交通事故では防犯カメラの映像が重要な証拠になる。入手方法も紹介
この記事でわかること
交通事故が起きた場合、相手方との間で事故発生の原因がどちらにあるかといった点で争いが生じることがあります。
このような問題が生じた場合には、防犯カメラの映像が重要な証拠となるのです。
しかし、防犯カメラの映像が証拠になるとしても、どうすれば入手できるのか、他の証拠も必要ではないか、というような点が気になる方は多いでしょう。
本記事では、防犯カメラの映像の証拠としての重要性や、入手方法などについて解説を行っています。
目次
防犯カメラの映像で交通事故の過失割合が変わる
交通事故の損害賠償金額は過失割合により変わる
交通事故により被害を受けた場合には、加害者に対して損害賠償請求が可能となります。
しかし、交通事故の発生について被害者にも過失が認められた場合には、過失の程度に応じて請求できる賠償金額が減額されるのです。
このような過失の程度に応じた減額を過失相殺といいます。
被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。
民法722条第2項
被害者側の過失割合が少し大きくなるだけで、請求できる賠償金額が100万円以上も少なくなることもあるため、過失割合は交通事故の損害賠償請求において重要な要素といえるでしょう。
過失相殺による減額の計算方法や流れを知りたい方は『過失相殺をわかりやすく解説!計算方法や交通事故判例の具体例も紹介』の記事をご覧ください。
防犯カメラの映像から過失割合を判断
防犯カメラの映像があれば、信号無視や一時停止違反など、交通事故の原因について客観的に証明することが可能です。
赤信号で交差点に進入したり、一時停止標識を無視して交差点に飛び出したりする様子が映像に記録されていれば、相手方の過失を明確に立証することができます。
また、映像には事故発生前の状況も記録されているため、事故に至るまでの経緯についても知ることができます。
例えば、相手方が交差点に進入する前に速度超過をしていたことが分かれば、過失割合に大きく影響する可能性があるでしょう。
このように、防犯カメラ映像は、事故の全体像を詳細に把握することで、より正確な事故態様を明らかにし、有利な過失割合を主張するための証拠として役立ちます。
過失割合を決める手順について知りたい方は『交通事故の過失割合とは?決め方の具体的な手順とパターン別の過失割合』の記事で確認可能です。
防犯カメラの映像は特に重要
目撃者証言は、記憶違いや思い込みによる誤認が生じる可能性があるため、必ずしも客観的な証拠として認められるわけではありません。
一方、防犯カメラ映像は改ざんや捏造が難しく、客観性の高い有力な証拠といえるでしょう。
そのため、防犯カメラ映像があれば、より有利な立場で示談交渉を進めることができます。
また、防犯カメラ映像は複数人で共有したり、繰り返し確認したりすることが可能です。
これは、目撃者証言では得られない大きなメリットとなります。
防犯カメラ映像は交通事故の状況を客観的に証明し、過失割合を有利にするために非常に役立つ証拠といえるでしょう。
事故現場に防犯カメラが設置されている場合は、必ず映像の確認を依頼し、証拠として利用することを強くおすすめします。
不正な過失割合の主張を反論する材料となる
相手方が過失割合を少しでも抑えるために、虚偽の主張をすることがあります。
このようなケースでは、防犯カメラ映像が虚偽の主張を反論する材料となるでしょう。
例えば、相手方が「自分は一時停止した」と主張しているにもかかわらず、防犯カメラ映像には一時停止していない様子が記録されている場合、相手方の主張を虚偽であることを証明することが可能です。
防犯カメラ映像は、客観的な証拠として虚偽の過失割合に関する主張を反論し、自身の正当性を主張するために役立ちます。
防犯カメラの映像以外の証拠も収集すべき
交通事故における過失割合を決めるための証拠は、防犯カメラの映像だけとは限りません。
他の証拠と防犯カメラの映像を併用することで、より詳細な状況を把握することができます。
防犯カメラの映像以外に収集すべき証拠としては、以下のようなものが考えられるでしょう。
- ドライブレコーダー
- 目撃者の証言
- 警察が作成する実況見分調書
複数の証拠を組み合わせることで、説得的な主張が可能
複数の証拠を組み合わせることで、事故状況をより客観的に証明することができ、相手方の主張に対して反論しやすくなります。
例えば、防犯カメラ映像で相手方が信号無視をしていたことが分かれば、目撃者証言や警察の実況見分調書で裏付けを取ることができるでしょう。
このように、複数の証拠を組み合わせることで、より有利な示談交渉を進めることができます。
交通事故は複雑な状況が絡み合うことが多いため、複数の証拠を収集することが重要です。
防犯カメラの映像以外にもより多くの証拠を収集し、より有利な立場で事故解決を目指す必要があります。
防犯カメラの映像を入手する方法|弁護士の協力を
自力で防犯カメラの映像を入手するのは困難
交通事故現場に設置されている防犯カメラの映像は、設置者によって管理されており、誰でも自由に入手や閲覧ができるわけではありません。
映像を入手するには設置者や管理者に許可を得る必要がありますが、個人で手続きを行うのは煩雑だったり、トラブルに巻き込まれたくないことから許可が得られない場合があったりします。
映像の提出を拒否している人に対して、個人で説得を行うことは困難なことが多いでしょう。
また、防犯カメラの映像は短期間で上書きされてしまうことがあります。
事故現場が複数箇所に渡る場合や事故発生から時間が経過している場合などは、個人で行うと手続きがスムーズに進まなかったために、映像を確保できなくなるおそれがあるでしょう。
弁護士なら防犯カメラの映像の開示をスムーズに行える
弁護士は関係機関に対して説得的に協力を要請し、スムーズに映像の開示を依頼することができます。
また、適切な方法で映像の開示を請求することで、許可が得られる可能性を高めることができるでしょう。
具体的には、弁護士は以下のような方法で映像の開示を依頼することができます。
- 設置者や管理者に対して開示請求を行う
- 弁護士会照会により開示を求める
- 裁判所に証拠保全の申し立てを行う
このように、弁護士は専門的な知識と経験に基づいて適切な方法で映像の開示を依頼することで、迅速かつ確実に証拠収集を行うことができるのです。
弁護士なら防犯カメラの映像を有効に活用できる
弁護士は、防犯カメラ映像の内容を分析し、有利な証拠としてどのように活用できるかを検討することができます。
具体的には、以下のような点に注目して分析を行います。
- 事故発生時の状況:信号状況、車線状況、車両の動き、歩行者の動きなど
- 事故原因:信号無視、一時停止違反、スピード超過、車線変更など
- 被害状況:車両の損傷状況、歩行者の動き、ケガの程度など
これらの分析結果に基づいて、相手方の過失の程度を立証するための資料を作成し、示談交渉を有利に進めることができるのです。
交通事故を弁護士に相談・依頼すればその他にもメリットあり
交通事故について弁護士に相談・依頼するメリット
交通事故の被害にあった場合に、弁護士に相談・依頼することで、以下のようなメリットがあります。
- どのような損害について請求できるのかを知ることができる
- 適切な過失割合を教えてもらえる
- 依頼することで証拠の収集や示談交渉を代わりに行ってもらえる
- 裁判になった場合には裁判手続きを適切に行ってもらえる
交通事故は、被害者にとって肉体的にも精神的にも大きな負担となります。
弁護士に相談・依頼を行うことで負担を和らげることができるでしょう。
弁護士に依頼することで生じるメリットはこれだけではありません。
詳しく知りたい方は『交通事故を弁護士に依頼するメリットと必要な理由|弁護士は何をしてくれる?』の記事をご覧ください。
アトム法律事務所なら無料の法律相談が可能
アトム法律事務所では、電話やLINEで交通事故被害者の方を対象とした無料法律相談を行っています。
金銭的な負担なく、交通事故案件の経験が豊富な弁護士に法律相談をすることが可能です。
また、依頼となった場合には、原則として着手金が無料となっています。
報酬については相手方から支払われる損害賠償金から清算することができるので、金銭面に不安のある方でも気軽に相談や依頼が可能です。
法律相談の予約受付は24時間体制で行っているので、いつでもご連絡ください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了