離婚の財産分与とは?割合はどうなる?夫婦の財産の分け方を解説

離婚時の「財産分与」は、夫婦が築いた財産を公平に分ける重要な手続きです。
しかし、その対象となる財産の範囲や分け方、適正な評価額の算定など、不安や疑問を抱える方も多いでしょう。
本記事では、財産分与の基礎知識から分け方、対象となる財産、請求する手続きまでアトム法律事務所の弁護士がわかりやすく解説します。
「財産分与で損をしたくない」
「何が財産分与の対象になるのか」
「複雑な資産をどう分ければいいのか分からない」
このような悩みを抱える方に役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
離婚したら財産はどうなる?財産分与の基礎知識
離婚する時の財産分与とは
財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力して築いた財産を離婚時に公平に分配することです。
財産分与は法律で定められた権利のため、原則拒否することができません。
(財産分与)
民法768条
第七百六十八条 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から五年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の場合には、家庭裁判所は、離婚後の当事者間の財産上の衡平を図るため、当事者双方がその婚姻中に取得し、又は維持した財産の額及びその取得又は維持についての各当事者の寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力及び扶助の状況、各当事者の年齢、心身の状況、職業及び収入その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。この場合において、婚姻中の財産の取得又は維持についての各当事者の寄与の程度は、その程度が異なることが明らかでないときは、相等しいものとする。
財産分与の3つの要素
財産分与は単に夫婦間で築いた財産を分け合うだけでなく、離婚後の生活保障や慰謝料としての性質など、幅広い意味合いを持っています。
離婚時に行われる財産分与には、以下のような3つの要素があります。
1.清算的財産分与
清算的財産分与とは、夫婦が結婚生活の中で共同で築いた財産を分けることを目的とした財産分与です。
この清算的財産分与が、財産分与の最も基本的かつ中心的な要素です。
2.扶養的財産分与
扶養的財産分与は、離婚後に生活が困難になる配偶者を支えることを目的としたものです。
例えば、離婚後に片方の配偶者が病気や高齢で働けない場合などに、この扶養的な目的が考慮されることがあります。
この分与により、離婚後の生活基盤を一定程度守ることができます。
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3.慰謝料的財産分与
慰謝料的財産分与は、離婚原因を作った配偶者が相手に与えた精神的苦痛を償うためのものです。
通常、不貞行為やDV(家庭内暴力)といった理由による精神的苦痛は、「慰謝料」として独立した請求として処理されることが一般的です。
しかし、金銭以外の現物で償いたい場合など、ケースによっては、慰謝料を財産分与の一部として組み込む形で柔軟に解決する場合もあります。
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財産分与は夫婦のどちらからでも請求できる
財産分与は、離婚時に夫婦のどちらからでも請求できます。夫婦どちらにも平等に権利がある制度で、有責配偶者であっても請求が可能です。
専業主婦の家事や育児の貢献、共働き夫婦の協力関係も適切に評価され、財産分与に反映されます。
離婚原因を作った配偶者でも請求可能
たとえ離婚の原因を作った側(有責配偶者)であっても、清算的財産分与として財産分与を請求することができます。
清算的財産分与の目的は、夫婦が協力して築いた財産を公平に分けることであるため、離婚原因の有無にかかわらず権利が認められます。

弁護士
離婚の原因を作った側の責任は、別途慰謝料や慰謝料的財産分与の部分で解決を図ります。
専業主婦でも財産分与を受け取れる
専業主婦の方も、家事や育児への貢献が金銭的に評価されるため、財産分与を受け取る権利があります。
働いていないからといって財産分与を受け取れないわけではありません。家事や育児は夫婦共同生活を支える重要な役割であり、それが夫婦の財産形成に寄与していると認められます。
財産分与の割合についての基本と例外
財産分与の原則は「2分の1ルール」
財産分与の割合(寄与割合)は、2分の1ずつ、つまり半分ずつ分けるのが原則です。
収入を得て家計を支えていたのが夫婦のどちらか一方だけであっても、もう一方も家事や育児を通じてその収入に貢献しているといえます。婚姻中に築いた財産は二人で協力して形成したものであり、貢献の度合いは同じとみなされるからです。
一方が専業主婦(夫)であっても、調停や審判では2分の1ずつ分けるのが基本的な運用です。
もっとも、双方が合意すれば割合は自由に変更できます。
共働き夫婦の財産分与も同じ割合
共働き夫婦の場合も、収入に差があっても原則として同じ割合で財産が分けられます。夫婦が協力して築いた財産はどちらか一方のものではなく、共同のものとみなされるためです。
財産分与の割合は夫婦で話し合って決める
財産分与の割合や対象財産は、まずは夫婦の話し合いで決めます。合意さえ取れれば、何割ずつ分けるかを自由に決めることができます。
話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に申し立てを行い、調停や審判で決まります。調停・審判では、基本的に2分の1ルールが適用されます。
2分の1ルールの例外が認められるケース
実務上、公平性の観点から2分の1ルールが修正される場合があります。
たとえば、一方の配偶者が婚姻前から培った特別な技能や資格を活かして、婚姻中に普通では築けない多額の財産を形成したことが立証できる場合には、裁判例上、割合が修正されることがあります。
ただし、修正が認められるのは非常に限定的なケースです。
例外1.特別な資格や能力による財産形成
医師、弁護士、芸術家、スポーツ選手など、特別な資格や能力を活用して普通では得られないほどの多大な財産を形成した場合です。
例外2.特別な技能・経営能力による特殊な財産形成
一方が経営者として事業を拡大するなど、特別な技能や経営能力によって通常では築けない規模の財産を形成し、もう一方の寄与の程度が明らかに異なる場合がこれにあたります。
家事・育児の負担は2分の1を守る根拠になる
共働きであっても、家事や育児をほぼ一方が担っていた事実は、相手方が「特殊な技能で財産を形成した」として割合の修正を求めてきた場合に、原則の2分の1を維持するための根拠として機能することがあります。
家事育児の負担だけを理由に2分の1を超えて有利な割合になるケースは、実務上は限定的です。
財産分与の2分の1ルールが修正された判例
離婚時の財産分与で2分の1ルールの例外的な修正が認められた事案を紹介します。
医師の財産分与で寄与割合6:4とした判例
大阪高判平26・3・13(平成25年(ネ)349号)
医師の夫が婚姻後に開設した診療所を医療法人化し、高額な収入と財産を形成。妻は専業主婦として家事・育児のほか診療所の経理も一部担当していた。
離婚にあたり、対象財産3億円のうち、妻は5割の財産分与を主張したのに対し、夫は医学部進学や開業までの努力、婚姻後の労力を理由に、妻の寄与は3割程度と主張し、寄与割合が争点となった。
裁判所の判断
「控訴人の寄与割合を6割、被控訴人の寄与割合を4割とすることは合理性を有する」
大阪高判平26・3・13(平成25年(ネ)349号)
- 夫6割・妻4割という寄与割合を認定
妻への財産分与額
1億1640万6281円
本件では、約3億円の対象財産のほとんどが夫が婚姻後に設立した医療法人に関する財産でした。
裁判所は、夫の婚姻前からの個人的努力と、婚姻後に多くの労力を費やして高額収入を得ていた点を重視する一方で、妻も家事・育児だけでなく診療所の経理も担当していた事実を考慮し、夫6割・妻4割という寄与割合を合理的としました。
医師など高収入の配偶者との離婚では、医療法人の出資持分の評価や婚姻前の財産の扱いが重要になります。このような複雑な案件では、弁護士に相談し、適切な主張・立証を行うことが重要です。

弁護士
この事案は、2分の1ルールの例外的な修正が認められた事例としてよく引用されます。
しかし、このような修正は、特別な資格や能力を活用して通常を超える財産を築いた場合に限られるため、一般的な離婚事案では適用されるケースは少ないといえます。
財産分与の対象となる財産は?
離婚時の財産分与の対象は、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産(共有財産)です。一方、夫婦の一方が単独で所有する財産(特有財産)は分与の対象になりません。
共有財産(財産分与の対象になる財産)
財産分与の対象になる財産を「共有財産」といいます。婚姻中に夫婦が協力して築いた財産であれば、支払いをどちらがしたか、名義がどちらかにかかわらず、共有財産として扱われます。
共有財産に含まれる具体例
- 不動産
- 現金・預貯金
- 自動車
- 家財道具
- 退職金
- 有価証券
- 保険解約返戻金
- 住宅ローン
なお、厚生年金については、財産分与とは別に「年金分割」という手続きで対応します。
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特有財産(財産分与の対象にならない財産)
財産分与の対象にならない財産は「特有財産」と呼ばれます。
特有財産に含まれる具体例
- 婚姻前に取得した財産
独身時代の貯金、不動産など - 相続した財産
遺産として受け取った不動産や現金 - 贈与された財産
実親から贈与されたお金や物品
また、婚姻前からの預貯金を原資とした投資利益や家賃収入なども特有財産にあたります。
離婚時には、夫婦の財産からそれぞれの特有財産を除いた部分を2人で分け合います。

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共有財産の判断基準と注意点
夫婦のどちらのものか判別できない財産は、共有財産と推定されます(民法762条2項)。特有財産であると主張する側が、証拠をもとに立証する必要があります。
また、婚姻前からの預金であっても、婚姻後に家計の口座として使い続けると、共有財産と「混同」したとみなされて特有性を失うケースがあります。
いざという時に備えて、特有財産と共有財産は口座や管理を明確に分けておくことが重要です。
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財産の種類ごとの財産分与方法
(1)不動産
婚姻中に取得した家や土地などの不動産は、夫婦どちらの名義でも財産分与の対象です。
家や土地を物理的に半分ずつ分けることはできないため、現在の価値を金銭に換算して分け合うのが通常です。
なお、婚姻前から持っていた不動産や、親族からの相続・贈与で取得した不動産は特有財産にあたり、財産分与の対象になりません。
(2)現金・預貯金
婚姻中の収入で形成された現金や預貯金は、共有財産として分与の対象です。一方の収入であっても、家庭を支えるための共同の努力で得たものとみなされます。
ただし、婚姻前の貯金や相続・贈与で得たお金は、原則として分与の対象外です。
とはいえ、手つかずの口座でない限り、現在残っている貯金のどの部分が特有財産かを特定するのは非常に困難です。特有財産の立証をめぐって争いになるケースも少なくありません。
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(3)自動車
婚姻中に取得した自動車は、名義を問わず財産分与の対象です。
また、一方が婚姻前から所有していた車であっても、車検代や修理代を夫婦で分担するなど共同で維持していた場合には、共有財産として扱われることがあります。
自動車は現物を分割できないため、査定額をもとに金銭換算して分け合います。
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(4)家財道具
夫婦が共同で使っている家具や家電も財産分与の対象です。各々が必要なものを受け取るか、売却して相当する金銭を相手に渡す形で分与するのが一般的です。
なお、腕時計や宝石、洋服、ブランドバッグなど一方が単独で使用するものは、原則として財産分与に含めません。ただし、高級腕時計など資産価値の高いものは対象になることがあります。
(5)ペット
婚姻後に飼い始めたペットは夫婦の共有財産とみなされ、財産分与の対象となります。ペットは2つに分けることができないため、どちらかが引き取り、引き取った側が相手に評価額の2分の1に相当する金額を支払う形で清算するのが実務上の一般的な方法です。
婚姻前からどちらかが飼っていたペットは財産分与の対象とならず、原則としてもともと飼っていた方が引き取ります。
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(6)退職金
婚姻期間に相当する分の退職金は、財産分与の対象です。退職金は給与の後払いに相当するものと考えられており、婚姻中の共同の努力で得た財産とみなされるためです。
すでに受け取った退職金は預貯金として分与されます。離婚後に受け取る予定の退職金についても、支給がほぼ確実であれば分与の対象となる場合があります。
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(7)株式などの有価証券
婚姻中に取得した株式・国債などの有価証券や投資信託は、財産分与の対象です。
現物を分割するか、一方が受け取り相当額の金銭を相手に渡す形で清算します。
特有財産である有価証券から婚姻中に得た配当金も、特有財産として扱うのが一般的です。
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(8)保険解約返戻金
生命保険・学資保険・養老保険など、解約返戻金のある保険は財産分与の対象です。
離婚時に解約する場合は、実際に受け取った返戻金を分け合います。解約しない場合も、離婚時点で解約したと仮定して返戻金を算出するのが一般的です。
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(9)借金や住宅ローン
夫婦の共同生活のために負担したローンや借金はマイナスの財産として扱われ、プラスの財産と合わせて清算します。
ただし、浪費やギャンブルなど個人的な理由で作った借金や婚姻前からのローンは、財産分与の対象になりません。
なお、すべての財産から負債を差し引いた結果がマイナスになる場合(いわゆる債務超過の状態)は、財産分与を行わないのが一般的です。
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(10)年金
会社員や公務員が加入する厚生年金・共済年金については、婚姻期間に応じて配偶者が分割を受けられます。この制度を年金分割といいます。
離婚時に年金分割の手続きをとれば、自分が第3号被保険者であった期間に相手が納めた年金の一部を自分が納めたものとして扱うことができ、受け取れる年金額が増えます。
また、確定拠出年金(DC・iDeCo)、厚生年金基金などの企業年金、財形貯蓄、社内積立も、婚姻期間に応じて財産分与の対象にできます。
なお、国民年金(基礎年金)の部分は、年金分割・財産分与のいずれの対象にもなりません。
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財産分与の基準時とは
財産分与の基準時とは、離婚時に財産を分ける際の「どの時点の財産を対象にするか」という問題です。財産の範囲を確定するうえで、基準時を明確にすることが欠かせません。
財産分与の基準時は、次の2つに分けて考える必要があります。
- 財産の範囲を決める基準時(一般的には別居開始時)
- 財産の価値を評価する基準時(調停成立日や口頭弁論終結時など)
この2つは必ずしも一致するわけではありません。財産の範囲は別居開始時点で確定しつつ、不動産や株式などの価値は調停成立日や口頭弁論終結時の時価で評価するというのが、実務上の一般的な取り扱いです。
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財産分与の基準時①|財産分与の対象となる財産はいつのもの?
財産分与において、どの時点の財産を対象とするかが重要です。基準時については、次の2つの考え方があります。
- 別居開始時を基準とする
- 離婚成立時(裁判の場合は判決時)を基準とする
実務上は、別居開始時を基準とするケースがほとんどです。
財産分与の対象は「夫婦が協力して築いた財産」ですが、別居を開始すると夫婦の協力関係は事実上崩れます。そのため、別居後に得た収入や財産は原則として分与の対象になりません。別居後に一方が給与を受け取ったり、共有財産を使い込んだりした場合でも、別居時点にあった財産を基準に財産分与を行います。
ただし、別居後も夫婦が同じ家計を維持している場合は、協力関係が継続しているとみなされる可能性があります。当事者同士が合意すれば、基準時は自由に設定できます。
財産分与の基準時②|財産の価値をどの時点で評価するか?
もう一つ重要なのが、財産の「価値」を評価する基準時です。不動産や株式など日々価値が変動する財産については、どの時点の価格を基準にするかが問題になります。
不動産・株式など価値が変動する財産は、調停成立日や口頭弁論終結時の時価を基準とします。一方、預貯金・保険解約返戻金・ローン残高など価値が変動しない財産は、別居時の残高をそのまま評価額とするのが一般的です。
協議離婚の場合、評価の基準日は自由に決めることができますが、財産分与の合意をした時点とするのが合理的です。
財産分与の手続きと請求期限について
財産分与の流れ
財産分与は、以下のステップで進めます。
- 財産のリストアップ
- 夫婦で分け方を話し合う
- 離婚調停を申し立てる
- 離婚裁判を申し立てる
- 財産の移転(離婚後)

1.財産のリストアップ
財産分与をすることになったら、まずは夫婦の持つ財産をすべてリストアップします。
相手方の財産を把握しきれていない場合は、こちらが調査し、財産の存在を立証する必要があります。把握漏れがあると、本来受け取れるはずの財産を相手が持って行ってしまうおそれがあります。
財産分与で渡す額を少なくするために財産を隠したり処分したりするケースもあるため、離婚の意思を悟られる前に財産の証拠を確保しておくことが重要です。

弁護士
弁護士に依頼している場合は、弁護士会照会を利用して金融機関や勤務先に財産情報を確認することもできます。
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2.夫婦で分け方を話し合う
財産をリストアップできたら、どのように分け合うかを夫婦で話し合います。どちらが何を受け取るか、何割ずつ分け合うか、財産の評価方法、売却の有無などを決めます。
話し合いで決まったことは、離婚協議書として残しておくと後のトラブルを防げます。
離婚協議書は自作することも可能ですが、公証役場で強制執行認諾文言付き公正証書を作成しておくと、財産分与が約束通り履行されなかった場合に強制執行(差し押さえ)を行えるというメリットがあります。
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3.離婚調停を申し立てる
話し合いでの合意が難しければ、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることができます。財産分与だけでなく、慰謝料や親権・養育費など、あらゆる離婚条件について調停委員会の仲裁のもとで話し合えます。
双方が合意に至れば調停成立となり、財産分与の内容も確定します。
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4.離婚裁判を申し立てる
離婚調停でも合意できなかった場合、調停は不成立となります。その後は再度夫婦で話し合うか、離婚裁判を申し立てることになります。
離婚訴訟の附帯処分として財産分与の申し立てを行えば、離婚裁判の中で財産分与についても決めることができます。財産分与を含む離婚裁判は、裁判官による判決か当事者間の和解によって終了し、離婚するかどうかと財産分与の内容が確定します。
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5.財産の移転
財産の分け方が決まったら、最後に財産の受け渡し手続きを行います。預貯金であれば送金、不動産であれば所有権移転登記が必要です。
財産分与の請求期限は離婚後5年間!
離婚後5年以内であれば請求できます。離婚時に財産分与の取り決めを行わなかった場合でも、期限内であれば請求可能です。
ただし、この5年という期限が適用されるのは令和8年4月1日以降に離婚した場合です。それ以前に離婚した場合は、従来どおり離婚後2年が期限となります。
離婚後、財産分与について当事者間の話合いがまとまらない場合や話合いができない場合には、家庭裁判所に財産分与の調停又は審判の申立てをして、財産分与を求めることができます。
ただし、離婚した日の翌日から起算して5年を経過したときには、この申立てをすることはできません(※令和8年4月1日より前に離婚等をした場合においては、離婚した日の翌日から起算して2年を経過したときには、この申立てをすることはできません。)。
財産分与請求調停 | 裁判所
5年を過ぎると調停や審判で請求することはできなくなりますが、当事者が任意に財産分与を行うことは可能です。また、5年以内に財産分与請求調停を申し立てておけば、調停が終了するまでの間に5年を迎えても請求権は失われません。
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離婚後の財産分与の流れ
離婚後に財産分与を決める場合、手続きの流れが離婚前と一部異なります。

離婚後は夫婦で話し合うか、財産分与請求調停・審判を申し立てます。離婚後の財産分与請求調停は、離婚前に行う離婚調停と次の2点が異なります。
- 財産分与についてのみ話し合う
- 調停が不成立になると自動的に審判に移行する
審判とは、裁判官が審理を行ったうえで財産分与の内容を決定する手続きです。
離婚前の離婚調停でも裁判所の判断でまれに審判に移行することはありますが、通常はそのまま調停不成立となります。一方、離婚後の財産分与請求調停は自動的に審判が行われるため、当事者間の合意がなくても財産分与の結論が出ます。
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Q. 財産分与の具体的な方法は?
財産分与の方法は、大きく「現物をそのまま分け合う」「財産を売却して代金を分け合う」「一方が取得し代償金を支払う」の3つがあります。
どの方法を選ぶかは財産の内容や夫婦の状況によります。不動産などの価値評価やローンの扱いが必要な場合は、専門家に相談するのがよいでしょう。
Q. 財産分与の相場はいくら?
財産分与の額は婚姻期間や夫婦の資産状況によって大きく異なります。
以下は、財産分与の取り決めを行った離婚調停・審判の件数を、支払額ごとにまとめたグラフです(令和6年度 司法統計年報 家事編より作成)。財産分与の額は100万円以下が最も多くなっています。

婚姻年数が20年以上の夫婦に限定すると、財産分与の金額は大きく変わり、1,000万〜2,000万円程度が相場になります。婚姻年数が長いほど、財産分与の額も大きくなる傾向があります。

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Q. 財産分与に税金はかかる?
離婚時の財産分与には、原則として贈与税が課されません。財産分与は夫婦で築いた財産の精算や生活保障を目的とするものであり、贈与には該当しないためです。
ただし、次のような場合は贈与税が課される可能性があります。
- 財産分与の額が常識を超えて多い場合
- 税金逃れを目的とした偽装離婚の場合
- 離婚前に財産を移転した場合
また、不動産の分与時には登録免許税や固定資産税がかかる点にも注意が必要です。
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離婚前に持ち出したお金は財産分与から引かれる?
引かれる可能性があります。別居時に共有財産から多額のお金を引き出した場合、財産分与の前渡しとみなされ、離婚時の清算で差し引かれることがあります。
離婚時に受け取れる財産が想定より少なくなるおそれがあるため、注意が必要です。
持ち出したお金と財産分与との関係は、『財産分与は離婚前にできる?税金の違いや前渡しとの関係について解説』の中で詳しく解説しています。
Q. 財産分与は拒否できる?
原則として拒否できません。財産分与は法律で定められた権利であるため、請求された場合は応じる必要があります。
ただし、次の状況では例外となる場合があります。
- 夫婦が財産分与を行わないことで合意している場合
- 負債しかない場合
- 離婚から5年以上経過している場合
(令和8年3月31日以前の離婚は2年以上経過している場合)
裁判で決まった財産分与には法的な強制力があり、拒否すると差し押さえなどが行われることもあります。
Q. 財産分与をしなくてよいのはどんなとき?
次のような場合は、原則として財産分与を行いません。
- 夫婦の財産を合計しても負債しか残らない
- 夫婦が財産分与を行わないことに合意している
- 離婚から5年(令和8年3月31日以前に離婚した場合は2年)が経過している
また、次の場合は相手に渡す財産が少なくなる可能性があります。
- 特有財産がある
- 離婚前に多額の財産を渡している(財産分与の前渡し)
- 婚前契約を結んでいる
どのような場合に財産分与を行わないかについては、『離婚時に財産分与しない方法|円満合意のケースと離婚協議書の書き方』でさらに詳しく解説しています。
財産分与で損をしないために弁護士ができること
相手方の財産の調査をできる
財産分与で渡す額を減らそうと、配偶者が隠し口座を作ったり、黙って不動産を購入したりするケースがあります。
こうした隠し財産を突き止める方法の一つが、弁護士法23条の2に定められた弁護士会照会制度(23条照会)の活用です。この制度を使えば、弁護士会を通じて金融機関や勤務先などに照会をかけ、財産情報を確認できます。
この制度を利用できるのは弁護士だけです。確実に財産を調査したい場合は、弁護士への依頼を検討するとよいでしょう。
財産の資料収集や計算を任せられる
財産分与の話し合いに向けては、対象となる財産の全体像を明らかにする必要があります。しかし、通帳や不動産の評価書など必要な資料を集め、財産の評価・計算をするのは、仕事や家事・育児と並行して行うには大きな負担です。そもそも何が必要な資料かわからないことも多いでしょう。
弁護士に依頼すれば、資料収集のサポートを受けながら、財産の評価・計算を任せることができます。調停や審判では、財産を一覧表にまとめて裁判所に提出し、不利にならないよう主張することも弁護士が担います。
代理で財産分与の交渉をしてくれる
相手と直接顔を合わせての話し合いに不安を感じる方も多くいます。弁護士が代理人となって相手方との交渉を引き受けるため、直接会わずに財産分与の話し合いを進めることが可能です。
調停・審判や裁判に進んだ場合も、弁護士が代わりに対応します。交渉が不利に進まないよう、弁護士に任せておくことで安心して手続きを進められます。

弁護士
財産分与は今後の人生を左右する重要な問題です。損をしないためにも、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律税務グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

弁護士
夫婦の全ての財産が対象となるわけではなく、結婚している期間に築いた財産が対象となるのがポイントです。