離婚後の養育費の相場はいくら?支払われなかったらどうする?
養育費とは、子どもの生活や教育などに必要な一切の費用のことです。
両親は、子どもが経済的・社会的に自立するまで子どもを扶養する義務を負います。その義務は、離婚して子どもと別居することになっても、無くなるものではありません。その扶養のひとつの形が養育費です。
しかし、養育費を受け取れていない家庭の割合は非常に多く、母子家庭のうち約57%が、父子家庭にいたっては約86%が、一度も養育費を受け取っていないのだそうです(令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告より)。
今回は、養育費の相場や請求方法、支払われなかった場合の対処法を解説します。
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養育費ってどんなもの?
養育費とは?
養育費とは、子どもの生活や教育などに必要なあらゆる費用のことをいいます。
たとえ、離婚したとしても養育費は両親ともに負担しなければなりません。
子どもを引き取った親であれば養育費は生活の中で負担しています。しかし、離れて暮らすことになった親はそうはいきませんので、養育費を相手に支払う必要があります。
親は、自身と同レベルの生活を子どもにも保障する義務を負っています。ですので養育費の額は、子どもの養育に最低限必要な額ではなく、親の収入に合わせて決まります。
Point
- 養育費の負担は親の義務
- 支払わない選択はできない
養育費は何歳になるまで支払う?
養育費の支払いの対象となるのは、経済的・社会的に自立していない子どもとされています。一般的には子どもが20歳になるまでですが、20歳に達した子どもも対象となることがあります。
たとえば、子どもが大学に進学した場合や、20歳に達していても病気や障害で働けない場合は、経済的・社会的に自立しているとはいえないため、養育費の支払いの対象となる場合があります。
養育費について話し合うときには、養育費の終期(支払いを終える時)についても取り決めます。
具体的には、「20歳になる〇年〇月〇日で終了」などとすることが多いようです。「子どもが大学や専門学校を卒業するまで」などと柔軟に決めることもありますが、浪人や留年などで卒業が延びた場合に争いになってしまう可能性があるため、慎重に考える必要があります。
養育費を支払う人は誰?
養育費は、父母がそれぞれの経済力に応じて分担するものです。通常は、子どもを引き取らなかった方の親から引き取った方の親(親権者)に対して支払う形で分担をします。
離婚の際に同じく請求できるお金として慰謝料がありますが、慰謝料は有責配偶者(離婚の原因となった方)から、そうでない方(精神的苦痛を受けた方)に対して支払うものです。
一方、養育費は子どものための費用ですから、相手が原因で離婚したとしても負担しなければなりません。
面会交流と引き換えに養育費を請求できる?
面会交流は、親子交流ともいい、離れて暮らす子どもと定期的に会って話をしたり、交流したりすることをいいます。
面会交流は、親のためのものではなく、子どもの権利です。金銭と引き換えに相手に与えるものではありません。
相手が養育費を払っても払わなくても、子どもが望むかぎりは面会交流をする権利はなくなりません。
相手と会わなくても養育費は請求できる!!
実は、半数以上の夫婦が離婚時に養育費の取り決めをしておらず、その理由の第1位は「相手と関わりたくないから」です(令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告より)。
確かに、養育費の振込の際には多少相手と関わることはあるかもしれませんが、養育費の請求の手続き自体は、ほとんど相手と会わずに終わらせることも可能です。
具体的には、弁護士に間に入ってもらって交渉・回収を行う方法や、調停を申し立てる方法などがあります。
弁護士に依頼すれば、配偶者との交渉や回収のための連絡を全て任せることができるので、自分が配偶者と関わる必要は一切なくなります。
調停では、一番最初の説明時と調停成立時に夫婦の同席が必要な場合もありますが、ほとんど顔を合わせることなく交渉をすることができます。
養育費の取り決め方
まずは養育費の話し合い
養育費について決める際、まずは夫婦で話し合いを行います。
2人が養育費などについて合意してから離婚をすることが一般的ですが、離婚届を提出して離婚が成立した後に決めることも可能です。
話し合いで夫婦が合意できれば、どのような額をいつからいつまで支払うかは自由に決めることができます。
法務省が養育費や面会交流に関する手引きや合意書のひな形を配布していますので、具体的に何をどう決めるかの参考にしてみてください。
参考
法務省:「こどもの養育に関する合意書作成の手引きとQ&A」について
養育費について決めなければならないことは何?
養育費は、月額で定めることが多いですが、かといって「月にいくら払うか」だけ決めれば良いというわけではありません。後のもめごとを防ぐために、以下の項目についてもあらかじめ決めておく必要があります。
- ひと月あたりの金額
- 支払い期間
- 支払い時期・方法
- 特別な出費があったときの負担
金額の決め方については、後ほど詳しく説明します。
支払い時期・方法とは、「毎月末日までに〇〇銀行の口座に振り込む」といった取り決めです。
特別な出費があったときの負担とは、たとえば子どもが入院したり、大学に進学したりして特別な費用が必要になった際には都度協議をするといった取り決めです。
養育費の取り決めの例
第〇条(養育費)
甲は乙に対し、長男〇〇の養育費として令和△年△月△日から〇〇が満20歳に達する月まで、1人につき金▲万円を支払う義務があることを認め、これを毎月△日限り乙の指定する口座に振り込んで支払う。
2 甲乙は、〇〇の病気や進学等、特別な費用を要する事情が生じた場合は、別途協議して分担額を定める。
養育費の取り決めは公正証書にしておく
当事者同士の話し合いで養育費についての取り決めを行った場合、その証拠として離婚協議書や合意書を作成し公正証書にしておくことをおすすめします。
公正証書とは、公証人の立会いのもとで作成する公的な文書です。この公正証書に強制執行認諾文言を入れておけば、裁判を経ずに強制執行ができるようになります。
強制執行認諾文言の例
第〇条(強制執行認諾)
甲は、第〇条の債務の履行を遅滞したときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した。
公正証書の作成には数千円〜数万円の手数料がかかります。
しかし、いざ養育費が支払われなくなってから調停・審判または裁判を開始するよりも、手間や時間を抑えることができるでしょう。
また、支払わなかったら強制執行をされるということが分かっていれば、養育費を踏み倒そうという気持ちにもなりにくいでしょうから、強制執行認諾文言付き公正証書の作成は抑止力としても検討に値する方法です。
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養育費が協議で決まらなかった場合の手続き
合意ができなかった場合は、第三者を挟んで交渉を行うことになります。養育費が話し合いで決まらなかった場合に考えられる手段は、以下の通りです。
- 弁護士に交渉を依頼する
- 調停を申し立てる
- 審判を受ける
- 即時抗告を申し立てる
弁護士に交渉を依頼する
弁護士に依頼して交渉の間に入ってもらうと、互いに冷静に話し合いをすることができます。
特に、配偶者と顔を合わせたくない場合や、DV被害の心配があるような場合、弁護士に配偶者との連絡や話し合いを任せることで、自分は配偶者と一切連絡を取らなくて良くなるため、安心です。
また、離婚に詳しい弁護士なら、適正な養育費の相場も理解していますので、養育費の増額を目指して交渉をしていくことが可能です。
もちろん依頼すれば弁護士費用はかかりますが、調停や裁判へ進んだ場合には、調停・裁判に同席して交渉をサポートしてくれるほか、煩雑な手続き等も代わりに行ってくれます。
ですので、離婚に関する話し合いに少しでも不安があるなら、弁護士への相談を検討してみてください。
調停を申し立てる
話し合いが決裂した場合は、家庭裁判所に養育費請求調停を申し立てることができます。調停は、家庭裁判所に「養育費請求申立書」などいくつかの書類を提出することで始めることができ、申し立ては離婚前でも離婚後でも可能です。
調停が始まると、夫婦が調停期日に家庭裁判所に出向き、交互に調停委員と面談を行います。月に1回程度の調停期日が繰り返され、調停委員の介入を受けて双方の主張の落としどころを探します。
多くの場合、離婚自体の可否や、慰謝料、養育費などが併せて話し合われます。
ここで夫婦が合意することができれば、調停は成立し、法的な強制力を持つ調停調書が作成されます。
法的な強制力を持つというのは、支払いが履行されない場合に裁判所から履行勧告や強制執行を行うことができるという意味です。
調停を行っても合意に至ることができないと分かった場合は、調停は不成立となり、自動的に審判に移行します。
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審判を受ける
調停が不成立となった場合や、審判の申し立てをした場合には、審判の手続きに入ります。審判とは、裁判官が証拠や証言をもとに判断を下す方法です。
調停と異なるのは、当事者が同意しなくても結果が確定する点です。そのため、話し合いが長引くのを防ぐことができるというメリットがあります。
ただし、調停を経ずにいきなり審判を申し立てても、裁判所の判断でまずは調停の手続きに付されることもよくあります。
即時抗告を申し立てる
審判を受けたけれどもその結果に不服があるという場合は、結果の通知を受け取ってから2週間以内であれば不服申立て(即時抗告)をすることができます。
手続きとしてはまず、抗告状を提出し、その後に抗告理由書を提出します。そうすると、高等裁判所にて審理が始まります。
裁判中に裁判官から和解をするよう勧められることもあり、2人がそれに応じれば裁判は終了します。和解に至らなかった場合は、「原告の請求を認めるか、棄却するか」の判断がなされ、裁判は終了します。
養育費の相場と計算方法
養育費の相場は?
厚生労働省が実施した「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、養育費の平均金額は母子家庭で50,485円、父子家庭で26,992円でした。
さらに子どもの人数ごとに詳しく見てみると、この表のようになっています。
子どもの数 | 母子家庭 | 父子家庭 |
---|---|---|
1人 | 40,468円 | 22,857円 |
2人 | 57,954円 | 28,777円 |
3人 | 87,300円 | 37,161円 |
4人 | 70,503円 | – |
5人 | 54,191円 | – |
不詳 | 39,062円 | 10,000円 |
総数 | 50,485円 | 26,992円 |
令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告(厚生労働省)より作成
養育費は高額であればいいというわけでもありません。無理のある金額であれば、たとえ合意できたとしても、支払われないなどトラブルの元です。
継続して支払いを受けられることが大切です。
養育費の計算方法は?
▼カンタン操作で目安がわかる
養育費には、子どもの衣食住に必要な費用のほか、教育費や医療費などあらゆる費用が含まれます。
とはいえ、実際に何にいくらかかるなどと具体的に計算することはあまりなく、基本的には「月額〇万円」などといった形で毎月決まった額を請求することになります。
養育費を計算するときによく使われるのが養育費算定表(裁判所HP)です。この算定表に用いられている計算方法のことを改定標準算定方式(※)といい、以下の3つの項目をもとに計算します。
※標準算定方式は最新の統計をもとに2019年に改定。
- 夫婦それぞれの年収
- 自営業者か給与所得者か
- 子どもが何人(0~3人)いて、それぞれ何歳か(0~14歳、15歳~)
一般的に、子どもの数が多く、子どもの年齢が高いほど、養育費は高額になります。
この算定表は、調停・審判や裁判でも広く用いられているものです。金額にはそれぞれ1〜2万円の幅を持たせてあるため、当事者の事情を考慮して、その幅の範囲内で額を決定することが多いようです。
ただし、算定表の金額が絶対というわけではありません。
この算定表を用いて計算した額が、夫婦や子どもの状況に照らして著しく不公平であると思われる場合には、当事者間での話し合いや裁判所の判断によって、修正することもあります。
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養育費を調整するケース
養育費算定表を用いて養育費を計算する場合は、夫婦の年収、職業、子どもの人数・年齢の3つがベースになります。
算定表の計算結果には1〜2万円の幅が設けられており、個別の事情に合わせてその幅の中で増減されることが多いのですが、どういった要素が考慮されているのでしょうか。
以下のようなケースでは、話し合いや裁判所の判断によって、養育費が調整される可能性があります。
- 子どもが私立学校や塾などに通っており、高額な教育費がかかる場合
- 子どもに重度の障害や病気があり、高額な治療費がかかる場合
- 親が働こうと思えば働ける状況なのに、働いていない場合
- 支払う側が生活保護を受給している場合(支払い義務なし)
反対に、以下のような事情は、基本的には養育費には反映されません。
- 相手の不倫やDVが原因で離婚した場合
- 再婚しているが、再婚相手との間に子どもがいなかったり、養子縁組をしていない場合
- 一方が実家から金銭的援助を受けている場合
- 受け取る側が児童手当を受給している場合
養育費の額は後から変更できる?
当事者間の合意があれば養育費の変更はいつでも可能です。
養育費を変更するために必要な手続きは、養育費を決定したときの手続きとほとんど変わりません。
まずは話し合いを行い、それで決まらなければ調停・裁判を申し立てて養育費の額を変更することになります。
養育費を減らしたい時の調停を「養育費減額調停」、増やしたい時の調停を「養育費増額調停」といいます。
事情が変われば養育費の増額・減額ができる
養育費を決定した後でも、事情が変わった場合は養育費の月額の変更を請求することができます。
後から生じる事情というのは、たとえば以下のようなものです。
増額したい事情
- 子どもが私立の学校に入学したので
- 子どもが重度の障害を負った
減額したい事情
- 自分がリストラに遭って収入が減った
- 子どもが大学生になり、アルバイトを始めた
- 自分と再婚相手の間に子どもが生まれた
養育費は「その時の状況」をもとに考えるものですから、事情変更についてはその都度協議をおこなってあらためて妥当な金額を決めるのが基本です。
再協議についての取り決めをしていなかったとしても問題ありません。
もっとも、実務上は再協議の可能性があることを明確にするために、以下のような調停条項を定めておくことが多いです。
申立人と相手方は、申立人・相手方双方の経済状態、物価の変動、その他の事情の変更があった場合には、前項の養育費の額について改めて協議する。
当事者双方は、前項の未成年者について、病気・事故・進学等特別の出費が必要となった場合は、その負担について、別途協議するものとする。
申立人と相手方は、未成年者が、大学入学等により、高額の費用を要するに至ったときは、その費用の負担について協議することとする。
子どもが大きくなったら?15歳で養育費は増額する?
基本的に、子どもが大きくなるほど必要な養育費は大きくなると考えられています。
子どもが15歳になると、養育費算定表の基準も変わりますので、子どもが15歳になった時点で養育費の増額が認められることはよくあります。
こういった場合、支払をする側から増額の申し出があるとは考えにくいため、養育費を受け取る側から、話し合いや調停・審判を希望することになるでしょう。
15歳を迎えるのがそれほど遠くない場合、最初の取り決めの時点で「15歳までは●円」「15歳以降は●円」といった形で、途中で額を変更する取り決めを定めておくこともあります。
どちらかが再婚したら養育費はどうなる?
子どもを育てている側、養育費を支払っている側、どちらかが再婚したとしても、ただちに養育費が減額・増額されるわけではありません。
養育費を支払う側が再婚した場合
養育費を支払う側の再婚で養育費の額に影響が出るのは、扶養すべき子どもが増えた場合です。
具体的には、以下のようなケースです。
- 再婚相手の連れ子と養子縁組をした
- 再婚相手との間に子どもが生まれた
再婚相手に連れ子がいたとしても、養子縁組をしない限りは連れ子の扶養義務を負うことはありません。したがって、養子縁組をしていなければ養育費の額に直接的な影響はありません。
しかし、連れ子と養子縁組をしたり、再婚相手との間に子どもが生まれた場合は、扶養義務を負う対象が増えるため、養育費の減額の理由になります。
養育費をもらう側が再婚した場合
養育費を受け取る側の再婚で養育費の額に影響が出るのは、以下のような場合です。
- 再婚相手と自分の子どもが養子縁組をした
再婚相手と自分の子どもが養子縁組をすると、再婚相手にも子どもを扶養する義務が発生します。したがって、実の親が負担すべき養育費は、減額もしくはゼロになります。
養育費が支払われなかったら?
養育費が支払われなかった時の対処法
きちんと養育費の取り決めをしたのに全く支払われなかったり、一時は支払われていたが途絶えてしまったなどという場合は、以下のような対処法が考えられます。
電話やメッセージで催促する
相手が支払いを忘れているだけという可能性もありますし、まずは本人に直接連絡を取って催促をしてみるのが良いでしょう。これから紹介する方法は、手続きや費用が必要ですが、もし電話やメール、メッセージで連絡が取れるのであれば、費用も手間もかからずに済みます。
内容証明郵便を送る
内容証明郵便とは、「いつ、誰に、どんな内容の文書を送ったか」を記録・証明してくれる郵便局のサービスです。内容証明郵便を送っただけで支払いを強制できるわけではありませんが、こちらが本気で養育費を請求しようとしていることは伝わるでしょう。また、裁判で養育費の取り立てを行うことになった場合には、請求を行った事実を証明する証拠として役立ってくれます。
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履行勧告をする
履行勧告とは、裁判所から相手に対して養育費を支払うように説得したり、勧告したりする手続きです。履行勧告自体に強制力はありませんが、相手に心理的圧迫感を与えることはできるでしょう。
強制執行をする
強制執行とは、相手の財産を差し押さえることで、強制的に養育費を取り立てる手続きです。差し押さえることができる財産には、預貯金や給与のほか、動産・不動産も含まれます。
ただし、給与の差し押さえにはデメリットもあります。給与を差し押さえられたことは職場に伝わってしまうため、相手が職場にいづらくなって退職してしまう可能性があります。その場合、相手の収入がなくなってしまうため養育費の回収が難しくなりますし、転職をしていた場合は新たな職場を特定してから再度差し押さえを試みる必要があります。
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・離婚時の取り決めを強制執行で実現する方法|慰謝料・養育費など
弁護士に回収を依頼する
弁護士に養育費の回収を依頼することができます。
弁護士にできるのは、相手への連絡や、内容証明郵便での請求、履行勧告・強制執行の手続きなど、ここで紹介したこと全てです。これらは、自分でやることももちろん可能ですが、弁護士に依頼すれば手間や精神的な負担をおさえることができます。
また、弁護士から相手に連絡が行くと、こちらが本気で請求しようとしていることが相手に伝わり、支払いに応じてくれる可能性が高まるかもしれません。
養育費を確実に払ってもらうためにできること
大前提として、離婚時に養育費について具体的に取り決めをしておくことが重要です。養育費の金額や支払時期・方法などを定めないまま離婚をした場合、法的な手段を用いて取り立てを行うためにはまず調停を申し立てて、調停で額を話し合う必要があります。
そして、取り決めは文書にして残しておくことも非常に重要です。
家庭裁判所にて調停・審判や裁判を行った場合、調停調書や審判書、判決書などといった法的な効力を持つ書面が作成されます。これがあると、養育費の取り決めが守られなかった際にすぐに履行勧告や強制執行を申し出ることができます。
しかし、当事者同士の話し合いで養育費についての取り決めを行った場合、強制執行認諾文言付き公正証書を作成していない限りは、強制執行を行うためには調停・審判または裁判を起こす必要があります。
履行勧告 | 強制執行 | |
---|---|---|
口約束 | × | × |
離婚協議書(合意書) | × | × |
公正証書 (強制執行認諾文言付き) | × | 〇 |
調停調書・審判書・判決書 | 〇 | 〇 |
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
相手と会いたくない、話し合いたくない場合でも、養育費の請求を諦める必要はありません。