離婚調停の申し立て方法|手続きの流れや必要書類は?申立書の書き方も解説
- 離婚調停の申し込み方法は?
- 離婚調停申し立ての流れは?有利に進めるには?
- 離婚調停の必要書類は?申立書の書き方は?
離婚の話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることができます。
離婚調停は、必要な書類と費用を用意すれば誰でも申し立てることができる、比較的簡単な手続きです。
簡単とはいえ、申立書類の書き方には、調停委員会に自分の主張をうまく伝えるためのコツがあります。書き方次第で調停が有利にも不利にもなる可能性があるので、この記事を読んで、書き方のポイントを押さえてください。
今回は、離婚調停申し立ての流れ、必要書類(記入例あり)などを解説します。
離婚調停の申し立ての前に、有利に進めるために、効果的な書き方を知っておきましょう。
離婚調停申し立ての流れ
離婚調停申立ての流れ
- 離婚調停の必要書類を作成する
- 管轄の裁判所を調べる
- 家庭裁判所に提出する
- 家庭裁判所から呼出状が届き、調停期日が開かれる
- 離婚調停の成立/不成立
1.離婚調停の必要書類を作成する
調停を希望する方の当事者は、離婚調停申立書(夫婦関係調整調停申立書)などいくつかの書類を用意する必要があります。必要な書類は後ほど詳しく説明します。
書類は、家庭裁判所で受け取るか、インターネットでもダウンロードすることができます。また、家庭裁判所から郵送で取り寄せることも可能です。
2.管轄の裁判所を調べる
離婚調停の申し立て先は、原則的に相手方の住所地を管轄する家庭裁判所ですが、当事者双方の合意があれば別の場所を選ぶことも可能です。
離婚調停を申し立てる裁判所
- 相手方の住所地を管轄する裁判所
- 合意管轄
離婚調停の合意管轄の具体例としては、たとえば、相手に自分の住んでいる地域まで来てもらいその地域の裁判所で離婚調停をおこなう、2人の住所地の中間にある裁判所を選ぶなどの方法があげられます。
なお、相手方の住所地以外の裁判所を選ぶ場合(合意管轄の場合)は、当事者で管轄合意書を作成して申立時に提出する必要があります。
相手の住所がわからない場合、何らかの手段を使って特定しなければ離婚調停を申し立てることができません。一般的には、役所で住民票の除票や戸籍の附票を取得して、現在の住所を調べる方法が使われています。
3.家庭裁判所へ提出する
用意した書類を管轄の家庭裁判所へ提出します。
書類は郵送で提出することもできます。離婚申立てに関する書類は、重要なものなので、簡易書留やレターパックで送ることも多いでしょう。
また、家庭裁判所の窓口で直接、申し込みを行う方法もあります。裁判所に直接持って行った方が、窓口ですぐ訂正ができるため、円滑に手続きを進めることができるでしょう。
書類の提出時に、費用も併せて支払います。費用は、収入印紙と切手という形で用意します。
離婚調停で必要になる書類、費用については、後述の「離婚調停の申立てに必要なもの」の項目をご覧ください。
4.家庭裁判所から呼出状が届き、調停期日が開かれる
裁判所の中で担当する裁判官・調停委員や1回目の調停期日が決定したら、呼出状が双方に普通郵便にて届きます。
調停の第1回期日は、離婚調停申し立てからどれくらいで開かれるかといえば、1〜2か月後になることが多いようです。
調停期日には、夫婦それぞれが男女2人の調停委員と面談を行い、意見の調整を行います。以降は、1~2か月に1回程度のペースで調停期日が開かれ、夫婦が合意に至れば調停が成立します。
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5.離婚調停の成立/不成立
離婚調停の調停期日を重ね、お互いの主張を踏まえたうえで、合意できた場合は調停成立となり、調停離婚ができます。
一方、合意ができない場合、離婚調停の呼出状を無視し欠席した場合など、和解の見込みがないケースでは調停不成立となります。
離婚調停が不成立になった場合、離婚をする方法としては、離婚訴訟を申立てるか、時間をあけてもう一回離婚調停を申し立てるなどの方法が考えられます。
手続きの不明点は家事手続案内で相談
家庭裁判所は、家事手続案内を行っており、裁判所の職員から離婚調停の申し立て方法や手続きの流れについての案内を受けることができます。
ただし、離婚できるかどうかや慰謝料の額など、具体的な見通しについて、職員は答えることができません。
予約不要で、受付時間内に家庭裁判所に行けば案内を受けることができます。
受付しているのは平日の日中のみで、裁判所によって受付時間が異なります。例えば、東京家庭裁判所の受付時間は、8時30分~12時、13時~17時となっています。
また、裁判所によっては電話での案内が利用できる場合もあります。
離婚調停の申し立てに必要なもの
離婚調停の申し立てに必要な書類
離婚調停の申し込みをする際、どのような必要書類を準備すればよいのでしょうか。
離婚調停で必要となる書類としては、以下1~9となります。
必要書類など
- 離婚調停申立書・・・3通
- 連絡先等の届出書・・・1通
- 進行に関する照会回答書・・・1通
- 事情説明書・・・1通
- 夫婦の戸籍謄本・・・1通
- 子についての事情説明書(未成年の子がいる場合)・・・1通
- 年金分割のための情報通知書(年金分割調停を申し立てる場合)・・・原本1通・コピー2通
- 陳述書(任意)
- 証拠・資料(任意)
1~4および6の必要書類については、それぞれの家庭裁判所が指定する書式があります。これらの書式は、家庭裁判所の窓口やホームページで入手することができます。
離婚調停の申し立て費用
離婚調停にかかる費用は、申立てた側が支払います。内訳は以下の通りです。
- 収入印紙代・・・1,200円
- 切手代・・・1000円前後(家庭裁判所によって異なる)
収入印紙は、離婚調停申立書に貼り付けます。収入印紙に割り印をしてはいけません。
切手代は、裁判所が当事者へ文書を郵送する際に使われます。必要な金額は裁判所によって異なるうえに、100円が2枚、84円が8枚などと、内訳まで詳細に決められています。事前に管轄の裁判所のホームページ等で確認しましょう。
なお、余った切手は事件の終了時に返還されます。
離婚調停を申し立てる際の持ち物
家庭裁判所にて離婚調停を申し立てる際は、以下の物を持って行きましょう。
- 書類一式(調停申立書、添付書類、付属書類など)
- 収入印紙(申立書に貼り付ける)
- 郵便切手(裁判所が指定する額)
- 印鑑(書類に誤りがあった時のため)
離婚調停の必要書類の書き方
1.離婚調停申立書の書き方
離婚調停申立書(正式には夫婦関係調整調停申立書)は、裁判所用、相手方用、申立人用の控えの計3通が必要です。書式は全国共通で、裁判所のホームページでダウンロードすることができます。
離婚調停申立書は相手方にも送付されるため、相手に見られることを前提に記入しなければいけません。(※住所を秘密にしている場合などは、後述の非開示の希望に関する申出書などで対応することが考えられます。)
離婚調停申立書は全部で2ページあります。基本的に、申立人が記入するのは太枠の中のみです。
①事件名・印紙
まず、右上のかっこの中に「離婚」と記入します。夫婦関係調整調停には円満と離婚の2種類があり、区別する必要があるためです。
円満調停とは、円満な夫婦関係を取り戻すために、調停委員会の仲介を受けて話し合いを行う手続きです。
その下の枠内に、1,200円分の収入印紙を貼り付けます(裁判所に提出する1通のみ)。
②裁判所・日付・申立人の記名押印
左側に、申立先の家庭裁判所の名前と、申立書の作成年月日を記入します。
右側に、申立人が記名・押印します。
③添付書類
戸籍謄本の提出は必須ですので、必ずチェックを入れます。年金分割について話し合う場合は、年金分割のための情報通知書も必ず用意し、チェックを入れてください。
④申立人・相手方
申立人(自分)と相手方(配偶者)の本籍・住所・氏名を記入します。
相手方に現在の居所を知られたくない場合は、ここに現住所を記入してはいけません。
実家や勤務先、夫と同居していた時の住所など、知られてもよい住所を記入してください。
⑤対象となる子
対象となる子の欄には、父親と母親で親権を争っている、面会交流、養育費に争いがある場合にのみ記入してください。
子どもが自分と一緒に住んでいる場合は「申立人と同居」に、相手と一緒に住んでいる場合は「相手方と同居」にチェックを入れます。
どちらとも同居していない場合(親の実家にいる場合など)は、「その他」にチェックを入れ、かっこの中に住所を記入します。
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⑥申立ての趣旨
左側(円満調整)には何も記入しません。右側(関係解消)に申立人が希望する離婚条件を記入します。調停では、ここに記入された条件をもとに話し合いを行います。
まず、「1 申立人と相手方は離婚する」に〇をつけます。
次に、(1)~(7)のうち話し合いたい項目すべてに〇をつけ、希望条件を記入します。養育費や財産分与、慰謝料の額に見当がつかない場合は、「相当額」にチェックを入れておき、調停の中で決めていきます。
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⑦申立ての理由
同居・別居の日と申立ての動機を記入します。
同居と別居を繰り返している場合は、初めて同居した日と最後に別居した日を記入してください。
申立ての動機の欄では、離婚したいと思った理由に〇をつけ、そのうち最も重要なものには◎をつけます。
申立ての動機に何を選ぶかは、慰謝料請求などに関わってくるため重要です。
調停は裁判所の判断ではなく当事者間の合意を目指す手続きですので、離婚理由や慰謝料請求の理由はなんでも構いません。
しかし、法定離婚事由や不法行為にあたるような理由がある場合は、それを調停委員会に分かってもらったほうが、味方になってもらえる可能性が高くなると考えられます。例えば、「異性関係」「家庭をすててかえりみない」「暴力をふるう」などは法定離婚事由にあたる可能性が高いといえます。
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2.連絡先等の届出書の書き方
連絡先等の届出書には、裁判所が申立人と連絡を取るための住所・電話番号を記入します。
裁判所によっては「送達場所の届出書」など違う名称で呼ぶこともあります。記入事項も裁判所ごとに異なるため、まずは管轄の裁判所のホームページ等で書式や記入例を入手してみてください。
裁判所は、調停期日の通知等を郵便で送付します。その際には、この届出書に記載された住所が使用されます。離婚調停申立書に現住所を記入しなくてもよいのは、連絡先等の届出書に正しい住所を記入するからです。
調停中に住所や連絡先が変わった場合は、再度この届出書を提出する必要があります。
3.進行に関する照会回答書の書き方
進行に関する照会回答書には、これまでの話し合いの様子や、調停中に相手が危険な行動を取る可能性はあるか、調停の日時はいつがよいかなど、調停の進行に関わることを記入します。
裁判所によっては「進行連絡メモ」などとも呼ばれており、書式や記入する事項も異なります。多くの場合は、調停の際に暴力をふるう危険性があるかについて聞かれます。
書式は、各家庭裁判所の窓口またはホームページで入手することができます。
調停の中で、夫婦が同席して手続きの説明を受ける場合がありますが、顔を合わせることに不安がある方はこの文書に同席を避けたい旨やその理由などを記入することができます。
また、調停期日に裁判所内で鉢合わせることがないように配慮してほしい場合なども、この文書で要望を伝えることができます。
この書類は、相手方には公開されませんので、裁判所への要望を正直に書くことができます。
4.事情説明書の書き方
千葉家庭裁判所ホームページより
事情説明書とは、裁判所に現在の夫婦の状況を知らせるために提出する書類です。収入や住居の状況や、調停を申し立てた理由などを記入します。
事情説明書は、家庭裁判所によって書式が異なります。それぞれの裁判所のホームページや窓口で入手することができます。以下は一例です。
調停を申し立てた理由やいきさつを書く欄は限られており、伝えたいことが十分に書けない可能性があります。そういった場合は「別紙のとおり」とだけ書き、後述の陳述書を添えることで補足できます。
5.夫婦の戸籍謄本
3か月以内に発行された夫婦の戸籍謄本が必要です。事前に役所へ行って取得しておきましょう。発行には450円の手数料がかかります。
6.子についての事情説明書の書き方
未成年の子どもがいる場合、子についての事情説明書を提出する必要があります。裁判所によって名称や記載事項が異なり、「子に関する事情説明書」などと呼ばれることもあります。書式は、各家庭裁判所の窓口またはホームページで入手することができます。
子についての事情説明書には、現在の子どもの監護状況や子どもに関して心配していることなどを記入します。
また、今後の面会交流の実施などについて要望があれば、この書類に記載することができます。
7.年金分割のための情報通知書
年金分割についても調停で話し合いたい場合は、年金分割のための情報通知書を年金事務所から取り寄せておく必要があります。
年金分割のための情報通知書を入手するためには、「年金分割のための情報提供請求書」を年金事務所に提出します。情報通知書が届くまでには1週間~1か月程度かかるため、早めに手続きを始める必要があります。なお、公務員の方は共済組合に請求するため、手続きが異なります。
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8.陳述書の書き方
陳述書とは、事情説明書に書ききれない内容を補足するようなもので、調停を申し立てた理由や不仲になったいきさつなどを書きます。陳述書は任意とはいえ、夫婦の事情や自身の主張を調停委員会に知ってもらうために重要です。
陳述書に特に決まった書式はありませんが、以下の事項は最低限記載します。
- 事件番号
- 表題(陳述書)
- 作成日
- 宛先(家庭裁判所名)
- 申立人の署名・捺印
離婚調停の申し込みの際に作成する陳述書の場合、その本文には、以下のようなトピックについて書くのが一般的です。
- 夫婦のプロフィール
- 結婚した経緯
- 夫婦の職業や収入、財産
- 子どもの年齢や学校、登校状況
- 離婚を決意するに至った経緯
- 離婚したい旨や希望する条件
なお、この陳述書は相手方にも見られるため、知られたくない情報(自分の住所や勤務先、子の学校名など)は記載しないでください。
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9.証拠・資料
証拠や資料は、自身の主張を裏付けるために、任意で提出することができます。離婚調停を有利に進めるためには、提出を検討すべきでしょう。
また、場合によっては、裁判所から提出を求められることもあります。
例えば、DVを受けていた場合は、暴力によって負った怪我の写真や診断書を提出することがあります。離婚の原因が不貞行為(肉体関係をともなう浮気)である場合、不倫相手と配偶者のやりとり、ラブホテルに入っている様子が分かる写真などが、証拠となります。
また、財産分与を請求する場合は、相手の財産に関する資料、例えば預金通帳のコピーなどを提出することもあります。
証拠・資料(一例)
- 怪我の写真(DVの場合)
- 不倫相手とのやりとり
- 財産に関する資料
- 預金通帳のコピー
etc.
証拠は、申立時ではなく離婚調停中に提出することも可能です。
なお、マイナンバーの書かれた書類は、必ずマイナンバーを黒塗り(マスキング)した状態で提出してください。
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相手に住所などを知られたくない場合は?
調停で提出した書類は相手にも見られる可能性がある
裁判所に提出する書類は、相手方にも見られる前提で書かなければなりません。
離婚調停申立書は必ず相手方に送付されますし、その他の提出書類の多くは、相手方や利害関係を有する第三者の申請があって、裁判所がこれを許可すれば、閲覧やコピーができてしまいます。
相手方の閲覧可否 | |
---|---|
離婚調停申立書 | 送付される |
連絡先等の届出書 | 〇 |
進行に関する照会回答書 | × |
事情説明書 | 〇 |
子についての事情説明書 | 〇 |
陳述書 | 〇 |
証拠・資料 | 〇 |
〇・・・相手方からの申請があり、裁判所が許可すれば閲覧やコピーが認められる
しかし、DVやストーカーから逃れて生活しているなどの状況で、現在の住所や連絡先が配偶者に知られると困ってしまう方もいます。
源泉徴収票や診断書などを資料として提出する際は、現住所などを特定できる情報には黒塗り(マスキング)をした状態で提出することが認められています。
しかし、マスキングをした箇所は、裁判所も確認することができなくなってしまい、困りごとが生じます。
そこで、裁判所には見せたいが相手には見られたくない情報に関しては、次の2つの制度を利用することで、相手方への開示を防げる可能性があります。
①非開示希望申出
非開示希望の申出とは、申立人が提出した書類によって住所などの情報が相手方に知られると社会生活を営むのに著しい支障が生じるおそれがある場合に、書類の非開示の希望をあらかじめ裁判所に申し出る手続きです。
申出を行うには、裁判所で配布されている非開示希望申出書に記入し、非開示を希望する文書と非開示希望申出書をホチキスで綴じて提出します。文書のうち一部のみ非開示にしたい場合は、その部分にマーカーを引くなどの方法で特定します。
複数の文書を非開示にしたい場合、1冊にまとめて綴じることはできず、1文書ごとに申出書を添付する必要があります。
手数料はかかりません。
非開示の対象となる情報には、申立人本人の住所等だけでなく、子どもの学校名などの情報も含まれます。
ただし、非開示希望は絶対ではないため、裁判官の判断により相手への開示が許可される可能性もあります。
②秘匿決定申立
当事者間秘匿制度とは、申立人の住所などの情報が相手方に知られると社会生活を営むのに著しい支障が生じるおそれがある場合に、秘匿申立てを行い、裁判所の秘匿決定を得ることで、情報を秘匿することができる制度です。
この手続きで秘匿の対象となるのは、申立人本人の情報のみです。秘匿決定が認められると、住所の記入欄には正しい住所ではなく「代替住所A」などと記入することができるようになります。正しい情報については、秘匿事項届出書面として別途届け出ます。
申し立てを行うには、秘匿決定申立書、秘匿事項届出書面と疎明資料(相手に住所等が知られることにより社会生活を営むのに著しい支障が生じるおそれがあることを疎明する資料)を提出します。この手続きには、500円分の収入印紙と郵便切手が必要です。
非開示希望申出 | 秘匿決定申立て | |
---|---|---|
定義 | 非開示の希望をあらかじめ申し出る手続き | 申立てにより、裁判所が秘匿の決定を行う手続き |
対象 | 申立人を特定する事項(住所等)だけでなく、子どもの情報なども | 申立人を特定する事項(住所等)のみ |
手続き | 非開示希望申出書を文書と一緒に綴じて提出 | 秘匿決定申立書および秘匿事項届出書面の提出疎明資料が必要 |
費用 | 無料 | 収入印紙500円郵便切手 |
効果 | 知られても問題のない住所を記載することができる。閲覧謄写申請があった場合、裁判官の判断で開示される可能性がある。 | 住所の欄には「代替住所A」などと記載される。相手からの閲覧謄写申請は許可されない。 |
非開示希望と秘匿決定にはそれぞれメリット・デメリットがありますので、ご自身の状況に合うものを選びましょう。
なお、相手方に知られたくない情報がある場合は、申し立ての前に必ず家庭裁判所に相談し、指示を受けてください。
離婚調停を有利に進める書類の作り方
希望条件は余裕をもって
離婚調停申立書には、希望する離婚条件を記入しますが、離婚調停を有利に進めるには、この際に最低限の条件は書かない方がよいでしょう。
たしかに、最終的な落としどころとして、離婚調停の申し込みの時点で、「最低限ここだけは譲れない」という条件を想定しておくことは重要です。
しかし、養育費や財産分与、慰謝料などの額について、実務では、相手方の交渉によって下がることはあれど、当初の希望金額より上がることはほぼないといえます。
したがって、離婚調停申立書では、最低限の条件にある程度の余裕を持たせて書いておき、実際の調停の中で多少譲歩した方が、希望の条件を実現しやすいでしょう。
調停を有利にする陳述書の書き方
離婚調停を有利に進めるためのコツとしては、陳述書を作成する際、感情論ではなく具体的な事実を書くことがポイントです。
例えば、「夫がいつも暴力を振るうので許せません」などと書いても、調停委員会には、どのような暴力行為がどのくらいの頻度で行われており、申立人がどの程度の苦痛を受けていたのかは伝わりません。
こちらの主張を十分に理解してもらうためには、「夫は〇年〇月〇日の〇時頃、自宅にて、私が夫の不貞行為を指摘したのがきっかけで、私に対し殴る蹴るの暴力を加えました。その結果、私は肋骨を骨折する怪我を負いました」などのように、日時、状況、結果について客観的な記載を心がけると良いでしょう。
離婚調停申立書の書き方に注意する
離婚調停申立書は、相手方にも送付されます。そのため、相手を過度に刺激する内容は、スムーズな進行の妨げになる可能性がありますので、書かないほうが無難です。
例えば、申立書にあまりに無茶な離婚条件や、嘘の申立て理由を書くと、相手にとっても調停委員会にとっても印象が悪くなってしまいます。
離婚調停を有利に進めるためには、調停委員の印象をよくすることも大切です。身なりや話し方を工夫するほか、慎重に実のある主張を展開することが重要です。
その後の離婚調停の流れを有利にもっていくためにも、冷静な書き方を意識してください。
調停の書類作成を弁護士に任せる
離婚調停は、裁判に比べると簡易で利用しやすい手続きですが、きちんと書類を作成するにはかなりの手間とノウハウが必要です。
弁護士に離婚調停を依頼すれば、調停での受け答えや離婚条件などについてアドバイスが受けられるだけでなく、書類の準備も任せることができます。
また、申立書類に申立人の情報として弁護士事務所の住所や連絡先を記載できる場合があるため、相手に住所等を知られたくないとき、弁護士は役立ちます。
このように、離婚調停を弁護士に依頼すれば、ご自身の負担を減らしつつ調停を有利に進めることができるでしょう。
離婚調停の申立て・申立書でよくある質問
Q1.離婚調停は申立てた人のほうが有利ですか?
離婚調停は夫婦のいずれかが、家庭裁判所に申立てをおこなうことで開始される手続きです。
この場合、申し立てる側、申し立てられる側に分かれることになりますが、申し立てる側が有利であるとは限りません。
離婚調停を申立てる側か、申し立てられた側かは、調停の結果にさほど大きな影響を与えるとはいえないでしょう。
たしかに、申し立てる側は、離婚調停の申立てに際して入念な準備をおこなう余裕があるため、その分、事実上有利なのかもしれません。
しかし、主張の裏付けとなる根拠・資料を提示できること、調停委員を味方につけることなど、基本的な部分をおざなりにしていては、調停を有利に進めることはできないでしょう。
Q2.離婚調停申立て後の流れはどうなりますか?
離婚調停の申立て後、調停が成立すれば調停離婚ができます。調停成立後10日以内に、市町村役場に離婚の届出をします。年金分割についても決めた場合は、年金事務所などで年金分割の請求手続をおこなってください。
離婚調停が不成立の場合、離婚をしたいのであれば、離婚訴訟を提起することになります。
なお、離婚調停中、話し合いの結果、夫婦で離婚をとりやめたいという結論に至る場合もあるでしょう。
離婚調停を続ける必要がなくなった場合には、離婚調停の申立てを取り下げることも可能です。
Q3.離婚調停の申立書の書き方は、どこで確認できますか?
離婚調停の申立書については、裁判所のホームページにおいて、書式および記入例が公開されています。
また、ご自身で作成に不安がある場合、書き方が分からない場合でも、離婚をあつかう弁護士に相談すれば作成のサポートをしてくれます。
まとめ
離婚調停で悩んだら弁護士の無料相談の申し込みを検討しよう
離婚調停の申し込み方法は、家庭裁判所に必要書類をそろえて窓口提出、あるいは郵送することになります。
離婚調停の流れを有利にするには、申立書、陳述書など必要書類の書き方が重要なポイントのひとつといえます。
離婚調停の申し込みはご自身でも可能ですが、お一人では心細いと感じる方もいるでしょう。
そのような方は、ぜひ離婚をあつかう弁護士にご相談ください。
信頼できる弁護士を見つけるためにも、まずは無料相談の申し込みをしてみてください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
収入印紙や切手は、裁判所内では販売していないことが多いため、あらかじめ郵便局やコンビニなどで購入しておきましょう。