交通事故の見舞金の相場は?受け取って損しないためのポイント

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交通事故の見舞金

交通事故に遭うと、加害者側が見舞金の支払いを申し出てくることがあります。

しかし、安易に見舞金を受け取ると、そのことが原因で損害賠償金に悪影響が出たり、加害者の刑事罰が軽減されたりして、結果的に加害者側に都合の良い状況になるおそれがあります。

もちろん見舞金を受け取ってはいけないわけではありませんが、受け取るかどうかは、いくつかの点に注意して検討すべきです。

本記事ではその注意点について説明しているので、詳しく確認していきましょう。

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交通事故の見舞金の種類

加害者からの見舞金

交通事故で加害者から支払われる見舞金とは、加害者が被害者に対し、謝罪の気持ちや誠意を示すために支払うお金です。

見舞金の支払いは法的な義務ではありませんが、社会通念上、加害者が被害者に対して支払うべきものとされています。

見舞金は現金で支払われることもありますが、現金の代わりに果物や花などの品物が贈られることもあります。

見舞金は、交通事故後の早い段階で加害者がお見舞いに来た際、渡されることが多いです。トラブルを避けるため、加害側の保険担当者も付き添ってくる場合があります。

注意

加害者側がお見舞いに来た際、その場の雰囲気によっては気が緩み、「こちらも悪かった」「そこまでひどいケガではなかった」などと言ってしまうことがあります。

しかし、こうしたお見舞い時の発言により、のちの示談交渉で不利になってしまう可能性があります。

特に加害者側の保険担当者が付き添ってきた場合は、慎重に発言するようにしましょう。

自分が加入している保険会社からの見舞金

交通事故では、任意保険の1つである「搭乗者傷害保険」の保険金を見舞金と呼ぶことがあります。

これは、被保険車に搭乗中(運転中・同乗中)に交通事故に遭って死傷をした場合に、契約内容で定められた所定の金額が支払われる保険です。

搭乗者傷害保険は、自損事故でも支払いを受けられます。

交通事故後、保険金請求の手続きをすると支払われます。

その他の見舞金

交通事故の見舞金とは、上記2つのいずれかを意味する場合が多いですが、下記のような見舞金の給付が受けられるケースもあります。

交通安全協会からの見舞金

交通安全協会の会員が交通事故に遭った場合、交通安全協会から見舞金が支給されることがあります。

詳しくは、警察署内にある最寄りの各地区交通安全協会までお問い合わせいただく必要がありますが、本記事では、茨城県交通安全協会を例に解説いたします。

茨城県交通安全協会では、会員が交通事故により30日以上の継続入院治療を必要とするけがをした場合には5万円の入院見舞金を、30日以内に死亡した場合には遺族の方に対し10万円の死亡弔慰金を支給しています。

申請の際には、請求書のほかに、交通事故証明書(自動車安全運転センターで発行してもらえます)や医師による死亡診断書や30日以上入院していたことを証明できる診断書などの添付書類の提出が必要となります。

ただし、下記のいずれかに該当する場合は、対象外として見舞金が支払われません。

  • 歩行中又は自転車運転中による交通事故
  • 交通事故発生時にシートベルトまたはヘルメットを装着していなかった
  • 故意によるもの
  • 自殺行為又は犯罪行為によるもの
  • 飲酒運転、無免許運転、過労運転又は覚せい剤等、薬物が影響する運転による交通事故
  • 自動車等の競技、競争、興行、訓練又は試運転中によるもの
  • 地震、津波等自然災害が起因するもの
  • 請求期限である交通事故発生から起算して1年を経過してから申請したもの

交通災害共済からの見舞金

交通事故を含む交通災害に特化した共済の会員が交通事故に遭った場合、共済から見舞金を支給されることがあります。

本記事では、東京都の39市町村が共同で運営する公的な交通災害共済である「ちょこっと共済」を例に解説します。

共済からの見舞金は、各共済が支払い要件と金額などを決めており、「ちょこっと共済」の場合は、災害等級を定めており、その等級に応じた見舞金が支払われます。

詳しくは下表のとおりです。

等級交通災害の程度金額※
1級死亡150万円
2級重度の後遺障害100万円
3級入院日数30日以上17万円
4級・入院日数10日以上30日未満
・実治療日数30日以上
7万円
5級実治療日数10日以上30日未満4万円
6級実治療日数10日未満2万円

※会費が年額500円のコースの場合

加害者からの見舞金の相場と注意点

加害者からの見舞金の相場

加害者からの見舞金の金額がいくらかは明確な決まりはありません。一般的には、10万円~30万円程度が相場とされています。

事故状況や被害者の損害の程度、加害者の経済的事情によってはもっと高額な場合もあるでしょう。

ただし、加害者側から見舞金を受け取ることにはリスクもあり、金額が高ければその分リスクも大きくなりがちです。

次に見舞金を受け取るリスクを紹介するので、ご確認ください。

見舞金を受け取ると示談金が減額することがある

見舞金を受け取ると、その分損害賠償金(示談金)が減額することがあります。

見舞金は本来損害賠償とは別物であり、支払われる損害額(示談額)に影響を与えないのが原則です。

しかし、加害者側が「損害賠償金の前払い」のつもりで見舞金を支払っていた場合は、その分の金額が最終的な損害賠償金から差し引かれるおそれがあります。

また、損害の程度に対して過度に高額な見舞金も、「見舞金の域を超えている」と認定されて損害賠償金と相殺される可能性があります。

見舞金を受け取ると加害者の刑が減軽されることがある

人身事故の場合、加害者は起訴されれば刑事罰を受けます。

しかし、その前に被害者が加害者から見舞金を受け取っていると、「加害者はすでに一定の謝罪をしており、被害者もそれを受け入れている」と判断されることがあります。

この結果、不起訴になったり刑事罰が軽くなったりする可能性があるのです。

高額すぎる見舞金は贈与税の対象になることがある

交通事故において加害者側から支払われる見舞金は、原則として非課税です。しかし、損害の内容と照らし合わせて過剰に高額な見舞金には、贈与税がかかる可能性があります。

具体的にどれくらいの金額から贈与税がかかるのかはケースによりけりなので、事前に弁護士に確認をとっておくと安心です。

加害者が見舞金を申し出てきた際の適切な対応方法

加害者が見舞金を申し出てきた場合、加害者に対する処罰感情が強く、加害者の刑事責任を軽減させる形にしたくない場合には、受け取りを拒否すべきでしょう。

見舞金を受け取る場合は、それが損害賠償金とは別物であることをしっかり確認することが大切です。

見舞金と損害賠償金は関係ないということを明確に書面で残しておくと安心でしょう。

具体的には、加害者に対して領収書を交付する際、その旨を付記した上で写しを保存しておく方法などが考えられます。

また、見舞金の支払い時の流れで示談に関する話をされても、正式に示談交渉が始まるまでは応じないようにしましょう。

見舞金の不安は弁護士に相談

加害者側からの見舞金は社会通念上珍しいものではありませんが、場合によっては損害賠償金や刑事裁判、納税などに影響する可能性があります。

見舞金を受け取ってかえって損をした、面倒な手間が増えたということのないよう、どれくらいの見舞金なら受け取っても良いのかなど弁護士に相談しておくことがおすすめです。

アトム法律相談所では電話・LINEにて無料相談を実施しています。無料相談のみのご利用も可能なので、ぜひご活用ください。

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保険会社からの見舞金の相場と注意点

保険会社からの見舞金の相場

保険会社からの見舞金(搭乗者傷害保険金)の金額は、日額方式または部位症状別払で決まります。

  • 日額方式:「保険加入時に定めた日額✕入通院日数」の計算方法で算出した金額が支払われる
  • 部位症状別払:事故によりケガした部位や症状によって定額の金額が支払われる

なお、日額方式での保険金の支払い対象となるのは、基本的に事故発生日を含め180日以内に入通院した場合のみです。

部位症状別払は、たとえば「おとなの自動車保険の搭乗者傷害特約」では、治療(入通院)が4日以下の場合は一律で1万円が、5日以上の場合は下表のとおり部位症状に応じた金額が支払われます。

部位症状金額
打撲など10万円
骨折や靭帯断裂など30万円
上肢や下肢の切断、眼球や胸腹部臓器の破裂など50万円
脳損傷、頭蓋内出血、頸髄損傷、脊髄損傷など100万円

保険会社からの見舞金は賠償金に影響しない

保険会社からの見舞金はあくまでも保険金の1つであって、損害の補填という趣旨で支払われるものではありません。

よって、保険会社から見舞金を受け取ったからといって損害賠償金が減らされたり、加害者の刑事罰が軽くなったりすることはありません。

示談前にお金を得る方法は見舞金以外にもある

自賠責保険への被害者請求

被害者請求とは、加害者側の自賠責保険会社に直接損害賠償金を請求することです。

交通事故の損害賠償金は、多くの場合加害者側の自賠責保険と加害者側の任意保険から支払われます。

通常は示談成立後に加害者側の任意保険会社からすべてまとめて支払われます。しかし、被害者請求をすれば自賠責保険の支払い分のみ、示談成立前に受け取れるのです。

任意の自動車保険と自賠責保険の関係

※加害者が任意保険未加入の場合、任意保険分は加害者本人が支払う

ただし、自賠責保険金には、傷害・後遺障害・死亡による損害の3つそれぞれに支払限度額があるので、その点には注意が必要です。

自賠責保険への被害者請求については『自賠責保険への被害者請求とは?やり方やデメリット、すべきケースを解説』の記事も参考になります。

自賠責保険への仮渡金請求

仮渡金制度とは、自賠責保険から総損害額が確定する前の段階で、損害賠償金の一部を支払ってもらう制度のことをいいます。

仮渡金請求をすると、けがの程度に応じた金額が損害賠償金の前払いとして支払われます。

仮渡金の金額は、けがの程度ごとに5万円、20万円、40万円と設定されており、死亡事故の場合は290万円です。

ただし、仮渡金として受け取った分の金額が実際の損害賠償金よりも高くなった場合は、差額分を返金しなければなりません。

任意保険への内払い金請求

内払い金請求とは、損害賠償金の一部を示談成立前に支払ってもらえるよう、加害者側の任意保険会社に請求することです。

特に休業損害のように早く支払ってもらわなければ困る費目は、内払いしてもらえる傾向にあります。

ただし、内払いしてもらえるかは加害者側の任意保険会社の判断や被害者側による交渉次第です。

請求しても内払い金を支払ってもらえるとは限りません。

内払いや仮渡金については『内払い金・仮渡金を解説|交通事故の慰謝料を示談前に受け取る方法』でさらに詳しく解説しています。

見舞金や示談前のお金にお困りなら弁護士に相談を

弁護士に相談するメリット

見舞金を受け取るべきか迷ったり、示談成立前にまとまったお金が必要で困ったりした場合は、弁護士にご相談ください。

見舞金を受け取る際の注意点や示談成立前にまとまったお金を受け取る方法についてのアドバイスを致します。

被害者自身の判断で見舞金を受け取ると、その後の示談交渉などに悪影響が出るおそれがあります。

また、示談成立前にまとまったお金を受け取る方法は複数あるため、どの方法がもっとも良いのか、必要な金額や状況に応じて判断する必要があるでしょう。

お困りの場合はぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士費用の負担は減らせる

弁護士に相談・依頼するには費用がかかりますが、以下の方法を使えば費用負担を減らせます。

  • 相談料・着手金が無料の事務所に相談・依頼する
  • 弁護士費用特約を使う

弁護士費用特約とは、弁護士費用を自身の保険会社に負担してもらえる特約です。

ご自身の保険やご家族の保険などに付帯していないか確認してみてください。

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ご依頼まで進んだ場合は、弁護士費用特約を使うか、原則着手金無料でのご依頼が可能です。

ぜひお気軽にご相談ください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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