離婚届の書き方・出し方・必要書類を徹底解説!
夫婦が離婚をする際は、離婚届を必ず提出しなければいけません。
離婚届には、今後使用する氏(苗字)や親権者などといった重要な事項を記入する必要があります。そして、一度離婚届が受理されてしまえばその内容を覆すのは難しく、調停や裁判を起こして認められる必要があります。
また、離婚届に不備があった場合は訂正や再提出が必要になってしまいますので、誤りのないように慎重に記入しましょう。
この記事では、離婚の手続きをスムーズに終えられるように、離婚届の入手から提出までの流れ、書き方と注意点を、詳細な記入例を交えて解説します。
離婚届の入手方法と提出方法
離婚届の入手方法
離婚届は各自治体の役所で受け取れるほか、自治体のホームページからダウンロードしたものを印刷して用いることもできます。配布場所によって様式が多少異なることがありますが、内容は同じですので基本的にはどれを使っても構いません。
なかには自治体名の書かれた離婚届を配布している自治体もあるようなので、提出先の役所で受け取るのが一番確実でしょう。
なお、役所で配布されている離婚届は白地に緑で印刷されていますが、白黒で印刷しても問題ありません。ただし、ご自分で印刷する際は、A3の用紙で印刷することと感熱紙を使用しないことに注意してください。
書き損じても訂正はできますが、念のため数枚用意しておくことをおすすめします。
離婚届の提出方法と提出場所
離婚届の提出方法は、役所の窓口への持参と郵送の2通りがあります。
提出場所は、婚姻中の本籍地または住所地の役所です。
なお、本籍地ではないところに離婚届を提出しに行く際は、戸籍謄本も合わせて提出する必要があります。本籍地の役所に郵送する場合は、戸籍謄本は不要です。
提出した離婚届に不備があったら
役所に提出しに行った際に離婚届に不備が見つかった場合は、窓口で訂正することができます。不備がなくなれば、そのまま離婚届は受理されます。現在は離婚届への押印は不要になりましたので、訂正印を持って行く必要はありません。
郵送で離婚届を提出すると、人に見られずに離婚できるというメリットがありますが、訂正が必要だった場合は、後日役所から連絡が来て、提出しなおすことになってしまうというデメリットもあります。
自治体によっては休日や時間外でも離婚届の提出ができることがありますが、その場合も郵送の場合と同じく、不備があった場合は後日連絡が来て、訂正または再提出をしに行くことになってしまう可能性があります。
離婚届を提出できるのは本人だけ?
離婚届は夫婦のどちらか一方や、当事者以外の人でも提出できます。委任状などは必要ありません。
当事者が行く場合も代理人が行く場合も、提出に行く人の本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)が必須です。
代理人が届け出た場合や夫婦の一方が届け出た場合、後日、提出しに行かなかった当事者のもとに郵便で「離婚届受理通知」が送付され、離婚届が正式に受理され、離婚が成立したことを知ることができます。
離婚はいつ成立する?
協議離婚の場合、離婚届が受理されたその日に離婚が成立します。
休日や夜間に離婚届を提出しに行った場合は、次に開庁した時に離婚届が受理されます。
調停離婚の場合は、調停が成立した日が離婚の日になります。
審判離婚・裁判離婚(判決離婚)の場合は、審判や判決が下された日ではなく確定した日が離婚の成立日になります。
確定日とは
審判や判決は、それが下された日に成立する訳ではなく、一定期間内に異議を申し立てれば覆すことができます。そのため、その期間が経過して結果が確定するまでの間は、離婚届を出すことができません。
審判・判決の確定日は、当事者が審判や判決の告知を受けた日の翌日から数えて2週間が経過した日です。告知は、審判書・判決書を送付することによって行われます。審判や判決が下された日ではなく、審判書・判決書を受け取った日の翌日からカウントが始まる点に注意してください。
なお、裁判が和解・認諾で解決した場合は、和解離婚・認諾離婚が成立した日が離婚の成立日になります。
協議離婚以外の場合は、離婚が成立した日を1日目として10日以内に役所へ離婚届を提出して、戸籍に反映してもらう必要があります。
10日間の届け出期間が満了するのが役所の休日だった場合は、次の開庁日が期間満了日となります。
離婚成立日 | 離婚届の提出期限 | |
---|---|---|
協議離婚 | 離婚届の提出日 | なし |
調停離婚 | 調停成立日 | 調停の成立から10日以内 |
審判離婚 | 審判確定日 | 審判の確定から10日以内 |
和解離婚・認諾離婚 | 和解・認諾成立日 | 和解・認諾の成立から10日以内 |
裁判離婚(判決離婚) | 判決確定日 | 判決の確定から10日以内 |
離婚届を提出するときに必要なもの
離婚届を提出するときに必要な物は、離婚の方法によって異なります。
どの場合でも、離婚届、本人確認書類は必要です。加えて、以下のような書類が必要になります。
離婚の方法 | 提出書類 |
---|---|
協議離婚 | 離婚届 |
調停離婚 | 離婚届、調停調書の謄本 |
審判離婚 | 離婚届、審判書の謄本、確定証明書 |
和解・認諾離婚 | 離婚届、和解・認諾調書の謄本 |
裁判離婚(判決離婚) | 離婚届、判決書の謄本、確定証明書 |
婚姻中の本籍地以外の役所に提出する場合 | 戸籍謄本 |
婚姻時の氏を使用し続けたい場合 | 離婚の際に称していた氏を称する届(離婚届と同時または3か月以内に提出可能) |
審判離婚と判決離婚の際に必要な確定証明書とは、裁判所による審判・判決が確定して覆せない状態であることを証明する書類で、裁判所へ申請書を提出することで入手できます。審判や判決は、一定期間内に異議を申し立てることで覆すことができるため、これが確定していることを証明する必要があるのです。
また、調書・判決書とは、調停や判決などが成立すると裁判所によって作成される書類で、裁判所に申請することで謄本を入手できます。
離婚届の書き方
離婚届に押印は不要に!
2021年9月1日から、離婚届への本人や証人の押印が不要になりました。とはいえ、任意で押印をすることは可能ですし、離婚届には慣習として押印欄が残されています。
なお、印鑑は認印で構いませんが、シャチハタなどのスタンプ印は使用できないので注意してください。
使用する筆記用具・訂正方法
筆記用具は、黒のインクペンまたはボールペンを使用します。鉛筆や、熱で消えるペンなどは使用できません。また、修正ペンや修正テープは使用できません。
訂正が必要になった箇所は、二重線で消し、余白部分に書き直します。そして欄外に捨て署名欄があれば2人の直筆でフルネームを記入します。これが訂正印の代わりになるため訂正印は不要です。離婚届に捨て署名欄がない場合は、枠外に2人で署名をしておきましょう。
なお、記入の時点で訂正がなかったとしても、捨て署名を記入しておくと、軽微なミスであれば役所で訂正してもらえることがあります。
①届出日・提出先
ここには、離婚届の記入日ではなく、役所の窓口へ提出しに行く日を記入します。郵送で提出する場合は、投函する日を記入します。
提出先は、届出をする市区町村の長です。
②氏名・住所・本籍
旧姓に戻る場合でも、婚姻中の氏を記入してください。
住所は、現在の住民票上の住所を記入しますが、離婚届の提出と同時に転居の手続きを行う場合は、転居先の住所を記入する必要があります。
配偶者に新しい住所を知られたくない場合は、離婚届の提出より後に転居の手続きを行いましょう。
本籍の「筆頭者」とは、戸籍の一番上に書いてある人のことを言います。
本籍の表記が「〇番×号」である場合は、「×号」の部分は記入しません。本籍が「〇番地×」の場合は、番地に続けて×まで記入してください。
具体例
「東京都新宿区〇〇1-2-3 アトムマンション 901号」の場合
住居表示未実施の地域(番地を使用している地域)
- 住所の書き方:東京都新宿区〇〇一丁目2番地3 アトムマンション901号
- 本籍の書き方:東京都新宿区〇〇一丁目2番地3
住居表示実施済の地域
- 住所の書き方:東京都新宿区〇〇一丁目2番3-901号
- 本籍の書き方:東京都新宿区〇〇一丁目2番
③父母及び養父母の氏名
父母が離婚している場合や、死亡している場合でも、実の父母の名前を記入してください。父母が現在も婚姻中の場合は母の姓は空欄にし、名前だけを記入します。
続き柄の欄には、父母から見た自分の続き柄(長男、二男、長女、二女)などを記入します。次男・次女ではなく、漢数字で二男・二女であるのがポイントです。
普通養子縁組をしている場合は、血縁上の父母の名前と併せて養父母の名前も記入します。続き柄は養子・養女となります。血縁上の父母の名前が分からない場合は、戸籍謄本を取り寄せる必要があります。
特別養子縁組をしている場合は、養父母の実の子という扱いですので、養父母の欄ではなく父母の欄に記入します。
④離婚の種別
協議離婚:協議離婚の場合はここにチェックを入れます。
調停、和解、認諾:チェックを入れ、調停や和解が成立した日、または認諾が成立した日を記入します。
審判、判決:審判・判決の告知を受けた日ではなく、確定日を記入します。審判・判決の告知を受けた日の翌日から数えて2週間が経過すると、審判・判決が確定します。
⑤婚姻前の氏にもどる者の本籍
結婚の際に氏(苗字)を変えた方の配偶者は、離婚によって元の氏に戻ります。この欄には、元の氏に戻る方の配偶者にチェックを入れるほか、「もとの戸籍にもどる」と「新しい戸籍をつくる」を選択する必要があります。
「もとの戸籍にもどる」を選ぶと、婚姻前の戸籍(両親の戸籍など)にそのまま戻ることになります。筆頭者の氏名には、戻る戸籍の一番上にいる人の氏名を記入します。
「新しい戸籍をつくる」を選ぶと、自分が筆頭者である新しい戸籍を作ることになります。この場合は、本籍欄に新しい本籍を記入します。新しい本籍は自由に決めることができます。
「新しい戸籍をつくる」を選ぶ必要があるのは、以下のような場合です。
婚姻前の戸籍が除籍になっている場合
婚姻中に両親が死亡していたり、元々自分1人の戸籍を持っていたが、婚姻によって戸籍がなくなっていた場合がこれにあたります。戻るべき戸籍がないため、新たに戸籍を作ることになります。
婚姻前の氏に戻し、子どもを同じ戸籍に入れたい場合
離婚時、特に手続きをしなければ、子どもは元の戸籍にとどまります。氏を戻した方(多くの場合は母親)の戸籍に子どもを移したい場合は、新しく戸籍を作っておく必要があります。1つの戸籍には親子2代しか入ることができず、子どもから見て祖父母のいる戸籍に新たに入ることはできないからです。
子どもの戸籍や氏の変更については、後ほど解説します。
婚姻中の氏を使い続けたい場合
違う氏を持つ人が同じ戸籍に入ることはできません。そのため、婚姻中の氏を使い続けたい場合は、新たに戸籍を作る必要があります。
なお、婚姻中の氏を使い続けたい場合は、離婚から3か月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出する必要があります。この届は、離婚届と同時に届け出ることも可能です。離婚届と同時に「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出する場合は、「婚姻前の氏にもどる者の本籍」の欄に何も記入しないでください。
離婚届よりも後に提出する場合は、それまでの間は一度旧姓に戻ることになります。
⑥未成年の子の氏名
この欄は、未成年(18歳未満)の子どもの親権をどちらが持つかを記入するため、非常に重要です。記入欄がひとつずつしかありませんが、全員分のフルネームを記入してください。
離婚後に子どもの氏を変更したいと考えている場合も、この段階では婚姻中の氏を記入します。
なお、未成年の子の氏名の欄に訂正がある場合は、訂正箇所に夫婦両方の署名または訂正印が必要です。この欄に限っては、枠外に捨て印や捨て署名があっても訂正ができません。これは、夫婦のどちらかが親権者を書き換えてしまわないようにするためです。
⑦同居の期間
「同居を始めたとき」の欄には、結婚式をあげた年月または同居を始めた年月のうち早い方を記入します。婚姻前から同居をしていたときは、婚姻前に同居を始めた年月を記入します。一度も同居をしなかった場合は、空欄になります。
「別居したとき」の欄には、別居を開始した年月を記入しますが、離婚の届出をしても別居しない場合や、元々同居していなかった場合は空欄になります。
同居・別居の年月については、はっきり覚えていない場合でも大体の年月を記入して構いません。
⑧別居する前の住所
夫婦が既に別居している場合は、別居前の夫婦の住民票上の住所を記入してください。
まだ別居をしていない・一度も同居をしていない場合は、何も記入しないでください。
⑨別居する前の世帯のおもな仕事と夫妻の職業
「別居する前の世帯のおもな仕事」は、1つしか記入できませんので、1人が複数の仕事をしていたり共働きだった場合でも、世帯の主な収入源となっていた仕事にチェックを入れます。
それぞれの選択肢の詳しい説明は以下の通りです。
1.農業だけまたは農業とその他の仕事を持っている世帯
専業農家である場合や、兼業農家であっても農業の収入が主である場合がこれにあたります。
2.自由業・商工業・サービス業等を個人で経営している世帯
個人で事業を営んでいる場合はこれにあたります。フリーランスのデザイナーや開業医、林業・漁業関係者なども含まれます。
3.企業・個人商店等(官公庁は除く)の常用勤労者世帯で勤め先の従業者数が1人から99人までの世帯(日々または1年未満の契約の雇用者は5)
従業員が1〜99人の企業に勤めている一般的なサラリーマンはこれにあたります。契約期間が1年未満の契約社員や日雇い労働者は、これではなく5になります。
また、公務員もここではなく、4にあたります。
4.3にあてはまらない常用勤労者世帯及び会社団体の役員の世帯(日々または1年未満の契約の雇用者は5)
従業員が100人以上いる企業に勤めているサラリーマンや、企業の役員、公務員はこれにあたります。
5.1から4にあてはまらないその他の仕事をしている者のいる世帯
会社に勤めている人で、1年未満の契約で雇用されているアルバイト、パート、契約社員、派遣社員などがこれにあたります。
6.仕事をしている者のいない世帯
仕事をしている人がいない世帯がこれにあたります。
「夫妻の職業」の欄は、国勢調査がある年以外は未記入で構いません。
ここでいう職業とは、会社員・公務員などの一般的な分類ではなく、「厚生労働省編職業分類」から記入します。この分類は、インターネット上で公開されているほか、役所でも確認できますので、不明な場合は空欄のまま窓口へ持って行くのが良いでしょう。
参考
⑩届出人署名
夫婦がそれぞれ自筆で署名します。
離婚届の記入事項のうち、届出人署名と証人の署名は自筆である必要がありますが、それ以外の部分は誰かが代筆しても問題ありません。
押印欄がありますが、離婚届への押印の義務がなくなったため、押印はしてもしなくても構いません。
調停・裁判で離婚をした場合は、原則的に離婚を申し立てた側の署名のみで提出します。
⑪面会交流、養育費の分担について
離婚届の右側には、子どもの監護に必要な事項を記入する欄があります。これらは、子どもの福祉のために、夫婦で協議して決める必要があります。
面会交流、養育費の分担について、それぞれあてはまるものにチェックをつけます。
公正証書とは、取り決めの内容を法的に証明する公的書類のことです。強制執行認諾文言付きの公正証書を作成しておくと、養育費などの取り決めが守られなかったときに、強制執行することができるようになるため、作成しておくことをおすすめします。
養育費に関する公正証書が作成してある場合は、「公正証書」にチェックをつけてください。公正証書は作成していないが取り決めがある場合は「それ以外」に、取り決めをしていない場合は「まだ決めていない」にチェックをつけてください。
⑫連絡先
連絡先の欄には、夫または妻と日中連絡がつく電話番号を記入します。提出後に不備が見つかった場合などは、ここに連絡が来る可能性があります。
離婚届には証人が必要!条件は?
協議離婚の場合は、2人以上の証人による署名が必要です。調停や裁判で離婚をする場合には、証人は必要ありません。
証人は成人なら誰でもOK
協議離婚の証人には、成人(18歳以上)であれば誰でもなることができます。
証人になったとしても、なにか法的責任を問われるということは基本的にはありませんので、証人になるデメリットは特にはありません。
証人の署名は代筆不可
証人の署名は、自筆である必要があります。署名以外の、生年月日、住所、本籍は代筆でも構いません。
なお、証人に関しても押印をするかしないかは本人の意思に任されています。夫婦や親子で証人をつとめる場合で、押印をしようとする際は、同じ印鑑を使うことができない点に注意が必要です。
証人がいない場合は?
証人を頼める人がいない場合や、知人には証人を頼みづらい場合はどうすればよいのでしょうか。
離婚に関して依頼をしている弁護士がいれば証人を頼むことができるほか、行政書士などが有償で証人代行サービスを行っていることもあります。
弁護士や行政書士は守秘義務を負っており、情報が漏れてしまう心配はありません。
比較的安価な民間の業者が行っている証人代行サービスを利用する場合は、信頼できる依頼先を選びましょう。
離婚届に関する注意点
離婚届を書く前に決めなければならないこと
離婚をする際には、夫婦が話し合って決めなければならないことがたくさんあります。代表的なのは、以下のような事項です。
離婚全般に関すること
- 離婚の意思
- 離婚届の提出日・提出者
- 離婚後の氏
お金に関すること
- 慰謝料
- 財産分与
- 婚姻費用
- 年金分割
子どもに関すること
- 親権者・監護者
- 養育費
- 面会交流
- 子どもの氏・戸籍
これらのうち、離婚届への記入が必須、つまり絶対に決めておかなければならないのは親権者です。
また、面会交流・養育費についても記入欄がありますが、「まだ決めていない」を選択することが可能です。とはいえ、離婚後に相手が話し合いに応じてくれる保証はありませんので、これらの全ての事項について、離婚届を書く前に話し合って決めておくことを強くおすすめします。
また、取り決めの内容を公正証書として残しておくと、後のトラブルに対処しやすくなります。
離婚届は勝手に出しても無効。相手にバレる!
離婚届には、夫婦の両方と証人の自筆の署名が必要ですので、相手の許可を得ずに離婚届を提出することはできません。仮に署名を偽って作成した離婚届を提出しても、その離婚届に効力はありませんし、「有印私文書偽造罪」が成立して罪に問われる可能性があります。
離婚届を提出した時点で偽造が発覚しなければ、離婚届は一旦受理されますが、提出に行かなかった方の当事者には後日「離婚届受理通知」が郵送されますので、相手に離婚届の提出がバレるのは時間の問題です。
離婚届を勝手に出されてしまったら?
「離婚届受理通知」が届くなどして、離婚届が勝手に提出されてしまったことが分かったら、家庭裁判所に「離婚の無効確認」を請求し、審判・裁判を経ることで、離婚をなかったことにできます。
なお、配偶者や第三者が勝手に離婚届を提出してしまわないように、事前に「離婚届不受理申出」をすることができます。役所に「離婚届不受理申出書」などを提出することで手続きができ、本人が不受理申出を取り下げない限りは、離婚届を提出しても受理されなくなります。
一度離婚が成立してしまうと、それを覆すには相当な手間と時間がかかります。勝手に離婚届を出されてしまうおそれが少しでもあるならば、離婚届不受理申出をしておいた方が良いでしょう。
親権を母にしても、子どもの氏や戸籍は変わらない
離婚届を提出する際に「母が親権を行う子」の欄に子どもの名前を記入すると、親権者自体は母親になりますが、子どもは氏を変更しない方の親(多くの場合は父親)の戸籍に残り、氏も変更されません。ですので、子どもの戸籍や氏が親権者と異なる状態になります。
離婚後に子どもを自分の戸籍に入れたい場合の手続きは、以下の通りです。
- 家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立」を行う。
- 氏の変更が認められたら、役所で「入籍届」の手続きを行う。
「離婚の際に称していた氏を称する届」を提出して夫・妻の氏を使い続ける場合や、婚姻前の氏が夫婦で同じだった場合でも、子の氏の変更許可申立の手続きは必須です。
なお、親子3代が同じ戸籍に入ることはできないため、自分と子どものための戸籍を新しく作っておく必要があります。
そのために、離婚届を提出する際には「新しい戸籍をつくる」にチェックを入れてください。離婚届の提出時に新しい戸籍を作らなかった場合は、後から「分籍届」の手続きを行うことで、元の戸籍を抜けることができます。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
氏名・住所・本籍は省略せずに正確に書く必要があります。戸籍謄本などを用意して、記載通りに書き写しましょう。