保険会社が弁護士特約を嫌がる理由と対処法!軽微な事故でも使うべき?

更新日:

なぜ保険会社は弁護士特約を嫌がる

交通事故に遭い、弁護士特約(弁護士費用特約)を使おうとしたときに、「保険会社に嫌な顔をされるのではないか」と心配する方は多くいます。

保険料を支払っているので遠慮する必要はありませんが、ごく一部のケースで保険会社が弁護士特約の利用に消極的な態度を見せることがあるのも事実です。

その理由や正しい対処法を事前に理解しておけば、いざという時も冷静に対応し、スムーズに手続きを進められます。

この記事では、なぜ保険会社が弁護士特約を嫌がることがあるのか、どう対処すればよいのかを解説します。弁護士特約を使っても契約者に不利益はありませんので、安心してご活用ください。

交通事故の無料法律相談
相談料 無料
毎日50件以上のお問合せ!

目次

保険会社が弁護士特約の利用を嫌がる理由

交通事故の被害に遭い、加入している弁護士特約を利用しようとしたところ、保険会社の担当者から「今回は使う必要がない」「弁護士を入れるメリットがない」と難色を示されたり、遠回しに利用を阻止されたりするケースは実際にあります。

被害者からすれば「せっかく保険料を払っているのになぜ?」と不信感を抱くのは当然です。特約の利用を保険会社が嫌がるのは、保険会社の「営利企業としての事情」が大きく関係しています。

主に、自社の支出が増えることや、手間やコントロール権を失うことが原因です。具体的な3つの理由を、弁護士の視点から解説します。

嫌がる理由(1)弁護士費用という支出が増えるから

保険会社が弁護士特約の利用を嫌がる最大の理由としては、被害者のために弁護士費用を支払うことが会社にとって出費になるからです。

弁護士特約で保険会社が負担してくれる金額は、一般的に法律相談料が10万円、弁護士費用(着手金や報酬金など)が300万円を上限額としています。

弁護士特約は、年間数千円程度の保険料で付帯できる安価な商品ですが、実際に利用されると最大300万円もの弁護士費用を保険会社は負担しなければなりません。

保険会社も営利企業なので、こういった理由からなるべく金銭的負担(支出)を抑えようと考えるのです。

保険会社は自社の支払い基準との差が気になる

特に、保険会社は、被害者が依頼したい法律事務所の費用体系と、自社の弁護士特約の支払基準の差額を気にしている可能性があります。

弁護士の報酬は法律事務所ごとの設定額や計算方法がある一方、弁護士特約にも支払基準が設定されているため、保険会社は差額が心配なのです。

つまり、保険会社は「自分たちの約款の支払基準を大きく上回る報酬を請求されるのではないか」と心配している可能性があります。

多くの保険会社の約款は、日本リーガル・アクセス・センターによる「LAC基準」(「弁護士保険における弁護士費用の保険金支払基準」)に沿った支払基準を設定していることが多いです。

もっとも、すべての弁護士がこのLAC基準に従って弁護士費用を請求しているわけではなく、独自の基準で弁護士費用を請求する弁護士事務所も多くあります。

LAC基準を超える弁護士費用が請求された場合、保険会社はその超過分を支払わないため、通常は被害者が追加の費用を負担します。

弁護士費用を負担しなければいけなくなった被害者とのトラブルを避けるため、保険会社は弁護士特約利用を渋ることがあるのです。

嫌がる理由(2)損害が軽微・示談交渉で争いがないから

物損事故や軽傷の人身事故といった、損害が軽微な事故の場合、示談交渉で争いなく示談が成立することがあります。

こういった場合、保険会社は「特に争いなく交渉できるのだから、わざわざ保険会社のお金で弁護士を雇わないでほしい」という思いから、弁護士特約の利用を嫌がる傾向にあるのです。

示談交渉であまり揉めることがない理由は以下の通りです。

  • 物損事故の損害賠償金は基本的に領収書などで金額を証明できるので、争う余地がないことが多い
  • 軽微な人身事故はもともと損害賠償額が低いため、相手方もあまり示談交渉で争う姿勢を見せないことがある

損害が軽微な事故だと、保険会社は「費用対効果(コスパ)が悪い」と考えて、特約の利用を嫌がることがあります。

しかし、これはあくまで保険会社側の都合です。被害者にとっては、たとえ少額であっても、適正な賠償金を受け取ることや、弁護士という法律のプロに任せて精神的な負担を減らすことには大きな価値があります。

特約を使っても被害者自身の懐が痛むわけではないため、保険会社のコスパ論に付き合う必要はありません。

嫌がる理由(3)被害者自身に過失があるから

被害者側に過失がある場合、弁護士を立てなくても保険の「示談代行サービス」によって、自身の保険担当者に示談交渉をしてもらうことができます。

保険会社からすれば、示談交渉で弁護士を立てる費用を出すよりも、自社の担当者が示談交渉をした方が出費が少なく済みます。

こうしたことから、交通事故の被害者側に過失がある場合も、保険会社は弁護士特約の利用を勧めないことがあるのです。

示談代行サービスによって結果的に示談金が増額される可能性も十分にありますが、以下の理由から、最大限の増額は期待できないことが多いです。

増額が期待できない理由

  • 保険会社間の今後の付き合いを見据え、突き詰めた交渉をしてもらえないことがある
  • 任意保険会社が用いる示談金の算定基準(任意保険基準)は、弁護士が用いる示談金の算定基準(妥当な相場)よりも低額
慰謝料金額相場の3基準比較

弁護士なら、依頼者の利益最大化を目指した活動が可能です。よって、可能な限り多くの示談金を得たい場合には、弁護士特約を利用して弁護士を立てることをおすすめします。

弁護士に依頼して慰謝料がどれだけ増額されるか知りたい方は、『交通事故の慰謝料は弁護士基準(裁判基準)で請求!相場と増額成功のカギ』の記事をご確認ください。

保険会社に弁護士特約を嫌がられたときの対処法

保険会社から弁護士特約の利用を嫌がられたとしても、約款上利用できる条件を満たしているのなら、利用を諦める必要はありません。ここでは、保険会社が弁護士特約の利用を嫌がる状況に直面したときの対処法を解説します。

弁護士特約の使用は保険会社に遠慮しなくて良い

たとえ保険会社に弁護士特約の利用を嫌がられても、本記事内「弁護士特約が使えないケース」にさえ該当しなければ特約を使うことは可能です。

弁護士特約分が含まれた保険料を納めている以上、保険会社に遠慮する必要はありません。「弁護士特約を使うと決めた」とはっきり主張し、利用の手続きを進めましょう。

なお、弁護士特約を使用することで保険の等級が下がったり、翌年の保険料が上がったりすることはありません(ただし、同時に車両保険などを利用した場合には、そちらの保険利用が原因で等級が下がる可能性はあります)。

弁護士特約の内容を確認する

保険会社から「このケースでは弁護士特約は使えない」と言われた場合、まずは本当に使えないのかを確認しましょう。特約を利用させないために、あたかも使えないように話しているだけの可能性もあります。

確認する際は、保険会社のパンフレットやホームページだけでなく、保険証券や保険約款で契約内容を確認することが重要です。

保険約款は多くの場合、web上でも確認できます。

保険会社に弁護士特約が使えない理由を聞く

保険会社から利用を渋られた場合は、その理由をはっきりと確認しましょう。「使えない」と言われたら、「保険約款のどの部分に基づいて使えないのか」を具体的に説明してもらいます。

特に、以下のような回答があった場合は要注意です。

  • 損害が小さいから必要ない
  • 示談交渉が順調だから不要
  • 当社ではこういうケースでは認めていない

これらの理由は、約款上の制限とは異なる保険会社側の判断に過ぎません

担当者と話しても納得のいく回答が得られず、らちが明かないと感じた場合には、カスタマーセンターに相談することも検討しましょう。

交通事故に強い弁護士に相談する

最も確実な対処法は、交通事故に精通している弁護士に相談することです。このとき注意していただきたいのが、保険会社から紹介される弁護士にこだわる必要は全くないという点です。

確かに保険会社指定の弁護士であれば手続きがスムーズに進むかもしれません。もっとも、より重要なポイントは、被害者の利益を最大限守ってくれる弁護士を選ぶことです。

交通事故の解決実績が豊富で、弁護士特約の利用に慣れている弁護士であれば、保険会社との交渉も適切に進めてくれます。交通事故問題について、多くの弁護士は初回相談を無料で受け付けていますので、まずは相談してみることをおすすめします。

【注意点】弁護士特約を利用するときは必ず保険会社に連絡する

もしも、保険会社に弁護士費用特約の利用を嫌がられていたとしても、無断で弁護士に依頼をするのはやめましょう。

なぜなら、弁護士へ依頼することや弁護士費用の基準について保険会社の同意を得られていない場合、弁護士費用を支払ってもらえない可能性があるからです。

保険会社への弁護士費用の請求が認められなかった例

東京高等裁判所平成26年(ネ)5106号・平成27年2月5日判決

弁護士が、弁護士費用の基準について保険会社に同意を取り付けないまま示談交渉をし、保険会社に対して弁護士費用として105万0394円を請求した事案。


裁判所の判断

「……LAC制度を利用しないで弁護士費用を請求することを被控訴人が了解したと認めるに足りる証拠はない。…本件特約に基づく被控訴人の同意があったと解することはできない。…」

東京高判平27.2.5
  • 弁護士はLAC制度とは異なる、独自の弁護士費用を設定していた。
  • 弁護士は委任契約の内容、弁護士費用の支払い基準について、保険会社に示していなかった。
損害賠償額

105万0394円(認められず)

弁護士側からの手続き上も不便が生じますので、「弁護士特約を利用して弁護士に依頼するつもり」だということや委任契約を締結したことは、必ず自身の保険会社の担当者に伝えるようにしましょう。

詳しい弁護士特約の使い方やその流れについて知りたい方は、関連記事『交通事故の弁護士特約とは?使い方・使ってみた感想やデメリットはあるかを解説』をお読みください。

弁護士特約は積極的に活用すべき|3つのメリット

交通事故に関して、弁護士特約を利用することで得られるメリットは以下の3つです。

弁護士特約のメリット

  1. 弁護士費用を気にせず依頼できる
  2. 増額された示談金を全額受け取れる
  3. 加害者や保険会社とのやり取りの負担を軽減できる

(1)弁護士費用を気にせず依頼できる

軽微な事故や物損事故の場合、弁護士に依頼すると、示談金額よりも弁護士費用の方が高額になり、赤字が出てしまうことがあります。これを「費用倒れ」といいます。

費用倒れのリスクが大きい場合、弁護士から受任を断られてしまうこともありますが、弁護士特約を使えば、費用倒れや弁護士から断られることを気にせず相談・依頼できます。

(2)増額された示談金を全額受け取れる

交通事故の示談交渉において、弁護士が介入することで高額な弁護士基準での金額をベースにした交渉が可能になり、結果として示談金が大幅に増額されるケースが多くあります。特に慰謝料については、保険会社の提示額から2~3倍程度増額されることもあります。

また、弁護士が介入することによって過失割合が適切な割合で示談成立となるケースも多くあります。交通事故で受け取れる損害賠償金は過失割合分が差し引かれる(過失相殺される)ので、過失割合が不当な場合、被害者に有利なものに修正できれば、結果的に受け取れる損害賠償金額は増額します。

しかし弁護士特約を使わずに依頼した場合、この増額分から弁護士費用を支払う必要があります。示談金が大幅に増額できても、全額受け取れるわけではないのです。

一方、弁護士特約を利用すれば、弁護士費用は基本的に0円なので、増額された示談金を全額受け取ることができます

弁護士特約のあるなしによる違い

関連記事『交通事故の慰謝料事例|いくらもらった?実例から症状別の相場と増額方法』では、慰謝料が増額した実例を解説しています。弁護士特約を使った事例も紹介していますので、あわせてお読みください。

(3)加害者や保険会社とのやり取りの負担を軽減できる

交通事故後の対応は、以下のように多岐に渡ります。

  • 加害者側の保険会社とのやりとり・示談交渉
  • 休業損害の申請
  • 給付金請求
  • 後遺障害等級認定の申請
  • 治療費打ち切りへの対応 など

これらの手続きは専門的な知識が必要になるため、被害者本人が行うには大きな負担となってしまうでしょう。

また、事故の加害者が不誠実な態度を取ったり、保険会社の対応が高圧的だったりすることで、精神的なストレスを感じることも少なくありません。

弁護士のサポートを受けることで、これらの手続きや交渉をほぼ専門家に任せることができます。その結果、被害者は精神的・時間的な負担から解放されます。

弁護士が保険会社とやりとりしてくれる

そして、上記のとおり、弁護士特約が利用できる場合は費用倒れを心配する必要がないため、事故直後のタイミングから加害者や保険会社とのやり取りを任せられるというメリットがあります。

【補足】弁護士特約にはデメリットがない

弁護士特約の利用を躊躇する方の中には「何かデメリットがあるのでは」と心配される方もいらっしゃいますが、実際には弁護士特約を利用するデメリットはほぼゼロです

弁護士特約に関してよくある心配

  • 弁護士特約を利用したら保険料が上がるのでは?
    →等級には影響せず、翌年の保険料は変わらない
  • 保険会社との関係が悪くなるのでは?
    →その分保険料を払っているし、正当な権利の行使なので問題ない
  • 利用手続きが面倒なのでは?
    →依頼さえしてしまえば、弁護士が手続きを代行できる
  • 解決までに時間がかかるのでは?
    →むしろ適切な内容で早期解決できることが多い

弁護士特約に加入する際の保険料負担を気にされる方もいますが、これは弁護士に特約なしで依頼した場合の費用と比べると、非常に少額です。

このように、弁護士特約の利用にはデメリットと呼べるものはほとんどありません。むしろ、せっかく加入している特約を使わないことで、本来受けられるはずの補償を受けられない可能性があります。

まだ交通事故で弁護士に依頼するデメリットが気になる方は、『交通事故で弁護士依頼するデメリット4つ!意味ないと感じる前に判断基準を確認』をお読みください。さらに詳しく解説しています。

特に弁護士特約を使うべきケース

では交通事故に遭った場合、どのようなケースで弁護士特約を使うべきなのでしょうか。

ここでは、特に弁護士特約の活用が効果的な3つのケースについてご説明します。

弁護士費用特約を使うべきケース

(1)物損事故や軽微な人身事故のケース

「軽い事故だから特約を使うまでもないのでは?」と考える方も多いかもしれません。しかし、実は物損事故や軽微な人身事故こそ、弁護士特約の活用が効果的なケースといえます。

その理由は、物損事故や軽微な人身事故を自費で弁護士に依頼すると「費用倒れ」になるリスクが高くなるためです。

獲得できる示談金額や、弁護士が介入することで増額する金額が低い傾向にあり、自己負担で弁護士に依頼するとかえって損をしてしまう可能性があるのです。

費用倒れの例

事故相手から示談金10万円を提示され、弁護士に示談交渉を依頼することを考えたが、保険会社に気を遣って弁護士特約を使わない選択肢もいったん検討した。
弁護士に相談したところ、示談金は20万円に増額する可能性があるものの、弁護士費用として15万円請求されるとのこと。特約を使わない場合、差引き5万円しか手元に残らず費用倒れになるところだった。

物損事故や軽微な人身事故では、費用倒れを心配することなく弁護士に依頼できるよう、弁護士特約を使いましょう。

(2)被害者の過失が0%のケース

被害者の過失が0%である「もらい事故」(停車中の追突事故など)の場合、被害者が加入する保険会社の示談代行サービスを利用できません。

示談代行サービス

自身の保険会社に事故の示談交渉を任せられるサービス。自力での交渉よりは良い結果が期待できるが、示談金額の増額に限界があるといったデメリットもある。

つまり、被害者に過失がない事故では、被害者自身が加害者側の保険会社と直接交渉しなければならなくなります。

そのため、弁護士特約を利用して弁護士に示談交渉を任せる必要性が高く、利用することにより負担を軽減しつつ高額な示談金を獲得できるようになります。

(3)賠償金額に不満があるケース

保険会社から提示された示談金の額に少しでも不満や疑問を感じた場合、迷わず弁護士特約を使いましょう。なぜなら、保険会社が最初に提示してくる金額は、あくまで自社の支出を抑えるための「任意保険基準」であり、裁判で認められる「弁護士基準」という本来の適正額よりも大幅に低いことがほとんどだからです。

被害者本人がいくら「金額が低い」と訴えても、保険会社は「当社の規定ですので」と取り合わないケースが一般的です。しかし、弁護士特約を使って弁護士が介入すれば、最も高額な弁護士基準をベースに交渉をやり直すことができます。その結果、慰謝料が2倍~3倍に増額されることも珍しくありません。

「プロに任せるだけで適正な賠償金が受け取れる」という点は、弁護士特約を利用する最大のメリットです。

高級車が損傷したら「評価損」に注意

交通事故で高級車が損傷した場合、修理費用だけでなく「評価損」という賠償金も請求できます。

評価損とは、事故歴や修理歴により、将来の売却時に車の価値が低下することへの補償です。

高級車の場合はこの評価損が高額になりやすいのですが、被害者が自分で示談交渉を行った場合、保険会社が評価損の支払いに応じることは少ないです。

そのため、弁護士特約を利用して費用の心配なく弁護士に依頼することで、評価損を含めた適正な賠償金を請求できるようになります。

【注意点】加害者が無保険なら特約があってもまずは相談から

弁護士特約は非常に強力な武器となりますが、加害者が任意保険に入っていない(無保険)かつ、支払い能力(資産)がない場合は注意が必要です。

弁護士特約を使って弁護士が介入し、高額な賠償金の支払いが決まっても、加害者に支払い能力がなければ、実際にお金を回収することは難しいからです。こういった場合、弁護士が介入しても回収の可能性が低いと判断して、事案によっては弁護士が受任自体、慎重になるケースがあるでしょう。

だからこそ、相手が無保険の場合は「特約があるからすぐに依頼しよう」と決めるのではなく、まずは交通事故に強い弁護士へご相談いただくことが非常に重要です。

無料相談などを活用いただければ、弁護士は状況を整理した上で、以下のような視点から「被害者にとって最も現実的で有益な救済方法」を多角的に検討します。

  • ご自身の「人身傷害保険」が使えないか
    人身傷害保険はご自身の保険会社への請求となるため、弁護士特約の対象外となることが一般的。しかし、請求内容に「逸失利益」などが含まれる場合、保険会社の提示額よりも増額できる余地があるため、弁護士のアドバイスを受ける価値は十分にある。
  • その他の救済制度を利用できるか
    自賠責保険への「被害者請求」や、最終手段としての「政府保障事業」を利用することで、最低限の補償を確保できるか検討する。
  • 相手方に資産がありそうか
    相手方の職業や状況から、現実的な回収可能性が少しでも見込めるかを慎重に判断する。

このように、弁護士に相談することは、特約を使う・使わないの判断も含め、被害者が実際に補償を得るための最適なルートを見つけるための第一歩です。一人で悩まず、まずは弁護士による状況の診断をお受けください。

弁護士特約を実際に使ってみた事例

弁護士特約を使うことが被害者にとってどれほど実益があるのか、アトム法律事務所で実際に取り扱った解決事例をもとに解説します。

「本当に増額するのか?」「費用倒れにならないか?」といった不安をお持ちの方も、実際の事例をご覧いただければ、特約を使うべき理由がより明確になるはずです。

特約を使って慰謝料が増額した事例

「弁護士特約を使っても、大して変わらないのでは?」と半信半疑の方もいるかもしれませんが、実際の数字を見るとその効果は一目瞭然です。弁護士が入ることで適用される「弁護士基準」は、保険会社が提示する「任意保険基準」よりもはるかに高額だからです。

特約を使えば、原則300万円までの弁護士費用は保険会社が負担するため、ほとんどのケースで増額分がそのまま被害者の手元に残るという点が最大のポイントです。

130万円増額した事例

右折待ちをしていて、赤信号無視をした車に衝突された。相談時には弁護士特約の有無が不明だったが、特約が利用できることが判明し、依頼いただいたケース。


弁護活動の成果

提示額の131万円から、最終的な受取金額が261万円まで増額された。

年齢、職業

40~50代、会社員

傷病名

むちうち

後遺障害等級

14級

184万円増額した事例

自動車同士の事故。弁護士費用特約を利用して示談交渉を依頼したいとの相談があったケース。


弁護活動の成果

提示額の69万円から、最終的な受取金額が253万円まで増額された。

年齢、職業

20~30代、会社員

傷病名

頚椎捻挫

後遺障害等級

14級

保険会社から「特約を使っても増額しない」と説明されていた事例

保険会社によっては「特約を利用する必要がない」「弁護士を入れてもさほど慰謝料は変わらない」などと言って、特約の利用を阻止するケースも見られます。

保険会社が言う「増額しない」とは、あくまで「(今のままの条件なら)増額しない」という意味か、単に「特約を使わせたくないため」のセールストークに過ぎないことが多いです。担当者の言葉を鵜呑みにせず、まずは弁護士にどのくらいの増額が見込めるのか確認することが重要になります。

むちうちの事例

自動車運転中に後方から追突された。弁護士特約付きの任意保険に加入していたが、保険会社からは弁護士を使っても使わなくてもほとんど変わらないと言われていたケース。


弁護活動の成果

最終的に156万円を回収した。

年齢、職業

20~30代、経営者

傷病名

むちうち

後遺障害等級

無等級

むちうちの事例(子ども)

自動車同乗中に後ろから追突された。被害者側の保険会社から弁護士特約を使っても使わなくても慰謝料はほとんど変わらないと言われたが、実際のところを確認したいと相談があったケース。


弁護活動の成果

最終的に91万円を回収した。

年齢、職業

10歳未満、子ども

傷病名

むちうち

後遺障害等級

無等級

弁護士特約を使えるか迷った?使えないと勘違いされやすいケース

「契約している車に乗っていた時の事故じゃないから対象外だ」「契約者は父だから、同乗していた自分は使えないだろう」と、自己判断で弁護士特約の利用を諦めていませんか?

弁護士特約の補償範囲は、一般の方がイメージするよりもはるかに広く設定されています。

契約している車以外の事故や契約者本人以外の家族、さらには歩行中の事故であっても使えるケースが数多く存在するのです。

実は弁護士特約が使えるケース

以下のようなケースでは、「弁護士特約は使えない」と勘違いされがちですが、実は問題なく利用できます。

実は弁護士特約が利用できるケース

  • 被害者の過失がない「もらい事故」
  • 被害者と加害者の保険会社が同一の事故
  • 被害者の家族が弁護士特約を付帯している

被害者に過失がない場合、一部の任意保険や示談代行サービスは使えませんが、弁護士特約は問題なく利用できます。

示談代行サービスが使えないと被害者自身で示談交渉するしかないため、むしろ積極的に弁護士特約を使って、弁護士に依頼することをおすすめします。

また、被害者と加害者の加入する任意保険会社が同じ場合でも、弁護士特約は利用できます。

加害者と同じ保険会社でも、被害者が示談交渉で不利になることは基本的にないのでご安心ください。

さらに、弁護士特約の補償範囲は、被保険者本人だけでなく、その配偶者や同居の親族、別居の未婚の子も含まれることが一般的です。

そのため、被害者本人が弁護士特約を付帯していなくても、被害者の家族が弁護士特約を付帯しているケースでは、弁護士特約を利用できる可能性があります。

保険会社の紹介してくる弁護士が、被害者にとって不利な示談を結ぶようなこともありませんが、不安な場合は自分で弁護士を探すと良いでしょう。

関連記事

自動車保険以外の弁護士特約が使えるケースもある

自動車保険に弁護士特約がついていない場合でも、以下のような保険に付帯している弁護士特約が交通事故時に使えることがあります。

弁護士特約が付帯している場合のある保険

  • 医療保険
  • 火災保険
  • バイク保険
  • 個人賠償責任保険
  • クレジットカードの保険 など

自動車保険だけでなく、加入するあらゆる保険について、弁護士特約が付帯していないか、保険契約の内容を調べてみることが大切です。

弁護士特約が使えない例外ケース

以下のようなケースでは、弁護士特約が原則利用できません。

弁護士特約が利用できないケース

  • 被害者に故意・重大な過失がある
    • 飲酒運転や無免許運転、薬の影響で正常に判断できない状態での運転、あおり運転や妨害目的の運転、自殺行為など
  • 自動車やバイクが関わっていない
    • 自転車同士や自転車と歩行者の事故など
  • 損害賠償請求の相手が被保険者の親族
  • 事故発生後に弁護士特約に加入した
  • 弁護士特約が使えない車両での事故
    • 事業用車両での事故の被害者本人の弁護士特約など
  • 自然災害や戦争・暴動が原因
  • 自損事故

ただし、弁護士特約が「自動車事故限定型」の場合、自転車同士や自転車と歩行者の事故は弁護士特約の対象外ですが、「日常生活事故型」の場合、自転車同士や自転車と歩行者の事故でも弁護士特約が適用されるなど、上記のケースでも利用できる場合もあるので、契約内容をよく確認する必要があります。

弁護士特約が使えない交通事故に関しては、『弁護士特約が使えない交通事故とは?特約なしの対処法・あとから加入は可能?』で詳しく解説しています。

もし弁護士特約が利用できなくても、弁護士が介入することで大幅な増額が期待できる場合は、弁護士依頼を検討すべきです。まずは弁護士への無料相談で、費用倒れの心配がないか確認してみましょう。

必要だと感じたら弁護士特約を積極的に活用しよう

特に、以下のようなケースでは弁護士特約の利用を保険会社に嫌がられやすいです。

  • 物損事故・軽微な事故・示談交渉で争いがない
  • 被害者自身に過失がある
  • 弁護士への支払額を気にしている

しかし、弁護士特約の利用は正当な権利なので、約款上認められている限り、必要だと感じた際には遠慮せずに利用するべきです。

弁護士特約を利用することで、弁護士費用の心配なく弁護士に依頼でき、示談金の増額も期待できます。また、煩雑な手続きから解放され、治療に専念することもできます。

弁護士特約の利用を迷っていたり、弁護士依頼にメリットがあるのかがわからなかったりする交通事故被害者の方は、まずは弁護士の無料相談を利用して、アドバイスをもらいましょう。

アトム法律事務所では、電話・LINE・メールで無料相談の予約受付を24時間365日実施しています。

無料相談のみの利用でも問題ありません。相談中に無理に契約を勧めることもありませんので、お気軽に下記の相談窓口までお問い合わせください。

交通事故の無料法律相談
相談料 無料
毎日50件以上のお問合せ!

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

突然生じる事故や事件に、
地元の弁護士が即座に対応することで
ご相談者と社会に安心と希望を提供したい。