交通事故と脳梗塞に因果関係はある?麻痺やしびれの後遺障害認定等級と慰謝料相場

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交通事故で脳梗塞

脳梗塞とは脳血管障害です。

脳の欠陥にプラークができて狭くなったり、血栓によって血管がつまったりすることが脳梗塞の直接的な原因とされています。脳梗塞によって血液は行き届かなくなり、脳細胞の一部が壊死して、脳の機能の一部が失われてしまうのです。

脳梗塞は交通事故でも起こりえるもので、時に重篤な後遺症が残る可能性があります。

本記事では、交通事故で脳梗塞が起きる原因や、脳梗塞によって残った症状で認定されうる後遺障害等級について解説していきます。

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交通事故で脳梗塞になる原因は?

脳梗塞を引き起こすきっかけ

交通事故で脳梗塞になる原因は、頭部損傷、頚椎損傷、高血圧などいくつかあります。

きっかけ理由
頭部外傷頭部への強い衝撃で脳の血管が損傷し、脳梗塞を引き起こす可能性がある
頸椎損傷頸椎損傷により脳への血流が減少し、脳梗塞を引き起こす可能性がある
高血圧交通事故で血圧が急上昇すると、脳梗塞を引き起こす可能性がある

交通事故と脳梗塞の因果関係は認められにくい?

交通事故による脳梗塞であると認定された事例もある一方で、交通事故と脳梗塞の因果関係は疑われやすいといわれています。

交通事故以外にも、個人の体質や健康状態に起因するものなど脳梗塞を引き起こす要因は多数あるからです。

しかし、交通事故では、脳梗塞を引き起こすきっかけといわれている頭部外傷や頸椎損傷は珍しくありませんし、事故にあった身体は興奮状態になり高血圧になる可能性もあります。

交通事故で脳梗塞になった場合の症状は?

脳梗塞が起こる部位によって異なる症状がみられます。具体的には、運動障害、感覚障害、構音障害・失語症などがあらわれるでしょう。

運動障害

運動障害の主な症状は以下の通りです。

  • 半身の麻痺(片麻痺)
  • 手足や指が動かしづらい
  • ろれつが回らない
  • 物を飲み込めない
  • ふらつき
  • めまい
麻痺の種類

脳の右側が脳梗塞状態になったら、左半身に麻痺が出るというように、その症状の表れ方は脳梗塞が起こった位置によるでしょう。

感覚障害

手足のしびれのほか、感覚の喪失が症状としてあげられます。感覚の喪失とは、温度を感じない、物が触れている感覚がないなどです。

構音障害や失語症

言葉を使うことや記憶、文字を解読することができなくなります。

また、ろれつがまわって言葉を発しにくくなったり、文字の意味が理解できない、書けないといった症状が出てくる可能性もあるでしょう。会話のキャッチボールが成立しなかったり、会話の内容は正確だけれど、舌や唇が麻痺してろれつがまわっていない言語障害といえます。

交通事故で脳梗塞になった場合の後遺障害等級認定は?

交通事故による脳梗塞では、高次脳機能障害、感覚障害、麻痺といった後遺症が残ってしまう場合があります。これらの後遺症は後遺障害等級を受けられる可能性があるものです。

それぞれの後遺障害等級と認定基準をみていきましょう。

脳梗塞による高次脳機能障害の後遺障害等級

交通事故による脳梗塞で高次脳機能障害が残ってしまった場合、認定される可能性がある後遺障害等級は、1級1号、2級1号、3級3号、5級2号、7級4号、9級10号、12級13号、14級9号です。

等級認定基準
1級1号
(要介護)
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級1号
(要介護)
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3級3号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5級2号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級4号神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
9級10号神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

高次脳機能障害の症状としては、記憶障害、失認症、注意障害、遂行機能障害、言語障害、失行症、半側空間無視、社会行動障害などがあげられます。介護を必要とする後遺障害1級や2級に該当する可能性もある、極めて重い後遺症です。

症状の中には「怒りっぽくなった」「以前出来ていたことが急にできなくなった」など、職場復帰や日常生活を送るうえで顕在化して初めて気づかれるものもあります。

高次脳機能障害のより具体的な症状や、高次脳機能障害で認定される可能性がある等級ごとの認定要件については、関連記事『高次脳機能障害で後遺障害等級認定される後遺症とは?記憶障害や性格の変化は?』をご覧ください。

脳梗塞による感覚障害の後遺障害等級

脳梗塞で感覚障害が残った場合、後遺障害12級13号または14級9号認定を受けられる可能性があります。

等級認定基準
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

感覚障害とは、熱さや冷たさ、痛みやしびれなどの感覚を感じにくくなる後遺症のことです。

後遺障害12級13号と14級9号のさらに具体的な違いについては、関連記事『後遺障害14級9号とは?12級13号との違い、認定されないときの対処』がおすすめです。

脳梗塞による麻痺の後遺障害等級

脳梗塞で麻痺が残った場合、後遺障害要介護1級1号、要介護2級1号、3級3号、5級2号、7級4号、9級10号、12級13号認定を受けられる可能性があります。後遺障害等級の分かれ目は、麻痺の程度や範囲などが関係しており、脳梗塞が起こった部位によって等級認定の結果は大きく変わる見込みです。

等級程度範囲
1級1号高度四肢麻痺
1級1号高度片麻痺(※1)
1級1号中等度四肢麻痺(※1)
2級1号高度片麻痺
2級1号中等度四肢麻痺(※2)
3級3号中等度四肢麻痺
5級2号高度単麻痺
5級2号中等度片麻痺
5級2号軽度四肢麻痺
7級4号中等度単麻痺
7級4号軽度片麻痺
9級10号軽度単麻痺
12級13号軽微な麻痺軽微な麻痺

※1:食事・入浴などに常時介護を要する
※2:食事・入浴などに随時介護を要する

麻痺の程度は、高度、中等度、軽度の3段階の状態に大別されます。

  • 高度:障害部位の運動性・支持性がほぼ失われ、基本動作ができない状態
  • 中等度:障害部位の運動性・支持性が相当程度失われ、基本動作にかなりの制限がある状態
  • 軽度:障害部位の運動性・持続性が多少失われ、基本動作に制限がある

麻痺の状態をどのように審査されるのかで、後遺障害等級認定の結果は大きく変わります。

麻痺については、関連記事『交通事故の麻痺と後遺障害|全身麻痺(四肢麻痺)や下半身麻痺になったら』でも深掘り解説していますので、あわせてご覧ください。

交通事故で脳梗塞になった場合の慰謝料は?

交通事故による脳梗塞が比較的軽度であった場合、慰謝料は100万円から200万円程度となる場合もあります。これは短期間の入院と通院のみで完治した場合を想定した金額です。

しかし、交通事故の慰謝料の計算方法からみて、同じ診断名であっても慰謝料の金額はさまざまといえます。なぜなら、交通事故の慰謝料は治療期間の長さや後遺障害の有無が関わるためです。

ここからは交通事故で脳梗塞になった場合の慰謝料について、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の2つを解説します。

脳梗塞になった場合の入通院慰謝料

弁護士が入通院慰謝料を算定するときには、治療期間をベースにして、慰謝料の算定表を用います。

重傷の慰謝料算定表
重傷の慰謝料算定表

慰謝料算定表は横軸の入院期間と縦軸の通院期間の交差する部分を慰謝料の相場額とします。

たとえば、脳梗塞で2ヶ月入院・8ヶ月通院した場合の慰謝料相場は194万円です。この慰謝料算定表の金額は、裁判所でも認められている法的に正当なものですが、相手の任意保険会社はなかなか支払ってくれません。

あくまで自社基準での慰謝料提示をしてきますので、弁護士を立てることで毅然とした態度で対応しましょう。

脳梗塞になった場合の後遺障害慰謝料

脳梗塞による症状が後遺障害認定された場合、後遺障害慰謝料の請求が可能です。

後遺障害等級に応じて下記の通りの金額が相場となっており、最も重い1級で後遺障害慰謝料は高く、比較的軽いとされる14級では最も低くなっています。

等級 弁護士基準(万円)
1級・要介護2,800
2級・要介護2,370
1級2,800
2級2,370
3級1,990
4級1,670
5級1,400
6級1,180
7級1,000
8級830
9級690
10級550
11級420
12級290
13級180
14級110

もっとも、弁護士基準での後遺障害慰謝料は相手の任意保険会社との増額交渉で請求していかなくてはなりません。弁護士基準は裁判基準ともよばれる正当なものですが、被害者側から交渉しないと認めてもらえません。

交通事故で脳梗塞になった場合の逸失利益は?

脳梗塞の逸失利益はこうやって計算する

逸失利益とは、交通事故によって失われた将来の収入に対する損害賠償です。

逸失利益とは、交通事故によって失われた将来の収入に対する損害賠償金のこと

後遺障害の認定を受けた場合に請求できる逸失利益は、以下の計算式で計算できます。

後遺障害逸失利益の計算式

1年あたりの基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

逸失利益の計算式に用いる各要素の具体的な解説や金額早見表は、こちらの関連記事『【逸失利益の計算】職業別の計算例や早見表・計算機つき』で確認できます。あわせてご覧ください。

脳梗塞による逸失利益を請求する際の注意点

交通事故による脳梗塞で逸失利益を請求する際には、以下の点に注意してください。

  • 基礎収入が低く見積もられていないか
  • 労働能力の喪失率や期間が実情に見合っているか
  • 妥当な後遺障害等級に認定されているか
  • 逸失利益そのものを否定されていないか

以上の点でお困りの場合は、交通事故の案件に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

交通事故による脳梗塞の賠償問題は弁護士に相談

交通事故が原因で脳梗塞が起き、何らかの後遺障害が残って賠償請求する場合は、弁護士に相談しましょう。

脳梗塞は交通事故以外でも起きる病気なので、相手の保険会社が争ってくることが考えられます。

妥当な賠償金を得るために、今後とるべき対応について弁護士に相談しましょう。

アトム法律事務所では、弁護士による無料の法律相談を行っています。下記バナーより相談予約をお取りください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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