の内容に納得できない
- 損害賠償の請求を適切に進めたい
物損事故の交渉は専門的な知識が関係する場面も多いため、「ちょっとでも不安」と感じたときが、弁護士に相談するベストなタイミングです。
弁護士への相談は、「トラブルを起こしたい」ためではなく、「トラブルを避けるため」の一歩。ぜひ、気軽に相談することから始めてみてください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了