交通事故で手のしびれが残った場合の後遺障害認定と慰謝料相場

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手のしびれ

交通事故で手のしびれが残る原因としては、刺激を伝える流れに異常が生じるためと考えられます。具体的には、末梢神経から脊髄を通じて脳へと刺激が伝わる経路に異常が生じてしまうためです。

つまり手にしびれが発生するパターンは、神経そのものが損傷を受けてしまったパターンと、その刺激を伝える経路が圧迫されているパターンの2つに分かれます。

この記事では、交通事故で手がしびれる原因と後遺障害認定、慰謝料の相場について解説しますので、ぜひ最後までお読みください。

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交通事故による手のしびれの原因と対処法

交通事故後に手がしびれてしまう原因について、どういったケガで、どんな範囲にしびれや異常が出てしまうのかをまとめています。

なお、交通事故のケガには個人差があるので、参考程度にご覧いただき、くわしい診断や治療は医師の指示に従ってください。

首のむちうちやヘルニアが原因の手のしびれ

首のむちうちは、交通事故の外力により首を強く振られてしまい、首付近の筋肉や神経が損傷してしまう状態です。神経症状として、手の麻痺やしびれがあらわれることがあります。

むちうちは診断名ではなく、頸椎捻挫や外傷性頚部症候群などと診断書に書かれていると、いわゆるむちうちです。

そのほか、刺激を伝える経路が損傷したパターンも、手のしびれを引き起こします。具体的には、椎間板ヘルニアや脊髄損傷といったケガの症状としても、手のしびれが起こるのです。

関連記事

胸郭出口症候群が原因の手のしびれ

胸郭出口症候群は、腕を動かすと手のしびれや痛みが出るものです。

胸郭出口とは、肩甲骨と鎖骨の間にある狭い空間で、腕神経叢と呼ばれる神経や鎖骨下動脈が通っています。胸郭出口症候群では、こうした神経などが圧迫されて、手のしびれや痛みが起こるのです。

胸郭出口症候群についてはこちらの関連記事『交通事故による胸郭出口症候群の後遺障害』でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

正中神経麻痺が原因の手のしびれ

正中神経麻痺は、手首の正中神経が圧迫されて起こる障害です。親指・人差し指・中指にかけて曲げづらくなる、肘を固定して前腕を前に出し、手首を回転させ、てのひらを下に向ける運動(前腕回内運動)ができなくなるなど、様々な症状が表れます。

親指の付け根などが委縮してしまい、見た目がサルの手のようになり、スムーズに物を掴めない状態になるでしょう。

正中神経麻痺の原因となる代表的なケガは以下の通りです。

  • 上腕骨顆上骨折
  • 腕の開放創や挫創
  • その他の骨折

手根管症候群が原因の手のしびれ

手根管症候群は、手首の手根管という狭いトンネルの中で正中神経が圧迫されて起こる、正中神経麻痺の一種です。手の親指、人差し指、中指、薬指までしびれや痛みなどの症状がみられることがあります。

こうしたしびれや痛みは就寝後や明け方にあらわれる傾向にあり、しだいに細々とした作業ができなくなっていくのです。正中神経麻痺の一種であり、同じように猿の手のような形に変形してしまいます。

手根管症候群の原因となる代表的なケガは以下の通りです。

  • 橈骨遠位端骨折
  • コーレス骨折
  • 月状骨脱臼
  • フォルクマン拘縮

手根管症候群の原因となる橈骨遠位端骨折、フォルクマン拘縮などは、手首を骨折することで発生します。手の骨折に関しては『交通事故で手を骨折!手首や手のひらに後遺症は残る?』の記事も参考にご覧ください。

橈骨神経麻痺が原因の手のしびれ

橈骨神経麻痺は、手首の橈骨神経が圧迫されて起こる障害です。手の甲のほか、親指と人差し指の間がひどくしびれます。橈骨神経の損傷部位によって下垂手あるいは下垂指という変形を起こします。

橈骨神経麻痺の原因となる代表的なケガは以下の通りです。

  • 上腕骨骨幹部骨折
  • 上腕骨顆上骨折
  • モンテジア骨折

橈骨神経麻痺の原因となる上腕骨顆上骨折、モンテジア骨折などは、腕を骨折することで発生します。腕骨折に関しては『交通事故の腕骨折で後遺症は残る?上腕骨・肘・腕の骨の後遺障害等級と慰謝料相場』の記事も参考にご覧ください。

尺骨神経麻痺が原因の手のしびれ

尺骨神経麻痺は、手首の尺骨神経が圧迫されて起こる障害です。手の小指や薬指がしびれたり、伸ばしづらくなります。また、母指内転筋や小指外転筋など一部の筋肉が脱力し、筋委縮を起こしてしまいます。その結果、鷲の手のような形状になるのです。

尺骨神経麻痺の発症位置が肘であれば肘部管症候群、手首で発症すればギヨン管症候群といいます。

尺骨神経麻痺の原因となる代表的なケガは以下の通りです。

  • 肘の関節付近に切り傷を負った
  • 上腕骨顆上骨折、上腕骨内上顆骨折
  • 変形性肘関節症

手のしびれが残った場合の対処法

手のしびれが残った場合の対処法は、しびれの原因によって様々です。

まずは安静にして痛み止めや炎症を抑える薬を服用したり、ときには固定が必要になる場合もあるでしょう。また、神経の圧迫の程度によっては手術が必要になる可能性もあります。

医師や医療スタッフの指示に従って治療・リハビリに専念しましょう。

交通事故後の手のしびれは後遺障害認定を受けられる?

交通事故後に治療やリハビリを続けても、手のしびれが残ってしまうことがあります。こうした手のしびれの後遺症は、後遺障害認定を受けることで賠償金の請求が可能です。

手のしびれの後遺障害等級

手のしびれといった神経症状は、後遺障害12級13号または14級9号の認定を受けられる可能性があります。

等級内容
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

最も骨折をしていて「動かしづらさ」や「変形」といった後遺症も残っており、しびれとは別に後遺障害認定を受けた場合には、後遺障害等級は併合されて繰り上がります。

こうした後遺障害等級のルールは少々複雑なので、後遺障害申請前あるいは後遺障害等級の結果通知を受けた場合には弁護士への相談が望ましいです。

後遺障害等級の併合ルールについて詳しく知りたい方は、関連記事『後遺障害等級の併合・相当・加重|複数の後遺症認定時のルールと慰謝料への影響』をお読みください。

手のしびれの後遺障害等級認定は難しい?

しびれや痛みといった自覚症状は、後遺障害認定を受けるうえで難しい部分があります。なぜならその症状の存在を他覚的に認めてもらう必要があるからです。

最も重要なことは、しびれを引き起こしている神経症状が画像検査で明らかになっていることです。交通事故との因果関係があり、なおかつ誰の目から見てもしびれが分かる場合には、12級13号認定を受けられる可能性があります。

しかしながら、被害者本人が神経症状を感じていても、画像検査からは明確に読み取れない場合もあるのです。そういった場合には、交通事故の態様や規模、事故直後からこれまでの治療の経過、神経症状の一貫性など総合的に審査され、14級9号の認定を受けられる可能性があります。

重要

  • 画像所見で異常がみられるときは医学的に証明できるものとして12級13号認定の可能性がある
  • 画像所見で異常がないときには、事故状況や治療の経過などから総合的に判断して、医学的に説明できると認められれば14級9号認定の可能性がある

交通事故で手のしびれが残った場合の慰謝料

交通事故による手のしびれは慰謝料の対象となります。具体的には、入通院慰謝料のみ請求できる場合と、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の両方を請求できる場合に分かれるでしょう。

手のしびれに対する入通院慰謝料の相場

入通院慰謝料とは、交通事故で負った怪我の痛みや、入院や通院などの治療を強いられた精神的苦痛を緩和するためのお金です。

弁護士が入通院慰謝料を計算するときには、次のような「慰謝料算定表」を用います。慰謝料算定表は2種類あり、重傷用と軽傷用とを使いわけなくてはなりません。

どちらの表を使うのかは、手のしびれの原因によって異なるため、詳細は弁護士におたずねください。

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

両方の表に共通しているのは、横列が入院月数、縦列が通院月数を示している点です。それぞれの入院・通院月数の交差する部分が入通院慰謝料相場です。

なお、慰謝料算定表の金額は裁判所でも認められた正当なものといえます。それにもかかわらず、相手の保険会社はこの慰謝料算定表の結果を下回る金額を提案してくるでしょう。

そのため、相手の保険会社が「この金額が上限です」「皆さんこの金額です」などと言われても、いったん保留にして、弁護士に増額の余地を確認してみてください。

手のしびれに対する後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料は、後遺障害等級認定を受けられた場合に、入通院慰謝料とは別に請求可能です。手のしびれに対する後遺障害慰謝料は、後遺障害12級13号ならば290万円、後遺障害14級9号ならば110万円が相場といえます。

後遺障害慰謝料
12級13号290万円
14級9号110万円

ただし、相手の任意保険会社は通常、上記の金額に到底及ばない、低額な慰謝料しか提示してきません。相手の任意保険会社に対して増額交渉をしていかねば、上記の金額を手にすることはできないのです。

この際、示談交渉において弁護士を立てることで、相手の保険会社も態度を変えやすく、こちらの増額希望を受け入れてくれる可能性が高まります。

示談交渉で弁護士を立てると増額交渉が通りやすい

交通事故で手のしびれが残ったら弁護士に相談

弁護士によるサポート内容

弁護士は、交通事故の被害者に対して次のようなサポートが可能です。

  • 相手からの連絡を一本化して被害者に連絡がいかないようにする
  • 後遺障害認定の申請手続きをサポートできる
  • 相手が提示する金額の妥当性を見極めることができる
  • 粘り強く増額交渉を続ける

どのような被害者なら弁護士の必要度が高いのか、弁護士に頼むべき理由を解説した記事『交通事故の解決は弁護士に頼むべき?大げさではない理由と弁護士の探し方』もあわせてご覧ください。

弁護士事務所によっては、交通事故の被害者に向けた無料法律相談を実施している場合があります。一度問い合わせてみると良いでしょう。

弁護士依頼の一歩は無料相談から

アトム法律事務所では、無料法律相談を実施しています。弁護士に依頼したいけど費用が気になるという場合、まずは無料の法律相談からはじめてみましょう。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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