離婚調停を弁護士に依頼するメリット5選|弁護士の役割は?

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離婚調停を自分で行うのと弁護士のサポートを受けるのとではどう変わるのでしょうか?

専門的な法律知識による適切な判断、有利な条件での合意形成、時間と労力の節約、ストレスの軽減、そして将来を見据えた解決策の提案。これらは全て、弁護士を選ぶことで得られる具体的なメリットです。

もしも、法律の専門知識がなければ、自分に不利な条件での離婚になってしまうかもしれません。

離婚は自分らしい生き方を選択する勇気ある決断です。その大切な選択をサポートするのが、離婚調停という制度と、弁護士という心強い味方です。

弁護士は法律の専門家として、あなたの権利を守り、後悔のない離婚の実現に導きます。本記事では、離婚調停における弁護士の役割と、弁護士を選ぶメリットについて詳しく解説します。

離婚調停に弁護士は必要?

離婚調停とは

離婚調停とは、夫婦の話し合いで離婚ができない場合に、家庭裁判所で離婚について話し合う手続きです。

調停は裁判と違ってあくまで夫婦の合意を目指す手続きですが、調停員会を通じてやり取りを行うため、直接夫婦が顔を合わせて話し合う必要は基本的にありません。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

夫婦の話し合いで離婚がまとまらない場合、いきなり裁判をすることはできません。まずはこの調停を経る必要があります。

離婚調停の制度や流れについて詳しく知りたい方はぜひ関連記事をご覧ください。

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離婚調停の手続きは弁護士なしでもできる

離婚調停と聞くと「なにやら難しそうだ」というイメージを持たれるかもしれませんが、実はご自身で手続きを進めることも十分可能です。

実際の調停では、当事者が交互に部屋に入って調停委員に事情を説明し、調停委員からの質問に答える形式で進めていきます。

調停委員もどちらか一方の味方というわけではなく、離婚を回避するための方法を提示するなど、夫婦関係を解決するために動いてくれます。

調停では、相手のウソを見破ったり言い負かしたりすることが求められているわけではありません。

あくまでお互いの合意を目指して話し合う場ですから、弁護士が絶対に同席しなければいけないというわけではありません。

離婚調停を弁護士なしで進めると不利になる?

調停離婚を弁護士なしで進めてしまうと、自分に不利な条件で離婚をしてしまうリスクがあります

例えば、適正な財産分与の割合がわからず、本来得られるはずの財産を手放してしまったり、養育費の金額設定を低く抑えられてしまったりするかもしれません。

感情的になりがちな離婚の話し合いにおいて、冷静な判断を下すことは非常に難しいものです。相手の言い分に流されたり、一時的な感情で重要な決断をしてしまったりすることも少なくありません。

また、調停で離婚が成立したときに作成される調停調書には法的な強制力があります。

調停によって法律上の効果が生じる以上、どのような効果が生じるか、具体的には自分に不利な結果を招かないか、しっかり把握しておく必要があります。

法律の専門家である弁護士であれば、調停条項も入念にチェックして後悔のない条件で手続きを進めてくれます。

離婚調停を弁護士なしで進めた場合、一時的には費用を抑えられるように見えても、長期的には大きな不利益を被ってしまう可能性があります。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

特に財産の額が大きかったり、財産分与が複雑な場合は弁護士の必要性が高いです。

離婚調停を弁護士に依頼するメリット5選

離婚調停はご本人のみで対応することができます。もっとも、弁護士に依頼した方が以下のメリットが得られます。

①離婚調停に必要な手続きや準備を代わりにやってもらえる

弁護士に依頼すれば離婚調停をするために必要な手続きや準備を代わりに進めてもらうことができます。

離婚調停をするには、調停の申立書陳述書など様々な書面を作成して提出する必要があります。

忙しい中で提出書類を作成し、漏れがないよう調停の準備をすることはかなり大変です。

また、書面では感情ではなく具体的な事実を適切に記載し、調停員会に事案や主張を把握してもらうことが大切です。

どの事実をどのくらい書くか、必要な事実に漏れがないかといった判断はやはり弁護士に任せるのがおすすめです。

弁護士に依頼すれば、提出書類や調停の準備の大半を代わりにやってもらえるため、調停にかかる負担を大幅に軽減することができます。

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②問題に応じて適切な手続きを選択できる

話し合いで調停が成立すれば一番ですが、場合によっては、調停を早々に不成立にして審判移行した方が良い事案もあります。

典型的には婚姻費用です。

婚姻費用とは

婚姻費用とは、婚姻中の生活に必要な生活費や養育費などのことです。
夫婦には扶養義務があるため、扶養を必要とする方は別居中の婚姻費用を相手に請求することができます

婚姻費用│別居中の生活費、相場は?離婚前提でも請求できる?

申立人が女性で、すでに別居している場合、離婚調停と同時に婚姻費用分担請求調停も申し立てるのが一般的です。

この場合、相手方がすんなり認めることは少なく、離婚と婚姻費用を両方拒否したり、婚姻費用の支払を頑なに拒んだり、といったケースが多いです。一般の方にとっては、「婚姻費用」というよくわからないお金の支払を求められるのは納得がいかない、という思いもあるのだと思います。

とはいえ、婚姻費用については、算定表に基づいて算出される運用が実務上定着しています。したがって、相手がいくら拒んでも、審判になれば収入に応じた婚姻費用の支払が命じられることがほぼ確実です。

以上の理由から、相手方が婚姻費用の成立を頑なに拒んでいる事案では、調停での解決にこだわらず、不成立にして審判移行してしまった方が時間的にも経済的にもメリットが大きい場合が多いです。

岡野タケシ弁護士
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弁護士

このような判断は、実務を知っている弁護士でなければ難しいと思います。

③法的観点から調停を適切な方向に進めてくれる

調停期日では、男女各1人ずつの調停委員とやりとりすることになります。どの調停委員も調停成立に向けて尽力をしてくれますが、そのタイプは本当に千差万別です。

現役弁護士や、法的素養のある方が調停委員を務めていることもありますが、全員がそうとは限りません。時には法的根拠に基づかず、感情論的に話をまとめようとしているように感じるケースもあります。

そのような場合、もしご本人のみで対応していると「調停委員さんがこう言っているのだし、この条件に応じないといけないのかな?」と不本意ながら同意するという結論になってしまうおそれがあります。

一方、弁護士がついていれば、必ず法的観点から問題を分析します。相手方の主張が法的に筋の通らない場合は、即座に指摘します。また、当方の主張の正当性を法的根拠に基づいて説明します。

調停はゆったり進むイメージもあると思いますが、即応力も非常に重要です。調停委員から「相手方はこう言っておられますが・・・」と言われたときに「いやそれはおかしいです。なぜなら〜」と即座に反論できるかどうかが調停の流れを大きく左右します。この点からも、調停は交渉慣れしている弁護士に任せるのがおすすめです。

弁護士を通じてきちんと法的な主張をしておけば、評議の場で裁判官がその主張の合理性を正しく理解してくれるはずです。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

調停というと、話し合いのイメージが強いですが、自己に有利に進めるには、やはり法的知識が不可欠です。

④相手が弁護士を立てても適切に対応してもらえる

相手に弁護士がいる場合、最も有利な条件で調停を成立させるために徹底的に準備をして調停の場でも説得力のある主張を展開してきます。こちらの主張が少しでもおかしいと感じたら即座に反論をして痛いところを突いてきます。

相手に法律の専門家がついているという事実から余計に緊張や疲弊してしまい、思った通りの主張ができないことも少なくありません。

相手が弁護士を立ててきた場合、こちらも弁護士を立てることで対等に弁論することができ、相手のペースで調停が進むような事態を避けられます

⑤適切な離婚条項を作成できる

離婚調停で最も重要なのが調停条項の作成です。条項がきちんとしたものであるかどうかで、離婚給付が確実に確保できるかどうか決まります。

調停条項は一見すると単純で、これといって問題がないように見えることが多いです。

したがって、ご自身のみで対応した場合、調停委員会から「この内容で間違いありませんか」と問われれば、「(う~ん、よくわからないけど多分大丈夫そうだから)はい、間違いありません」と答えてしまいがちだと思います。

しかし、調停条項の確認が甘いと、いざ強制執行しようと思ったときに不備があるなど、将来大きな不利益をもたらしかねません。

弁護士がついていれば、調停条項を慎重に分析します。調停内容が正しく反映されているか、将来依頼者に不利になる条項がないか、あるいは、依頼者の利益を確保するために必要な条項が抜けていないかなどあらゆる観点から条項を確認します。

調停条項に法律のプロ(しかも自分の味方)の目が入るかどうかで、その後の展開は大きく変わってきます。調停条項の確認には、ぜひ弁護士の同席をおすすめします。

離婚調停の弁護士費用はいくら?

離婚調停の弁護士費用の相場は50万円〜110万円

離婚調停の弁護士費用の相場は、50万円〜110万円程度です。

当事者だけで離婚調停を進める場合の費用は3,000円程度ですので、弁護士に依頼すると離婚するための費用負担は大きくなってしまいます。

しかし、本人だけで調停を進めるよりもより高額な慰謝料や財産分与を得られる可能性もあります。

多くの弁護士事務所では、初回相談を無料または1時間5000円〜1万円程度で行っています。この機会を最大限に活用することが重要です。まずは相談をして費用とメリットの比較をするのもいいでしょう。

【弁護士費用の支払いが難しい場合には法テラスのご利用も

収入や資産が一定基準以下など一定の条件を満たす場合、法テラスの無料法律相談や弁護士費用の立て替え制度が利用できる可能性があります。

詳しくは法テラスの公式サイトをご覧ください。

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離婚調停の費用|弁護士に依頼したらいくらかかる?

離婚調停の弁護士相談でよくある質問

Q1: 離婚調停にはどのくらいの期間がかかりますか?

一般的に3か月〜1年程度ですが、案件の複雑さや当事者の協力度合いによって変わります。弁護士のサポートを受けることで、より効率的に手続きや話し合いを進めることが可能です。

Q2: 弁護士に依頼すると必ず有利な結果が得られますか?

弁護士は最大限あなたの権利を守り、不利な条件での合意を避けるよう最善を尽くします。しかし、 必ずしも全てのケースで有利な結果が得られるわけではありません。

Q3: 離婚を夫に切り出す前から弁護士に相談しても問題ありませんか?

問題ありません。むしろ、適切な準備と対策を立てるためにも、早めの相談をお勧めします。

Q4: 調停が不成立になった場合はどうなりますか?

調停不成立の場合、裁判に移行するか、再度の協議など別の解決方法を模索することになります。弁護士は状況に応じて最適な選択肢を提案し、サポートを続けます。

Q5: 離婚調停中の生活費や子どもの養育費はどうなりますか?

調停中でも、別居している場合は生活費(婚姻費用)や子どもの養育費を請求することができます。これらは調停の中で別途協議することもできますし、調停とは別に「婚姻費用分担請求調停」や「養育費請求調停」を申し立てることも可能です。弁護士と相談し、あなたの状況に応じた最適な方法を選びましょう。

離婚調停のご相談はアトムの弁護士にお任せください!

離婚事件は早めの弁護士相談が重要

離婚事件は特に依頼時期が早いほど手厚いサポートが受けられる類型です。

早い段階から関与している弁護士は、離婚の一番の争点は何で、依頼者の望みは何なのかを十分に把握しています。その分、調停や裁判でも説得力の主張ができます。

また、依頼時期が早いほど、相手方とのやりとりなど有益な証拠が弁護士のもとに蓄積されていきます。

このように、弁護士の立場からすると、離婚事件の途中から関与するよりも、当初から一貫して関与してきた方が、事件の核心をとらえた上で一連の手厚いサポートを提供しやすいです。そのためご依頼・ご相談は早めにすることをおすすめします。

離婚調停は弁護士の交渉力が重要

離婚事件の解決は特に弁護士の交渉力によるところが大きいです。

法的に正しいことはもちろん大切なのですが、離婚のように感情的対立が激烈な場合は、弁護士がいかに交渉上手かという点も非常に重要です。

法的・論理的に正しいことだけを主張しても、相手は納得しません。それどころか、相手の感情を逆なでしてしまい、余計に態度を硬化させてしまうこともあります。

大切なのは、依頼者の希望を最優先にしつつ、相手の考えも聞いた上で、相手の合意を得られるような提案をすることです。それには、高い交渉力が求められます。

ですので、離婚事件を任せるなら実際に弁護士に会って、目を見て話して、その人の交渉力、人間力を体感してみるのが一番です。

岡野タケシ弁護士
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このような理由から、アトムでは原則対面での離婚相談をご案内しています。

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離婚について弁護士の法律相談をお受けいただく手順としては、以下のような流れになります。

離婚の法律相談の流れ

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法律相談の費用は、初回30分無料です。

離婚を決意されている方も、まだ迷いがある方も、まずはご自身のおかれた状況を把握し、今後の選択肢を広げることが大切です。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了