離婚調停の流れは?有利に進める方法を弁護士解説

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離婚調停とは

離婚調停とは、夫婦だけで話し合っても離婚の合意に至らない場合に、家庭裁判所で行う話し合いの手続きです。裁判所の調停委員が間に入り、双方の意見を聞きながら合意を目指します。相手と直接顔を合わせる必要はありません

申立てから終了までの期間は、一般的に6か月〜1年ほどで、費用はおおよそ3,000円です。調停では、離婚そのものだけでなく、親権や養育費、財産分与、慰謝料などについてもまとめて話し合うことができます

調停をスムーズに、そして有利に進めるためには、感情的にならず、事実に基づいて冷静に説明することが重要です。

この記事では、離婚調停の流れや事前準備、うまく進めるためのポイントを、弁護士がわかりやすく解説します。

離婚調停とは?

離婚調停とは家庭裁判所で調停委員を通して話し合う手続き

離婚調停とは、夫婦だけで話し合っても離婚に合意できなかった場合に、家庭裁判所の調停委員を通して解決を目指す手続きです。調停では、夫婦がそれぞれ調停委員と面談を行い、意見のすり合わせを進めます。面談は1人ずつ行われるため、相手と顔を合わせることはほとんどありません

調停委員会は、家庭裁判所の裁判官1人と、男女1人ずつの調停委員の計3人で構成されています。調停委員は、弁護士や地域で紛争解決に関わってきた専門家などの非常勤職員です。夫婦が主に話をするのは、この調停委員2人になります。

調停はあくまで当事者間の話し合いを目的としており、裁判のように裁判官が離婚の成立や条件を一方的に決めるわけではありません。双方の合意がなければ調停は不成立となり、その場合は裁判で離婚を求める必要があります。

調停を始めたからといって必ず離婚しなければならないわけではなく、話し合いの結果、やり直すことを選ぶこともできます。この点が、協議離婚と裁判離婚の中間に位置する調停離婚の特徴です。

離婚調停では何を話し合う?

離婚調停では、離婚の可否だけでなく、同時に申し立てることができる付随申立てが6つあります。

  1. 親権
  2. 面会交流
  3. 養育費
  4. 財産分与
  5. 慰謝料
  6. 年金分割

どの項目について話し合うかは、申立書に記入して申請できます。複数の申立てのうち、あとから1つだけ取り下げたり、先に成立させることも可能です。

親権は離婚時に必ず決める必要がありますが、それ以外の付随申立ては、離婚後に個別に調停や審判で解決することもできます。面会交流については、夫婦が別居していれば離婚前でも申し立てが可能です。子どもに関する争いでは、調査官が家庭訪問を行い、子の監護状況や意向を確認することもあります。

なお、2026年4月以降は民法改正により、父母双方を親権者とする共同親権も選べるようになります

調停では、話し合う内容の優先順位をあらかじめ決めておくことが重要です。親権は離婚時に必ず決める必要があるため、親権で争いがある場合は他の条件を後回しにしてでも親権の合意を優先すべきです。

一方、財産分与や慰謝料は離婚後でも請求できるため、金銭面で折り合いがつかない場合は、まず離婚と親権だけを先に成立させ、後で別途調停を申し立てる方法もあります。弁護士に相談すれば、どの順序で合意を目指すのが最適か、戦略的なアドバイスを受けることができます。

調停離婚のメリット・デメリット

調停離婚には次のようなメリットがあります。

  • 相手と直接会わないため、冷静な気持ちで話をできる
  • 第三者からの客観的な意見を得られる
  • 調停が成立すれば法的な効力がある
  • 裁判よりも柔軟な解決方法がとれる

一方で、何度も裁判所に足を運んで話し合いを行ったとしても、最終的に双方が合意しなければ調停は成立しないというデメリットもあります。

離婚調停にかかる期間や費用は?

離婚調停は1回で終わることもあれば10回以上に渡ることもあり、かかる期間は様々です。短ければ1か月程で終わりますし、長ければ2年以上かかることもあります。とはいえ、多くの場合は半年から1年程度で終了します。

離婚調停にかかる費用は約3,000円で、申立てた側が支払います。内訳は以下のようになっています。

  • 収入印紙代 1,200円
  • 戸籍謄本の取得費用 450円
  • 裁判所が郵送に使用する切手代 1000円前後

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離婚調停の流れ

離婚調停は以下のような流れで進みます。申立てから終了まで、平均して6か月から1年程度かかります。

離婚調停の流れ

  1. 家庭裁判所に申立書を提出
  2. 裁判所から呼出状が届く
  3. 第1回の調停期日が開かれる
  4. 調停を月1回程度繰り返す
  5. 調停が成立または不成立となり終了

それぞれの段階について、以下で詳しく解説します。

1.申立書を作成して家庭裁判所に提出する

調停を希望する場合、当事者は家庭裁判所に離婚調停申立書(夫婦関係調整申立書)を提出します。申立書には、離婚を希望することや、調停で話し合いたい内容、離婚の理由などを記入します。

提出先は、相手方の住所地の家庭裁判所、または当事者同士が合意した家庭裁判所です。申立書の書式は、裁判所で入手できるほか、裁判所ウェブサイトの「家事調停の申立書」からもダウンロードできます。

申立書を書く際は、「離婚したい理由」をできるだけ客観的に記載することが重要です。感情的な表現や相手を過度に非難する内容は、相手を刺激して調停が難航する原因になります。

たとえば「性格の不一致」を理由にする場合は、「相手が全面的に悪い」と書くのではなく、「価値観の違いにより婚姻関係を継続できない」といった客観的な表現を心がけましょう。

2.裁判所から呼出状が届く

担当する裁判官・調停委員や1回目の調停期日が決定したら、裁判所に出向くことを求める呼出状が双方に普通郵便にて届きます。

このとき、相手方に離婚調停申立書の写しも併せて送付されますので、相手を過度に刺激しないよう、申立書の書き方には注意が必要です。

3.調停期日が開かれ、話し合いが行われる

調停期日には、双方が家庭裁判所に出向き、調停委員を交えて話し合いを行います。第1回期日の開始時には、調停の進め方や調停委員の役割について説明があります。

これは当事者が調停に主体的に参加できるようにするためのもので、原則として夫婦そろって調停室に入り、説明を受けます。ただし、暴力などの事情がある場合は、同席せず個別に説明が行われます

その後は、当事者が交代で調停室に呼ばれ、1回につき30分ほどの聞き取りが行われます。これを2回程度繰り返しながら、調停委員が双方の話を伝え合い、意見の調整を進めていきます。

遠方に住んでいる場合や、相手と直接会うことに不安がある場合には、ウェブ会議による参加が認められることもあります。希望する場合は、事前に申立先の家庭裁判所へ相談するとよいでしょう。

調停で聞かれるのは次のような内容です。

  • 離婚したい理由
  • 結婚した経緯
  • それまでの婚姻生活の様子
  • 相手のどこに不満があるのか
  • 夫婦が現在どういった生活をしているか
  • 婚姻費用(別居中の生活費)はどうしているか
  • 離婚後の生活、経済面などはどうなるか
  • 子どもの親権や養育費、面会交流をどうしたいか
  • 夫婦関係を修復できる可能性があるか
  • 財産分与、慰謝料などをどうしたいか
  • 相手が応じない場合は訴訟を提起したいか

調停委員は、当事者が「話し合いで妥当な解決を目指す意思があるか」「主張に裏付けがあるか」を重視します。感情的になったり、質問に対して的確に答えられなかったりすると、自分の気持ちや事実関係を調停委員にうまく伝えることが難しくなります。そのため、事前に「何を伝えたいか」をメモにまとめておくと、スムーズに話すことができます。

1回の期日はおおむね2時間ですが、場合によってはそれ以上かかることもあります。相手が事情聴取を受けている間は待合室で待機しますが、双方が顔を合わせないよう、別々の待合室が用意されるなど配慮されています

4.調停を何度か繰り返す

その後は、調停成立に至るまでの間、1か月に1回程度の頻度で調停が開かれます。調停委員から、次回期日までに用意しておくべき資料や、検討しておくべき課題が与えられることもあります。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

調停の回数は1~5回程度が多く、10回以上繰り返すことはまれです。

5.成立または不成立となって調停が終了

離婚調停で双方が合意に至った場合は調停調書が作成され、調停が成立します。この場合、調停が成立した時点で離婚の効力が生じます。その後、10日以内に役所に調停調書の謄本と離婚届を提出して、離婚したことを届け出る必要があります。

反対に、これ以上調停を続けるべきでないと判断された場合には、不成立調書が作成されて調停が終了します。この場合、夫婦は再度協議をするか、離婚裁判に移行するかを選びます。

また、まれに裁判官の判断により審判(裁判官が離婚についての決定を下す手続き)が行われることもあり、その場合は審判の内容を記した審判書が作成されて調停は終了します。ただし、審判には裁判の判決ほどの強い効力はなく、2週間以内に異議申立をすれば覆すことができます。

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離婚調停を有利に進めるには?

調停委員を味方につける

調停委員はあくまで中立的な立場ですが、こちらの主張をうまく汲み取ってもらえなければ、納得のいく判断はしてもらえないでしょう。調停委員をうまく説得し、味方につけることで交渉を有利に進めることができます。

1.常識的な身なり・言葉遣い

常識的な立ち居振る舞いができる人のことを、信頼したいと思うのは自然です。特に親権で争いがある場合、親権を得ようとする人の印象は重視されるでしょう。

2.感情的になりすぎない

事情聴取中に感情をコントロールできず突然泣き出したり、興奮したりしてしまうと、調停の進行に支障が出てしまうため悪印象を持たれてしまうかもしれません。また、離婚調停で説得力のある主張をするには、感情論ではなく事実に基づいて話す必要があります。

3.主張を一貫させる

話の途中で主張が変わってしまっては、伝えたいことがきちんと伝わりません。自分の主張はあらかじめまとめておき、論理的に話せるようにしておくことをおすすめします。

ただし、話し合いの中で一切主張を曲げてはいけないというわけではありません。調停の成立に協力的な姿勢は、調停委員に好印象を与えます。

4.証拠を用意する

相手の不貞やDVなどが理由で離婚を希望している場合は、証拠を用意しておくと説得力が増します。たとえば、不貞相手との関係を示す写真やメッセージ、DVによる怪我の写真や診断書などです。

調停が不成立で裁判に移行する場合も、こうした証拠は重要になりますので、事前に準備しておくと安心です。

5.調停委員の視点を理解する

調停委員は必ずしも法律の専門家ではないため、法的な主張だけでなく「常識的に見て妥当か」という視点も重視されます。

たとえば親権争いでは、法的には「子どもの意向」「監護実績」「生活環境」などが判断基準ですが、調停委員は「この人に子どもを任せても大丈夫か」という実感も持とうとします。

そのため、調停期日には清潔感のある服装で臨み、相手を批判するよりも「自分が親としてどう子どもと向き合っているか」を具体的に伝えることが効果的です。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

離婚調停を有利に進めるには、しっかり準備をしてから臨むことが大切です。

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弁護士に依頼して離婚調停を有利に進めよう

離婚調停に臨むとき、弁護士に依頼すると以下のようなメリットがあります。

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1.書類の作成等の負担を減らすことができる

離婚調停を申し立てる際には、申立書の他、事情説明書、子についての事情説明書など、いろいろな書類を作成しなくてはなりません。また、養育費、財産分与、年金分割に関し、複数の資料を用意する必要も生じます。

仕事や家事をこなしながら慣れない書類作成や資料収集をするのは時間がかかりますし、気持ちのうえでもとても負担になります。

弁護士を依頼すると、書類作成を任せることができますし、資料を用意するサポートをしてもらうことができ、負担を減らすことができます。

2.調停委員とのやりとりをサポートしてもらうことができる

調停委員にうまく主張を伝えるには、冷静に、論理的に話す必要があります。しかし、自分の言葉で話そうとするとつい感情がこもってしまい、伝えたいことが伝わらないかもしれません。

弁護士を依頼すると、打ち合わせで考えを整理したうえで調停に臨むことができます。また、弁護士に調停に同席してもらうことができますので、調停委員に対して自分の考えを伝える手助けをしてもらえます。主張し忘れたりつい話が脱線してしまった時にも、フォローしてもらうことができます。

もしも調停委員が高圧的であったり、価値観を押し付けてくるように感じられる時でも、弁護士が同席していれば、安心して自分の主張を伝えることができます。

3.離婚の条件に対して適切なアドバイスをもらうことができる

相手方が法外な慰謝料を請求していたり、相手方に有利な財産分与の提案をしていたりしても、提示された条件に同意して調停が成立すれば、結果は覆せなくなってしまいます

弁護士に依頼すると、相手方の提示している離婚条件についてどのように判断するべきか、アドバイスをもらうことができます。

自分が譲歩して相手方の提示を受け入れるべきなのか、それとももっと有利な条件を出して調停で話合いを続けるのがよいのか、もしくは、これ以上調停で話し合ってもまとまる見込みはないので不成立で終わらせ裁判に移行すべきなのか、そのような判断は弁護士のアドバイス抜きでは難しいといえるでしょう。

4.相手方とのやりとりの窓口になってもらうことができる

調停期日以外に相手方と連絡をとる必要は少なからず生じます。調停では調停委員を介してやりとりができますが、調停期日以外では、弁護士がいなければ直接やりとりをするしかありません。しかし、感情的に対立している当事者間ではスムーズにやりとりを行うことができません。

弁護士を依頼すると、相手方とのやりとりは弁護士を通して行うことができます。特に、DVやモラハラを理由に離婚したいと考えている場合には、直接相手方とやりとりをすることは避けるべきですので、相手方との窓口になってくれる弁護士が必須といえます。

離婚調停の注意点

調停で話したことは外に漏らしてはいけない

離婚調停は、裁判と違って非公開の手続きです。調停で見聞きしたことは外では一切話してはいけませんし、録音・録画機器を持ち込むことも厳禁です。

個人情報を知られたくない場合は非開示希望申出を

離婚調停を申し立てると、提出した申立書は相手方にも送付されます。また、ほかの提出書類についても、家庭裁判所の許可があれば、相手方などが内容を閲覧・コピーできる場合があります。

これらの書類には、住所や勤務先などの個人情報が記載されることが多く、DVやストーカー被害のおそれがある場合には、居場所が知られることで身の安全に影響が出る可能性があります

こうした不安があるときは、「非開示希望申出書」を家庭裁判所に提出することで、住所などの個人情報が相手に開示されないようにすることができます。相手に居場所を知られたくないという理由だけで、離婚調停をためらう必要はありません。

さらに、令和5年2月20日施行の法改正により、より強力な「秘匿決定」の制度が導入されました

当事者又はその法定代理人が、被告・相手方等に自らの住所等又は氏名等が知られることによって、社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあると認められるときは、当事者等の申立てにより、裁判所は秘匿決定をすることができます。

当事者に対する住所、氏名等の秘匿制度等 | 裁判所

裁判所の決定が出れば、申立書には実際の住所の代わりに「代替住所A」などを記載し、相手方に個人情報を一切知らせずに手続きを進めることが可能です

離婚調停の呼び出しを無視しない

配偶者が離婚調停を申し立てて自宅に呼出状が届いたら、たとえ離婚に応じたくなかったとしても無視すべきではありません。当事者の一方が調停に出席しない場合、調停は不成立となり、離婚裁判を起こされてしまいます。

また、たとえその後に調停に出席したとしても、調停委員の心証が悪くなり、交渉が不利な方向に進んでしまうおそれがあります。

さらに、調停期日を正当な理由なく欠席した場合、5万円以下の過料に処される場合があります。

離婚調停に関するよくある質問

Q.離婚調停と裁判離婚の違いは?

離婚調停は、夫婦双方の合意を目指して話し合う手続きで、裁判官が判決を出すわけではありません。一方、離婚裁判では裁判官が証拠をもとに離婚の可否や条件を判断し、判決を下します。調停で合意に至らなかった場合に裁判へ移行できます。また、調停は非公開ですが、裁判は原則公開されます。

Q.DVやストーカーが心配でも離婚調停はできる?

DV被害がある場合でも、安全に配慮しながら離婚調停を申し立てることができます。申立書に現住所を記載せず、非開示希望申出書を提出することで、相手に居場所を知られずに手続きを進められます。また、調停期日でも待合室や入室時間を分けるなどの配慮を裁判所に依頼できます。DV被害者向けの公的支援については、内閣府男女共同参画局のウェブサイトで相談窓口を確認できます。

Q.離婚調停が終わるまでの期間はどのくらい?

離婚調停が終わるまでの期間は、ケースによって異なりますが、一般的には半年から1年程度です。争点が多い場合や、親権・面会交流で対立がある場合は、1年以上かかることもあります。調停では離婚そのものだけでなく、親権、養育費、財産分与、慰謝料なども同時に話し合うため、すべての条件が整うまでに時間がかかります。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了