医師が後遺障害診断書を書いてくれない4つの理由と対処法

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後遺障害診断書

医師が後遺障害診断書を書いてくれない場合、その背景には「まだ症状固定ではない」「治療の経過を十分に把握していない」といった正当な理由があることが多いでしょう。

しかし一方で、「後遺障害について診断書に残したくない」「交通事故問題に巻き込まれたくない」など正当ではない理由が隠れていることもあります。

それぞれのケースでどのように対処すべきか確認していきましょう。

後遺障害診断書を書いてもらえることになった場合のポイントについても解説します。

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医師が後遺障害診断書を書いてくれない理由と対処法

(1)まだ症状固定ではない

医師が後遺障害診断書を書いてくれない理由として考えられるのが、まだ症状固定ではないということです。

症状固定とは、これ以上治療を続けても大幅な改善は見込めないと判断されることです。

後遺障害診断書は症状固定となった症状について記録するものであるため、まだ症状固定ではない状態では書いてもらうことができません。

この場合は治療を継続し、医師から症状固定の診断を受けるまで待ちましょう。

(2)治療の経過を十分に把握していない

転院したなど、今の担当医が治療の過程を十分に把握できていない場合も、後遺障害診断書を書いてもらえないことがあります。

後遺障害診断書には、受傷当時の状態から現在にかけての治療経過・変化も書かなければなりません。それを踏まえて今後の見通しを書く欄もあります。

よって、医師が治療途中からのことしか把握できていない場合は、後遺障害診断書をかけないと言われることがあるのです。

この場合は、転院前の病院の医師から当時の治療記録を取り寄せて、それをもとに後遺障害診断書を書いてもらうよう、今の担当医にお願いしましょう。

転院前の病院でほとんどの治療を終えている場合は、当時の担当医に後遺障害診断書の作成を依頼することもできます。

(3)後遺症は残っていないと考えている

医師としては後遺障害が残っているとは思わない、ケガを完治させられなかったことを診断書に残したくない、というケースでも、後遺障害診断書の作成を断られることがあります。

しかし、これは後遺障害診断書を作成しない正当な理由とは言えません。

現在どのような症状をかかえているのか医師に詳しく伝え、まずは後遺障害が残っていることを認めてもらいましょう。

交通事故において後遺障害診断書を書いてもらえないと、どのような困ったことが起こるのか、丁寧に説明することもポイントです。

医師に後遺障害診断書を書いてもらえないとどのような点で困るのかは、後ほど詳しく紹介します。

(4)交通事故問題に巻き込まれたくない

医師や病院の中には、交通事故問題に巻き込まれたくないという理由で、後遺障害診断書を作成しない方針をとっていることがあります。

後遺障害診断書は、後遺障害等級の認定を受け、加害者側に賠償請求するために必要なものです。

こうした性質上、後遺障害診断書を作成すると、「示談交渉や裁判において証言などの協力を求められるのではないか」と思っている医師もいるのです。

しかし、これも後遺障害診断書の作成を断る正当な理由ではありません。

必ずしも示談交渉や裁判に協力してもらうとは限らないことを伝え、対応してもらえるようお願いしてください。

医師が後遺障害診断書を書いてくれないとどうなる?

後遺障害等級の認定審査を受けられない

医師が後遺障害診断書を書いてくれないと、後遺障害等級の認定審査を受けられません。

後遺障害等級の認定審査を受けるためには、必要書類を認定機関に提出する必要があります。この必要書類の中に後遺障害診断書も含まれているのです。

後遺障害等級の認定審査を受ける方法や必要書類については、『交通事故で後遺障害を申請する|認定までの手続きの流れ、必要書類を解説』で詳しく解説しています。

後遺障害分の賠償金がもらえない

後遺障害診断書を書いてもらえず、後遺障害等級の認定を受けられないと、後遺障害が残ったことに対する賠償金がもらえません。

後遺障害が残ったことに対する賠償金には、以下のものがあります。

  • 後遺障害慰謝料:後遺障害が残ったことによる精神的苦痛に対する補償
  • 後遺障害逸失利益:後遺障害が労働能力に影響し減ってしまう、生涯収入に対する補償

後遺障害が残ったのにそれに対する賠償金をもらえないのは、非常に理不尽です。また、後遺障害慰謝料も後遺障害逸失利益も、示談金の中で特に高額になりやすい項目です。

例えば、後遺障害等級の中で最も低い14級でも、後遺障害慰謝料は110万円になります。(弁護士基準の場合)

こうした意味でも、医師に後遺障害診断書を書いてもらい、後遺障害等級の認定を受けることは重要です。

後遺障害診断書を書いてもらえることになったら

後遺障害認定に適した書き方をしてもらおう

医師に後遺障害診断書を書いてもらえることになったら、後遺障害認定に適した書き方をしてもらいましょう。

後遺障害診断書は、ただ記入すればよいというものではありません。

交通事故と症状に関連性があること、症状に一貫性と継続性があること、その症状が後遺障害等級の認定基準を満たしていることなどがわかるような記載をする必要があるのです。

医学的観点から見て問題のない書き方であっても、後遺障害認定の審査対策という観点から見ると訂正すべき点があることもあります。

医師に後遺障害診断書を書いてもらう際には、自覚症状についてしっかりとすり合わせをし、完成後に被害者自身でも内容を確認してみてください。

そして訂正すべき点がある場合は、医師に修正をお願いしましょう。

後遺障害認定に適した後遺障害診断書の書き方については、『後遺障害診断書のもらい方と書き方は?自覚症状の伝え方と記載内容は要確認』を参考にしてみてください。

書き方について医師に伝えにくい場合の対処法

後遺障害診断書を書いてくれない医師を説得し、やっと対応してもらえることになった場合、診断書の書き方についてまで細かく言いにくいという場合もあるでしょう。

こうした場合は、一度弁護士に相談することをおすすめします。

医師に後遺障害診断書の書き方について伝えたり、後遺障害診断書を書くにあたって参考になる資料などを用意したりといったサポートが期待できます。

弁護士は後遺障害認定に適した後遺障害診断書の書き方に精通しているので、でき上がった診断書の内容チェックを依頼するのもおすすめです。

後遺障害診断書でお困りなら弁護士に相談

医師が後遺障害診断書を書いてくれないという場合は、弁護士にご相談ください。

医師に後遺障害診断書の必要性を説明したり、医師を説得したりする方法についてアドバイスを受けられます。

後遺障害診断書の内容チェックまで依頼すれば、質の高い診断書に仕上がり、適切な後遺障害等級に認定される確率も高まるでしょう。

アトム法律事務所では、電話・LINEにて無料相談を実施しています。

ご依頼まで進んだ場合でも、弁護士費用特約を使えば、多くのケースでご自身の費用負担はなくなります。弁護士費用特約が使えない方の場合は、基本的に着手金が無料です。

無料相談のみのご利用も可能なので、お気軽にご相談ください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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