離婚における財産分与と慰謝料の違い|それぞれ請求できる?

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離婚の財産分与と慰謝料の関係

「財産分与と慰謝料ってどこが違うんだろう?」

「両方とも請求することはできないの?」

離婚の財産分与と慰謝料は、目的や請求できる条件、請求できる人が違います。

しかし、慰謝料と財産分与は全く無関係ではありません。慰謝料を財産分与に含めて請求したり、慰謝料と財産分与を相殺することもできます。

本記事では、慰謝料と財産分与の違いと関係、それぞれの金額の相場について詳しく解説していきます。

離婚の際の財産分与と慰謝料の違い・関係

離婚の財産分与と慰謝料の違いは目的や金額、請求者

財産分与と慰謝料は、どちらも離婚時に金銭を請求できる権利ですが、請求できる条件・請求できる者・請求期間などに違いがあります。

財産分与は、婚姻期間中に夫婦が築いた財産を原則として2分の1ずつ分ける権利です。離婚の原因が誰にあるかに関わらず請求できます。

一方、慰謝料は、相手の不法行為(不倫やDVなど)によって受けた精神的苦痛に対する賠償であり、離婚原因が相手にある場合に限って請求できます。必ず請求できるわけではない点が財産分与と大きく異なります。

請求できる人についても違いがあり、財産分与は夫婦どちらからでも請求できますが、慰謝料は不法行為をされた配偶者のみが請求できます。

請求できる期間は、財産分与が離婚後5年以内に家庭裁判所への申立てが必要(2026年4月1日以降に離婚した場合)であるのに対して、慰謝料は通常、離婚後3年が時効期間となっています。なお、2026年3月31日以前に離婚した場合の財産分与の請求期間は、従来通り離婚後2年以内です。

財産分与と慰謝料の違いまとめ

財産分与慰謝料
内容共有財産の公平な分配精神的苦痛の賠償
請求できる人夫婦どちらからでも不法行為をされた側
請求できる金額原則、共有財産の2分の1離婚原因による
(50〜500万円程度)
請求できる期間離婚後5年間※離婚後3年間
お互いの関係慰謝料と別に請求できる財産分与に含めることもある

※2026年4月1日以降に離婚した場合。2026年3月31日以前に離婚した場合は離婚後2年間。

離婚の財産分与と慰謝料はそれぞれ請求できる関係

財産分与と慰謝料は目的が異なる別個の請求権なので、それぞれ別々に請求することも、同時に請求することも可能です。

不倫やDVなどの不法行為が原因で離婚する場合は、慰謝料に加えて財産分与を請求し、夫婦の共有財産を分けることができます。

ただし、実際の離婚では双方をまとめて話し合うケースが多く、あえて財産分与と慰謝料を分けず、「慰謝料的財産分与」として慰謝料を財産分与に含めて金額を調整する方法も採られます。たとえば、家や車を売却せずにそのまま使い続けたい場合、慰謝料をお金ではなく財産分与という形で家や車を受け取る方法が選択されることがあります。

慰謝料的財産分与を行った場合、慰謝料はすでに財産分与の中に含まれているとみなされるため、改めて別途で慰謝料を請求することは原則としてできません。この点には注意が必要です。

また、慰謝料という名目でやり取りをすると、支払う側に離婚原因があることが明確になってしまいます。そのため、財産分与と慰謝料をあえて分けずに「解決金」という名目で金銭を受け取るケースもあります。

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離婚の財産分与と慰謝料は相殺できる

慰謝料と財産分与は、条件を満たせば相殺できます。相殺とは、互いに持つ債権・債務を対等な額で帳消しにすることです。

ただし、不貞行為などの不法行為に基づく慰謝料の場合、加害者側からの一方的な相殺は法律上制限されています。たとえば夫が浮気をした場合、「財産分与の取り分を慰謝料ぶん減らすので、慰謝料の支払いはそれで終わり」と夫側から主張することは認められません。

一方、有責配偶者でない妻の方から相殺を申し出ることは可能です。離婚時に現金がなく「後からきちんと支払ってもらえるか不安」というケースでは、財産分与と相殺してまとめて処理してしまう方が安心でしょう。

離婚で財産分与も慰謝料もないケースはある?

離婚で財産分与が認められないケース

財産分与は離婚の原因に関わらず請求でき、原則として相手も拒否できません。ただし、財産の形成に対する貢献度や双方の経済状況によっては、分与額が減額されることがあります。

また、財産分与の対象となるのは婚姻中に夫婦が共に築いた共有財産のみです。一方の配偶者が独自に所有する特有財産(結婚前から持っていた財産や、相続・贈与によって取得した財産など)は対象に含まれません。

さらに、財産分与の請求は離婚後5年以内(2026年4月1日以降に離婚した場合)に家庭裁判所へ調停・審判を申し立てなければ、審判申立てができなくなります。なお、2026年3月31日以前に離婚した場合は、従来通り離婚後2年以内が請求期限です。

離婚で慰謝料請求が認められないケース

慰謝料は、精神的苦痛に対する賠償として、浮気やDVなどの不法行為を行った配偶者に請求できます。

ただし、夫婦双方に離婚原因がある場合や、不法行為があった時点ですでに夫婦関係が破綻していたと認められる場合には、慰謝料請求が認められないことがあります。

また、財産分与の中に慰謝料的な要素が十分に含まれている(慰謝料的財産分与)と判断される場合も、改めて別途慰謝料を請求することは難しくなります。

なお、慰謝料は離婚後3年を過ぎると時効によって請求できなくなる可能性があるため、請求を検討している場合は早めに動くことが大切です。

財産分与とは?

財産分与は夫婦共有財産の分割

財産分与とは、離婚の際に、婚姻中に夫婦が共に築いた財産を公平に分ける制度です。結婚中に購入した家や貯金、車などが対象となります。

財産分与のポイント

  • 離婚の原因に関係なく、夫婦どちらからでも請求できます
  • 専業主婦・主夫であっても、基本的には財産の半分の分与を受けられます

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財産分与には、①清算的財産分与、②扶養的財産分与、③慰謝料的財産分与という3つの性質があり、それぞれ目的が異なります。

清算的財産分与|夫婦の財産を公平に分配する

清算的財産分与は、婚姻中に夫婦が共に築いた財産を公平に分ける、最も一般的な財産分与です。

たとえば、結婚後に購入したマイホームは清算的財産分与の対象となります。誰がそのまま所有するのか、売却代金の何割を受け取るのかなどを話し合って決めることになります。

扶養的財産分与|離婚後の生活を守る

扶養的財産分与は、離婚によって一方が経済的に困窮してしまわないよう配慮するための財産分与です。

育児のために仕事を辞めて専業主婦になっている場合、突然離婚となると生活が立ち行かなくなるおそれがあります。そのような事態を防ぐために、収入が十分でない配偶者は扶養的財産分与を請求できます。

金額は、夫婦の収入・財産状況・離婚後の生活状況などを考慮して決められます。一般的には、新たな職を見つけ自立するまでの1年程度の生活費が認定されることが多いとされています。

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慰謝料的財産分与|離婚による精神的苦痛を金銭で解決する

慰謝料的財産分与とは、離婚によって受けた精神的苦痛に対する慰謝料を、財産分与の中に含めて請求するものです。

本来、精神的苦痛に対しては財産分与とは別に「慰謝料」として金銭を求めることができます。ただし、両者を別々に請求するのが煩雑な場合もあるため、慰謝料も考慮した上で財産分与の金額をまとめて決めるという方法も一般的に用いられています。

財産分与の相場は2分の1が原則

財産分与の割合は原則として2分の1で、夫婦の共有財産の半分を受け取れます。ただし、夫婦間の話し合いで自由に分与額や方法を決めることも可能です。

協議がまとまらない場合は、家庭裁判所で財産分与調停や審判を申し立てることができます。家庭裁判所は、婚姻期間中に取得・維持した財産の額や双方の貢献度、婚姻期間、生活状況など、あらゆる事情を考慮して分与額を決定します。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

一方の財産形成への貢献度が極めて高いなどの特別な事情がある場合には、例外的に分与割合が変わることもあります。ただし、あくまで例外的なケースで、原則通り2分の1での分与となることがほとんどです。

慰謝料とは?

慰謝料とは?離婚による精神的苦痛の賠償金

慰謝料とは、配偶者の不法行為が原因で離婚せざるを得なくなった場合に、受けた精神的苦痛に対する賠償として支払われるお金です。

ただし、離婚すれば必ず請求できるわけではありません。浮気(不貞行為)やモラハラ、DVなど、相手に明確な不法行為があった場合に限って請求できます。

離婚原因によって変わる慰謝料の相場

慰謝料の金額は、まず夫婦間の話し合いで自由に決めることができます。合意に至らない場合は、離婚調停や離婚裁判を通じて、支払いの可否や具体的な金額を決めていくことになります。

金額は個別の事情によって大きく異なりますが、一般的な相場の目安は以下のとおりです。

離婚原因慰謝料の相場
不貞行為(浮気など)100万円〜500万円程度
悪意の遺棄・モラハラ50万円〜300万円程度
DV50万円〜500万円程度

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財産分与と慰謝料に関するよくある質問

Q.財産分与と慰謝料は同時に請求できる?

同時に請求できます。

財産分与は婚姻中に築いた財産を分ける権利で、離婚原因に関わらず請求可能です。慰謝料は、配偶者の不法行為によって受けた精神的苦痛への賠償金です。

両者は目的が異なる別個の権利であるため、不貞行為やDVなどが原因の離婚では、財産分与と慰謝料の両方を請求することが一般的です。

Q.慰謝料を財産分与に含めることはできる?

できます。これを「慰謝料的財産分与」といいます。たとえば、不貞行為に対する慰謝料を現金で受け取る代わりに、財産分与として自宅の取得割合を増やす方法が挙げられます。手元に現金がない場合や、財産をまとめて処理したい場合に有効な方法です。

ただし、財産分与に慰謝料を含めた場合、原則として別途慰謝料を請求することは難しくなります。後々のトラブルを防ぐためにも、合意内容は必ず書面に残し、どこまでが財産分与でどこからが慰謝料にあたるかを明確にしておくことが重要です。

Q.専業主婦でも財産分与は半分もらえる?

もらえます。財産分与は「夫婦の協力によって築いた財産」を分けるものです。専業主婦として家事・育児を担うことも財産形成への貢献として認められるため、原則として2分の1の割合で分与を受けられます。収入がないことを理由に減額されることは基本的にありません。

財産分与と慰謝料請求は弁護士に相談

慰謝料と財産分与は、それぞれ別の請求ではありますが、まったく無関係というわけではありません。

離婚の原因や夫婦の経済状況、婚姻生活中の状況によって金額は大きく変動します。

また、慰謝料を財産分与に含めて請求できたり、慰謝料と財産分与を相殺できることもあるため、交渉によっては自分に有利な金額で合意できることもあります。

離婚後の生活にもかかわる、大事なお金の話ですから、損をしないためにもまずは専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律税務グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了