交通事故で肩が痛い。肩鎖関節脱臼の後遺症と慰謝料の相場は?

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肩鎖関節脱臼

交通事故で肩を直接打ち付けたり、肩に体重がかかるような体勢を取ったりすると、肩鎖関節脱臼となってしまう場合があります。

肩鎖関節脱臼は、ときに痛みや変形、肩の曲げづらさなどの後遺症が残ってしまうこともある重大なケガです。

この記事では肩鎖関節脱臼の症状や治療の基本に加えて、どんな後遺症が残り、後遺障害認定を受けられる可能性があるのかについて解説します。慰謝料相場もまとめていますので、示談前に必ず最後までお読みいただき、弁護士相談も検討してみてください。

交通事故で肩が痛い方へ

この記事は、交通事故による肩鎖関節脱臼で肩が痛い方に向けた解説記事です。肩に痛みを感じる場合、腕神経叢損傷胸郭出口症候群、あるいはむちうち腕を骨折している場合もあります。肩の痛みの原因ごとに対処が異なるので、まずは整形外科で診察を受けましょう。

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交通事故で肩が痛い|肩鎖関節脱臼の原因・症状・治療

交通事故で肩を負傷した場合、肩鎖関節脱臼と診断されることがあります。ここでは肩鎖関節脱臼とはどういったことが原因でなってしまうのか、肩鎖関節脱臼の症状と治療の基本を説明していきます。

肩鎖関節脱臼の原因

肩鎖関節脱臼とは、肩甲骨と鎖骨の関節がずれてしまうことです。より詳しく言えば、鎖骨には肩鎖関節を支える肩鎖靭帯があり、さらに鳥口鎖骨靭帯との動きによって、肩甲骨と連携しています。これらの靭帯を損傷することで、肩甲骨と鎖骨の連携に悪影響をおよぼしてしまうのです。

交通事故で肩鎖関節脱臼が起こる主な原因は、接触時の転倒や外力があげられます。具体例は以下の通りです。

  • バイク乗車中の事故で転倒して肩付近を打ち付けた
  • 交通事故で物と物の間に挟まれるようにして肩に衝撃を受けた
  • 自転車に乗っていて車と接触し、地面に手を突いた時の衝撃で間接的に受傷した

脇をしめた状態で転倒した際や、肘の打撲、腕を伸ばして地面に突いたときにかかる強い力など、交通事故で肩の付近に外力がかかることで肩鎖関節が脱臼してしまいます。

肩鎖関節脱臼の症状

肩鎖関節脱臼の症状としては、肩の激しい痛み、肩周囲の腫れ、肩を動かせる範囲が狭くなるなどの機能障害があります。

重症の場合は、神経や血管が損傷してしまったり、肩ではなく胸部にまで何らかの症状が出現する場合もあるのです。

肩鎖関節脱臼の治療とリハビリ

肩鎖関節脱臼の診断は、レントゲン検査やMRI検査で診断されます。治療法は、脱臼の程度によって異なり、軽症の場合は保存的治療が行われることが多いです。一方で、重症の場合は手術が必要になることもあります。

保存的治療の例としては、痛みが強い急性期のうちはスリングで固定し、少しずつ関節を動かすリハビリを開始することになるでしょう。損傷の程度次第ですが、数週間の固定期間を要することが多いとされています。

日常生活へのスムーズな復帰を目的としたリハビリのため、肩関節付近の可動域訓練と、筋力の強化を目的とします。

肩鎖関節脱臼の後遺症|後遺障害は何級に認定される?

肩鎖関節脱臼による後遺症には、痛みが残ってしまう、肩が動かしづらい、骨の変形などがあげられ、それぞれ後遺障害等級認定を受けられる可能性があります。

それぞれの後遺症がどんな後遺障害として認定されるのかをみていきましょう。

肩鎖関節脱臼による神経症状(痛み)

肩鎖関節脱臼によって痛みが残った場合、後遺障害12級13号後遺障害14級9号に認定される可能性があります。具体的な等級ごとの後遺障害の内容は下表のとおりです。

等級内容
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

12級13号と14級9号の認定ポイントは以下の通りです。

  • 12級13号は、レントゲンなどの画像検査で異常が確認でき、因果関係が医学的に証明できる場合に認定される
  • 14級9号は、画像検査で異常は見られずとも、事故態様や症状の一貫性などの状況から医学的に説明・推定ができる場合に認定される

後遺障害の申請をする際には、画像検査の結果を添付することだけでなく、どういった治療の経過をたどって今どんな症状があるのかという資料のほか、必要に応じて事故の衝撃がどの程度だったのかを示す資料を求められる場合があります。

関連記事『後遺障害14級9号とは?12級13号との違い、認定されないときの対処』では後遺障害14級9号の認定を目指す人や12級13号との違いを知りたい人に向けて詳しく解説しています。

肩鎖関節脱臼による機能障害(動かしづらさ)

肩鎖関節脱臼により肩関節の可動域が狭くなることがあります。可動域制限が残った場合には、後遺障害8級6号、10級10号、12級6号認定の見込みです。

等級内容
8級6号1上肢の3大関節の中の1関節の用を廃したもの
10級10号1上肢の3大関節の中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級6号1上肢の3大関節の中の1関節の機能に障害を残すもの

肩関節の可動域については、肩鎖関節脱臼を負った側の肩と、負傷していない側の肩(健側)を比較します。

各等級認定ポイントは以下の通りです。

  • 全く関節が動かなかったり、負傷していない肩と比べて10%以下しか動かない場合、用を廃したものとして8級6号認定される
  • 負傷していない肩と比べて2分の1以下しか動かない場合、著しい障害を残すものとして10級10号認定される
  • 負傷していない肩と比べて4分の3以下しか動かない場合、障害を残すものとして12級6号認定される

後遺障害の申請をする際には、必ず可動域の検査結果と共に「どの程度動かないのか」を明らかにしておきましょう。

また、次に説明する変形障害も等級認定された場合には、後遺障害等級は併合され、併合9級、併合11級認定となる場合もあるので、見落とさないようにしてください。

こうした後遺障害等級のルールは複雑です。肩の痛み以外にも何か後遺症があれば、その点も踏まえて、後遺障害等級の可能性や慰謝料の見通しなどの法律相談が可能です。

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肩鎖関節脱臼による変形障害(鎖骨の突出など)

肩鎖関節脱臼により鎖骨が変形してしまった場合には、後遺障害12級5号の認定を受けられる可能性があります。

等級内容
12級5号鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの

鎖骨の変形障害の等級認定ポイントは以下の通りです。

  • レントゲン上ではなく、裸体になった時の外見で変形がわかるもの
  • 上方に持ち上がった鎖骨を上から押すと、ピアノの鍵盤のように上下する「ピアノキーサイン」が陽性であること

変形障害と機能障害を併発しており、どちらも後遺障害認定を受ける場合には、より重い等級認定となる可能性があります。後遺障害申請前は弁護士に相談し、両方で等級認定を受けられるような対策を取りましょう。

肩鎖関節脱臼の慰謝料相場はいくら?

交通事故の慰謝料には、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の2種類があります。およそ入通院慰謝料は治療期間をベースに考え、後遺障害慰謝料は後遺障害等級がベースとなって算定されるものです。

それぞれの慰謝料相場について説明します。

肩鎖関節脱臼の入通院慰謝料相場

肩鎖関節脱臼の入通院慰謝料を算定する時、弁護士は次のような「慰謝料算定表」を用います。慰謝料算定表には重傷用と軽傷用があり、ケガの内容によって使い分けされるものです。

肩鎖関節脱臼のほかのケガの兼ね合いもあるので、どちらの算定表を用いるのかは弁護士におたずねください。

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表
軽症・むちうちの慰謝料算定表

どちらの算定表も、横軸の入院月数と縦軸の通院月数が交差する部分が慰謝料相場を示します。仮に、入院なしの場合、通院月数ごとの入通院慰謝料相場は以下のとおりです。

入院なし、通勤月数ごとの入通院慰謝料相場

通院月数重傷軽傷
2ヶ月52万円36万円
3ヶ月73万円53万円
4ヶ月90万円67万円

なお、通院頻度が少ない場合には算定表通りの金額請求が難しいケースもあります。しかし、肩鎖関節脱臼の治療として保存療法が選ばれ、医師の指示に基づく通院をきちんとしている場合には、通院日数の少なさを理由とした減額が不当である可能性があるのです。

通院頻度に不安がある方も、まずは弁護士に相談をして、慰謝料の見積もりを依頼しましょう。

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肩鎖関節脱臼の後遺障害慰謝料相場

下表の通り、肩鎖関節脱臼の後遺障害慰謝料は、後遺障害8級で830万円、10級で550万円、12級で290万円、14級で110万円が相場です。

等級 金額(万円)
8級830
10級550
12級290
14級110

後遺障害慰謝料については、後遺障害等級認定を受けていないと請求が難しいものです。また、本来は8級認定なのに10級認定しかなされないと、十分な補償とは言い難いでしょう。

まずは後遺障害認定を受けること、そして納得のいく等級認定を受けることが重要です。

交通事故の取り扱いに長けている弁護士であれば、後遺障害認定の申請サポートや妥当な等級についてのアドバイスが可能です。

後遺障害等級認定の手続きについては、関連記事で詳しく解説しています。

肩鎖関節脱臼と診断されたら弁護士に相談を!

交通事故では、弁護士を立てることで次のようなメリットが得られます。

示談金の増額交渉を任せられる

慰謝料を請求する上で重要なことは、相手方は低水準の金額で提案をしてくるということです。弁護士が用いる慰謝料の請求基準は、裁判所でも使われているもので、法的に正当性の高い基準といえます。しかし、相手の保険会社はあくまで自社ルールで計算してくるため、裁判で認められる金額よりも低い金額にとどまってしまうのです。

増額交渉(弁護士あり)

そのため相手の保険会社の言い分だけをうのみにせず、本来もらえるはずの相場まで増額交渉することが重要といえます。この増額交渉を弁護士がおこなうことで「裁判を起こされるかもしれない」と考えた保険会社は増額に応じやすくなるのです。

下記バナーの慰謝料計算機を使うと、弁護士基準での慰謝料の目安が自動計算されてすぐにわかります。目安の金額となりますが、治療が終了している場合は活用してみてください。

後遺障害認定のサポートを受けられる

後遺障害認定を受けるためには申請手続きが必要です。

相手の任意保険会社に任せることもできますが、後遺障害認定を受けられる見込みが不確定だったり、より上の後遺障害等級認定を目指すならば、被害者自らで申請する方法をおすすめします。

この方法は「被害者請求」といい、様々な資料の収集と作成をご自身でしなくてはなりません。そこで弁護士を立てることで、弁護士が被害者の負担を大きく減らせるのです。

また、どんな資料が必要なのかを熟知しているので、書類の不足による申請のやり直しなどのリスクを下げることができます。

後遺障害等級認定の被害者請求については、関連記事『後遺障害申請は被害者請求と弁護士依頼が正解|必要書類も紹介』にて詳しく解説しています。

被害者の精神的負担の軽減

相手の保険会社との交渉においては、難しい専門用語を使われたり、ときに冷たく感じる言葉をかけられることも考えられます。

弁護士に依頼すれば、相手の保険会社との連絡窓口を弁護士に一本化できるので、そうしたストレスから解放され、日常生活への復帰に専念しやすくなるでしょう。

交通事故で肩鎖関節脱臼を負ったら弁護士に相談しよう

交通事故後の肩の痛みへの治療面では、医学の専門家である医師の指示のもとで治療を受けるべきです。そして、損害賠償請求では法律の専門家である弁護士の依頼も検討してみてください。

交通事故の被害者に向けて無料の法律相談を提供している法律事務所も多いです。そして、アトム法律事務所も、交通事故被害者に向けて無料の法律相談をおこなっています。

無料の法律相談予約を24時間体制で受付中

アトム法律事務所の無料相談は、下記のバナーより、電話またはLINEにてご予約をお取りください。

  • 相手方からの連絡がしつこくて困っている
  • 肩鎖関節脱臼の損害賠償額の目安が知りたい
  • 相手の提示額について判断してほしい

こうした疑問に加えて、弁護士費用も分かりやすく説明するので、気兼ねなくお問い合わせください。

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交通事故の弁護士費用について

アトム法律事務所では、ホームページ内の『交通事故の弁護士費用』にて弁護士費用体系を説明しています。しかし、初めての交通事故でわからない部分も多いと思いますので、無料の法律相談をご利用の際に、費用についてもおたずねください。

その際には利用できる弁護士費用特約の有無を事前に確認しておいていただけるとスムーズです。

弁護士費用特約とは?

保険会社が弁護士費用の全部または一部を負担するというもの。事故における損害賠償請求においては弁護士による交渉で、慰謝料が増額することが多いため特約に加入している場合は利用した方がよいといえる。

大半の弁護士費用特約は、法律相談料10万円、弁護士費用300万円を補償上限としています。保険会社の約款によるので、ご自身で加入されている保険会社に確認してみましょう。

交通事故の弁護士費用は損害賠償請求額しだいで変わるので、請求額が数千万円にのぼらないかぎり、弁護士費用特約で全額支払えることも多いです。被害者は自己負担金ゼロで弁護士を立てることができます。

繰り返しますが、アトム法律事務所の法律相談は無料です。正式に依頼するかどうかは、法律相談後にご検討ください。まずは今のお悩みを弁護士に相談してみませんか。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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