後遺障害等級は誰が決める?認定機関は?自賠責保険の後遺障害認定の流れも解説

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後遺障害等級

交通事故の損害賠償では、自賠責保険(共済)による後遺障害の等級基準を当てはまる症状について、等級に応じた賠償金が支払われます。

後遺障害等級を決めるのは、損害保険料率算出機構という認定機関です。

損害保険料率算出機構内にある自賠責損害調査事務所が調査を行い、後遺障害の有無や等級の認定がなされます。

この記事では、後遺障害等級は誰がどのように決めるのか、認定機関の審査を受けるにはどうすればよいのかなどを解説します。

後遺障害等級の認定を受けるコツも紹介しているので、ご確認ください。

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後遺障害等級は誰がどのように決める?

後遺障害等級を決める認定機関がある

後遺障害等級を決めるのは、損害保険料率算出機構という認定機関です。

損害保険料率算出機構内に設置されている自賠責損害調査事務所が申請書類を審査しつつ、事務所の顧問医の意見などを参考に、申請者の後遺障害等級について判定を行っています。

損害保険料率算出機構の認定結果に納得いかない場合は、異議申立てが可能です。この場合に再審査を行うのは、自賠責審査会となります。

後遺障害等級の認定機関

  1. 全国各地にある損害保険料率算出機構
  2. 自賠責審査会(異議申立てした場合)

基本的には書類審査で決まる

後遺障害等級は、基本的に書類のみで審査されます。書類のなかでも、後遺障害診断書や各種検査結果、担当医の意見書などが特に重視されるでしょう。

ただし、顔の傷のような「外貌醜状」と呼ばれる後遺症が残っている場合や、異議申し立てで再審査を受ける場合は、面接が実施されることもあります。

後遺障害等級の認定基準は?

後遺障害等級は、「交通事故と後遺症に関連性はあるか」「症状に継続性・一貫性はあるか」「後遺障害等級の認定基準を満たしているか」といった点から判断されます。

後遺障害等級の認定基準は、労災保険が定めたものに準じています。

例えばむちうちによる痺れや痛みは、後遺障害12級13号または14級9号に認定される可能性があります。各等級の認定基準は以下の通りです。

12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
※「後遺障害の存在や程度を、医学的・客観的に証明できる」という意味
14級9号局部に神経症状を残すもの
※「後遺障害の存在や程度を、医学的・客観的に推定できる」という意味

後遺障害等級の認定基準は曖昧な表現で定められていることも多く、理解しにくい傾向にあります。

後遺障害14級9号や12級13号といった神経症状での等級認定を目指す方は、関連記事『後遺障害14級9号の認定基準と慰謝料|逸失利益は5年?認定されないときは?』も参考にしてください。

後遺障害等級の認定基準については『【後遺障害等級表】認定される後遺症の内容が一覧でわかる』で一覧表形式にて解説しています。

認定機関で後遺障害等級認定の審査を受ける方法

後遺障害等級認定の流れ

交通事故発生から、後遺障害等級認定を受けるまでの手続きの流れは以下の通りです。

  • 症状固定となり治療終了
    症状固定とはこれ以上治療を行っても効果が見込めないという状態。医師により判断
  • 後遺障害診断書の作成
    治療を行ってくれた主治医に作成を依頼
  • 審査機関へ必要書類を提出
    提出方法は2つ
  • 審査結果の通知
    不服がある場合には異議申し立てが可能

認定機関に審査の申請をする2つの方法

認定機関である損害保険料率算出機構に後遺障害等級の審査をしてもらうためには、必要書類を提出しなければなりません。

このとき「加害者側の自賠責保険会社」または「加害者側の任意保険会社」のどちらかへ申請することになります。

それぞれの申請の流れや、申請方法の違いについて解説を行います。

加害者側の自賠責保険会社に後遺障害認定申請する方法

加害者側の自賠責保険会社に等級認定の書類を提出して審査を受ける「被害者請求」という方法があります。

被害者請求の流れ

加害者側の自賠責保険会社に提出する方法

「被害者請求」と呼ばれる方法。必要書類を申請者がすべて集め、加害者側の自賠責保険会社に提出すると、認定機関である損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所にて審査が行われる。

申請者が書類を収集するので、内容の精査や、症状がより伝わるように資料を添付するといった審査対策がしやすい。

自賠責損害調査事務所の認定結果は自賠責保険会社へと報告され、被害者にハガキで通知されます。
そして、自賠責保険の後遺障害の等級基準に応じた賠償金額が振り込まれるのです。

等級認定結果に納得がいったら、相手の任意保険会社に認定結果を伝えて示談交渉を始めていきましょう。

加害者側の任意保険会社に後遺障害認定申請する方法

加害者側の任意保険会社に後遺障害診断書を提出して、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所で審査を受ける「事前認定」という方法があります。

事前認定の流れ

加害者側の任意保険会社に提出する方法

「事前認定」と呼ばれる方法。申請者が主治医に書いてもらった後遺障害診断書を加害者側の任意保険会社に提出すると、残りの書類はすべて任意保険会社が用意し、認定機関に送ってくれる。

被害者請求のような審査対策はしにくいが、書類集めの手間がかからない点はメリット。

自賠責損害調査事務所にて審査された内容は、損害保険料率算出機構から任意保険会社へと報告されます。被害者には相手の示談担当者から電話連絡がきたり、ハガキで結果が通知されたりする流れです。

後遺障害認定の通知が届くのにかかる期間については、『後遺障害認定の通知書はいつ届く?非該当への対応や等級認定後の流れ』をお読みください。

自賠責保険の支払基準にそった賠償金は、相手方との示談成立後に「示談金」としてまとめて支払われます。

審査結果に納得がいく場合は、示談交渉を始める旨を相手の保険会社に伝えましょう。

審査方法はどちらにすべき?

どちらの方法でも認定機関である損害保険料率算出機構にて審査される点は同じです。
もっとも、被害者請求の方が書類の内容を見直すことができたりと工夫の余地があるといえます。

また、相手の任意保険会社に一任すると申請の経過が不透明になりがちですが、自分でおこなう被害者請求ならば認定結果に納得しやすいでしょう。

被害者請求と事前認定のどちらで申請するのかは自由に選べます。
適切な等級の認定を受ける可能性を高めたい場合には、手間がかかっても被害者請求によるべきです。

被害者請求では書類集めの手間がかかりますが、弁護士に依頼すると書類集めを任せることができます。専門知識や過去の認定事例を踏まえた審査対策もできるので、弁護士への依頼もご検討ください。

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被害者請求をもっと詳しく知りたい方は、関連記事『交通事故の被害者請求とは?自賠責へ請求すべき?やり方やメリットもわかる』も参考にしてください。

後遺障害等級を認定してもらうコツ

適切な後遺障害等級の認定を受けるためには、後遺障害の存在や程度を明確に証明できる書類を用意することが重要となります。

そのためのコツは以下の通りです。

  • 後遺障害等級の審査対策に適した検査を受け、結果を認定機関に提出する
  • レントゲン写真やMRI画像などに写った異常が見えにくい場合は、印をつけるなどの工夫をする
  • 必要に応じて医師の意見書や日常生活報告書なども添付する

後遺障害認定の申請では、治療の過程で受けた検査の結果を提出することが多いでしょう。
しかし、治療の過程で受ける検査は、「今後の治療方針や治療の効果を確認するため」のものです。

後遺障害等級の審査で重要となる、「後遺障害の存在や程度を証明するための検査」とは必ずしも一致しません。

後遺障害等級の審査で必要な検査については、弁護士のアドバイスを受けることも有効です。

また、画像所見に印をつけたり医師の意見書などを添付したりすることは、事前認定では難しい場合が多いです。
こうした意味でも、被害者請求の方がおすすめといえます。

後遺障害等級の認定に関するよくある疑問にお答え

後遺障害等級を決めるのは医師ではないのですか?

ご自身の担当医が後遺障害等級を決めることはありません。

「後遺障害が残った」「これは後遺障害◯級に該当する」などと言われることもあるかもしれませんが、それはあくまでも担当医の個人的意見です。

然るべき機関で認められた後遺障害等級でないと、後遺障害慰謝料などを請求する根拠にはなりません。必ず認定機関による審査を受けましょう。

治療期間は後遺障害等級の審査に影響しますか?

治療期間は後遺障害等級の審査に影響することがあります。

基本的には治療期間6ヶ月以上で症状固定になっていないと、後遺障害等級の獲得は難しいでしょう。

しかし、治療期間が6ヶ月以上でも、治療頻度が不適切だったり、無理に治療期間を引き伸ばしたような形跡があったりすると、審査に不利になります。

治療期間6ヶ月未満で症状固定になりそうな場合や適切な治療頻度がわからない場合は、弁護士にご相談ください。

弁護士は後遺障害認定のサポートも行っており、専門知識や過去の認定事例に精通しています。

後遺障害認定を受けられなかったらどうなるの?

後遺障害認定を受けられない場合には、後遺症に関する賠償は原則請求できません。

具体的には、後遺障害慰謝料、逸失利益などの請求が認められないため、後遺障害認定を受けられた場合よりも示談金が下がるでしょう

後遺障害認定を受けられなかった場合には、もう一度審査を求める異議申立てや、自賠責保険・共済紛争処理機構に審査を求めるという方法が考えられます。

審査結果の通知内に記載されている非該当の理由から、適切な対処を考えていきましょう。

あるいは民事裁判によって、後遺障害等級の認定とそれに見合った後遺障害慰謝料の支払いを認めてもらうことも可能です。

後遺障害認定の結果に不服がある場合の対処法について

後遺障害認定の審査対策は弁護士に相談しよう!

後遺障害等級の認定を受けるにあたり、「どのように対策したらよいのかわからない」「被害者請求で認定確率を高めたいけれど、書類の準備に手間をかけられない」などといった悩みを抱える方は多いです。

弁護士にご依頼いただけば、審査対策も書類の準備も任せられるだけでなく、後遺障害認定後の示談交渉においても適正な示談金獲得を目指せます。

アトム法律事務所では、電話・LINEにて無料相談を実施中です。

法律相談予約は24時間体制で受け付けているので、手が空いたタイミングで気軽にご連絡ください。

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法律相談のみの利用も歓迎しており、無理に正式な契約を迫ることはありません。

正式な依頼まで進んだ場合でも、弁護士費用特約を使うことができれば、保険会社に弁護士費用を負担してもらえます。弁護士費用特約が使えない方は、基本的に着手金が無料です。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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