離婚の仕方は6種類?スムーズな離婚のやり方は?弁護士解説

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離婚の仕方
  • 離婚の仕方は?
  • スムーズな離婚のやり方は?

離婚の仕方には、家庭裁判所を利用せずに夫婦の話し合いで離婚する協議離婚、家庭裁判所の調停での合意による調停離婚、裁判官の判決で離婚する裁判離婚などがあります。

調停離婚や裁判離婚から派生する、審判離婚、認諾離婚、和解離婚も合わせれば、離婚方法は全部で6種類です。

離婚の仕方は様々ですが、スムーズな離婚を目指す準備の仕方には共通点もあります。

この記事では、離婚の種類、メリット・デメリット、離婚の準備など、離婚のやり方について全般的に解説しています。

現在、離婚をご検討中の方は、参考にしてみてください。

離婚の仕方は6種類?選択の方法は?

どんな離婚の仕方がある?

離婚の方法と手続きの流れ

離婚する方法には、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚、和解離婚、認諾離婚6種類があります。

離婚方法の選択の仕方としては、一般的には、協議離婚から試みることは多いでしょう。話し合いがスムーズに進めば、協議離婚が最短の離婚方法です。

協議離婚の合意ができなかった場合(あるいは端から協議離婚できそうにない場合)、調停離婚を目指します。

調停離婚が不成立の場合、裁判離婚を目指します(調停前置主義、家事事件手続法257条1項)。

離婚の仕方の選択

  1. 協議離婚
    または
    調停離婚
    (→調停離婚が不成立の場合、審判離婚になることがある)
  2. 裁判離婚
    →離婚裁判の期間中、認諾離婚や和解離婚になることがある

全体の割合でみると、圧倒的に協議離婚が多く、厚生労働省の統計では、令和2年度、協議離婚は全体の88.3%を占めるという結果がでています。

離婚の仕方割合
協議離婚88.3%
協議離婚以外11.7%
離婚の仕方割合
調停離婚8.3%
審判離婚1.2%
判決離婚0.9%
和解離婚1.3%

厚生労働省「令和4年度「離婚に関する統計」の概況 人口動態統計特殊報告」P.3の内容を抜粋、編集しました。
認諾離婚については割合が少ないため、統計に含まれていません。

ちなみに、統計では、公表されている昭和25年以降から令和2年に至るまでずっと、協議離婚が一番多い離婚の仕方となっています。

それでは、それぞれの離婚の仕方について、くわしく確認していきましょう。

①協議離婚の仕方:話し合いでの離婚

協議離婚とは?やり方は?

夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。

民法763条

協議離婚とは、夫婦が話し合いにより離婚する方法です(民法763条)。

離婚に合意できたら、市町村役場に離婚届を提出し、受理されれば協議離婚は成立です。

なお、お子様がいる場合は必ず親権者を決め、離婚届に記入します。また、離婚届には証人2名の署名押印も必要です。

協議離婚にともない財産分与、慰謝料、養育費等の離婚条件を決めた場合は、離婚協議書公正証書を作成し、合意内容の証拠を残します。

財産分与や慰謝料、養育費の支払いなど、せっかく合意しても、口約束では、うやむやにされ、支払ってくれないケースがあるからです。
「強制執行認諾文言」のある公正証書の場合、相手が滞納したときは、強制執行の申立てができます。

協議離婚の仕方をまとめると、以下のような流れになります。

協議離婚の仕方

  1. 離婚を切り出す
    ・口頭、メール、内容証明郵便等
    ・代理人弁護士からの連絡も可能
  2. 離婚に合意・離婚条件の話し合い
    ・親権者を決める
    ・慰謝料、財産分与、年金分割、養育費、面会交流
  3. 合意内容を書面化
    →強制執行認諾文言付き公正証書がベスト
  4. 離婚届の作成
    離婚届の入手・記入
    ・証人2名の署名・押印が必要
  5. 離婚届の提出・受理
    ・離婚条件を合意できるまで、不受理申出をすることも。

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協議離婚のメリット

メリット

  • 合意できればスムーズに離婚可能
  • 費用がほとんどかからない
  • 法定離婚原因がなくても離婚可能

裁判所が関与しないので、合意さえできれば、時間をかけず、スムーズに離婚ができるメリットがあります。

協議離婚に必要なものは、最低限、離婚届1枚なので、離婚にかかる費用をおさえられるメリットもあります。

また、離婚理由は問われないので、離婚の合意さえできればよく、裁判離婚のように法定離婚原因(民法770条1項)がなければ離婚が認められないといった縛りもありません。

協議離婚のデメリット

デメリット

  • 合意できなければ離婚できない
  • 離婚条件を話し合わずに、離婚してしまう
  • 離婚条件を妥協してしまい、後日紛争になる

相手が合意してくれなければ、離婚が認められる余地が無いというのが協議離婚の最大のデメリットです。離婚協議に時間がかかる場合は、見切りをつけて、調停離婚、裁判離婚に進んだほうがよいケースもあるでしょう。

また、離婚条件の話し合いは、離婚成立に必須ではありません。そのため、離婚条件の話し合いをしておらず、離婚し、後日、離婚条件で揉めるケースも多いです。

一方、離婚条件について話し合いをした場合でも、早く離婚したい、離婚の知識がない等が原因で、自身に不利な離婚条件を承諾しているケースもあります。

協議離婚をスムーズに進めるために

協議離婚をする場合、離婚を切り出す前に、余裕をもって、離婚の仕方について専門家に相談なさることをお勧めします。

離婚の相談窓口については『女性におすすめの離婚相談窓口はどこ?24時間対応の窓口も紹介』の記事で解説しています。

②調停離婚の仕方:調停の合意での離婚

調停離婚とは?やり方は?

調停離婚とは、離婚調停で離婚する方法です。

夫婦間で離婚に関する話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立てるという離婚の方法が考えられます。

離婚調停の仕方は、裁判官と2名以上の調停委員から構成される調停委員会が夫婦の間に入り、話し合いを進めというものです。実際の調停期日では、男女各1名の調停委員から、夫婦双方が、順番に話を聴かれます。

最終的に、離婚調停の期日において、当事者が離婚・離婚条件に合意できれば、調停離婚できます。

調停離婚の仕方の流れとしては、以下のようになります。

調停離婚の仕方

  1. 家庭裁判所に離婚調停の申立て
  2. 家庭裁判所から呼び出し
  3. 調停期日が開かれる
  4. 離婚調停の成立・調停調書の作成
  5. 離婚調停成立の日から10日以内に、役所に、調停調書謄本・離婚届を提出

調停離婚のメリット

メリット

  • 第三者が関与するので、冷静に話し合いができる
  • 相手と顔を合わせずに、離婚手続きを進められる
  • 費用の負担が小さい
  • 法定離婚原因がなくても離婚可能
  • 離婚調書が作成されるため強制執行がしやすくなる

調停離婚という離婚の仕方を選択した場合のメリットは、調停委員が司会のような役割を果たしてくれるので、夫婦だけで離婚の話し合いをする時よりも、冷静になれるという点です。

調停離婚は、基本的には相手と顔を合わせずに手続きが進められます。

調停離婚にかかる費用は3000円程度です。

離婚調停は、家庭裁判所を利用する手続きではあるものの、裁判離婚とは異なり、法定離婚原因がなくても離婚できます。そのため「不貞を理由に離婚したいけれど証拠が少ない」「性格の不一致を理由に離婚したいけれど別居して間がない」といったケースでも、調停離婚できる可能性があります。

なお、調停離婚成立後に作成される調停調書は、確定判決と同じ効力があります。そのため、調停離婚が成立した時に作成される調停調書に基づいて、強制執行がしやすくなります。

強制執行というのは、相手が養育費を支払わない、不動産を明け渡さないといった場合、財産を差し押さえるなどして強制的に支払わせるための手続きです。

調停離婚のデメリット

デメリット

  • 調停離婚は時間がかかる場合が多い
  • 合意できなければ離婚できない

調停離婚という離婚の仕方の最大のデメリットは、当事者で合意に至らなければ調停不成立となり、離婚できないという点です。

また、調停離婚は手続きに時間がかかる場合も多いものです。

1回の離婚調停は、平日の昼間に2〜3時間程度かけて行われます。その後は、約1か月に1回の頻度で調停期日が開かれ、半年程度で離婚成立になるケースが一般的です。

しかし、離婚条件で合意できないと、2年以上かかってしまうケースもあります。

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調停離婚をスムーズに進めるために

調停離婚を少しでもスムーズに進めるためには、調停委員を味方につけることが肝心です。

きちんとした身なり、落ち着いた態度で、証拠にもとづき冷静に主張をしましょう。

気持ちを分かってもらうには、ある程度、具体的な主張をする必要もあるかもしれませんが、感情的になり過ぎてはいけません。

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③審判離婚の仕方:審判で離婚

審判離婚とは?やり方は?

離婚調停に代わる審判によって離婚する方法を、審判離婚と言います。

離婚調停が成立しない場合に、審判離婚がおこなわれることがあります。

審判離婚は、当事者の申立てに応じて実施されるものではありません。裁判官が審判をするべきだと考えた場合にのみ(職権で)、審判離婚ができます。

審判離婚の流れは、以下のようなものになります。

審判離婚の仕方(一例)

  1. 離婚調停の申立て
  2. 離婚調停は不成立
  3. 裁判官が審判をくだす
  4. 審判から異議申立てされずに2週間経過(審判が確定)→離婚成立
  5. 審判確定後10日以内に、役所に、審判書謄本・確定証明書・離婚届を提出

裁判官が審判離婚を実施するのは、一部の条件がまとまらないために調停離婚が不成立となってしまうようなケースです。

たとえば、離婚については合意できているものの、財産分与のわずかな点についてのみ合意できない場合などで、審判離婚が問題になります。

審判離婚のメリット

メリット

  • 離婚裁判を回避できる
  • 離婚裁判の申し立てのコストを節約できる

調停離婚という離婚方法のメリットは、離婚裁判を回避できるので、余分なお金や時間をかけずに離婚できる点です。

審判離婚のデメリット

デメリット

  • 異議申し立てされると離婚できない

調停離婚のデメリットとしては、審判日から2週間以内に適法な異議申し立てがあると、調停に代わる審判は効力を失ってしまうということです。つまり、異議申し立てされれば審判離婚はできません。

実務では、審判離婚という離婚方法が用いられるケースはまれです。

審判離婚をスムーズに進めるために

審判離婚は、離婚したい当事者が、何かすればスムーズに進められるという類の離婚方法ではありません。

審判離婚は、当事者の申立てではなく、裁判官がするかしないか決めることができ、結論も裁判官にゆだねられるものだからです。

審判離婚において当事者にできることがあるとすれば、裁判官が審判をおこなう際に役立つ判断材料を提供しておくことでしょう。

つまり、審判離婚で有利な結論をだしてもらいたい場合は、離婚調停中の主張や、その根拠となる証拠が重要になります。

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④裁判離婚の仕方:判決で離婚

裁判離婚とは?やり方は?

裁判離婚は、離婚訴訟をおこして、判決で離婚するという離婚方法です。

裁判離婚は、離婚調停を実施した後におこなうというルールがあります(調停前置主義、家事事件手続法257条1項参照)。

そのため、調停離婚(および審判離婚)で決着がつかなかった場合にはじめて、裁判離婚をすることができます。

裁判離婚の流れは、以下のようになります。

裁判離婚の仕方

  1. 離婚調停・審判離婚は不成立
  2. 離婚裁判をおこす・裁判所で審理
  3. 裁判官が離婚判決をくだす
  4. 判決の送達日から控訴されずに2週間経過(判決確定)→離婚成立
  5. 判決確定から10日以内に、役所に、判決書謄本・確定証明書・離婚届を提出

裁判離婚のメリット

メリット

  • 相手の同意がなくても離婚できる
  • 判決がだされるので、強制執行がしやすくなる

裁判離婚という離婚の仕方の最大のメリットとしては、相手の同意がなくても離婚できるという点です。

裁判官に「法定離婚原因がある」と判断してもらえれば、たとえ相手が同意していなくても離婚できます。

また、裁判離婚が成立した場合、裁判官がくだした確定判決に基づき、強制執行がしやすくなります。

裁判離婚のデメリット

デメリット

  • 時間とお金がかかる
  • 法定離婚原因がなければ離婚できない
  • 精神的なストレスが大きい
  • 証拠が無いなど主張が通らないことも

離婚裁判という離婚方法の最大のデメリットとしては、裁判をおこなうために、お金と時間がかかるという点です。

また、裁判官に、法定離婚原因があると判断してもらえなければ、離婚はできません。

法定離婚原因5つ

  • 配偶者の不貞行為
  • 配偶者からの悪意の遺棄
  • 配偶者の3年以上の生死不明
  • 配偶者が強度の精神病で回復の見込みがない
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由

これら5つの法定離婚原因のうち、いずれか1つが認められれば、裁判離婚は可能ですが、証明できる証拠を収集する負担があります。

加えて、離婚問題について、裁判期日をとおして相手と主張・立証を繰り返すため、裁判で離婚する方法は精神的なストレスも大きくなることが想定されます。

離婚条件についても、証拠が無い場合などは主張が通らず、自分が期待する有利な条件がかなわないこともあります。

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裁判離婚をスムーズに進めるために

裁判離婚では、最終結論をだすのは裁判官ですが、その前提として、当事者の主張、証拠の提出が必要です。

裁判離婚では、離婚したい側、慰謝料や財産分与などを求める側が、主張・立証の責任を負います。

分かりにくい主張であれば裁判官も理解するのに時間がかかりますし、証拠収集に時間がかかれば離婚裁判をおこすのにも時間がかかります。

そのため、裁判離婚がスムーズに進められるかどうかは、事前の証拠収集、整理された主張がものを言います。

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⑤和解離婚の仕方:裁判期日での離婚合意

和解離婚とは?やり方は?

和解離婚とは、離婚裁判の最中で、裁判官の関与のもと、和解案に合意して離婚することです。

裁判では、途中で、裁判官から和解を勧められることが多くあります。

係属中の離婚裁判について、和解を受け入れた場合、和解調書が作成されれば、和解離婚が成立します。

和解離婚の流れは以下のようなものです。

和解離婚の仕方

  1. 離婚裁判をおこす
  2. 裁判官から、和解の提案を受ける
  3. 和解案について話し合い、合意
  4. 和解成立・和解調書作成
  5. 和解が成立した日から10日以内に、役所に、和解調書の謄本・離婚届を提出

和解離婚のメリット

メリット

  • 判決を待たずに離婚できる
  • 柔軟な解決ができる

和解には、判決を待たずとも解決できる点や、合意で柔軟に解決できる点で、当事者の負担を減らせるというメリットがあります。

判決はふたを開けてみるまで、どうなるか分からないことも多いものです。

しかし、裁判官の和解の提案については、裁判官の仲介のもと、当事者間で和解内容をすり合わせるため、不意に、不利な結論をつきつけられることはありません。

実際の離婚訴訟では、判決よりも和解で決着するケースの方が多いです。

和解離婚のデメリット

デメリット

  • 心情的に受け入れがたい
  • 判決よりも低い条件になる可能性も

判決をもらわずに離婚が成立するので、ここまで争ってきて最終的に白黒つけられない、譲歩しなければならないといった心情的に受け入れがたいという側面はあるかもしれません。

両当事者が合意できなければ和解は難しいので、ある程度の譲歩を求められ、低い条件での和解になるといった可能性も否めません。

和解離婚でスムーズに離婚するために

和解離婚をスムーズに進める方法としては、一つには、自分の中で譲歩できる点と、譲歩できない点を明確にしておくことです。

そうすれば、裁判官の和解案に応じるべきかどうかの判断がつきやすく、場合によっては対案を打診することもできるでしょう。

⑥認諾離婚の仕方:相手が離婚訴訟を認諾

認諾離婚とは、離婚裁判の最中に、相手方配偶者側が離婚に応じ(「離婚請求を認諾する」旨の陳述をし)た場合に成立する離婚です。

認諾離婚では、離婚の条件を争うことはできません。離婚成立のみを目的とする離婚裁判において、相手方が認諾した場合、認諾離婚ができます。

離婚訴訟で争いたくない相手方としては、認諾離婚に応じることもあるでしょう。ただし、実務上、認諾離婚は、そう多くはないものです。

スムーズな離婚のための準備の仕方

①離婚後の生活の準備

離婚をスムーズに進めるためには、離婚後の生活のための準備が必要です。

離婚後の生活に必要な準備ができていなければ、離婚に踏み切ことが難しくなります。

  • 住居を探す
    離婚後の生活拠点の目星をつけて、支払い可能な価格帯の住居を探す、実家に戻る等の選択肢が考えられます。
  • 仕事を探す
    経済的に自立して生活できるだけの収入源を確保します。
    パートをしながら資格を取る、時短勤務をせずに済む保育園などを探すといった対応が考えられます。
  • お金をためる
    離婚後の生活費を蓄えるために、離婚前の浪費は控えます。
  • 公的支援について調べる
    お子様のいるご家庭への公的支援については『離婚したらもらえるお金は?手当や公的支援を解説!』の記事で解説していますので、あわせてお読みください。

    また、お子様が居る場合の離婚全般については『離婚と子どもの法律知識|子どもがいる離婚のチェックリスト』の記事で述べているので、ご参考になさってください。

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②財産分与、慰謝料、養育費等の請求検討

離婚をスムーズに進めるためには、離婚条件について、あらかじめ調べ、何をどのくらい請求するのか等を検討しておく必要があります。

主な離婚条件は、財産分与、慰謝料、親権、養育費、面会交流、年金分割といったものです。

  • 財産分与
    婚姻中に夫婦で協力して築いた財産(共有財産)を分け合う制度。
    財産分与の相場は、共有財産の1/2。
  • 慰謝料
    離婚原因となる行為(不貞、DV、モラハラ等)をした配偶者が支払う損害賠償金。
    離婚慰謝料の相場は約100万~300万。
  • 親権:子どもの親権者を決める。
  • 養育費:離婚後の子どもの生活費。
    父母の収入、子どもの人数・年齢によって養育費の請求金額は変わる。
  • 面会交流
    離婚後に同居していない親(非監護親)が、子どもと面会等をすること。
    方法、頻度等を決める。
  • 年金分割
    婚姻中、配偶者が厚生年金に加入していた場合、その保険料納付記録を分けること。
    合意分割と3号分割の2種類の方法がある。
    年金分割の案分割合の相場は、0.5。

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③離婚をスムーズに進めるための証拠収集

離婚をスムーズに進めるためには、離婚条件の検討だけでは足りず、希望の離婚条件に近づけるために請求の根拠となる証拠を集める必要があります。

以下は、希望の離婚条件に近づけるための準備の一例になります。

準備
財産分与夫の財産が分かる資料
→不動産の権利書、車検証、通帳、保険証券、有価証券など
夫婦の負債が分かる資料
→住宅ローン等の書面
年金分割年金事務所から資料を取り寄せる
親権子の監護実績を積む
・日常生活のお世話
・学校行事への参加
etc.
養育費夫の収入が分かる資料

慰謝料については、離婚原因を証明できる証拠を準備しておく必要があるでしょう。

  • 不貞行為
    →浮気相手とのメール、写真、不倫現場の録音・録画など
  • DV
    →けがの診断書、DV状況の録音・録画など
  • モラハラ
    →モラハラ状況の録音・録画、モラハラによる精神疾患の発症を裏付ける診断書など

離婚原因を証明する証拠については『離婚に必要な証拠|証拠集めの注意点と慰謝料請求のポイント』の記事で詳しく説明していますので、あわせてご覧ください。

④離婚を切り出す

スムーズに離婚を進めるには、いつ、だれが、どのような方法で、どんな風に離婚を切り出すのかを、配偶者の性格やご自身の置かれた状況に合わせて考えておく必要があります。

離婚を切り出すタイミング

スムーズに離婚するには、離婚を切り出すタイミングは非常に重要です。

少なくとも、離婚を有利に進めるための証拠収集がおわった後に、離婚を切り出すべきでしょう。

また、離婚を迷う場合は、いったん完全別居してみて、お互いの存在や夫婦であることの意義を見つめ直す時間をとってもよいかもしれません。

離婚を切り出すタイミングの例

  • 離婚の証拠収集が終わった時
  • 子どもが成人した時
  • 夫が退職する時
  • 離婚協議に応じてくれそうな時
  • 期間を決めて別居して、夫婦関係を修復できないと感じた時

誰から、どうやって離婚を切り出すか

ご自身の口から離婚を切り出すのが、もっとも穏当な方法です。

ただし、DVやモラハラなどご自身の身に危害が及ぶ恐れがある場合、弁護士を代理人として、弁護士から離婚を切り出してもらう方法も考えられます。

離婚を切り出す人

  • 自分で切り出す
  • 弁護士から切り出す

実際の切り出し方としては、直接口頭で切り出す場合もあれば、電話、メール、内容証明郵便など様々です。

どんな風に離婚を切り出すか

ご自身から離婚の切り出す場合は、『離婚の切り出し方は?|理由別の例文を紹介!』の記事で具体的な例文をご紹介しているので、参考にしてみてください。

⑤別居して婚姻費用を請求

スムーズに離婚するために、なぜ別居が必要か?

離婚を切り出す時点で、すでに別居をしている夫婦もいるかもしれません。

別居は、離婚をスムーズに進めるために有効な手段です。

住まいを分けることで、相手との物理的な距離をとることができ、離婚の動機付けとなることが期待できます。

また、長期間の別居は「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に該当し得るものです。個別のケースにもよりますが、約3~5年程度の別居期間をもうけた場合、裁判離婚が認められるケースも多いです。

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婚姻費用とは?

婚姻費用とは、婚姻生活を維持するために必要な一切の費用をいい、夫婦の生活費、お子様の養育費等が含まれます。

夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。

民法760条

通常、婚姻費用の請求は、別居中の夫婦間で問題になります。

離婚成立までは夫婦なので、それぞれの収入、子どもの有無・人数・年齢によっては、婚姻費用を相手に請求することができます。

婚姻費用の金額は、「改定標準算定表」に従って決められます。

婚姻費用の支払を受けられるのは、原則として請求した時からです。請求の仕方としては、内容証明郵便等で請求する、婚姻胃費用分担請求調停を申し立てるといった方法があります。

アトム法律事務所の「婚姻費用・養育費計算機」を使うとカンタンに目安の金額を計算することができます。ぜひ、使ってみてください。

スムーズに離婚するために、なぜ婚姻費用の請求が必要か?

婚姻費用を請求には、離婚を促す効果があります。

夫婦関係の修復の見込みがないのに、いつまでも別居を続け、婚姻費用を支払い続けることは不毛といえます。

そのため、当初は離婚に納得していなかった相手方も、婚姻費用を請求され続けることで、離婚に踏み切る決意ができるケースも多いです。

離婚成立後の手続きのやり方

全部の離婚の仕方で必須!離婚届の書き方

離婚届の受理で成立する協議離婚では、当然ながら離婚届は必須です。

ですが、その他の調停離婚、審判離婚、裁判離婚、和解離婚、認諾離婚でも、離婚を役所に届け出る必要があるので、離婚届は書かなければなりません。

離婚届の書き方については『離婚届の書き方・出し方・必要書類の完全ガイド【記入例あり】』の記事で解説しています。

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離婚届の記入例

離婚後に必要な手続き

離婚後に必要な手続きのやり方については『離婚後に忘れてはいけない手続き一覧』の記事で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。

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離婚の仕方のNG集

離婚成立前の交際

離婚成立前の交際は、「不貞」(民法770条1項1号)にあたり、ご自身に不利になる可能性があります。

たしかに、夫婦関係が破綻し修復不可能になった後で、配偶者以外の者と性的関係をもった場合、「不貞」とならないケースもあります。

しかし、婚姻関係が破綻しているかどうかは、裁判所の判断しだいといえます。

また、離婚相手にとって有利な交渉のカードになり得るため、離婚成立前の交際はしないほうが無難です。

証拠収集前に相手を問い詰める

証拠収集前に相手を問い詰めた場合、警戒されてしまい、それ以降、証拠収集がうまくできなくなるリスクがあります。

無理に相手を問い詰める必要はありません。手持ちのカードをあえて、相手に晒す必要はありません。

秘密裏に念入りな証拠収集を進め、離婚協議や裁判で提示して、有利な条件を引き出せれば十分です。

感情的な主張を繰り返す

たしかに、感情に訴えかけることで、相手を説得できる場面もあります。

しかし、離婚協議や離婚調停、裁判での尋問などで、感情的になり相手の批判を縷々述べてしまうと、伝えるべき要点が霞んでしまうおそれがあります。

悲しい気持ちや悔しい気持ちを率直に述べた後は、冷静沈着に希望する離婚条件について、裏付けとなる証拠をもって主張していくことが重要です。

ただ、ご自身ひとりで離婚協議や離婚調停に立ち向かうとなると、気持ちの整理がつかない場面も出てくるでしょう。

そのような場合は、あなたの絶対的な味方になってくれる弁護士を見つけて、二人三脚で離婚問題の解決に繰り組んでみるのはいかがでしょうか。

スムーズに離婚したいなら弁護士に相談

離婚の仕方について最後に一言

離婚の仕方には6種類あり、多くの場合、協議離婚から試みます。

離婚方法内容
協議離婚夫婦が話し合い、離婚届で離婚
調停離婚家庭裁判所の調停委員の関与のもと、夫婦が離婚に合意
審判離婚離婚調停が不成立の場合、裁判官が判断する
裁判離婚裁判をおこし、判決をもらって離婚
和解離婚裁判期日中、裁判官の関与のもと夫婦が離婚に合意(和解)
認諾離婚離婚のみを求める裁判で、相手方が認諾すれば、離婚が成立

また、離婚の仕方で最も重要なのは、離婚の準備といっても過言ではありません。

配偶者の財産を調査する、浮気の証拠をつかむ、離婚後の生活の準備など、ご自身が今やるべきことを意識して実行にうつすことが、スムーズな離婚への近道です。

弁護士はスムーズな離婚をサポート

配偶者と離婚の話し合いを進めるのは、精神的・肉体的に負担が大きい場合、弁護士はあなたの代理人として、話し合いを進めることができます。

また、弁護士は、過去の裁判例や審判例、実務の動向を分析し、専門家の視点からご相談者様に最適な離婚の仕方をアドバイスできます。

裁判や離婚実務を引き合いに出しながら、裏付けのある説得的な主張を展開することで、スムーズに離婚できる可能性が高まります。

弁護士に依頼するかどうか迷いがある場合は、無料相談の機会を活用して、離婚問題解決のための情報収集かから始めてみるのはいかがでしょうか。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了