離婚届の証人は誰にする?頼める人がいないときは代行でもいいの?

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離婚後の証人

離婚届には、2名の証人が署名する必要があります。離婚届に証人が必要な理由は、夫婦2人の離婚の意思を確かめ、虚偽の届け出を防ぐためだと言われています。

離婚届の証人には、18歳以上の成人であれば誰でもなれますが、周りの人には頼みづらいこともあるでしょう。そういった時は、どのように証人を見つければよいのでしょうか。

この記事では、離婚届の証人欄の書き方や、証人を頼める人がいない時の対処法を解説します。

離婚届の証人とは?

離婚届の証人は18歳以上なら誰でもいい!

離婚届には、2名の証人が署名する必要があります。証人の署名がなければ離婚届は受理されません。

離婚届の証人は、18歳以上の成人であれば誰でもなることができます

離婚の当事者との関係性は問われないため、どちらか一方の両親や、子どもなどでも構いません。また、証人同士が夫婦であっても問題ありません。外国籍の人でも証人になることができます。

実際には、親や友達、同僚などに証人を頼む人が多いようです。

離婚届の証人がいらない場合とは?

離婚届に証人が必要ないケースもあります。

「調停離婚」「審判離婚」「裁判離婚」「和解離婚」「認諾離婚」の場合は、離婚届の証人は不要です

これらの方法で離婚する場合は、証人を立てる代わりに、調停調書や判決書、和解調書の謄本など、離婚が確定していることを証明する文書を離婚届と一緒に提出します。

離婚の方法には以下の6つの方法があります。

  • 協議離婚
  • 調停離婚
  • 審判離婚
  • 裁判離婚(判決)
  • 和解離婚
  • 認諾離婚

このうち、離婚届に証人が必要なのは協議離婚のみです。

離婚届の証人欄の書き方

離婚届の証人欄には何を書く?

証人欄は、離婚届の右上にあります。

証人欄に記入する事項は以下の4つです。

  • 署名(※押印は任意)
  • 生年月日
  • 住所
  • 本籍

筆記用具は、黒のインクペンまたはボールペンを使用します。鉛筆や、熱で消えるペンなどは使用できません。

両親や知り合い夫婦などに証人を頼んだ場合は、2人の住所や本籍が同じになることがありますが、問題ありません。

本籍の欄に「同上」と書いても受理されることが多いようですが、万が一受理されなかった場合は、本人のところへ持って行って書き直してもらうことになるため、念のため本籍を省略しないようにお願いしておいた方がよいでしょう。

証人の住所や本籍が間違っていたら?

役所で証人の住所や本籍を詳しく調べることはあまりなく、住所や本籍が間違っていても受理されることが多いようです。

ただし、証人が実在する人物であるかは確認されますので、架空の人物をでっちあげて証人にすることはできません。

多少間違っていても受理されるとはいえ、本籍が分からないからといって空欄のまま提出することはできません。証人をお願いする相手には、事前に本籍を記入する必要がある旨を伝えて、戸籍謄本を取り寄せるなどして調べてもらいましょう。

証人欄を書き間違えたら?

離婚届の証人欄を書き間違えてしまった場合、訂正が必要な箇所を二重線で消し、余白部分に書き直します。そして、訂正印または署名を入れます。

訂正するのに修正ペンや修正テープを使用することはできません。

あらかじめ欄外に捨て印または捨て署名を入れておくと、軽微な誤りであれば役所の窓口で訂正してもらえることがあるので、念のため捨て印か捨て署名をお願いしておいてもよいでしょう。

離婚届の証人欄に印鑑はいらない!

2021年9月1日から、離婚届への本人や証人の押印が不要になりました。とはいえ、任意で押印をすることは可能ですし、離婚届には慣習として押印欄が残されています。

押印したい場合は、認印でも構いませんが、シャチハタなどのスタンプ印は使用できません。また、証人同士が同じ姓だとしても、同じ印鑑を押すことはできません。

証人を頼む際は、印鑑についても伝えておきましょう。

離婚届の証人の署名は代筆不可!偽造はバレる?

離婚届の証人の署名は、本人の自筆である必要があります。本人が文字を書くのが難しかったり、遠方だったりしても、本人以外が代筆することはできません。

離婚届を提出する際に、窓口の職員が証人の本人確認などを行うことはないため、代筆がバレない可能性はあります。しかし、筆跡などから発覚することもあるでしょう。

バレない可能性があるとしても、離婚届の署名を偽造して提出する行為は、有印私文書偽造罪・同行使罪という犯罪行為にあたります。証人の署名を自分で書くことは絶対にやめましょう。

▼離婚届の詳しい書き方はこちら

離婚届の書き方・出し方・必要書類を徹底解説!

離婚届の証人がいないときは?

離婚届の証人は、親や友達、同僚などに頼む方が多いですが、離婚したことを知られたくない、周りの人には頼みづらいなどの理由で、証人が決められない方もいるでしょう。

周りに証人を頼める人がいなくても、絶対に署名を自分で書いてはいけません。代わりに、以下のような方法で証人を用意することができます。

弁護士に証人をお願いする

離婚を弁護士に依頼している方は、弁護士に頼めば証人になってくれる可能性が高いです。証人を頼んでも、追加の弁護士費用はかからないことが多いようです。

証人は2名必要ですので、その法律事務所の事務員などが証人になってくれることもあるでしょう。

離婚届の証人代行サービスを利用する

離婚届の証人を頼める人がいない場合は、行政書士などが有償で提供している証人代行サービスを利用することもできます。

こういったサービスを利用する場合は、事務所に離婚届を持っていくか、郵送で離婚届のやりとりを行うのが一般的です。

証人代行サービスの費用は業者によって大きく異なり、2名分で3,000円程度のところもあれば、1万円以上かかるところもあります。

即日対応が可能な業者も存在するため、親や友人のところへ離婚届を持って行って書いてもらうよりも早く離婚届を提出できる場合もあります。

ただし、資格のない人や業者が行っている証人代行サービスは、比較的安価ではありますが、必ずしも安全とは言い切れないというデメリットがあります。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

弁護士や行政書士は守秘義務を負っており、情報が漏れてしまう心配がないため安心です。証人代行サービスを利用する際は、信頼できる依頼先を選びましょう。

離婚届の証人を頼まれたら?

離婚届の証人になるリスクはない

親族や知人から頼まれて離婚届の証人になっても、大きなリスクやデメリットはありません

とはいえ、氏名・住所や本籍を記入しますので、個人情報の取扱いには十分に注意してもらいましょう。

離婚届の証人になるのは縁起が悪い、世間体が悪いと感じるかもしれませんが、本人が言わない限りは証人になったと周りに知られることはないため、心配する必要はありません。

離婚届の証人は保証人とは違う

証人と言われると、借金の保証人のように何らかの責任を負わされるのではないかと思われるかもしれませんが、離婚届の証人は保証人とは異なります

したがって、不当な目的がない限りは、離婚届の証人になっても何らの責任を負うことはありません。

ただし、証人は夫婦に離婚の意思があることを証明するという役割を持ちますので、夫婦が離婚に合意していないことを知っていながら、離婚届の偽造に加担したような場合は、有印私文書偽造罪・同行使罪などの犯罪の共犯にあたり、罰せられてしまう可能性があります。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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