遷延性意識障害は弁護士に依頼にすべき?メリットや依頼タイミング

この記事でわかること
交通事故によって遷延性意識障害(植物状態)となった場合、被害者やその家族は長期にわたる治療・介護の負担を抱えることになるでしょう。適正な賠償金を受け取ることで、経済的な負担を軽減し、今後の生活を支えるための準備が整います。
しかし、遷延性意識障害という深刻な状況でも、保険会社は自社の利益を追求して、被害者や家族が本来受け取るべき適正な賠償金を低く見積もって提示してくる可能性が高いです。
適切な賠償を受けるためには専門的な知識が欠かせません。弁護士に依頼することで、示談交渉の負担を軽減し、弁護士基準の慰謝料や逸失利益などの適正な賠償金を獲得できる可能性が高まります。
本記事の内容をおさえれば、弁護士に依頼すべき理由がわかります。
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弁護士に遷延性意識障害の賠償請求を依頼するメリット
交通事故で被害者が遷延性意識障害(植物状態)になった場合の損害賠償請求をご家族だけで対応するには限界があります。
遷延性意識障害の損害賠償請求で、弁護士が必要な理由と弁護士に依頼するメリットについて解説していきます。
もめやすい遷延性意識障害の示談交渉を任せられる
交通事故の被害者が遷延性意識障害という重篤な状態になった場合、示談交渉でもめる可能性が高くなります。その理由は次の通りです。
- 慰謝料・賠償金が非常に高額になりやすい分、少しでも金額をおさえようという相手方の意識が強くなり、被害者側の主張が通りにくくなる。
- 遷延性意識障害の場合、残念ながら平均余命が通常よりも短くなる可能性があり、それを理由に相手方が将来介護費や逸失利益の減額を求めてくる場合がある。
- 被害者自身による証言ができないため、正しい事故状況が判断しにくい。
上記3点から考えると、示談交渉で適切な慰謝料・賠償金を得るためには、シビアな態度で臨んでくる相手方に効果的に交渉するスキルが必要です。
また、被害者自身による証言ができない分、被害者側の主張を裏付ける証拠集めも入念におこなう必要があります。
それだけではなく、被害者の介護や財産の管理など行わなければらないことは多いので、肉体的にも精神的にも疲弊してしまう恐れがあります。
そのため、少しでもご家族の負担を軽くするために、弁護士に依頼し、代わりに示談交渉や証拠の収集を行ってもらうべきです。
依頼すべきかどうかお悩みの方は、弁護士に相談してみましょう。
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弁護士基準の慰謝料が請求できる
交通事故の慰謝料は、自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つのうち、いずれかの基準を用いて計算されます。このうち、最も高額な慰謝料を請求できるのが弁護士基準です。

自賠責基準は最低限の補償にとどまり、任意保険基準も保険会社ごとの基準により算定されるため、適正な補償に満たないことが多いでしょう。一方、弁護士基準は過去の裁判例をもとにした基準であり、適正な慰謝料額を受け取れる可能性が高まるのです。
弁護士が介入することで、被害者の精神的苦痛を正当に評価し、より高額な慰謝料を請求することが可能になります。保険会社との交渉においても、被害者に代わって弁護士が交渉を行うことで、被害者に不利な状況を回避し、適切な金額の獲得を目指せるようになります。
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逸失利益やその他賠償金を漏れなく算定できる
遷延性意識障害の被害者は、事故によって働けなくなることで、生涯にわたって収入を得られなくなる可能性があります。
そのため、本来得られるはずだった収入を逸失利益として適正に算定し、相手方に請求することが重要です。逸失利益の計算には、被害者の年齢や職業、収入状況などを考慮する必要があり、適切な算出には専門的な知識が求められます。
また、将来の介護費やリハビリ費用、必要な福祉用具の購入費用といった、その他の賠償金に関しても、適正に請求していかねばなりません。
弁護士に依頼することで、これらの賠償金を漏れなく算定し、適切な請求を行うことができます。保険会社が提示する金額だけを鵜呑みにせず、弁護士という法律の専門家の視点で正当な補償を受けられるようにしましょう。
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成年後見人に関するアドバイスがもらえる
遷延性意識障害の被害者は通常、自分で財産管理や手続きが困難になることが予想されるでしょう。
そのため、原則として家族が成年後見人となり、被害者の権利を守る必要があります。成年後見人は、賠償金の管理や日常の契約手続き、医療・介護サービスの利用契約などを被害者本人にかわって行うことができるようになる制度です。
ただし、成年後見人の選任には家庭裁判所での手続きが必要となり、申立ての際には多くの書類が求められます。
弁護士に相談すれば、成年後見制度の仕組みを説明してもらえますし、適切な手続きを進めることも期待できます。また、成年後見人の選任だけでなく、財産管理や賠償金の使い方についてもアドバイスを受けられるため、被害者の生活をより安定させることができるでしょう。
迫りやすい賠償請求権の消滅時効の対応を任せられる
被害者が遷延性意識障害になった場合、「損害賠償請求権の消滅時効」にも注意しなければなりません。これは、被害者側が相手方に対して損害賠償請求できる期限のことです。
被害者が遷延性意識障害の場合、治療や後遺障害等級認定の審査に長い時間がかかりがちで、示談交渉を始めるころにはすでに時効が迫っている可能性があります。
損害賠償請求権の消滅時効は、費目の分類別に次のように定められています。
費目 | 時効 | 項目 |
---|---|---|
傷害 | 事故翌日から5年 | 入通院慰謝料 治療関係費 休業損害 など |
後遺障害 | 症状固定翌日から5年 | 後遺障害慰謝料 後遺障害逸失利益 |
物損 | 事故翌日から3年 | 修理費 買い替え費 代車費用 など |
※相手方自賠責保険会社に対する被害者請求の時効はいずれも3年
消滅時効に加えて示談交渉ももめやすいため、示談が成立し、相手方への損害賠償請求が完了するまでにはさらに時間がかかるリスクがあります。
弁護士が介入すれば、損害賠償請求権の消滅時効を適切な手続きで延長することも可能ですし、示談交渉がスムーズに進む可能性もあります。
時効が迫ってきて十分に交渉できなかった、という事態を防ぐためにも、一度弁護士に相談してみてください。
弁護士費用を差し引いても獲得額が増えやすい
弁護士に相談・依頼をすると費用がかかるからと敬遠される方がいます。
とくに被害者が遷延性意識障害になってしまった場合、今後何かと費用がかかることを思えば、弁護士費用はネックとなるでしょう。
しかし、弁護士費用を差し引いてもなお、弁護士を立てた方が多くの損害賠償金が得られることは多いです。
また、弁護士費用は以下の方法によって抑えることもできます。
- 弁護士費用特約を使う
- 被害者の保険会社に弁護士費用を負担してもらえる
- 詳細:交通事故の弁護士費用特約とは?メリット・使い方・使ってみた感想を紹介
- 相談料・着手金が無料の事務所を選ぶ
- 初期費用が無料になるため、すぐに大きなお金が用意できなくても安心
- 成功報酬は、獲得示談金の中から支払える
- 弁護士費用の内訳:交通事故の弁護士費用相場はいくら?
弁護士を立てることで弁護士費用以上のメリットが得られるかどうかは、事前の法律相談で確認できます。
弁護士費用を敬遠して弁護士への依頼をあきらめる前に、まずは一度、無料相談を利用してみることがおすすめです。

遷延性意識障害で弁護士に依頼するタイミング
症状固定前がおすすめ
遷延性意識障害の賠償請求を検討する際、最も適切なタイミングは「症状固定前」です。
症状固定とは、治療によってこれ以上の回復が見込めない状態を指します。症状固定に意味については『症状固定とは?時期や症状固定と言われたらすべき後遺障害認定と示談』の記事が参考になります。
遷延性意識障害で症状固定だと判断されるまでは、交通事故にあってから1年程度の経過観察を行ったあとになることが多いです。
症状固定前に弁護士に相談すべき理由としては、症状固定前と症状固定後で賠償請求できる損害項目が切り替わる点があげられます。症状固定とする時期の判断を間違えると、症状固定後に要した治療関係費や入通院慰謝料などが請求できなくなってしまうからです。
症状固定前後で切り替わる主な損害項目
項目 | |
---|---|
症状固定前 | 治療関係費 入通院交通費 入院雑費 付添看護費 入通院慰謝料 休業損害 |
症状固定後 | 将来医療費 将来介護費 後遺障害慰謝料 逸失利益 |
症状固定前に弁護士に相談することで、賠償請求の見通しを早めに立てることができます。また、示談交渉の際に、将来の介護費や医療費を考慮した請求を行うことができるため、不足のない賠償を受けられるようになるでしょう。
さらに、適切な後遺障害認定の準備も弁護士に一任できるので、ご家族の負担も軽減されますし、適切な後遺障害が認定されれば、適正な後遺障害慰謝料・逸失利益の請求にもつながります。
早期の相談によって、賠償請求の準備がスムーズに進み、結果として適正な補償を受けることができるでしょう。
症状固定後でも遅くはない
すでに症状固定を迎えた場合でも、示談交渉に弁護士が介入することで、保険会社の提示額よりも高額な賠償金を獲得できるケースが多くあります。
また、後遺障害等級の認定が適正に行われていない場合、異議申し立てを行うことで等級を見直し、より高額な賠償を受けられる可能性があるかも弁護士なら検討できるでしょう。
そのため、「すでに症状固定だから…」と諦めず、一度弁護士に相談してみることをおすすめします。
遷延性意識障害の賠償請求はアトムにご相談ください
交通事故による遷延性意識障害の賠償請求は、被害者本人やご家族にとって非常に大きな負担となります。しかし、適切な補償を受けるためには、専門的な知識と経験が欠かせません。
アトム法律事務所は、事故被害者の方の賠償請求に関して経験を積んできており、適正な賠償額を獲得するためのサポートを行っています。また、無料相談をご活用いただければ、ご家族の不安や疑問に対してアトム法律事務所の弁護士が丁寧にお答えします。
「賠償金が適正なのかわからない」「保険会社の対応に不安がある」 という方は、まずは一度、アトム法律事務所にご相談ください。早期の相談が、適正な賠償金獲得の第一歩です。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了