コンビニワープは違法?信号待ち回避で駐車場ショートカットの行為は危険

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コンビニワープ

コンビニワープとは、赤信号をショートカットする目的でコンビニの駐車場などを横切る行為です。

コンビニワープそのものを取り締まる法律はないのが現状ですが、交通ルールや交通マナーが問われる危険な行為に変わりありません。

また、コンビニワープに付随する運転行為に関しては、警察から取り締まりを受ける違法行為となる可能性が高いです。

本記事では、コンビニワープの意味や違法性、取り締まりを受ける可能性がある違法行為について解説します。あわせてコンビニワープによって交通事故に巻き込まれてしまった場合の対処法も解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。

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コンビニワープ(コンビニショートカット)の意味と違法性

コンビニワープとは?

コンビニワープとは、信号のある交差点を信号に従って曲がらずに、交差点の角にあるコンビニの駐車場などをショートカット目的で通り抜けて近道する行為のことです。

コンビニワープの一例

  1. 交差点の信号が赤になる
  2. 信号が青に変わるまで待たず、交差点の角にあるコンビニ駐車場に一旦入る
  3. 交差点で右左折を予定していた道路にそのまま出る

コンビニワープはコンビニショートカットとも呼ばれていますが、コンビニに限らず飲食店やガソリンスタンドといった店舗の駐車場や敷地、空き地でも行われます。

コンビニや店舗にとっては利用客ではないので、迷惑極まりない行為です。そればかりか、コンビニワープは信号待ちを回避するくらい急いでいるので、そもそもスピードを出して走行しがちなケースが多く、敷地内を歩く歩行者や駐車場に停めようと入ってきた利用客の車と接触しかねない非常に危険な行為です。

コンビニワープは絶対にやめましょう。

コンビニワープそのものを取り締まる法律はない

現状、コンビニワープそのものを取り締まる法律はありません。コンビニワープしたからといって、今すぐ取り締まられたり、逮捕されたりすることはないでしょう。

ワープのために使うコンビニ駐車場や店舗の敷地などは、道路交通法で取り締まる「道路」にあたりません。道路交通法の目的は、道路上の危険を防止して交通の安全と円滑を図ることになるので、コンビニ駐車場や店舗の敷地などで、道路交通法が適用されないのです。

こういった点からいえば、コンビニワープには違法性がないようにもみえますが、安易に行っていい行為ではありません。

たとえ道路交通法上でいう道路でなくても、自由に不特定多数の人や車両が通行できる場所なら「道路」とみなされるという過去の判例もあります。

そのため、コンビニワープに付随した「道路から道路外に進入する行為」や「道路外から道路へ出る行為」については、さまざまな違反に該当する可能性があります。

コンビニワープに付随して取り締まられる違法行為

一時不停止

コンビニワープする際、コンビニ駐車場や店舗の敷地を出入りするために歩道を通過するときに車両を歩道直前で一時停止させず、歩行者の通行を妨げるような走行をすれば、一時不停止となります。

道路交通法第17条2項において、公道から歩道をまたいで道路外の駐車場や施設に出入りする際、車両は一時停止しなければならないと定められているからです。

(略)車両は、歩道等に入る直前で一時停止し、かつ、歩行者の通行を妨げないようにしなければならない。

道路交通法 第17条2項

一時不停止は通常、違反切符による行政処分を受ければ刑事処分を受けることはありません。一時不停止に関しては、「違反点数2点加算と反則金の納付(普通自動車なら7000円)」の行政処分を受けることになります。

安全運転義務違反

コンビニワープする際、スピードを出しすぎていたり、確認不足で歩行者やほかの車両に危険を及ぼせば、安全運転義務違反となります。

道路交通法第70条において、車両の運転者はハンドル・ブレーキなどの装置を確実に操作して、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならないと定められているからです。

車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

道路交通法 第70条

安全運転義務違反も通常、違反切符による行政処分を受ければ刑事処分を受けることはありません。安全運転義務違反に関しては、「違反点数2点加算と反則金の納付(普通自動車9000円)」の行政処分を受けることになります。

建造物侵入罪

コンビニ駐車場や店舗の敷地などは管理者の私有地なので、管理者の許可なく立ち入れば刑法第130条の建造物侵入罪に問われる可能性があります。

店を利用する目的もないのに、信号をショートカットしようとワープに用いれば、管理者の意思に反するからです。

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

刑法 第130条

もっとも、「もともと店で買い物しようと思って立ち寄ったが用事を思い出してそのまま駐車場を出ただけ」というケースも考えられます。店側も利用客だといわれてしまうと強く注意しにくいものなので、利用者側のモラルが問われる行為だといえるでしょう。

仮に建造物侵入罪が成立すれば、「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」の刑罰に処せられる可能性があります。

事故で人が死傷すれば過失運転致死傷罪

コンビニワープ中かどうかにかかわらず、自動車の運転で必要な注意を怠ったことで人が死傷する交通事故を起こした場合、過失運転致死傷罪に問われます。

人が死傷する交通事故を起こせば、コンビニ駐車場や店舗の敷地などの私有地でも本罪は成立するのです。

自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律 第5条

過失運転致死傷罪は、「7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」の刑罰に処せられる可能性があります。

もっとも、相手のケガが軽傷で、事故後の対応をきちんととるなどしていれば、不起訴で事件が終了することもあるでしょう。

なお、交通事故で人が死傷しなくても、車や建物などにぶつかって物を壊した場合、物損事故として扱われます。物損事故の場合、刑罰はありませんが、壊してしまった物に対する民事上の賠償責任は負わねばなりません。

コンビニワープによる交通事故の被害を受けたらどうする?

(1)事故直後の適切な対応をする

コンビニワープによる交通事故に巻き込まれたら、事故直後の適切な対応をとりましょう。

ケガ人がいれば救護し、事故現場の安全を確保してください。ケガ人がいなかったり、ケガが軽傷だと思っても、警察へは必ず通報しましょう。

ケガ人の救護、事故現場の安全確保、警察への報告は、いずれも道路交通法で定められた義務だからです。警察が到着したら、事故状況を説明します。余力があれば、その場でコンビニワープが行われたことを伝えておいてもいいでしょう。

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(2)病院で治療を受ける

事故直後の対応が済めば、病院で診察を受け、十分な治療を受けましょう。

事故直後は、興奮のあまり痛みを感じにくく、ケガにすぐ気づけないことも多いです。ケガがないと思っても、事故にあったら念のため病院にいって診察を受けましょう。

通院費や治療費は相手方に請求可能なので、まずはケガがないか確認のために受診してください。なお、幸いにケガがなかった場合も、通院費用は相手方に請求可能です。治療費の請求方法については『交通事故被害者の治療費は誰が支払う?立て替えは健康保険を使う』の記事が参考になります。

また、ケガが見つかった場合は、医師から「完治」または「症状固定」と診断を受けるまで継続してください。症状固定とは、治療をこれ以上続けても改善せず、何らかの症状が後遺症として残り続ける状況をいいます。

症状固定の診断を受けたら、後遺障害の申請を行い、後遺障害等級の認定を受けましょう。症状固定の診断を受けた後にすべきことについて詳しくは『症状固定とは?時期や症状固定と言われたらすべき後遺障害認定と示談』の記事をご覧ください。

(3)治療費や慰謝料などを相手方に請求

ケガが完治したり、症状固定となって後遺障害等級が認定されたら、事故の相手方に治療費や慰謝料などの損害賠償金を請求しましょう。

損害賠償金の請求にあたって交渉相手となるのは、事故の相手方が加入する任意保険会社です。任意保険会社は、事故の被害者が本来受け取れるはずの妥当な金額よりも、低い金額しか提示してきません。

安易に示談を受け入れてしまうと、事故の被害者が本来受け取れたはずの金額を逃してしまうことになります。妥当な金額が知りたい場合は、以下の慰謝料計算機をお使いください。

任意保険会社が提示する金額よりも、計算機の結果の方が高額な場合、弁護士が介入することで増額の可能性が高まります。

なお、最終的に受け取れる損害賠償金の金額は、過失割合に応じて変わるので注意してください。コンビニワープした側が悪いとはいえますが、全過失がつくとも限りません。

まとめ

コンビニワープは、社会問題としてとらえられています。

たとえ急ぎの用があったとしても、赤信号を回避するためにコンビニワープすることは交通事故につながる恐れがある危険な行為なのでやめましょう。

コンビニワープそのものを取り締まる法律が現状はありません。しかしながら、コンビニワープした場所や交通状況などに応じて、一時不停止や安全運転義務違反などの違法行為に該当する可能性はあり、場合によっては警察から取り締まりを受けることもあるでしょう。

コンビニワープによる交通事故に巻き込まれたら、まずは事故直後の対応をとって警察に連絡してください。ケガをした場合は適切な治療を受け、慰謝料請求に際しては弁護士に相談しましょう。弁護士が介入することで慰謝料が増額する可能性があります。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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