交通事故による眼球破裂の後遺症|後遺障害等級の解説と賠償金の増額術

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交通事故で眼球破裂

交通事故で眼球破裂を負った場合、基本的に失明や視力低下といった後遺症が残ります。眼球破裂で後遺症が残ったら、後遺障害等級の認定を受けて、後遺障害慰謝料や逸失利益などの賠償金を請求しましょう。

眼球破裂による後遺障害等級は、最も重い場合で1級、最も軽い場合で12級が考えられます。

本記事では、交通事故による眼球破裂の後遺症について詳しく解説します。後遺障害等級の解説と賠償金の増額術についても紹介しますので、交通事故で眼球破裂を負った方は、ぜひ参考にしてください。

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交通事故による眼球破裂とは?

眼球破裂とは、眼球を覆う外壁の組織が破れて、眼球の内容物が飛び出す状態です。交通事故の他にも、転倒やスポーツ中の事故などで眼球に強い衝撃を受けた場合、眼球破裂が生じます。

眼球破裂の症状

眼球破裂の症状は、以下の通りです。

  • 眼球の痛み
  • 眼球からの出血
  • 急激な視力低下
  • 涙が出やすくなる など

また、眼球破裂後に細菌による感染症で強い炎症を起こしたり、網膜剥離を伴ったりする可能性もあるでしょう。

眼球破裂の原因

眼球破裂の原因は、以下の通りです。

  • 交通事故、労災事故、スポーツ事故などで眼球に強い外傷が直接加わる
  • ガス爆発などによる爆風が眼球に当たる など

眼球破裂の治療法

眼球破裂の治療法は、破れた眼球の組織を縫い合わせて修復し、感染症の予防に努めます。感染症による炎症が続くと、受傷していない方の目にも炎症が及ぶ可能性があるので、感染症の予防は非常に重要です。

また、治療しても、眼球破裂よって低下した視力が完全に元の状態まで戻ることは基本的にはないでしょう。眼球破裂は重症な場合、失明に至ることもあります。

いずれにせよ、早期に適切な治療を受けることが大切です。

眼球破裂による後遺障害等級は?

眼球破裂は重い症状であるため、適切な治療を受けても失明や視力低下など何らかの後遺症が残ることがほとんどです。

目の後遺障害に関する全般的な解説については関連記事『交通事故による目の後遺障害|失明・視力低下・複視の認定基準』をご確認ください。

ここからは、眼球破裂で認定されうる後遺障害等級に焦点を絞って解説してきます。

眼球破裂による失明・視力低下の等級

眼球破裂によって失明・視力低下した場合、「失明・視力低下が両眼に生じているか、片眼にだけ生じているか」「失明・視力低下の程度」という2点から後遺障害等級が分けられます。

両眼と片眼に分けて、失明・視力低下の後遺障害をまとめたのが以下の表です。

両眼に失明・視力低下の後遺障害が残った場合

等級内容
1級1号両眼が失明した
2級1号一眼が失明し、もう一眼の視力が0.02以下になった
2級2号両眼の視力が0.02以下になった
3級1号一眼が失明し、もう一眼の視力が0.06以下になった
4級1号両眼の視力が0.06以下になった
5級1号一眼が失明し、もう一眼の視力が0.1以下になった
6級1号両眼の視力が0.1以下になった
7級1号一眼が失明し、もう一眼の視力が0.6以下になった
9級1号両眼の視力が0.6以下になった

失明・視力低下の後遺障害が両眼に残った場合は、1級・2級・3級・4級・5級・6級・7級・9級に認定される可能性があります。

片眼に失明・視力低下の後遺障害が残った場合

等級内容
8級1号一眼が失明した
 または
一眼の視力が0.02以下になった
9級2号一眼の視力が0.06以下になった
10級1号一眼の視力が0.1以下になった
13級1号一眼の視力が0.6以下になった

失明・視力低下の後遺障害が片眼に残った場合は、8級・9級・10級・13級に認定される可能性があります。

表の用語補足

  • 失明について
    以下のいずれかの状態に該当する場合、失明とされる
    • 眼球を摘出した
    • 光の明暗が完全に区別できない
    • 光の明暗がかろうじて区別できる
  • 視力について
    原則として、眼鏡・コンタクトレンズなどで矯正した視力とされる

眼球破裂による調節機能障害の等級

眼球破裂によって調節機能障害が残ると、目のピントが合わせづらくなってしまいます。

調節機能障害が残った場合

11級1号両眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの
12級1号一眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの

調節機能障害の後遺障害が両眼に残った場合は11級片眼に残った場合は12級に認定される可能性があります。

表の用語補足

  • 著しい調節機能障害について
    調節機能に多大な障害がみられる場合、調節機能障害とされる
    • 両眼の調節機能障害:被害者の年齢の平均値より2分の一以下の値である
    • 片眼の調節機能障害:正常なもう一眼より2分の一以下の値である

交通事故による眼球破裂でよくある疑問

交通事故で眼球破裂を負った場合に気になるよくある疑問をまとめました。

眼球破裂は治る?

眼球破裂は適切な治療を早急に行ったとしても、視力は完全には戻らず、後遺症が残ることになるでしょう。

眼球破裂の治療費は誰に請求できる?

交通事故による眼球破裂の治療費は、基本的に加害者側の任意保険に対して請求することになるでしょう。また、加害者が任意保険に未加入の場合、加害者側の自賠責保険に対して請求することになります。

もっとも、自賠責保険は傷害分の補償上限が120万円なので、上限を超える分の治療費は加害者自身や、被害者側の人身傷害保険などの任意保険に対して請求することになるでしょう。

治療費だけで120万円を超えるような場合、どのように対策していくべきかは関連記事『交通事故慰謝料が120万を超えたらどうなる?自賠責保険の限度額や請求方法』でご確認いただけます。

眼球破裂の後遺症で仕事復帰に影響がでたら?

眼球破裂の後遺症で仕事復帰に影響が出る場合があります。たとえば、視力障害が残った場合、運転や機械操作などの仕事が難しくなる可能性があるでしょう。

こういった後遺症が仕事に影響を及ぼし、将来的な収入の減少につながることに対する補償として「逸失利益」の請求が可能です。ただし、逸失利益の請求可否は、眼球破裂によって残った症状が後遺障害等級に認定されている必要があります。

眼球破裂に伴いその他の後遺症も残る?

眼球破裂に伴い、失明・視力低下、調節機能障害に加えてその他の後遺症が残る場合もあります。

たとえば、目の周りを強く打つことで「顔に外貌醜状」が残ったり、頭部を強く打つことで「高次脳機能障害」が同時に残る可能性があるでしょう。

交通事故による眼球破裂の賠償金

交通事故による眼球破裂で請求可能な賠償金この項目について解説していきます。

後遺障害慰謝料

眼球破裂で後遺症が残った場合、後遺障害等級に認定されることで後遺障害慰謝料を請求することができます。後遺障害慰謝料は、後遺障害の程度に応じて金額が異なります。

等級 自賠責基準弁護士基準
1級1,150万円
(1,100万円)
2,800万円
2級998万円
(958万円)
2,370万円
3級861万円
(829万円)
1,990万円
4級737万円
(712万円)
1,670万円
5級618万円
(599万円)
1,400万円
6級512万円
(498万円)
1,180万円
7級419万円
(409万円)
1,000万円
8級331万円
(324万円)
830万円
9級249万円
(245万円)
690万円
10級190万円
(187万円)
550万円
11級136万円
(135万円)
420万円
12級94万円
(93万円)
290万円
13級57万円
(57万円)
180万円
14級32万円
(32万円)
110万円

※()内の金額は2020年3月31日以前の事故に適用

後遺障害慰謝料は、認定された等級に応じてすでに決まっている金額の請求が可能です。

上記の表の通り、自賠責基準で算定するか弁護士基準で算定するかで、後遺障害慰謝料の金額が大きく異なります。被害者が本来受け取るべき金額は、弁護士基準によって算定された慰謝料です。どの基準で算定されているか非常に重要になります。

また、眼球破裂で残った後遺症が正しい等級に認定されているかどうかも重要です。

たとえば、眼球破裂で本来なら7級に認定されるべきはずであったところ、正しく症状が認定機関に伝わらず9級に認定されてしまったとしましょう。そうすると、弁護士基準の場合であれば、7級は1,000万円、9級は690万円となり、その差額は390万円となります。

慰謝料を算定する基準や、認定された等級が後遺障害慰謝料の金額を左右すると覚えておきましょう。

逸失利益

眼球破裂で後遺症が残った場合、これまでと同じように仕事ができなくなったり、仕事に復帰できなくなったりする可能性があります。その場合、逸失利益を請求することができます。

逸失利益とは、将来にわたって失われた収入を補償するためのものです。

逸失利益の具体的な計算方法については関連記事『【逸失利益の計算】職業別の計算例や早見表・計算機つき』が参考になりますので、あわせてご確認ください。

治療費

交通事故で眼球破裂を負った場合、治療費がかかります。治療費は眼球破裂を治療するために必要で相当な範囲で認められるので、被害者の入院期間や治療内容によって金額はまちまちです。

その他(入通院慰謝料・休業損害等)

交通事故で眼球破裂を負った場合、治療期間中は入通院慰謝料を請求できるうえ、通院にかかった交通費なども請求できます。また、治療により仕事に復帰できない間は、休業損害の請求が可能です。これらの損害も、基本的に加害者側の任意保険から請求することができます。

あわせて読みたい関連記事

なお、交通事故による眼球破裂の賠償金は、個々の事情によって異なります。そのため、詳細については、弁護士に相談することをお勧めします。

眼球破裂の賠償金を増額する方法

眼球破裂の賠償金を増額させるには弁護士の存在が欠かせません。その理由を解説します。

弁護士基準で賠償金を算定する

交通事故で眼球破裂を負った場合、加害者側の任意保険に賠償金を請求することができます。しかし、任意保険会社が提示する賠償金額は、被害者が本来受け取るべき金額よりも低額であることが通常です。そのため、弁護士に依頼して、弁護士基準で賠償金額を算定してもらうことをお勧めします。

慰謝料金額相場の3基準比較

弁護士基準とは、交通事故の損害賠償請求において裁判所が過去に認めた賠償金額を参考にして決められた基準のことです。弁護士基準は、自賠責基準や任意保険基準といった保険会社が用いる基準よりも高額になるため、弁護士に依頼して弁護士基準で算定し直してもらうことで正しい賠償額がわかります。

いますぐ妥当な慰謝料がどのくらいか知りたい場合は、以下の計算機がおすすめです。

あくまで目安にはなりますが、保険会社から提示を受けている場合は、その金額と計算機の結果を見比べてみてください。保険会社の提示額の方が低ければ、弁護士の介入で増額の可能性があります。

弁護士に示談交渉を依頼する

交通事故で眼球破裂を負った場合、加害者側の任意保険会社と示談交渉を行うケースがほとんどです。しかし、示談交渉は経験と知識がないと難しいでしょう。慣れていないと保険会社の言うまま、被害者にとって不利な内容で示談を終えてしまいかねません。

また、先述した弁護士基準の金額を被害者だけで主張しても、保険会社が認めてくれる可能性は極めて低いです。

被害者だけでの増額交渉は認められにくい

そのため、弁護士に依頼して、示談交渉を代行してもらうことをお勧めします。弁護士は、加害者側の任意保険会社と交渉し、適正な賠償金額を獲得するために尽力します。

弁護士による増額交渉は認められやすい

また、示談交渉の過程で、保険会社から一方的な治療打ち切りなど不当な対応をされた場合にも、弁護士なら適切に対処することができます。

交通事故で眼球破裂を負ったら、弁護士に依頼して、弁護士基準による適正な補償を受け取りましょう。

交通事故で眼球破裂を負ったら弁護士に相談

交通事故で眼球破裂を負った場合、早急に弁護士に相談することをお勧めします。弁護士は、交通事故の損害賠償請求について、経験と知識が豊富です。また、弁護士は、加害者側の任意保険会社と交渉し、適正な賠償金額を獲得するために尽力します。

交通事故で眼球破裂を負った場合、弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。

  • 適正な賠償金額を獲得できる
  • 示談交渉を代行してもらえる
  • 加害者側から不当な要求をされた場合にも適切に対処してもらえる
  • 精神的・肉体的な負担を軽減できる

交通事故で眼球破裂を負った場合、早急に弁護士に相談することで、適正な補償を受け取れる可能性が高まるでしょう。

アトム法律事務所は交通事故の被害を受けられた方を対象に、無料の法律相談を実施しています。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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