更年期障害が原因で離婚を考える前に知っておきたい6つのこと

50代に差しかかる頃、心や体のバランスが大きく揺らぐ更年期。ほんの些細なことにイライラしたり、理由もなく気分が沈んだりと、自分自身をコントロールできずに戸惑っている方は少なくありません。
その一方で、夫からの理解が得られず、日々のすれ違いや怒り・疲労が積み重なり、「もう一緒に暮らすのは限界かも…」と離婚が頭をよぎっている方もいるのではないでしょうか。
この記事では更年期障害と夫婦関係への影響について、冷静に見つめ直し、離婚という選択を後悔しないようにするためのヒントをお伝えします。
目次
更年期障害とは?40~50代女性の心身の変化
更年期障害とは?
更年期とは、女性の卵巣機能が低下し、ホルモンバランスが大きく変化する時期のことをいいます。日本人の閉経の平均年齢は約50歳で、この前後10年間(45~55歳程度)が更年期にあたります。
多くの女性が、更年期に心身の不調を経験します。このような更年期の不調により日常生活に支障を来す状態を、更年期障害と呼びます。
更年期障害の主な症状
更年期障害の代表的な症状には以下のようなものがあります。
更年期障害の症状
- ホットフラッシュ(突然のほてりや発汗)
- 疲労感や倦怠感
- 不眠や落ち込み
- イライラや怒りっぽさ
- 性欲の減退
- 集中力の低下
これらの変化は、ご本人の努力や性格とは無関係に起こる生理的な現象です。しかし自覚症状があっても他人には伝わりにくく、特に家族やパートナーに理解されないことが大きなストレスとなります。
「旦那の行動すべてにイライラする」
「身体がだるくて家事ができない」
「どうしても夫と性行為をしたくなくなった」
こういったお悩みをお持ちの方は、自分自身やパートナーを責める前に更年期障害を疑ってみてもよいかもしれません。
参考
更年期障害の夫婦関係への影響
更年期障害が夫婦関係に与える影響とは?
更年期障害の様々な症状は、夫婦関係にこのような影響を与える可能性があります。
- 妻が感情的になる理由を夫は理解できない
- 夫婦の会話が減少する
- お互いに「わかってもらえない」という不満が蓄積する
- 妻の体調不良で家事・育児に支障が出る
- 妻の不調を夫が「怠けている」と誤解する
- 妻の性欲低下・性交痛により性行為が減る
イライラや性の変化から、夫婦間にすれ違いが生じやすくなります。次第に夫婦間の会話やスキンシップが減り、相手への不満や孤独感が積み重なります。
その結果、関係が冷え込み、離婚や別居に発展することもあります。
更年期障害が離婚に繋がるパターン
更年期障害から夫婦関係が悪化して、離婚に繋がってしまう典型的なパターンを紹介します。
- 妻の感情の起伏に夫が「またヒステリーか」などの反応を取る
- 家事や仕事が思い通りにできないことに対し、夫が「甘えだ」と責める
- 妻が性行為に応じなくなった結果、夫が不倫した
- 義実家との関係悪化と更年期障害が重なった
更年期障害が離婚に繋がる背景には、妻の心身の不調に対する夫の無理解や共感不足が大きく影響しています。
更年期障害はホルモンバランスの変化によって引き起こされるものであり、本人にはどうにもできない部分が多くあります。しかし、実際に体験していない夫が共感するのは簡単なことではありません。
感情の起伏や体調の変化が「性格の問題」と誤解され、夫婦のすれ違いが深まることで、結果的に離婚という選択に至るケースが少なくありません。
更年期障害で離婚を決断する前に考えるべきこと
一過性の関係悪化ではないか?
更年期に感じる不安や夫への怒りは、一時的な感情である可能性があります。
更年期を過ぎたときに「夫のことが嫌いになったわけではなく更年期障害だった」「やっぱり離婚すべきではなかった」と後悔することのないよう、離婚を決断する前に一度立ち止まって考えてみてください。周りの人や専門家に相談するのもよいでしょう。
離婚を決断する前に試したい対処法
- 症状や悩みを正直に共有し、夫に協力を求める
- 婦人科や心療内科など医療機関での治療
- サプリメントや食事、適度な運動など生活習慣の改善
- カウンセラーや心理士に相談する
- 一度別居してみる
更年期障害は病院で治療することが可能です。更年期障害を疑ったら、まずは病院を受診して治療を受けることで症状が緩和され、夫婦関係の改善につながる可能性があります。
その他、カウンセリングや話し合いを通じて更年期障害の症状への理解を促したり、一度別居してみて冷静に夫婦関係を見つめなおすという方法もあります。
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それでも離婚を選ぶ場合の注意点
どうしても共に過ごす未来が見えず、心身を壊してしまうような状況であれば、離婚という選択肢も決して否定されるものではありません。ただし、熟年離婚には以下のようなリスクがあります。
- 離婚後に経済的に苦しくなる
- 子どもや親族と疎遠になり、いざというときに頼れない
- 離婚時に財産分与や年金分割で揉める
- 1人になってみると寂しい
特に、長年専業主婦やパート勤務をしてきた方が、離婚後すぐに経済的に自立するのは簡単ではありません。そのため、離婚時に財産分与や年金分割についてしっかりと取り決めておくことが重要です。
熟年離婚の場合、財産分与の額も大きくなるため、その金額をめぐって揉めるケースが多くみられます。
更年期障害の症状を抱えながら離婚の準備をしたり話し合いに臨むのは難しいことです。熟年離婚に不安がある場合は、弁護士に相談しましょう。
女性の熟年離婚を成功させるために必要な準備については『熟年離婚したい!必要な準備を徹底解説』をご覧ください。
まとめ
更年期障害は夫の無理解により夫婦のすれ違いを深刻化させ、離婚の危機を招く可能性があります。
しかし、更年期に感じる夫への怒りは一時的な感情変化である場合が多く、症状が落ち着いた際に「離婚すべきではなかった」と後悔するケースも少なくありません。
更年期障害で離婚を検討する際は、まず医療機関での治療やカウンセリングを試し、どうしても離婚を選ぶ場合は弁護士などの専門家に相談することが大切です。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了