交通事故の被害者は毎日通院した方がいい?慰謝料の観点からの通院頻度
「交通事故の慰謝料を少しでも増やしたいなら、毎日通院した方がいいって本当?」
毎日通院しなくても、適切な通院頻度を守れば正当な額の慰謝料を受け取れます。慰謝料の観点からいえば、通院頻度は3日に1回を目安にするのが最適です。
交通事故の慰謝料は、毎日通院したことを理由に増額されるわけではありません。むしろ必要以上に通院回数を増やすことで慰謝料減額につながったり、早い段階での治療費打ち切りにつながったりとリスクもあります。
この記事では、慰謝料を適切に受け取るための通院のポイントを解説しています。通院方法にお悩みの方は、一度ご覧ください。
目次
「慰謝料を増やすには毎日通院した方がいい」とは限らない
交通事故で毎日通院すると、かえって慰謝料が減ったり、示談交渉でもめてしまったりするリスクがあります。
交通事故の慰謝料は、通院頻度に応じて増え続けるわけではありません。適切な金額の慰謝料を受け取りたいなら、医師と相談しつつ、3日に1回を目安に通院しましょう。
まずは、慰謝料と通院頻度の関係性や、毎日通院することで生じるデメリットを解説していきます。
毎日通院しても慰謝料が最高額になるわけではない
交通事故で請求できる慰謝料のうち、通院頻度や通院期間が金額に影響するのは「入通院慰謝料」です。
入通院慰謝料には「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」という3種類の計算方法があります。どの計算方法でも、毎日通院すれば慰謝料が高額になるわけではありません。
それぞれの計算方法を簡単に見てみると、金額に違いはあるものの、毎日通院にあまり意味がないことがわかります。
- 自賠責基準
- 4,300円×(「治療期間」または「実際に治療した日数×2」の少ない方)
- 2日に1度通院した場合に慰謝料が最大になり、それ以上は変わらない
- 任意保険基準
- 保険会社ごとに基準が異なり、計算方法は非公開
- 弁護士基準
- 下表のとおり、通院・入院の月数ごとに慰謝料額が決まっている
- 毎日通院しても数日に1回のペースで通院しても、基本的に金額は変わらない
次に、通院期間を60日と仮定し、入通院慰謝料を試算してみましょう。
基準 | 通院頻度 | 慰謝料 |
---|---|---|
自賠責基準 | 3日に1回 | 17.2万円 |
自賠責基準 | 2日に1回 | 25.8万円 |
自賠責基準 | 毎日 | 25.8万円 |
弁護士基準 | - | 36万円 |
上記の試算例からも、毎日通院しても入通院慰謝料が高額になるとは言えないことがわかります。
なお、自賠責基準だけを見ると、慰謝料がもっとも高額になるのは2日に1回通院した場合です。
しかし、同じ通院頻度でも自賠責基準より弁護士基準の方が慰謝料は高額になります。
そのため、自賠責基準を意識して2日に1回通院する必要もありません。
繰り返しになりますが、通院頻度は医師の指示を守るようにしてください。
慰謝料計算の詳細はこちら
- 入通院慰謝料の計算方法がわかる
- 基準別の慰謝料の計算方法がわかる
- 自賠責基準:自賠責保険から慰謝料はいくらもらえる?
- 弁護士基準:交通事故の慰謝料は弁護士基準で請求
慰謝料の観点から通院頻度は「3日に1回」が目安
適切な通院頻度は、怪我の状態や治療の経過などによって異なります。そのため、基本的には医師に指示された通院頻度を守るようにしましょう。
そのうえで、慰謝料の観点から通院頻度の目安をお伝えすると、3日に1回程度の頻度で通院するのが望ましいとされています。
通院頻度があまりに低いと、加害者側に「もう治療の必要はないのにむりやり通院期間をのばしている」「被害者が治療に消極的だったせいで通院期間が長くなった」と疑われ、慰謝料が減額されたり治療費が打ち切られたりする可能性があります。
後者のような理由による減額を、「心因的素因減額」と言います。詳しくは『素因減額とは?減額されるケースや判断基準がわかる【判例つき】』をご確認ください。
医師の指示で通院頻度が低くなる場合は?
なお、医師の指示を守った結果、通院頻度が低くなるケースもあります。この場合は、加害者側の任意保険会社に事情を説明するようにしてください。
通院日数が少ない方は、『通院日数が少ない場合でも交通事故の慰謝料を適正額で獲得する方法』の記事もご参考ください。
毎日通院はリスクも大きい|慰謝料減額や交渉の難化もありえる
慰謝料の増額を目当てにむやみに毎日通院した場合、以下のようなリスクも生じるので注意してください。
- 慰謝料や治療費が減額される
- 示談交渉で加害者側ともめやすくなる
なお、医師から毎日通院するよう指示を受けており、毎日通院すべき理由を医学的・客観的に証明できるなら、毎日通院しても問題ありません。
むしろ、医師から毎日通院するよう言われているのに指示を守らなかった場合は、「被害者の治療に対する意欲が低かったために通院期間が延びた」として慰謝料を減額されるおそれがあるので注意しましょう。
ここからは、医師の指示がないのに毎日通院するリスクを詳しく確認していきます。
慰謝料や治療費が減額されるリスクについて
毎日通院していると、加害者側の任意保険会社から過剰診療を疑われるリスクがあります。
加害者側の任意保険会社は、あくまでも「交通事故の怪我を治すために必要だった治療分」の入通院慰謝料や治療費しか支払いません。
よって、過剰診療を疑われると、「本来は通院しなくてもよかった」と判断された日や期間については入通院慰謝料や治療費を支払ってもらえなくなるのです。
たとえば…
- 本来は「90日間、3日に1度通院」が必要だった
- しかし、被害者の独断で「90日間、毎日通院」してしまった
- その結果、加害者側から過剰診療を疑われ、「本来の治療期間は30日だと思われるので、その分しか支払いません」と下表のように減額される可能性がある。
請求した金額 | 減額後の金額 | |
---|---|---|
治療費 | 90日分 | 30日分 (60日分は自己負担) |
入通院慰謝料 (自賠責基準の場合) | 38.7万円 | 25.8万円 |
入通院慰謝料 (弁護士基準の場合) | 53万円 | 19万円 |
※実際に減額されるか、いくら減額されるかはケースによって異なる
示談交渉でもめやすくなるリスクについて
交通事故の慰謝料をふくむ「示談金」は、基本的に加害者側の任意保険会社との示談交渉で決まります。
このとき、示談金のうち「傷害分の費目」の合計が120万円をこえると、示談交渉でもめやすくなる傾向にあります。傷害分の費目とは、交通事故の怪我に治療中に発生する費目で、治療費、入通院慰謝料、休業損害などが含まれます。
示談交渉でもめやすくなる理由は、「加害者側の任意保険会社が負担しなければならない金額が発生するから」です。
交通事故の示談金は、加害者側の任意保険会社から一括して支払われますが、その内訳には「任意保険会社が負担する分」と「自賠責保険会社が負担する分」があります。
傷害分の費目については、120万円までは自賠責保険の負担、120万円を超えた分は任意保険の負担になります。
傷害分の費目が120万円を超えると、加害者側の任意保険会社は自社が支払う金額を少しでも減らそうと、厳しい態度で交渉に臨んでくることになるのです。
もちろん、必要な治療を受けた結果、傷害分が120万円を超えるのは仕方がありません。
しかし、示談交渉でもめるリスクをおかしてまで、あえて毎日通院する必要はないと言えるでしょう。示談交渉でもめた結果、慰謝料を含む示談金が減る可能性も高いためです。
なお、自賠責保険から支払われる金額の上限は、示談金の種類ごとに定められています。詳しくは、『交通事故慰謝料が120万を超えたらどうなる?自賠責保険の限度額や請求方法を解説』の記事をご覧ください。
通院頻度・回数以外にも慰謝料のために気を付けるべき点
交通事故で通院する際は、通院頻度以外にも以下のような点に注意する必要があります。
- 治療やリハビリの内容
- 整骨院に通うときは病院にも通い続ける
- 治療費の打ち切りがあっても通院を検討すべき
- 自己判断で仕事を休んで通院しない
それぞれの注意点を確認していきましょう。
(1)治療やリハビリの内容にも要注意|漫然治療はNG
医師の指示どおりの頻度で通院していても、治療やリハビリの内容が「漫然治療」と判断されると、慰謝料を減額されたり、治療費を打ち切られたりする可能性があります。
漫然治療とは、必要性の低い治療を漫然と続けることを言います。以下のようなケースに当てはまると、漫然治療と判断されることがあるでしょう。
- 湿布をもらうためだけに通院している
- 怪我の回復に効果のないリハビリや施術を惰性的に続けている など
加害者側の任意保険会社は、被害者が受けている治療の内容や経過を知ることができます。
よって、漫然治療を続けていると、「もう治療を終えても問題ないでしょう」と治療費を打ち切られたり、「この日以降の治療は余分でしょう」と慰謝料を減額されたりするおそれがあるのです。
なお、漫然治療でない限り、リハビリ治療を受けている場合でも入通院慰謝料や治療費は請求可能です。詳しくは、『交通事故の慰謝料はリハビリでももらえる!計算方法と通院の注意点7つ』の記事をご覧ください。
(2)整骨院に通うときも病院に通い続ける
交通事故で負傷ししたため、整骨院(接骨院)で施術を受ける方も多いですが、基本的に交通事故の治療は病院で行うこととし、整骨院は医師の許可を得たうえで併用するものと考えてください。
開院している時間や場所などの関係で、やむを得ず整骨院に通う頻度の方が高くなることもあるかもしれません。
その場合も、最低でも1か月に1回は病院で診察を受けましょう。その理由は以下のとおりです。
- 整骨院だけに通っていると、慰謝料や治療費が減額されるおそれがある
- 整骨院では受けられない検査がある
- 整骨院では診断書を書いてもらえない
上記の理由について、詳しく見ていきましょう。
整骨院だけだと慰謝料や治療費が減額されるおそれがある
整骨院での施術は、病院での治療に比べ、必要性を疑問視されやすいです。
整骨院で受けられる柔道整復術は、医師による医療行為とは別物になります。
そのため、医学的な必要性に欠けるとみなされ、治療費の対象とならない可能性があるのです。
整体院の施術が「怪我の治療のために医学的に必要である」と認められるためには、以下の手順を守る必要があります。
- 事前に医師から整骨院に通う許可を得る
- 加害者側の任意保険会社にも整骨院に通うことを連絡しておく
- 整骨院に通いはじめてからも、病院にも月に1回以上通う
上記の手順を踏まず、整骨院だけに通い続けた場合、「整骨院に漫然と通い、不正な慰謝料請求をするつもりでは?」「整骨院での施術は単なる健康維持のためのもので、交通事故の怪我と関係ないのでは?」と疑われ、慰謝料を減額されたり、治療費を打ち切られたりする可能性があるでしょう。
交通事故の治療で整骨院に通いたい場合は、事前に『交通事故の治療を整骨院で受けても慰謝料はもらえる|慰謝料の計算と注意点』の記事を確認することをおすすめします。
整骨院では受けられない検査がある
整骨院で医学的な検査をすることは認められていません。
とくに、整骨院では、整形外科で受けられるレントゲン・CT・MRIといった画像検査が受けられないことに注意が必要です。画像検査は以下の目的で用いられ、交通事故の治療では重要になるからです。
- 適切な治療方針を立てる
- 治療期間や治療方法が適切なものだったと加害者側の任意保険会社に証明する
- 後遺症が残った場合に「後遺障害認定」の審査を受ける
なお、画像検査は交通事故の直後や治療を終えるときだけではなく、治療中でも定期的に受け、経過を記録しておく必要があります。
整骨院だけに通っていた場合、画像検査を受けられず、治療期間や治療方法が不適切だとして慰謝料を減額されたり、後遺症が残っても後遺障害認定を受けられなかったりする可能性があるでしょう。
整骨院では診断書を書いてもらえない
整骨院で施術をする柔道整復師は医師ではないため、診断書を発行できません。
交通事故で医師に診断書を書いてもらう場面は、事故の直後以外もあります。
交通事故による後遺症が残ったときは、後遺障害認定の審査を受けるため、「後遺障害診断書」を発行してもらう必要があるのです。
後遺障害診断書には症状や治療経過を記載する必要があります。
そのため、事故の直後や治療を終えるときだけ病院を受診しても、後遺障害診断書を書いてもらえないか、書いてもらえても内容が不十分である可能性が高いです。
後遺障害診断書がなかったり内容が不十分だったりすると、後遺障害認定を受けられず、加害者側に請求できる金額が減ってしまいます。
そのため、定期的に病院にも通い、医師による診察を受ける必要があるのです。
なお、後遺障害診断書については、『後遺障害診断書のもらい方と書き方は?自覚症状の伝え方と記載内容は要確認』の記事で解説しています。
(3)治療費打ち切りを打診されても通院を検討しよう
医師の指示を守って通院していても、治療の途中で加害者側の任意保険会社から「治療費の支払いを打ち切ります」と打診されることがあります。
このような打診があった場合に、打診があっただけで通院をやめないようにしましょう。
まだ治療を続けるべきなのに治療費打ち切りにともなって通院をやめてしまうと、治るはずの怪我が治らなくなってしまいます。
また、通院期間が短くなった分、慰謝料も本来受け取れるはずの金額より減ってしまうでしょう。後遺症が残ったとき、「治療を十分していない」として後遺障害認定を受けられないリスクも生じます。
加害者側の任意保険会社は、被害者の怪我の状況に関係なく、機械的に治療費打ち切りの判断をしている可能性があります。
たとえば、「むちうちなら事故から3か月経てば治るだろうから、治療費を打ち切っていいだろう」といったような形です。
よって、加害者側の任意保険会社から治療費打ち切りの連絡があった場合は、まずは医師に治療を続けるべきか確認してください。まだ治療をやめてはいけないなら、以下のように対応しましょう。
- 医師の意見書をもとに、治療費打ち切りの延長を交渉する。
- 治療費を被害者で立て替えて治療を継続する。
立て替えた治療費は、示談交渉で加害者側に請求する。
詳しい対処法は『交通事故の治療費打ち切りを阻止・延長する対応法!治療期間はいつまで?』で解説しているので、ご確認ください。
【コラム】治療期間は保険会社が決めるもの?
治療が必要かどうかは医師の判断が尊重されるため、保険会社が決めるものではありません。
加害者側の任意保険会社は、被害者の怪我の状況に関係なく、機械的に治療費打ち切りの判断をしている可能性があるため、打ち切り以降の治療が不必要なものであったとは限らないのです。
保険会社側は、打撲は1ヶ月程度、むちうちは3ヶ月程度、骨折は6ヶ月程度といった目安の治療費支払い期間を社内で決めているものと考えておきましょう。一定期間を経過したら治療費は一括対応しないという考えのもと、治療費の打ち切りを打診してくるのです。
治療費の打ち切りと治療の終了は全く別物になります。もし治療費が打ち切られたとしても、医師の指示を守って治療を続けることは大切です。
(4)自己判断で仕事を休んで通院はしてはいけない
交通事故の怪我で通院するため仕事を休んだ場合、その分の減収は「休業損害」として加害者側に請求できます。
ただし、休業損害として減収の補償を受けられるのは、原則として通院のため仕事を休んだ日と、医師の指示で仕事を休んだ日のみです。
「怪我をした部位に痛みがある」といった理由で自己判断で仕事を休む場合、休業損害の対象にならない可能性が高いので注意しましょう。
もし、「痛みがひどくてどうしても仕事ができない」といった理由で自己判断で仕事を休むなら、可能であれば病院で診察を受け、医師に状態を記録してもらっておくことをおすすめします。
医学的な記録を残しておけば、補償を受けられる可能性が上がります。
休業損害について詳しく知りたい方は、『交通事故の休業損害|計算方法や休業日の数え方、いつもらえるかを解説』の記事も併せてお読みください。休業損害の計算方法や休業損害の対象日の数え方など、休業損害のあらゆる疑問にお答えしています。
慰謝料を最大限もらうために毎日通院より大切なこと
交通事故で慰謝料を増やすために毎日通院する必要はないことや、通院中に気をつけるべきポイントを解説してきました。
ただ、「毎日通院しなくていいことはわかったけど、交通事故の慰謝料でなるべく損をしたくない」「交通事故で精神的な苦痛を味わったので、納得のいく慰謝料を受け取りたい」と感じている方もいらっしゃると思います。
この章では、上記のような方に向けて、毎日通院しなくても交通事故の慰謝料を最大限に受け取る方法をお伝えします。
「弁護士基準」の慰謝料を獲得する
交通事故の慰謝料を算出するときは、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準のいずれかの算定基準を用います。
3つの算定基準のうち、最も慰謝料が高くなるのは弁護士基準です。
しかし、加害者側の任意保険会社は、一般的には自賠責基準や任意保険基準で計算した金額を提示してきます。
よって、慰謝料を最大限受け取るには、自賠責基準や任意保険基準ではなく、弁護士基準で計算した金額を認めてもらうことが大切です。
ここで、各算定基準で計算した入通院慰謝料の金額を比較してみます。
任意保険基準は非公開のためここでは割愛しますが、自賠責基準と同額~やや高額な程度と考えてご覧ください。
通院期間 | 自賠責基準※ | 弁護士基準※※ |
---|---|---|
1か月 | 12.9万円 | (重)28万円 (軽)19万円 |
2か月 | 25.8万円 | (重)52万円 (軽)36万円 |
3か月 | 38.7万円 | (重)73万円 (軽)53万円 |
4か月 | 51.6万円 | (重)90万円 (軽)67万円 |
5か月 | 64.5万円 | (重)105万円 (軽)79万円 |
6か月 | 77.4万円 | (重)116万円 (軽)89万円 |
※2020年4月1日以降に発生した交通事故で、2日に1度通院した場合。
※※(重)は重傷の慰謝料算定表、(軽)は軽傷の慰謝料算定表に基づく。
いずれの場合も、弁護士基準の金額の方が高くなることがわかります。
ただし、被害者自身が弁護士基準の金額を支払うよう主張しても、加害者側の任意保険会社が認めることはほとんどありません。弁護士基準は裁判基準と呼ばれることもあり、本来は裁判を起こさなければ獲得が難しいのです。
しかし、弁護士を立てれば、示談交渉でも弁護士基準に近い金額の獲得が期待できます。
弁護士を立てると裁判に発展する可能性が高くなり、裁判となると、弁護士基準の金額が認められることになります。
また、加害者側の任意保険会社にとって、裁判は時間がかかったり、遅延損害金も支払わなければならない可能性があったりとデメリットが大きいです。
それならば、「示談交渉の段階で弁護士基準に近い金額を認めよう」と判断されることが多いでしょう。
交通事故の慰謝料を最大限に受け取りたい方は、弁護士費用特約などを利用し、弁護士を立てることを検討してみてください。
関連記事
- 弁護士による増額事例がわかる
『交通事故慰謝料って増額できる?弁護士への依頼で増額した実例5選』 - 自力で交渉するポイントと、自力では増額が難しいケースがわかる
『交通事故の示談テクニック8つ!自分でできる交渉術と慰謝料増額の近道』
後遺症が残ったら後遺障害認定を受ける
交通事故で6か月以上治療を続け、後遺症が残ったら、「後遺障害認定」を受けることで慰謝料を含む示談金が増額されることが期待できます。
後遺障害認定とは、後遺症の症状が1級から14級まである「後遺障害等級」に認められることを言います。
後遺障害認定を受ければ、「後遺障害慰謝料」「逸失利益」といった費目を新たに加害者側に請求できるようになるのです。
たとえば、むちうちで後遺症が残った場合、後遺障害12級または14級に認定される可能性があります。認定されれば、以下の金額の後遺障害慰謝料を請求が可能です。
等級 | 認定要件 | 後遺障害慰謝料※ |
---|---|---|
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの | 290万円 |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの | 110万円 |
ただし、後遺障害認定は、後遺症が残ったら必ず受けられるものではありません。
症状固定(これ以上治療しても症状が改善しないと判断された状態)のタイミングが不適切だったり、認定審査の対策が不十分だったりすると、認定を受けられないこともあります。
後遺障害認定の申請手続きや症状固定については、以下の関連記事で詳しく解説しています。
慰謝料以外の費目も十分に請求できているか確認する
慰謝料は、あくまで交通事故の示談金の一部になります。
慰謝料以外の費目についても十分に請求できているか確認することも重要です。
加害者側の任意保険会社は、本来なら請求できるはずの費目を外したり、被害者が不利になる計算方法を用いたりして、慰謝料以外の費目も低額にしてくることがあります。
以下に、示談金の費目が確認できるチェックシートを用意しました。
各費目の計算方法もあわせて記載しているため、ぜひご利用ください。
各費目の計算方法をより詳しく知りたい方は、『交通事故の損害賠償請求とは?賠償金の費目範囲や相場・計算方法を解説』の記事もあわせてご活用ください。
弁護士への相談・依頼で適切な慰謝料まで増額が可能
交通事故において適切な金額の慰謝料を得るには、通院頻度だけではなく、弁護士基準で慰謝料を計算することや、適切な後遺障害等級に認定されることが大切です。
弁護士基準で計算した慰謝料の請求や、適切な後遺障害等級の認定は、弁護士に相談・依頼を行い、弁護士に行ってもらうのが良いでしょう。
この章では、実際にアトム法律事務所の弁護士が依頼を受け、慰謝料などの増額に成功した事例を厳選して紹介します。
増額実績(1)軽傷の示談金が約4.2倍になったケース
傷病 | 指の亀裂骨折、膝・左肩・右腕の打撲 |
後遺障害等級 | なし |
当初の提示額 | 35万円 |
最終的な回収額 | 148万円 (113万円増額) |
上記の事例では、被害者の方は指の骨のヒビ、打撲といった怪我を負われました。
幸いにも後遺症が残らなかった比較的軽傷の事故ではありますが、軽傷だからと言って、示談金を安く見積もられてよいわけではありません。
加害者側の任意保険会社が提示してきた金額には、弁護士から見れば十分な増額の余地がありました。弁護士が交渉した結果、当初の提示額から約4.2倍増額された148万円で示談成立となったのです。
なお、比較的軽傷の事案の場合、「示談金が増額されても、弁護士費用を支払ったら結局損してしまうのでは?」と懸念される方もいらっしゃると思います。
詳しくは後述しますが、弁護士費用特約を使えば基本的に自己負担なしで弁護士に依頼することも可能です。その場合、増額された示談金をすべて被害者の方が受け取れることになります。
弁護士費用特約を使えない場合も、示談金の増額幅と弁護士費用の見積もりをとり、依頼した方がよいのか検討することもできます。
「軽傷だから弁護士依頼は大げさだろう」と思い込まず、無料相談を利用してみるのが大切です。
増額実績(2)むちうちの示談金が約260万円になったケース
傷病 | 頚椎捻挫 |
後遺障害等級 | 14級9号 |
当初の提示額 | 75万円 |
最終的な回収額 | 261万円 (186万円増額) |
上記の事例では、むちうちを負った被害者の方が、適正な示談金はいくらかアトムにご相談されたことがご依頼のきっかけとなりました。
弁護士が事故後の状況をヒアリングしたところ、後遺障害認定を受けられる可能性が十分にあることがわかりました。弁護士が等級認定に向けてのサポートを行った結果、無事14級9号に認定され、示談金も約3.5倍の261万円に増額されたのです。
このように、被害者自身では後遺障害に認定されるとは思っていなくても、実際には可能だったケースも存在します。
また、「このお金は請求できると思っていなかったけど実際はできた」といったケースもあるため、示談前に弁護士の確認を受けてみてください。
上記のケースでは弁護士が後遺障害認定のサポートも行いました。
弁護士に依頼するメリットには、その他にも「加害者側とやり取りすることによるストレスの軽減」「早期の示談成立」などさまざまなものがあります。
弁護士に依頼するメリットをさらに詳しく知りたい方は、『交通事故を弁護士に依頼するメリット8選|弁護士は何をしてくれる?』の記事もご一読ください。
「弁護士費用がかかるので損」はよくある誤解
交通事故で弁護士に依頼することに関するよくある誤解が、「弁護士費用がかかってしまうので、とくに軽傷の事故では弁護士に依頼するとかえって損をする」というものです。
実は、以下の方法を使えば、弁護士費用がかかって損することはほとんどありません。
- 弁護士費用特約を使う
- 無料相談で見積もりをとる
弁護士費用特約とは、弁護士費用を保険会社に支払ってもらえる特約のことです。特約には補償の上限があり、多くの場合で弁護士費用300万円、法律相談料10万円とされています。
示談金が数千万円を超えないかぎり、弁護士費用が300万円を超えることはほぼありません。
よって、弁護士費用特約を使えば、自己負担0円で弁護士を立てられるのです。
弁護士費用特約は自動車保険だけではなく、火災保険やクレジットカードなどにもつけられます。
また、被害者の家族の特約も使える可能性があるでしょう。「特約をつけたつもりはなかったが、実はついていた」といったケースもあるため、まずは保険の契約状況を確認してみましょう。
弁護士費用特約を使えない場合は、無料相談を利用し、弁護士費用と示談金の増額幅の見積もりをとるとよいでしょう。
事前に見積もりをとることで、最終的に手元に入る金額がどれくらいになるのか、弁護士に依頼したら逆に損してしまうのかを確認できます。
依頼すると損してしまうケースの場合、弁護士の方から教えてもらえることが多いです。
被害者自身はそこまで増額幅がないと思っていても、実際は弁護士に依頼することで大幅な増額が見込めるようなケースもあります。
そのため、示談前に一度は弁護士に確認しておくことをおすすめします。
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なお、依頼時の着手金も原則不要です。いま手元にお金がないという方も心配いりません。
実際に弁護士に依頼した人の口コミは?
ここからは、実際にアトム法律事務所に依頼された方からいただいた口コミを紹介します。
常に迅速丁寧にご対応いただき感謝しています。想定以上の賠償金を受け取れました。自分一人で対応していたら絶対に不可能な金額だったと思います。この度は本当にありがとうございました。
ご依頼者からのお手紙
丁寧で親切に対応いただきました。弁護士特約の範囲で相談してみようと気軽に慰謝料に関してメールでお問合せしたところ、金額アップが見込まれるというお返事で事務所にお伺いしました。結果は想定していた金額より大幅UPで驚きました。また何かあればお願いします。ありがとうございました。
ご依頼者からのお手紙
この度は、大変お世話になりました。妻が事故にあい、不安になっている所、弁護士にいろいろと相談にのっていただき、大変心強かったです。相手保険会社とのやり取りが一番心の負担になる所を弁護士さんにお願いする事で安心して通院する事ができました。また困った事がありましたら、一度相談させていただきたいと思います。いろいろとありがとうございました。
ご依頼者からのお手紙
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了