離婚調停中にやってはいけないことと不利な発言を弁護士が解説

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離婚調停中に不利になる発言

離婚調停中には、配偶者以外との交際や相手方への嫌がらせ、財産隠しなど、避けるべき行動が主に7つあります。調停中の言動は、調停委員の心証や最終的な離婚条件に大きく影響するため、注意点を事前に押さえておくことが大切です。

本記事では、やってはいけない行動や不利になる発言を具体的に整理し、調停を有利に進めるための対処法を弁護士の視点で解説します。

なお、離婚調停の基本的な流れについては、「離婚調停の流れと有利に進める方法を弁護士が解説」で詳しく紹介しています。併せてご覧ください。

離婚調停中にやってはいけないことは?

配偶者以外と交際する

離婚調停中にやってはいけないこととして、配偶者以外の第三者との交際があげられます。

夫婦の一方が離婚調停を申し立てた後であっても、法的に婚姻関係の破綻が認められるまでは、配偶者以外の第三者と性的関係を伴う交際をすると、不倫(不貞行為)にあたります。

不貞行為をした者は、慰謝料を請求されるリスクがあります。

また、離婚がまだ成立しないうちから配偶者以外と交際することは、調停委員に与える印象もよくありません。

加えて、相手方が離婚に応じず調停が不成立となった場合、裁判で離婚を請求することになりますが、不貞行為をした側は「有責配偶者」とみなされ、離婚請求が認められにくくなるおそれがあります。

離婚調停中の不倫・浮気にあたらないケースとは?

実務では、夫婦関係が破綻している判断はケースバイケースで、通常、簡単には、婚姻関係の破綻は認められません。

配偶者の一方が離婚することに納得・合意していない場合、別居中であっても、夫婦関係の破綻が認められないことは、ままあります。

たしかに、別居期間が3〜5年以上ある夫婦については、婚姻関係が破綻していると判断されるケースもあります。しかし、同居期間の長さとの比較や、夫婦関係修復の可能性なども考慮されるため、3〜5年間別居中であれば必ず夫婦関係が破綻していると認定されるわけではありません

単身赴任などの理由による別居の場合は、婚姻関係の破綻は認められないでしょう。

配偶者以外と交際
離婚の合意なし不倫になる
別居期間が3~5年以上不倫にならない可能性あり
単身赴任などで別居不倫になる

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相手方への嫌がらせ

離婚調停中にやってはいけないこととして、相手方への嫌がらせがあげられます。例えば、相手方を脅迫するような電話やメール、つきまとい、誹謗中傷などは絶対にしてはいけません。

離婚調停に至るまでの夫婦生活を思い出して、こみ上げてくる気持ちをおさえきれないこともあるでしょう。しかし、嫌がらせをした場合、調停委員に発覚した場合の印象は極めて悪くなり、調停委員を味方につけることはもはや不可能といっても過言ではありません。

また、嫌がらせの程度やその結果しだいでは、相手方から損害賠償を請求されたり警察が介入する事態になってしまう可能性もあります。

相手の勤務先上司に「DV被害を受け警察に被害届を出した」「出張旅費を横領している疑いがある」などとメールを送った行為が、名誉・信用を害する不法行為として慰謝料の支払いを命じられたケースもあります。

相手方への直接連絡

離婚調停中に相手方に直接連絡すると、ご自身の身に危険が及ぶおそれがあります。また、相手方に直接連絡すると、調停外で「言った」「言わない」の新たなトラブルが生まれてしまい、離婚調停が長引いてしまう可能性もあります。

そのため、離婚調停中は相手方への直接の連絡も、原則として控えるのが望ましい対応です。

直接連絡以外の連絡手段とは?

離婚調停中は、相手方との交渉は弁護士を介して行うのが安全です。自分が弁護士を雇っている場合は自分の弁護士と相手方で、相手が弁護士を雇っている場合は相手方の弁護士とのやりとりになるでしょう。

弁護士に依頼すれば、離婚調停以外でも相手方とやりとりできるため、調停外で離婚条件がまとまる可能性もあります。

また、別居後の生活に必要な物品を自宅に取りに行きたいなどの連絡も、相手方と直接やりとりしなくても可能です。

一方的な別居

離婚調停中にやってはいけないこと、注意すべきこととして、正当な理由なく一方的な別居をするということもあげられます。

たしかに、同居を続けるよりも別居した方が離婚が成立しやすいという側面があることは事実です。

しかし、場合によっては、相手の合意がない一方的な別居は「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)に該当する可能性があります。

悪意の遺棄とは、合理的な理由もないのに、同居義務などの夫婦の義務を果たさないことをいいます。

悪意の遺棄に該当する場合には、離婚が認められない、離婚慰謝料を請求されるなどの不都合が生じる可能性があります。

夫婦に子どもがいる場合、日頃から主に世話をしている側が家を出る際には、子どもを連れていくケースが見られます。このとき、相手方から子の連れ去りと主張される可能性もあります。

可能であれば、夫婦の合意のうえで別居を開始するのが無難でしょう。

DVやモラハラを理由に別居する場合

DV(家庭内暴力)やモラハラなどを受けており、ご自身の心身の安全のために別居せざるを得ないケースもあります。このような場合は、同意を得ずに別居を開始しても悪意の遺棄にはあたらない可能性が高いです。

DVやモラハラを主張したい場合は、証拠を用意しておくと認められやすいでしょう。必要な証拠や法律面の不安については、離婚をあつかう弁護士に相談してみてください。また、DV被害を受けている方が利用できる公的機関もあるので、ご相談なさってみるのもよいでしょう。

調停期日に無断欠席・遅刻する

離婚調停は双方が裁判所に出席し、話し合いによって自主的な解決を図る制度です。

そのため、正当な理由なく無断欠席を繰り返した場合、調停委員会から出席を促す働きかけが行われますが、それでも出席しない場合は調停不成立として終了します。

調停不成立となれば、相手方から離婚訴訟を提起されるリスクがあり、結果として自身に不利な状況を招く可能性があります。

また、家庭裁判所からの電話や手紙での呼び出しを無視して、正当な理由なく無断欠席を繰り返すと、5万円以下の過料に処されるおそれもあります(家事事件手続法第258条1項、第51条3項)。

調停期日に行くのが難しいときの対処法

仕事や子どもの問題でどうしても離婚調停に出席できない場合は、早めに家庭裁判所に連絡しましょう。

やむを得ない事由があるときは代理人を出頭させることができます(家事事件手続法第258条、同法第51条2項)。弁護士に依頼している場合は、弁護士に事情を説明したうえで代理出頭を依頼することが法的にも適切な対応です。

財産隠し

離婚調停では財産分与が問題になるケースも多いです。このとき、やってはいけないのが「財産隠し」です。

具体的には、預貯金などの財産の存在を最初から言わなかったり、相手方から指摘されたにもかかわらず、「存在しない」と虚偽の説明をする行為です。

財産を隠そうとしても、相手から弁護士会照会や情報開示手続などを使って調べられる可能性があります。

2026年4月1日に施行された法改正により、離婚や財産分与に関する調停・審判では、家庭裁判所が当事者に対して財産状況の開示を命じる「情報開示命令」が新たに設けられました。

正当な理由なく開示を拒んだり、虚偽の申告をしたりすると、10万円以下の過料が科される可能性があります。こうした対応は発言全体の信用性を損なうだけでなく、法的な不利益にもつながるため、最初から正確に申告することが重要です。

財産隠しを疑われないための対処法

財産については、最初から正確に申告することが大切です。

夫婦が婚姻中に協力して築いた共有財産は、原則として2分の1ずつ分けることになります。2026年4月1日施行の改正民法では、財産分与の目的が「各自の財産上の公平を図ること」と明確にされ、家事や育児の負担も貢献度として考慮されることが示されました。

あらかじめ対象となる財産の範囲を理解しておくことも重要です。

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相手方名義の預金の過度な使い込み

離婚調停中に限らず、別居後に相手方名義の預金を過度に引き出して使ってしまうことは避けましょう。

相手方名義の預金が夫婦共有財産であれば、預金を引き出して生活費に使っても原則として財産分与の中で清算されることになります。

しかし、「自分の財産を減らしたくないから」という理由で相手方名義の預金を過度に引き出して使ってしまうと、損害賠償請求されるおそれがあるのです。

過度な使い込みをしないための対処法

後々のトラブルを防ぐには、別居に際し、相手方名義の預金は勝手に持ち出さないのが一番安全です。

別居後の生活費が心配な方は、婚姻費用を請求しましょう。婚姻費用は原則として請求時点からしか支払義務が生じません。そのため、別居後はできる限り早く婚姻費用を請求しましょう。

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離婚調停で不利になる発言とは?

離婚調停においては、避けた方がよい発言がいくつかあります。これをしてしまうと、調停委員に悪い印象を持たれてしまったり、不利な離婚条件で離婚調停が進んでしまう可能性があります。

調停委員に良い印象を持ってもらうことは、離婚調停を有利に進めるために非常に重要です。調停委員を味方につければ、争いのある事項について相手を説得してもらえる可能性が高まります。

相手の悪口や感情的な発言

離婚を決意するまでのつらい経緯を調停委員に理解してほしいと感じるのは自然ですが、調停の場で相手の悪口を繰り返したり、感情的に強く非難する発言は控える必要があります。

離婚調停の本来の目的は、双方の主張を整理し、すり合わせることです。このような発言に終始していると、肝心の争点が整理できずせっかくの調停期日が無駄になってしまいます。

法務省が作成した手引きでは、「自分の意見を一方的に押し付けず、相手の話に十分耳を傾けること」が明記されており、あわせて「子どもの前で相手の悪口を言わない」「子どもを伝言役にしない」といった基本的な配慮も求められています。こうした考え方から、調停の場で相手を一方的に非難する発言は、子どもの利益への配慮に欠けると受け取られ、調停委員の心証を損ねるおそれがあります。

離婚調停では、当事者が交互に調停委員と話をします。

実務上、それぞれの持ち時間は30分程度とされており、1回の調停期日で順番が回ってくるのは2〜3回程度です。限られた時間の中で調停委員会に的確に事情を伝えるためにも、1回1回のやりとりで話すべきことを事前に整理して冷静に伝えることが重要です。

感情的な発言を避けるための対処法

離婚調停において、調停委員に自分の意見を理解してもらうために大切なのは「離婚裁判を意識した事実を主張すること」です。

例えば、ご自身が申立人となった離婚調停手続きで、相手方が離婚したくないと主張しているとしましょう。

この場合、法定離婚事由を意識した事実を主張するのが大切です。

法定離婚事由とは民法で定められた離婚理由のことであり、一定の要件に該当する場合に裁判で離婚を求めることができるとされています。

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

民法第770条1項

例えば、暴言やモラハラは第4号「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。離婚裁判では法定離婚事由がなければ離婚は認められません。

暴言やモラハラを裏付ける証拠(メールや日記など)を調停段階から提出できれば、調停委員の理解を得やすくなります。

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本心ではないのに譲歩する発言

離婚調停を早く終わらせたいと思っても、相手方の示した離婚条件に安易に同意する発言は避けた方がよいでしょう。

一度調停調書が作成されてしまえば、そう簡単には合意内容を変更できません。

例えば、調停で決まった養育費の金額を増額してほしい場合、相手方との話し合いで解決しなければ、新たに調停を申し立てる必要があります。

納得しないまま譲歩してしまうと、将来的に新たなトラブルが生じるおそれがあるのです。

安易に譲歩しないためのポイント

離婚調停が始まる前に、「絶対に譲歩できないこと」「離婚条件によっては譲歩してよいこと」を整理しておくのがポイントです。

譲歩してよいと考える場合、どのような離婚条件であれば同意できるかまで具体的に考えておきましょう。

ただし、婚姻費用、養育費、財産分与については、客観的資料によってある程度結論が決まってくる場合が多いです。

これらの離婚条件について、およそ実務の基準からかけ離れた主張に固執するのは避けましょう。

調停委員の心証が悪くなってしまうだけでなく、調停期間が伸びて離婚問題全体の解決が遠のいてしまいます。

全く譲歩しない発言

安易に譲歩するのは避けた方がよいとはいえ、全く譲歩しない発言も調停の進行の妨げになります。

離婚調停は話し合いの場です。話し合いがまとまるには、お互いの譲り合いが欠かせません

相手方の主張が自分の主張と食い違うと、大きなストレスを感じるものです。しかし、だからといって全く譲歩しない姿勢を貫くと、離婚調停の成立は難しくなります。

離婚調停が不成立となった場合、離婚訴訟に移行する可能性があります。離婚訴訟は離婚調停に比べて、時間的・心理的な負担が大きくなります。

裁判所の令和6年司法統計によると、夫婦関係調整調停の平均審理期間は6.8か月です。一方、離婚訴訟に移行した場合の平均審理期間は15.5か月で、全体の半数以上が1年以上を要しています。長ければ3年以上に及ぶケースも珍しくありません。

婚姻費用や養育費、財産分与は、客観的な資料をもとに一定の基準で判断されることが多い分野です。そのため、実務の基準とかけ離れた主張にこだわるのは適切とはいえません。調停委員の心証を損ねるだけでなく、手続きが長引き、解決が遅れる要因にもなります。

調停をスムーズに成立させるためには?

ここでも、譲歩できるラインを決めておくことが重要です。

例えば、面会交流について、相手方と子どもを一切会わせたくないと考えているとします。

しかし、正当な理由なく面会交流を全面的に拒む姿勢は、民法上の父母の人格尊重義務や協力義務に反するおそれがあります。そのため、家庭裁判所が親権者の指定や変更を判断する際に、不利に考慮される可能性があります。

こうした点を踏まえると、どのような条件であれば面会交流に応じられるかを検討するほうが現実的です。両親同士で直接連絡を取るのが難しい場合には、第三者機関を利用する方法も考えられます。

なお、養育費や婚姻費用の支払い義務と面会交流は法律上別の問題とされており、面会交流を理由に支払いを拒むことはできません。ただし、面会交流に前向きな姿勢を示すことで、全体の話し合いが進みやすくなることがあります。

不貞行為を疑われる言動

離婚調停中に不貞行為を疑われる発言をすると、相手方から「不貞行為だ」と主張される可能性が非常に高いです。

夫婦関係の破綻について主たる原因をつくった側は「有責配偶者」になります。不貞行為をした側は、有責配偶者になるケースが一般的です。

離婚調停中に不貞行為を疑われる発言をすると、調停委員が有責配偶者の言い分が通るよう相手方を積極的に説得してくれる可能性は低くなります。

また、不貞行為を疑われると、相手方から慰謝料を請求されるおそれが出てきます。

なお、有責配偶者からの婚姻費用の請求は、実務上、制限されることが多いとされています。そのため、不貞行為が認められると、婚姻費用を十分に受け取れなくなる可能性があります。

不貞行為を疑われないために避けたいこと

離婚調停中に不貞行為を疑われる発言をしないこと、それ自体が非常に重要です。相手方の挑発に乗り、ありもしない事実をほのめかすようなことはやめましょう。

また、離婚調停中に異性と交際を始めたり同棲をしたりするなど、婚姻関係の破綻前から不貞行為があったことを疑われる行動をしないのが適切です。

なお、夫婦関係が破綻した後に、配偶者以外の者と肉体関係をもっても不貞行為には該当しません。しかし、その立証は簡単ではありません。

離婚調停中に不貞行為の有無が新たな争点となると、調停が長期化し、場合によっては離婚訴訟まで発展する可能性があります。

矛盾のある発言

離婚調停において嘘をついたり矛盾のある発言をすると、自身の発言の説得力が下がってしまいます。

例えば、自分の提出した証拠と異なる事実を言うことや、過去の自分の発言と矛盾する主張は避けた方がよいでしょう。

収入や生活水準と乖離した申告を続ける行為も同様で、裁判官や弁護士からも適正な解決を妨げる不誠実な対応として問題視されています。虚偽の申告は発言全体の信用性を損ない、調停全体での不利益につながります。

矛盾のある発言を避けるためのポイント

主張に一貫性を持たせるためには、事前に結婚から現在に至るまでの時系列や主張したいことをまとめたメモを作成しておき、調停に持っていくとよいでしょう。

離婚調停を有利に進める方法

弁護士との事前準備で調停を有利に進める

離婚調停を有利に進めるには、十分な事前準備がとても大切です。その際、法律の専門家である弁護士のサポートがあれば、さらに入念な準備を行うことができます。

具体的には、「絶対に譲歩できない点」と「離婚条件によっては譲歩してよい点」を整理しておく必要があります。

さらに、主張のタイミングも重要です。譲歩できる点について、その主張をどのタイミングで行うかについては、交渉の経験が豊富な弁護士に任せるのが安心です。

というのも、最初から「ここまでなら譲歩できる」と言ってしまうと、相手に足元を見られてしまい、それ以上有利な結果にはならないからです。

弁護士であれば、譲歩できる点を主張すべきタイミングを見計らって、依頼者の利益ができるだけ大きくなるように交渉できます

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法的観点からの意見で離婚調停を有利に進める

調停委員会は、裁判官1名と、民間の良識ある人の中から選ばれた調停委員2名以上で構成されます。実務上は男女各1名の調停委員が選ばれることが多く、当事者は調停委員と交互に話し合いを行います。

調停委員は、社会生活上の豊富な知識や専門的な知識を持つ人の中から選ばれます。

もっとも、全員が法律や離婚事件の実務について精通しているというわけではありません。裁判所も「一般市民の良識を反映し、柔軟で円満な解決を図ることができる制度」として調停を位置づけています。

離婚調停は、弁護士に依頼せずに自分で進めることも可能です。ただし、法務省も、父母が対等な立場で話し合うのが難しい場合には弁護士や支援窓口への相談が有効だと案内しており、専門家のサポートを受けることには大きな利点があります。

ご本人のみで対応していると、「調停委員がこう言っているのだから、この離婚条件に応じた方が良いのかもしれない」と考え、不本意な合意をしてしまう可能性があります。弁護士が同席していれば、相手方が法的に不合理な主張をしてきた場合に法的根拠に基づいて反論し、ご自身の主張の正当性を適切に説明することができます。

離婚調停は話し合いによる合意を目指す手続ですが、合意内容が自身にとって適切かどうかを判断するうえで、法的な知識は大きな助けになります。

陳述書など有利になる書面を提出する

離婚調停では、重要な問題について書面を作成して提出することが求められます。

代表的なものが陳述書です。子の監護や親権、面会交流などが問題となる調停では、裁判所から「子の監護に関する陳述書」などの提出を求められることがあります。

なお、陳述書や添付資料は、相手方に開示されることが前提となるため、知られたくない情報が含まれないよう注意して作成する必要があります。

陳述書は弁護士に依頼せず自分で作成することも可能ですが、法的な観点から内容を整理し、説得力のある書面に仕上げるためには、弁護士のサポートを受けることも有効な方法です。

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適切な調停条項を作成する

離婚調停では、調停条項の作成が非常に重要なポイントとなります。

家事調停で合意が成立し、その内容が調停調書に記載されると、確定判決と同じ効力を持ちます。養育費や財産分与、慰謝料などが支払われない場合には、この調停調書をもとに、給与や預貯金の差押えといった強制執行の手続をとることが可能です。

ただし、金額や支払期限、条件の記載が曖昧だったり不十分だったりすると、いざ強制執行を申し立てた際に認められないおそれがあります。条項の内容は離婚後の生活の安定に直結するため、慎重に整える必要があります。

調停条項は自分で作成することもできますが、法務省が案内しているように、弁護士や法テラスなどの相談窓口を活用するのも有効な方法です。専門家に確認してもらうことで、権利関係を適切に整理し、不利な内容や抜け漏れを防ぐことにつながります。

弁護士に依頼した場合には、合意内容が正確に反映されているか、将来不利益となる条項が含まれていないか、必要な項目が欠けていないかといった点までチェックが行われます。こうした法的観点からの確認は、後のトラブルを防ぎ、離婚後の生活の安定にもつながります。

離婚調停中にやってはいけないことでよくある質問

Q. 離婚調停中に別居しても悪意の遺棄になる?

離婚調停中の一方的な別居は、合理的な理由がなければ悪意の遺棄(民法第770条1項2号)に該当する可能性があります。ただし、DVやモラハラを理由とする別居は悪意の遺棄にあたらない可能性が高いです。

Q. 離婚調停中に交際すると不倫になる?

婚姻関係が破綻していない段階での配偶者以外との交際は、不貞行為として慰謝料請求の対象になります。別居中であっても、一方が離婚に合意していない場合、婚姻関係の破綻は容易には認められません。

Q. 調停期日を無断欠席するとどうなる?

正当な理由なく無断欠席を繰り返すと5万円以下の過料を科されるおそれがあります(家事事件手続法第258条、同法第51条3項)。やむを得ない事情がある場合は、事前に家庭裁判所または代理人弁護士に連絡しましょう。

Q. 財産を隠すと離婚調停でどうなる?

2026年4月1日施行の法改正により新設された情報開示命令により、虚偽の申告をした場合には10万円以下の過料が科される可能性があります。財産隠しが発覚すると発言全体の信用性も失われるため、正直な申告が重要です。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了