自動車保険に弁護士費用特約は必要?特約を使うと等級は下る?

更新日:

弁護士費用特約

自動車保険に弁護士費用特約が必要かどうかは、もしもの事故に備えておきたいのであれば必須でしょう。

事故にあった場合、弁護士費用特約に加入しておけば弁護士費用を気にすることなく、気軽に弁護士に依頼することができます。弁護士費用特約を利用しても、等級が下ることもありません。

弁護士費用特約の加入が必要か迷っている場合、本記事をお読みいただければ、弁護士費用特約の重要性がおわかりいただけるでしょう。

交通事故の無料法律相談
相談料 無料
毎日50件以上のお問合せ!

自動車保険に弁護士費用特約は必要?

特約があれば交通事故が起きても安心

自動車保険に加入する際、弁護士費用特約を付けておけば、突然の事故に巻き込まれたとしても安心です。

弁護士費用特約とは、相談料や報酬といった弁護士費用を保険会社が補償してくれる保険オプションです。

補償額には一定の限度額があるものの、この特約が付いていれば多くのケースで弁護士費用を自己負担せずに、弁護士のサポートが受けられます。

弁護士に相談・依頼することによる費用の負担により、被害者が得られる損害賠償金が依頼しない場合より減少してしまうという費用倒れを気にする必要がなくなるのです。

弁護士費用特約のメリットや使い方について知りたい方は『交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方』の記事をご覧ください。

弁護士費用特約のデメリット

弁護士費用特約のデメリットは、保険料が増額するぐらいしかありません。

増加する金額も年間2,000~3,000円程度におさまることが多いので、気軽に契約できると思います。少しの料金で大きな安心が得られると思えば、値段以上の価値があるといえるのかもしれません。

弁護士費用特約が利用できないケースがあることに注意

弁護士費用特約が付いていても、すべてのケースで必ず利用できるとは限りません。

被害者に故意や重大な過失がある事故であったり、親族間の事故であったりするなど、事故の内容によっては特約が利用できないこともあるので、注意が必要です。

また、契約内容によっては、自動車事故以外の事故は補償の対象外となっていることもあります。

弁護士費用特約の補償対象について詳しく知りたい方は『弁護士特約が使えない交通事故とは?特約なしの対処法・あとから加入は可能?』の記事をご覧ください。

弁護士費用特約を使っても等級は下らない

弁護士費用特約の事故はノーカウント事故

一般的に、弁護士費用特約を利用しても保険の等級は下りません。弁護士費用特約を利用した事故は、「ノーカウント事故」だからです。

ノーカウント事故とは、保険を利用しても等級が下がらず、翌年の保険料に影響を与えない事故のことをいいます。

「弁護士に相談したいけど、保険を使うと翌年の保険料が上がるのでは?」と不安に思う方も多いですが、弁護士費用特約を利用しても等級は下がらず、保険料が上がることはありません。

ただし、弁護士費用特約以外の補償を同時に利用した場合、等級に影響が出る可能性もあるので注意が必要です。

自動車保険等級制度とは?

そもそも、自動車保険では契約者の事故リスクに応じて「等級」という仕組みが採用されています。等級が高いほど保険料の割引率が上がり、等級が低いほど保険料が高くなるのです。

もう少し具体的に言うと、前年に事故があった場合、事故の内容や保険を使った回数に応じて、自動車保険の等級が決まります。等級にはそれぞれ保険料の割引率が設定されており、等級が高くなれば割引率が上がって保険料が安くなり、等級が低くなれば割引率が下って保険料が高くなります。

等級別割増引率例

  • 1~6等級:等級が下がるごとに保険料が高くなる
  • 7~20等級:等級が上がるごとに保険料が安くなる

通常、弁護士費用特約を新規で契約した時点では6等級からスタートし、1年間無事故なら1等級上がり、事故で保険を使うと等級が下がる仕組みになっています。

こういった保険の仕組みから、自動車の任意保険を利用するとき保険の等級が下ることを心配される方が多いでしょう。

もっとも、弁護士費用特約は等級に影響を与えないノーカウント事故なので、特約を使っても保険料が上がりません。いざというときも安心して、弁護士費用特約を利用できます。

ノーカウント事故と等級が下がる事故の種類

弁護士費用特約はノーカウント事故ですが、対物保険や車両保険を併用すると、等級が下がる可能性があるため注意が必要です。

  • ノーカウント事故(等級に影響なし)
    • 弁護士費用特約の利用
    • 人身傷害保険
    • 搭乗者傷害保険
    • ファミリーバイク特約
  • 対物賠償保険・対人賠償保険の利用(等級に影響あり)
    • 人身事故を起こし、対人賠償保険が支払われた場合
    • 物損事故を起こし、対物賠償保険が支払われた場合
    • 通常の交通事故や自損事故を起こし、車両保険が支払われた場合

特約と一緒に対物保険等を使うと等級は上がる

弁護士費用特約の利用だけなら等級に影響しませんが、特約と一緒に対物保険や車両保険を使った場合、等級が下がる可能性があります。

たとえば、以下のようなケースでは弁護士費用特約の利用と同時に等級が変動することがあるため、事前に確認が必要です。

  • 事故で相手の車が壊れ、過失相殺で自己負担すべき部分を対物賠償保険で補った
  • 事故で自分の車が壊れ、過失相殺で自己負担になった部分を車両保険で補った

弁護士費用特約だけを利用する場合は等級に影響しませんが、他の保険を同時に使うと等級が3等級ダウンするケースもあります。
そのため、保険を使う前にどの補償が等級に影響するのかを確認することが大切です。

弁護士費用特約を特に必要とするケース

弁護士費用特約の利用が特に必要となるケースは以下の通りです。

  • 被害者の過失がゼロであるもらい事故などのケース
  • 高額な賠償金が生じる可能性のある重大事故のケース
  • 賠償金額が少額になりやすい軽微な事故のコース
  • 事故の相手方が無保険であるケース

それぞれのケースにおける、弁護士費用特約の必要性について解説を行います。

過失ゼロのもらい事故などのケース

被害者に過失がまったくつかないもらい事故や追突事故のケースでは、被害者が加入する保険会社に示談を任せることができないため、弁護士費用特約を利用して弁護士に依頼すべきといえます。

もらい事故や追突事故では弁護士に依頼しない場合、被害者本人が相手方と直接、示談交渉せねばなりません。

相手方は任意保険に加入していることがほとんどなので、示談交渉の相手は保険会社となります。保険会社は示談交渉のプロなので、被害者だけで示談交渉を行うことは簡単ではありません。

このような事情から、弁護士に依頼する必要性が大きいので、弁護士費用特約を利用すべきといえるでしょう。

高額な賠償金になる重大事故のケース

被害者が重傷を負ったり、死亡したりするなど重大な交通事故の場合、弁護士費用特約を利用して高額な弁護士費用を抑えつつ弁護士に依頼をすべきでしょう。

被害が重大であるほど賠償金が高額になりやすく、弁護士費用は「得られる賠償金額の〇パーセント」となることが多いです。

そのため、被害が重大な交通事故では弁護士費用も高額になりやすいでしょう。

高額な賠償金の中から支払えるとはいっても、弁護士費用を払えばその分の手取りが少なくなります。弁護士費用特約を利用して弁護士に依頼すれば、多くのケースで増額分を丸ごと受け取れます。

また、こういった高額な賠償金になる重大事故の場合、弁護士が介入することで生じる賠償金の増額の程度も大きくなりやすいため、弁護士に依頼する必要性は大きいといえるでしょう。

少額な賠償金になる軽微事故のケース

交通事故による被害が軽傷であったり、自動車の修理費用のみで済んだりするなど軽微な事故の場合、弁護士費用特約を利用して費用倒れを防ぐ必要性が高いでしょう。

こういった軽微事故の場合、賠償金も基本的に少額なため、弁護士に依頼すると賠償金よりも弁護士費用の方が高額になって費用倒れが生じやすいのです。

そのため、弁護士費用特約を利用して弁護士費用の負担をなくし、費用倒れを防ぎつつ弁護士に依頼する必要性が高いといえます。

相手方が無保険のケース

相手方が無保険の場合、弁護士に依頼して損害賠償請求を行ってもらうべきです。

相手方が無保険とはいっても通常、自賠責保険に加入しているでしょう。しかし、自賠責保険の補償上限を超える損害を被った場合、相手方本人に賠償金を請求する必要があります。

当事者同士だけでの話し合いだと示談がなかなか成立しにくいですが、弁護士が入ることで相手方が賠償金を払ってくれる可能性が高まるでしょう。

また、相手方の支払い能力が十分でない可能性もあるので、そういったケースでは被害者が加入する人身傷害補償保険など、他にカバーできる方法がないか弁護士がいれば検討してくれます。

相手方が無保険の場合は、被害者側の適切な対応が特に求められるため、弁護士費用特約を利用して弁護士への依頼を行うべきです。

自動車保険と一緒に特約加入すべきかは確認が必要

弁護士費用特約が必要であると判断し、自動車保険と一緒に加入しようと考えている方は、事前に以下の点について確認してください。

  • 自動車保険以外の保険に弁護士費用特約が付いていないか
  • 家族が加入している保険に弁護士費用特約が付いていないか

自動車保険以外の保険にすでに特約が付いていないか

通常、弁護士費用特約は自動車保険の特約として付帯することが多いです。しかし、火災保険や医療保険、クレジットカードなどにすでに付帯されていることもあります。

自動車保険の加入にあわせて弁護士費用特約が必要か検討する場合は、他の保険にも特約が付いていないか確認してください。

もっとも、特約の内容は契約ごとに異なります。どの範囲まで補償が受けられる特約なのかは、しっかり確認しておきましょう。

家族が加入する保険に特約が付いているか

家族が加入する保険に弁護士費用特約が付いていることも多いです。自動車保険の加入にあわせて弁護士費用特約が必要か検討する場合は、家族が付けている特約の補償範囲を確認してください。

一般的に、特約の被保険者(契約者)の配偶者や、同居の親族、別居の未婚の子どもなら、弁護士費用特約の補償範囲となります。

補償範囲に入っている場合は補償が重複しますので、新たに加入する必要はないでしょう。

事故に備えて弁護士費用特約の加入はおすすめ

弁護士費用特約を使って解決につながった事例

アトム法律事務所が取り扱った事案のうち、弁護士費用特約を使われた方の解決事例を紹介します。

肋骨骨折、頚椎捻挫の増額事例

弁護士相談の段階で後遺障害等級が既に認定済だったものの、慰謝料などの金額に増額の余地があったケース。弁護士特約費用が使えて負担もほとんどかからなかったとのお声あり。


弁護活動の成果

提示額の123万円から、最終的な受取金額が330万円まで増額された。

年齢、職業

20~30代、主婦・主夫

傷病名

肋骨骨折、頚椎捻挫、腰椎捻挫、腰痛

後遺障害等級

14級9号

むちうちの増額事例

比較的軽症の事案だったものの、弁護士費用特約を利用して、相談費用・弁護士費用を負担せずに弁護士のサポートを受けることができたケース。 


弁護活動の成果

最終的な受取金額が165万円になった。

年齢

20~30代

傷病名

むちうち

後遺障害等級

無等級

特約があれば積極的に弁護士依頼を検討しよう

弁護士費用特約があれば、弁護士に依頼する際の費用負担を気にせず、安心して交渉を任せることができます。

以下のようなケースでは、特に弁護士に依頼するメリットが大きいため、積極的に活用しましょう。

  • 相手方の保険会社の対応が不誠実で、交渉が進まない
  • 慰謝料や賠償金の金額が適正かどうかわからない
  • 示談交渉のストレスを減らしたい
  • 後遺障害認定の手続きをサポートしてほしい

弁護士に依頼すべきか迷ったら、弁護士費用特約を利用して、まずは無料相談を活用するのがおすすめです。

仮に、交通事故に巻き込まれてケガを負い、示談交渉をすることになったら、アトム法律事務所の弁護士にご相談ください。

交通事故被害者については、特約の有無に関係なく無料で法律相談が受けられます。

交通事故の無料法律相談
相談料 無料
毎日50件以上のお問合せ!

まとめ

自動車保険以外の保険にも家族が加入する保険にも、弁護士費用特約がない場合は、もしもの事故に備えて弁護士費用特約の加入がおすすめです。

「無事故、無違反でこれまでやって来られたから事故には遭わない」
「それほど運転しないので事故には遭わない」

このように考えていても、いつ事故に巻き込まれるかは誰にもわかりません。事故が起きてから、「弁護士費用特約を付けておけばよかった」と後悔する前に、特約の必要性を十分に理解して加入するかどうか検討しましょう。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

突然生じる事故や事件に、
地元の弁護士が即座に対応することで
ご相談者と社会に安心と希望を提供したい。