免責証書とは?サイン前の注意点3つと示談書との違い|交通事故
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この記事でわかること
交通事故における免責証書とは、示談が成立した後にサインをする書類で、免責証書に記載された内容以外の賠償を加害者に請求しないことを約束するものです。保険会社からは「事故解決に関する承諾書(免責証書)」といった表題で届くこともあります。
免責証書にサインして返送すると、免責証書に記載されている以外の賠償金は原則として請求できません。
サイン前に押さえておきたい注意点は、(1)損害が確定していること、(2)記載内容に誤りや不足がないこと、(3)金額が妥当かどうかを弁護士に確認することの3つです。
この記事では、免責証書と示談書の違い、サイン前の注意点を解説します。適切な賠償金を受け取れるかどうかを確認できる最後のタイミングですので、サインの前にご一読ください。
目次
免責証書とは?記載内容と示談書との違い
免責証書の意味と記載内容
免責証書とは、交通事故の示談が成立した際に被害者が加害者に対して、これ以上の損害賠償を請求しないことを約束する書類です。
書類の表題は保険会社によって異なり、「事故解決に関する承諾書(免責証書)」「損害賠償に関する承諾書」などの名称で送られてくることもあります。表題が違っても、示談内容に同意して以後の請求をしないことを約束する書類であれば、役割は同じです。
免責証書に記載されている主な内容は、交通事故に関する事実、賠償の内容と支払方法、清算条項、後遺障害が後から生じた場合の取り扱いです。
免責証書の記載内容
| 記載内容 | 概要 |
|---|---|
| 事故に関する事実 | 交通事故発生日、事故状況、事故発生場所、車両の情報など |
| 賠償の内容 | 損害賠償金額(慰謝料や休業損害など)、過失割合、過失相殺など |
| 賠償の支払方法 | 被害者側が指定する振込口座 |
| 清算条項 | 免責証書に記載されている以外の請求をしない旨の記載 |
| 後遺障害の悪化や発覚 | 示談当時は気づかなかった後遺障害の発覚時の取り扱い |
なお、後遺障害に関する取り扱いについては注意が必要です。
交通事故で負った後遺障害の症状が、今後も悪化したり、免責証書の取り交わし後に何らかの追加請求をおこなう可能性がある場合にはその旨も記載しておかねばなりません。
免責証書にサインをして返送してしまうと、その内容を覆すことは非常に困難といえます。サインをする前に、一度交通事故に詳しい弁護士に相談して内容をチェックしてもらいましょう。
損害賠償金額に増額の余地があることが後からわかっても、追加請求は難しいです。
免責証書を返送する前は弁護士を立てる最後のタイミングといえます。一度、弁護士への相談も検討してみてください。
免責証書と示談書の違い
免責証書は示談書の一種ですが、加害者側の署名押印が不要な点に違いがあります。
示談書の取り交わしと比べると、加害者側の署名押印が不要なことから、迅速な書類の取り交わしが可能です。
免責証書と示談書の違い
| 比較項目 | 免責証書 | 示談書 |
|---|---|---|
| 署名押印する人 | 被害者のみ | 被害者と加害者の双方 |
| 主な作成者 | 相手方の任意保険会社 | 当事者のどちらか(または双方の代理人) |
| 主に使われる場面 | 加害者が任意保険に加入しており、保険会社が支払う場合 | 加害者本人と直接示談する場合 |
| 効力 | 記載外の賠償を請求しないことに合意する(示談書と同様) | 記載外の賠償を請求しないことに合意する |
免責証書の作成者に法律上の決まりはありませんが、交通事故では相手方の任意保険会社がひな形をもとに作成し、被害者に送付するのが一般的です。
一方、加害者が任意保険に加入していない場合は、保険会社という支払主体が間に入らないため、合意した具体的な金額について、加害者本人に直接履行を求められるよう、免責証書ではなく示談書を作成することを検討しましょう。
免責証書の効力
免責証書の効力は示談書と同様です。つまり、免責証書に署名押印をすると、被害者は、原則として免責証書に記載されている金額以上の損害賠償を請求できません。
ただし、示談当時に予想できなかった後遺症がその後に発生した場合には、その損害について賠償請求が認められた判例があります(最高裁判所昭和43年3月15日判決)。もっとも、「示談当時は予想できなかった」ことを立証するのは容易ではないため、サイン前に後遺障害の認定の仕組みを確認しておくことが大切です。
少しでも金額に迷いがある場合には、弁護士への相談も検討してみてください。
なお、保険会社から慰謝料の提示を受けた方は、金額が妥当か以下の計算機で確認できます。通院期間などを入力すると、弁護士基準にもとづく慰謝料の目安を確認できます。
免責証書の注意点|サインする前の3つのポイント
免責証書にサインする前の注意点は3つあります。損害が確定していること、免責証書に記載されている内容に誤りがないか確認すること、署名押印する前に弁護士に相談することです。
(1)損害が確定していること(示談成立の前提)
免責証書は、示談が成立した後に署名押印します。損害が確定する前に示談に応じ、署名押印してしまうと、被害者にとって不利益が生じるおそれがあります。
交通事故の示談をおこなうタイミングは、すべての損害が確定した段階といえます。

ケガが完治していれば治療が終了した時点で示談交渉を開始できるでしょう。
しかし、後遺症が残っているときには後遺障害認定の申請をおこない、その審査結果を待ってからになります。
審査結果によって「後遺障害」として認定されれば、後遺障害分の賠償金も請求可能です。
もし「非該当(後遺障害なし)」と判断されたなら、もう一度書類を集め直して審査を受け直すか、後遺症に関する賠償を請求せずに示談を始めることになります。
いずれにせよ、被害者が事故で負った損害が確定してから示談交渉を開始して、納得いく示談内容となったなら、免責証書にサインをして返送しましょう。
(2)免責証書に記載されている内容を必ず確認すること
免責証書には、交通事故発生日時と場所、交通事故の当事者名や車両登録番号、損害賠償金の金額、示談成立後の請求権放棄の旨などが記載されています。
こうした内容について理解をして、納得がいかなかったり、誤りがあったりする場合は、相手の保険会社に問い合わせてください。
(3)署名押印する前に弁護士に相談すること
示談交渉では、交通事故の賠償に精通していないと判断できなかったりする局面が多々あります。
たとえば次のように、賠償金額や内容、過失割合といった事情は様々な法的知識が欠かせません。
- 被害者に支払われる賠償金額は法的に適切か
- 本来請求できる金銭をもらい損ねていないか
- 交通事故の過失割合は適正か
そのため、免責証書にサインをして返送する前に、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談し、必要があれば示談交渉の依頼も検討してみてください。
免責証書の返送から示談金の振込までの流れ
免責証書を返送してから示談金が振り込まれるまでの期間
示談金は、免責証書が保険会社に届いてから1〜2週間程度で振り込まれるのが一般的です。
ただし、郵送にかかる日数や保険会社内の処理状況によって前後するため、一概にはいえません。返送の際に、振込予定日の目安を担当者に確認しておくと安心です。
返送前に記入漏れがないか確認する
署名・押印・日付・振込口座などに記入漏れや誤りがあると、書類が差し戻され、振込が遅れる原因になります。
返送前に、保険会社から指示された記入箇所がすべて埋まっているか確認しましょう。押印に使う印鑑の種類なども、保険会社の案内に従ってください。
振込が遅いと感じたときの確認先
目安の期間を過ぎても振り込まれない場合は、相手方の保険会社の担当者に、書類の到着状況と支払手続きの進み具合を問い合わせてください。
なお、弁護士に依頼している場合は、示談金はいったん弁護士の口座に振り込まれ、弁護士費用を精算したうえで依頼者に送金されるのが一般的です。
交通事故の被害者向け|免責証書に関するよくある質問
Q.免責証書にサインしたらどうなる?
免責証書にサインした場合、原則として、記載されている金額以上の損害賠償を請求できません。
免責証書は、示談が成立したことで、加害者側にこれ以上の損害賠償を請求しないことを約束する書類です。免責証書にサインをすることは、その内容に同意したことを意味します。
もっとも、示談が成立していない段階で署名押印してしまった場合や、明らかに被害者の意図と異なる内容で作成された免責証書の場合には無効となる可能性があります。
ただし、免責証書にサインをして返送してしまった場合にその内容を覆すことは基本的に難しいと理解しておきましょう。
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交通事故の示談後、撤回や追加請求は可能?後遺障害があとから発覚したら?
Q.免責証書は誰が作成する?
交通事故の損害賠償においては、基本的に相手方の任意保険会社が免責証書を作成すると考えておきましょう。
加害者側が任意保険に加入している場合は、加害者側の任意保険会社が示談代行サービスにもとづいて示談交渉の相手となることが一般的です。
その場合、加害者側の任意保険会社が免責証書を作成して被害者側に送付してきます。
事故の相手が任意保険未加入の場合
交通事故の相手方が任意保険に未加入である場合には、加害者本人と示談交渉をしなくてはいけません。その場合は免責証書ではなく、示談書の作成を検討すべきです。
加害者側の署名押印がない免責証書は、保険会社が支払う場合に使われる書類です。任意保険に未加入の場合は、示談書の作成を検討すべきです。
示談書について詳しく知りたい方は、『交通事故の示談書の書き方と注意点│テンプレート付き』も参考にしてみてください。
Q.免責証書に住所や名前を書きたくないときは?
原則として、住所や名前を記載することになります。
もっとも、交通事故が起こった場合には「交通事故証明書」が発行されており、すでに被害者の方の住所や氏名は保険会社の把握している情報となります。
そのため、住所や名前を知られたくないという理由だけで免責証書の返送を渋ることはあまり得策ではありません。
「念のため聞いておこう」もOK!弁護士に無料相談してみよう
アトム法律事務所では、交通事故でケガをした方の無料法律相談を受け付けています。
繰り返しますが、免責証書にサインをして返送すると、記載されている慰謝料や休業損害をはじめとした損害賠償の内容はほぼ確定となり、撤回や追加請求は原則として難しくなります。
無料相談と契約は別なので、サインをする前に「念のため、増額の余地を聞いておこう」という方も歓迎です。
まずは法律相談のご予約をお取りください。法律相談の予約は年中無休で受付中です。
「相手の保険会社から金額の提案を受けたけれど、その金額が妥当なのか分からない」という理由で、これまでにアトム法律事務所にご依頼いただいた方は大勢いらっしゃいます。
交通事故の内容によっては、保険会社から提案された金額から増額できる場合もあります。
免責証書にサイン・返送する前に、一度、交通事故の賠償問題にくわしい弁護士の見解を聞いてみませんか。





高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国16拠点を構えるアトム法律税務グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

