交通事故による顔面麻痺は後遺障害等級認定される?神経症状や外貌醜状などを解説

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交通事故で顔面麻痺

交通事故による顔面麻痺は、顔面神経の損傷に起因します。

顔面神経は顔の筋肉を動かす役割をしているため、顔の片側の筋肉が動かなくなり、顔がゆがんだり、口が開きにくくなったりという症状が出てしまうのです。

こうした顔面麻痺は後遺症として残ることがあり、神経症状のほか、外貌醜状や目の運動障害といった後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。

本記事では、交通事故で顔面麻痺となり後遺症が残った場合にすべきことや、請求できる損害の内容などを解説しています。

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交通事故による顔面麻痺の原因と症状

交通事故による顔面麻痺がどういった場合にあらわれ、具体的にどんな症状となるのかをみていきましょう。

交通事故による顔面麻痺の原因

交通事故による顔面麻痺は、頭部外傷や顔面骨折などで生じる恐れがあります。

顔面麻痺の症状のあらわれ方

顔面神経麻痺のあらわれ方は、どの程度、どの範囲の神経が損傷を受けているかで異なります。
具体的には、顔が曲がる、目が閉じにくくなる、口が上がらない、飲食物をこぼす、笑うと顔がゆがむなどがあげられます。

また涙が出にくい、味覚異常などの症状が出ることもあるでしょう。

頭部外傷や顔面骨折では、顔面麻痺以外にも様々な症状が生じます。
詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

交通事故による顔面麻痺の後遺障害等級

交通事故による顔面神経麻痺の後遺症は、神経症状として後遺障害認定される場合と、外貌醜状として後遺障害認定される場合、症状次第では目の後遺障害認定される場合があります。

後遺障害に認定されるためにすべきことや、どのような後遺障害が認定されるのかについて、詳しく紹介していきます。

後遺障害が生じているという認定を受けることが必要

交通事故後に後遺症が残った場合には、後遺障害申請の手続きが必要になります。

申請手続きにより後遺症の症状が後遺障害に該当するという認定を受けることで、後遺障害の発生を原因とする損害賠償請求が可能となるのです。

後遺障害申請の手続きは、相手の保険会社に任せることもできますが、より適切な等級認定を受けたい、そもそも後遺障害認定を受けられるか微妙なラインである、といった場合、被害者自身で申請する方法を取るべきでしょう。

このような方法を被害者請求といいます。
被害者請求の具体的な方法については、『交通事故の被害者請求とは?自賠責へ請求すべき?やり方やメリットもわかる』の記事で確認可能です。

ただしこの方法は一人でやると手間もかかり、資料の作成・収集に時間がかかってしまいます。
そこで、弁護士を立てることで後遺障害申請の準備負担を大きく減らせるのです。

神経症状として認定される等級

交通事故による顔面麻痺は、後遺障害12級13号または14級9号に認定される可能性があります。

等級認定基準
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

顔面の神経症状は脳神経外科や神経内科などで見つかる場合もあります。頭部損傷や顔面骨折の場合などは顔の麻痺、引きつりなどの症状があることも知っておき、些細なことと思わず相談しましょう。

外貌醜状として認定される等級

顔面麻痺のために口のゆがみが生じている場合には、「外貌に醜状を残すもの」として後遺障害12級14号に認定される可能性があります。

等級認定基準
12級14号外貌に醜状を残すもの

POINT

もし顔面骨折などの手術痕が大きく顔に残ってしまっている場合には、顔の傷痕としてさらに重い後遺障害等級の認定がなされる可能性があります。

目の運動障害として認定される等級

顔面神経麻痺によりまぶたを閉じづらいなどの症状が出ている場合は、眼の障害として扱われるでしょう。

具体的には、両眼のまぶたに運動障害が出ている場合は11級2号、片方の眼のみならば12級2号認定の見込みです。

等級認定基準
11級2号両眼の瞼に著しい運動障害を残すもの
12級2号1眼の瞼に著しい運動障害を残すもの

著しい運動障害とは、まぶたを閉じても角膜を完全に覆えないもの、まぶたを開けても完全に瞳孔を覆ってしまうものをいいます。

交通事故による顔面麻痺の慰謝料や逸失利益はいくら?

交通事故によって顔面麻痺が残った場合、どのような損害について賠償請求が可能となるのかを解説します。

入通院慰謝料

入通院慰謝料とは、交通事故により生じたケガを治療するために入院や通院を行うことで生じる精神的苦痛を補償するための慰謝料です。

入通院慰謝料は治療期間を元に算定していきます。
相手の任意保険会社からは、入院ないし通院1日4,300円と提案される可能性がありますが、相場額を算出する計算基準である裁判基準では「治療期間」から金額を算出するのです。

弁護士が慰謝料を計算する際には、慰謝料算定表を使います。
慰謝料算定表には重傷用と軽傷用があり、交通事故で負ったケガの態様によって使い分けることになるのです。

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

慰謝料算定表の横列は入院月数、縦列は通院月数を示しており、入通院慰謝料はそれらの交差する部分の数字を見るとわかります。

たとえば、入院1ヶ月・通院5ヶ月のときを例に考えてみましょう。

それぞれの交差する部分をみるので、重傷のケースで141万円、軽傷のケースで105万円です。
もし入院なし・通院5ヶ月であれば、入通院慰謝料相場は重傷のケースで105万円、軽傷のケースで79万円となります。

このように、入院があると入通院慰謝料が高額になる傾向です。
もっとも、顔面神経麻痺を引き起こしたケガによって、重傷と軽傷いずれの表を使うかが変わるため、詳細は弁護士におたずねください。

重要

相手の保険会社に計算を任せていると、もっと低い慰謝料を提案される可能性があります。示談書にサインする前に、相手の保険会社の提案額が妥当なのか、弁護士に見積もってもらうと安心です。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、後遺障害が生じたことに対する精神的苦痛を補償するための慰謝料になります。

後遺障害慰謝料は、顔面麻痺という後遺症が、「後遺障害認定」を受けて初めて請求可能です。
後遺障害等級に応じて相場の金額が異なっており、等級ごとの慰謝料相場は下表の通りです。

等級 金額(万円)
1級・要介護2,800
2級・要介護2,370
1級2,800
2級2,370
3級1,990
4級1,670
5級1,400
6級1,180
7級1,000
8級830
9級690
10級550
11級420
12級290
13級180
14級110

たとえば、外貌醜状や神経障害で認定される後遺障害12級の後遺障害慰謝料相場は290万円です。

認定される後遺障害等級が異なるだけで金額相場が大きく異なるため、適切な後遺障害等級で認定を受けることが重要といえます。

重要

弁護士であれば、後遺障害申請においてどんな資料や検査が必要になるのか、どういった工夫ができるかなど、これまでのノウハウを生かしたアドバイスも可能です。

逸失利益

逸失利益とは、後遺障害により労働能力が低下してしまい、本来得られるはずの収入を失ったことへの補てんです。逸失利益の計算式を以下に示します。

逸失利益の計算式

1年あたりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

労働能力喪失率は、後遺障害等級ごとにある程度の数値が決まっています。

等級労働能力喪失率
1120%
1214%
145%

また、ライプニッツ係数についても年数ごとの数値が決まっています。
基本的に、症状固定と判断されてから、67歳になるまでの年数を労働能力喪失期間として数値が決まるのです。

次のような人は逸失利益が高くなる傾向にあります。

  • 症状固定時の年齢が若い人
  • 交通事故にあう前の収入(基礎収入)が高い人
  • 重い後遺障害を負った人

逸失利益の計算式は複雑で、なおかつ高額になることから相手方とも揉めやすい賠償費目です。
詳しく知りたい方は『【逸失利益の計算】職業別の計算例や早見表・計算機つき|もらえない原因と対処法』の記事をご覧ください。

重要

逸失利益はなじみのない言葉ですが、今後の生活を支える重要な賠償項目のひとつです。相手の提示する金額に納得できなかったり、根拠がわからなかったりする場合は、弁護士に聞いてみましょう。

これまで紹介してきた慰謝料や逸失利益については、下記の計算機を利用することで相場額を確認することができます。
ただし、正確な金額は交通事故の個別具体的な事情を考慮する必要があるので、弁護士に相談する必要がある点に注意してください。

その他に請求できる損害

交通事故により顔面麻痺となった場合には、慰謝料や逸失利益以外にも、以下のような損害について請求が可能です。

請求可能な損害

1.治療関係費

治療のために必要となった投薬代・手術代・入院費用、または、入通院のための交通費などになります。

関連記事:『交通事故の治療費は誰が支払う?被害者が立て替えるなら健康保険を使おう

2.休業損害

治療のために仕事を休んだことで生じる減収に対する補償です。
交通事故前の収入や、休業日数により金額が決まります。

関連記事:『交通事故の休業損害|計算方法や休業日の数え方、いつもらえるかを解説

3.物的損害

交通事故により生じた自動車や自転車の修理代、代車費用などになります。

関連記事:『物損事故の示談の流れと示談金相場|交渉時の注意点

交通事故により顔面麻痺が残ったら弁護士に相談しよう

弁護士に相談するメリット

弁護士に相談・依頼を行うことで、以下のようなメリットを受けることが可能です。

  • 適切な後遺障害等級の認定を受けられる
  • 相場の金額に近い金額で示談ができる
  • 被害者自身の負担を軽減できる

適切な後遺障害等級の認定を受けられる

交通事故後に後遺症が残った場合には、後遺障害申請の手続きが必要になります。

後遺障害申請の手続きは、被害者自身で行う方が良いことが多いのですが、適切な資料をそろえるためには専門知識が必要となるので、簡単ではありません。

弁護士に相談を行うと、適切な資料の収集方法を教えてもらうことが可能です。
また、弁護士に依頼することで、弁護士が代わりにに必要な手続きを行ってくれます。

弁護士であれば、過去の経験や専門知識から、適切な後遺障害等級の認定を受けられるよう、手続きを行ってくれるでしょう。

相場に金額に近い金額で示談ができる

交通事故における損害賠償請求は、基本的に示談交渉により話し合いにより金額が決まります。

示談交渉の相手となるのは、加害者が加入している任意保険会社の担当者であることが多いでしょう。

しかし、保険会社が提案してくる金額は保険会社独自の計算基準(任意保険基準)により算出されたものです。
この金額は、相場の金額を算出する計算基準(裁判基準)により金額より低額となります。

そのため、相場の金額で示談するには被害者側からの増額交渉が必要となりますが、示談経験の豊富な保険会社に対して増額交渉を行っても、簡単には聞き入れてもらえないでしょう。

弁護士に依頼を行い、代わりに示談交渉を行ってもらえば、増額の可能性が高まります。
専門家からの根拠のある主張であり、示談交渉が決裂すると裁判となるおそれがあるためです。

被害者自身の負担を軽減できる

交通事故の被害者となった場合には、後遺障害等級認定の申請や、加害者側との示談交渉が必要となってきます。

被害者お一人で全てこなすことは難しいので、一度は弁護士に相談すべきでしょう。

また、弁護士に依頼を行えば、申請手続きや示談交渉は弁護士が主導となるため、被害者自身の負担を軽減することが可能です。

弁護士に相談・依頼するメリットはこれだけではありません。
詳しく知りたい方は『交通事故を弁護士に依頼するメリット8選|弁護士は何をしてくれる?』の記事をご覧ください。

アトムで無料の法律相談が受けられる

弁護士に相談を行うのであれば、無料の法律相談がおすすめです。

アトム法律事務所では、交通事故被害者の方を対象とした無料の法律相談を行っています。
また、交通事故の案件に力を入れているため、経験の豊富な弁護士に相談することが可能です。

依頼となった場合についても、依頼を受けた時点で支払うこととなる着手金が原則無料となっています。
弁護士費用の支払いは、原則として加害者から損害賠償金を獲得した後となるので、手元のお金に不安がある方でも依頼が可能です。

また、弁護士費用特約を利用すると、弁護士費用の負担なく依頼できる可能性が高いでしょう。

弁護士費用特約とは

弁護士費用特約とは、弁護士に支払う相談料や費用について、保険会社が代わりに負担してくれるという特約です。

負担額には上限が設定されていますが、多くのケースで生じる相談料や費用や上限の範囲内に収まるため、金銭的な負担なく弁護士への相談や依頼が可能となります。

弁護士費用特約の内容や、対象範囲については『交通事故の弁護士費用特約を解説|使い方は?メリットや使ってみた感想も紹介』の記事で確認可能です。

アトム法律事務所では、24時間体制で法律相談の予約受付を行っております。
依頼することが前提でない相談であっても対応可能ですので、いつでも気軽にご連絡ください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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