交通事故の見舞金の相場は?受け取って損しないためのポイント
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交通事故の見舞金とは、事故の相手方や保険などから、損害賠償や慰謝料とは別に支払われるお金を指します。
加害者からの見舞金は、お見舞いの気持ちを表したものですが、受け取り方によっては示談金が減額されたり、不利に扱われたりするおそれがあります。
一方で、保険会社から支払われる見舞金は、実際には保険金として支払われるもので、基本的には安心して受け取ることができます。
この記事では、交通事故の見舞金について、種類ごとの相場や受け取る際のリスク、損をしないための判断ポイントをわかりやすく解説します。
「見舞金を受け取っていいのか迷っている方」が、どう対応すべきか判断できる内容になっていますので、ぜひご確認ください。
目次
交通事故の見舞金とは?慰謝料とは別物
見舞金とは一般的に、加害者から被害者に対して見舞いの気持ちを儀礼的に表すために任意で支払われるお金のことで、慰謝料とは異なります。
慰謝料とは、事故による精神的苦痛に対して支払われる法的に認められた賠償金の一部です。
見舞金と慰謝料の違い
| 項目 | 見舞金 | 慰謝料 |
|---|---|---|
| 意味 | 任意のお見舞金 | 精神的苦痛の賠償金 |
| 請求権 | なし | あり |
| 金額 | 任意 | 基準に沿って算定 |
| 示談への影響 | 減額の可能性あり | 示談金の一部として計算 |
一般的な見舞金は加害者から任意で支払われるため、受け取るかどうかは被害者の判断です。対して、慰謝料は被害者に請求権がある賠償金となります。
交通事故における見舞金と慰謝料はよく混同されますが、両者の違いを理解することが、損せず示談交渉を進めるポイントになります。
交通事故の見舞金の種類・相場
交通事故の見舞金は、誰から・どの名目でもらうかによって金額の目安や扱いが異なります。
ここでは、代表的な見舞金の種類ごとに、相場と注意点を確認していきましょう。
(1)加害者からの見舞金
加害者からの見舞金とは、交通事故の被害者に対し、謝罪の気持ちや誠意を示す目的で支払うお金です。
見舞金の支払いは法的な義務ではありませんが、社会通念上、加害者が被害者に対して支払うべきものとされています。
加害者からの見舞金は、事故後の比較的早い段階で、加害者がお見舞いに訪れた際に渡されることが多く、現金のほか、果物や花などの品物が贈られる場合もあります。
なお、トラブルを避けるため、加害者側の保険担当者が同席するケースもあります。
加害者からの見舞金の相場
加害者からの見舞金の金額は、事故によるケガの程度や入通院の有無などによって大きく異なります。
明確な決まりはありませんが、一般的には10万円〜30万円程度がひとつの目安とされています。
- 低めになりやすいケース
軽いケガで通院期間が短い場合や、事故の影響が比較的軽微な場合 - 高めになりやすいケース
入院を伴うケガを負った場合や、後遺障害が残る可能性がある場合
ただし、加害者から高額な見舞金を受け取ると、示談金との関係で不利に扱われるおそれもあります。見舞金の金額が高くなるほど、注意が必要です。
注意
加害者側がお見舞いに来た際、その場の雰囲気によっては気が緩み、「こちらも悪かった」「そこまでひどいケガではなかった」などと言ってしまうことがあります。
しかし、こうしたお見舞い時の発言により、のちの示談交渉で不利になってしまう可能性があります。
特に加害者側の保険担当者が付き添ってきた場合は、慎重に発言するようにしましょう。
見舞金を受け取るかどうかも含め、対応に迷う場合は、その場で結論を出さず、後から判断するようにしましょう。
(2)自分が加入している保険会社からの見舞金
交通事故では、自分が加入している自動車保険から支払われる保険金を、見舞金と呼ぶことがあります。
代表的なものが、任意保険の「搭乗者傷害保険」です。
搭乗者傷害保険は、被保険車に搭乗中(運転中・同乗中)に交通事故に遭い、ケガや死亡をした場合に、契約内容で定められた金額が支払われる保険です。
相手がいる事故だけでなく、自損事故でも支払い対象になる点が特徴です。
保険金は、交通事故後に所定の請求手続きを行うことで支払われます。
保険会社からの見舞金の相場
保険会社からの見舞金(搭乗者傷害保険金)の金額は、加入している保険の契約内容によってあらかじめ決められています。
一般的には、数万円〜数十万円程度がひとつの目安となります。
具体的な金額は、日額方式または部位症状別払で決まります。
- 日額方式:「保険加入時に定めた日額✕入通院日数」の計算方法で算出した金額が支払われる
- 部位症状別払:事故によりケガした部位や症状によって定額の金額が支払われる
日額方式での保険金の支払い対象となるのは、基本的に事故発生日を含め180日以内に入通院した場合のみです。
部位症状別払は、たとえば「おとなの自動車保険の搭乗者傷害特約」では、治療(入通院)が4日以下の場合は一律で1万円が、5日以上の場合は下表のとおり部位症状に応じて5万~100万円が支払われます。
| 金額 | |
|---|---|
| 治療(入通院)4日以下 | 一律1万円 |
| 打撲など※ | 10万円 |
| 骨折や靭帯断裂など※ | 30万円 |
| 上肢や下肢の切断、眼球や胸腹部臓器の破裂など※ | 50万円 |
| 脳損傷、頭蓋内出血、頸髄損傷、脊髄損傷など※ | 100万円 |
※治療(入通院)5日以上
保険会社の見舞金は基本的に安心して受け取れる
保険会社から支払われる見舞金は、損害賠償とは別枠の保険金です。
そのため、原則として、加害者側との示談金が減額されるといった不利益につながることはありません。
ただし、加入している保険の内容を把握していないと、請求できる保険金を受け取り損ねてしまうこともあります。
事故後は、自動車保険の契約内容を一度確認しておくことが大切です。
(3)その他の見舞金
交通事故の見舞金は、加害者や保険会社から支払われるもの以外にも、加入している団体や制度によって給付を受けられる場合があります。
ここでは、代表的なものとして、交通安全協会と交通災害共済について解説します。
交通安全協会からの見舞金の相場
交通安全協会の会員が交通事故に遭った場合、交通安全協会から見舞金が支給されることがあります。
たとえば茨城県交通安全協会では、以下のような見舞金が支給されます。
- 会員が交通事故により30日以上の継続入院治療を必要とするけがをした:5万円の入院見舞金を支給
- 30日以内に死亡した:遺族の方に対し10万円の死亡弔慰金を支給
申請の際には、請求書のほかに、交通事故証明書(自動車安全運転センターで発行してもらえます)、医師による死亡診断書、30日以上入院していたことを証明できる診断書などの添付書類の提出が必要となります。
ただし、「歩行中又は自転車運転中による交通事故」、「交通事故発生時にシートベルトまたはヘルメットを装着していなかった」などの場合は、見舞金は支払われません。
詳しくは、警察署内にある最寄りの各地区交通安全協会までお問い合わせください。
交通災害共済からの見舞金の相場
交通災害共済は、交通事故によるケガや死亡に備えるための共済制度で、加入している場合には見舞金(共済金)を受け取れる可能性があります。
金額や支給条件は、各共済ごとに定められています。
たとえば東京都の39市町村が共同で運営する公的な交通災害共済である「ちょこっと共済」では、災害等級を定めており、その等級に応じて2万~150万円の見舞金が支払われます。
詳しくは下表のとおりです。
| 等級 | 交通災害の程度 | 金額※ |
|---|---|---|
| 1級 | 死亡 | 150万円 |
| 2級 | 重度の後遺障害 | 100万円 |
| 3級 | 入院日数30日以上 | 17万円 |
| 4級 | ・入院日数10日以上30日未満 ・実治療日数30日以上 | 7万円 |
| 5級 | 実治療日数10日以上30日未満 | 4万円 |
| 6級 | 実治療日数10日未満 | 2万円 |
※会費が年額500円のコースの場合
加害者から見舞金を受け取る際のリスクと損しない対応
加害者からの見舞金は、必ずしも受け取ってはいけないものではありません。
ただし、受け取り方によっては不利になる可能性があるため、あらかじめリスクと対応方法を知っておくことが大切です。
リスク(1)示談金が減額することがある
加害者からの見舞金を受け取ると、損害賠償金(示談金)が減額することがあります。
本来、見舞金は損害賠償とは別物であり、損害額(示談額)に影響を与えないのが原則です。
しかし、加害者側が見舞金を「損害賠償金の前払い」と考えて支払っていた場合や、ケガの程度に対して見舞金が過度に高額な場合には、最終的な損害賠償金から差し引かれるおそれがあります。
そのため、見舞金を受け取る場合は、損害賠償とは別に支払われたものであることを明確にしておくことが重要です。
リスク(2)加害者の刑が減軽されることがある
見舞金を受け取ることで、加害者の刑事責任が軽くなることがあります。
人身事故の場合、加害者は起訴されれば刑事罰を受ける可能性があります。
しかし、被害者が見舞金を受け取っている場合、「すでに一定の謝罪がなされ、被害者もこれを受け入れている」と評価され、不起訴になったり、刑が軽くなったりすることがあります。
加害者の刑事責任を軽減させたくないと考えている場合は、見舞金を受け取るかどうか慎重に判断する必要があります。
リスク(3)高額すぎる見舞金は贈与税の対象になることがある
損害の内容に比べて高額すぎる見舞金は、贈与税の対象となることがあります。
交通事故における見舞金は、原則として非課税です。
しかし、損害の内容と照らし合わせて過剰に高額な見舞金は贈与と判断され、課税される可能性があります。
どの程度の金額が問題になるかはケースごとに異なるため、高額な見舞金を提示された場合は、事前に専門家へ相談しておくと安心です。
【重要】加害者が見舞金を申し出てきた際の適切な対応方法
加害者が見舞金を申し出てきた場合、その場で結論を出す必要はありません。
受け取る場合には、見舞金が損害賠償金とは別であることを、口頭だけでなく書面で明確にしておくことが大切です。
たとえば、領収書を作成する際に「本見舞金は損害賠償金とは別である」旨を記載し、その写しを保管しておく方法があります。
また、見舞金のやり取りの中で示談に関する話が出ても、正式な示談交渉が始まるまでは応じないようにしましょう。
見舞金の不安は弁護士に相談
加害者側からの見舞金は社会通念上珍しいものではありませんが、示談金や刑事責任、税金に影響する可能性がある点には注意が必要です。
「受け取っても問題ない金額か」「どう対応すべきか」で迷った場合は、早めに弁護士へ相談しておくと安心です。
アトム法律相談所では電話・LINEにて無料相談を実施しています。無料相談のみのご利用も可能なので、ぜひご活用ください。
保険会社から見舞金を漏れなく受け取るための注意点
【前提】保険会社の見舞金は安心して受け取って良い
まず大前提として、ご自身やご家族が契約している保険会社から保険金として支払われる見舞金は、原則として安心して受け取って問題ありません。
保険会社から見舞金を受け取ったからといって、賠償交渉で不利になったり、加害者の刑事罰が軽くなったりすることはありません。
ただし、保険金には以下の2種類があります。
- 加害者への賠償金とは「別枠」で受け取れるもの(搭乗者傷害保険など)
- 最終的に賠償金と調整されるもの(人身傷害保険など)
事故直後は混乱しやすく、本来請求できる補償を見落としてしまうこともあります。
もらい漏れを防ぐためにも、契約内容を一度整理して確認しましょう。
注意点(1)契約内容(人身傷害・搭乗者傷害など)をよく見る
自動車保険(任意保険)では、特に次の2つの補償内容を確認しておくことが重要です。
- 人身傷害保険
事故による治療費や休業損害、慰謝料など、実際に生じた損害額を、過失割合にかかわらず保険金額の範囲内で補償する保険です。
この保険金は損害の填補にあたるため、最終的に加害者へ請求する賠償金と調整(損益相殺)されます。
ただし、示談成立前に治療費や当面の生活費を受け取れるという点では、大きなメリットがある保険といえます。 - 搭乗者傷害保険
入院日数やケガの程度などに応じて、あらかじめ決められた定額の保険金が支払われる保険です。(例:入院1日につき1万円、死亡・後遺障害で〇〇万円など)
これは損害の填補とはみなされず、原則として加害者からの賠償金から差し引かれることはありません。
人身傷害保険は損害の補填という点で、加害者からの損害賠償金と目的が同じです。そのため、損害賠償金との二重取りにならないよう、損益相殺されます。
一方、搭乗者傷害保険は損害の補填とは別物なので、損益相殺はされず、賠償金とは別枠で受け取れます。
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人身傷害補償特約は必要?いらない?補償内容や他の保険との違いとは
注意点(2)自動車保険以外も確認する
自動車保険以外にも、ご自身や家族が加入している保険から給付を受けられる場合があります。
- 生命保険:入院・手術特約など
- 医療保険:入院・通院給付金など
- その他:会社の団体保険、家族が契約する保険など
これらの保険から支払われる給付金は、多くの場合で定額給付として支払われ、加害者への賠償金とは別枠で受け取ることができます。
事故後は自動車保険に意識が集中しがちですが、他の保険を確認し忘れると、受け取れるはずのお金を取り逃すおそれがあります。
加入している保険を一度整理し、漏れなく確認しておきましょう。
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交通事故被害者が使える保険の種類と請求の流れ|自分の保険もチェック
交通事故の見舞金でよくある質問
Q.示談前にお金を得る方法は見舞金以外にもある?
あります。例えば、被害者請求、仮渡金請求、内払い金請求です。
自賠責保険への被害者請求
被害者請求とは、加害者側の自賠責保険会社に対して、被害者が直接損害賠償金を請求することです。
交通事故の損害賠償金は通常、示談成立後にまとめて支払われますが、被害者請求をすれば自賠責保険の支払い分のみ示談前に受け取れます。

※加害者が任意保険未加入の場合、任意保険分は加害者本人が支払う
ただし、自賠責保険金には、傷害・後遺障害・死亡による損害の3つそれぞれに支払限度額があるので、その点には注意が必要です。
自賠責保険への被害者請求については『交通事故の被害者請求|自賠責保険に請求するには?やり方とデメリット』の記事も参考になります。
自賠責保険への仮渡金請求
仮渡金は、損害額が確定する前に損害賠償金の一部を前払いしてもらう制度です。けがの程度に応じて5万円・20万円・40万円、死亡事故の場合は290万円が支払われます。
ただし、仮渡金として受け取った金額が、のちに確定する損害賠償金よりも高くなった場合は、差額分を返金しなければなりません。
任意保険への内払い金請求
内払い金請求とは、損害賠償金の一部を示談成立前に支払ってもらえるよう、加害者側の任意保険会社に請求することです。
特に休業損害のように早く支払ってもらわなければ困る費目は、内払いしてもらえる傾向にあります。
ただし、内払いしてもらえるかは加害者側の任意保険会社の判断や被害者側による交渉次第です。
内払いや仮渡金については『交通事故の慰謝料を先払いしてもらう方法|内払い・仮渡金などの条件を解説』でさらに詳しく解説しています。
Q.見舞金を受け取っても後遺障害など追加請求できる?
原則として可能です。
見舞金を受け取るだけなら、あとから後遺障害認定された場合でも、追加の補償を請求できます。
ただし、「示談書」などの書類にサインをしてしまうと、追加請求はできなくなるのが基本です。
たとえば、「見舞金を渡す代わりに、これで解決とする」といった内容の書類に署名してしまうと、後から重い後遺障害が判明しても、それについての請求ができなくなるおそれがあります。
お金を受け取るだけであれば問題ありませんが、書類への署名を求められた場合は、その場で応じず、必ず専門家に相談しましょう。
Q.加害者がお見舞いに来ないと慰謝料は増額する?
原則として増額はされません。
加害者がお見舞いに来ないという理由だけで、慰謝料が増額されることは通常ありません。
ただし、加害者の対応が著しく不誠実で、被害者に強い精神的苦痛を与えたと判断されれば、例外的に増額が認められる可能性もあります。
もっとも、加害者がお見舞いに来ない背景には、保険会社から直接の接触を控えるよう指示されているといった事情があることも少なくありません。
感情的に判断せず、状況を冷静に見極めることが大切です。
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見舞金や示談前のお金にお困りなら弁護士に相談を
弁護士に相談するメリット
見舞金を受け取るかどうかは、被害者自身で判断することも可能ですが、状況によっては後の示談交渉に影響が出るおそれがあります。
弁護士に相談することで、以下の点を適切に判断できます。
- 見舞金を受け取って問題ないケースかどうか
- 示談前にお金を受け取る場合、どの方法が適しているか
- 今後の示談交渉に支障が出ない対応方法
「今すぐ依頼するかは決めていない」という段階でも、判断材料を得る目的での相談は十分に意味があります。
弁護士費用の負担は減らせる
弁護士に相談・依頼するには費用がかかりますが、費用負担を抑える方法もあります。
たとえば以下の通りです。
- 相談料・着手金が無料の事務所に相談・依頼する
- 弁護士費用特約を使う
弁護士費用特約が付いていれば、上限額までの弁護士費用を保険会社に負担してもらえます。
ご自身の保険だけでなく、家族が加入している保険に付帯しているケースもあるため、一度確認してみるとよいでしょう。
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アトム法律事務所では、無料で電話・LINE相談を実施しています。
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「見舞金を受け取ってよいか判断したい」「示談前のお金について整理したい」といった段階でも、気軽にご相談ください。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
