離婚が不利になる言葉|話し合い中に言ってはいけないことは?

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離婚の話し合いをする時に、相手への不満をぶつけたくなることも多いかと思いますが、話し合い中の発言には気を付けなければなりません。

話し合い中に発した言葉のせいで、離婚自体ができなくなったり、離婚条件が不利になってしまう可能性があります。

また、離婚調停中は調停委員に発言が聞かれるため、特に注意が必要です。

この記事では、離婚協議中や離婚調停中に気を付けるべき、離婚が不利になる言葉について解説します。

離婚の話し合いが不利になる言葉とは?

離婚の話し合いで発言に気を付けるべき理由

離婚の話し合い中の失言は、以下にあげたような影響を与える可能性があります。

感情の面でも法的な面でも不利に働くため、何をどのように話すかには注意が必要です。

離婚の話し合いが進みづらくなる

離婚の話し合い中の言動によって相手を逆上させてしまうと、相手が離婚に同意してくれなくなったり、話し合いが円滑に進まなくなってしまいます。

離婚条件が不利になる

不用意な発言で相手を怒らせてしまった場合、こちらの態度次第では応じてもらえたはずの離婚条件も認めてもらえず、不利な条件で離婚することになるかもしれません。

調停や裁判で不利になる

話し合い中に発した言葉は、後の調停や裁判で証拠として用いられる可能性があります。そのため、不適切な発言をしてしまうと後で後悔することになるかもしれません。

離婚後の関係が悪くなる

離婚時に相手を深く傷つける言動を取ると、離婚後に嫌がらせやストーカー行為に発展し、離婚後の生活にまで影響が及ぶおそれもあります。

スムーズな話し合いを妨げる言葉

過度に相手を批判する言葉

離婚の話し合い中は、過度に相手を批判するような言葉は避けましょう。

話し合いを有利に進めるためには、例え相手が一方的に悪かったとしても、相手の気持ちを尊重した話し方をすることが重要です。こちらから一方的に責め立てると、相手の態度が硬化してスムーズに話し合いが進まない可能性があります。

感情的な発言

「絶対に別れる!」「死んでやる!」などの感情的な言葉は、円滑な話し合いの進行を妨げてしまいます。

また、いきなり声を荒げてしまうのもよくありません。

そういった様子を見せると、相手も感情的になって暴言や暴力に発展するリスクがありますし、もし過激な発言が録音されて調停や裁判の証拠として提出されてしまったら、DVやモラハラと認定される可能性もあります。冷静な発言を心がけましょう。

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離婚条件が不利になる言葉

相手の不倫を言いふらす行為

不倫相手や夫の会社に不倫を報告したり、言いふらしたりする行為は避けましょう。また、「慰謝料を払わないなら会社に報告する」と脅すのもよくありません。

脅迫や恐喝、名誉毀損の罪で訴えられたり、損害賠償(慰謝料)を請求されてしまう可能性があるからです。

不貞行為への報復は、不貞行為の事実を周りに広めることによってではなく、慰謝料の請求によって行うのがよいでしょう。

不貞行為を匂わせる言葉

早く別れたいからといって、自分自身の浮気や不倫をほのめかす発言は避けたほうがよいでしょう。

不貞慰謝料を請求されてしまうだけでなく、「不倫相手と再婚して幸せになるのが許せない」と、相手が頑なに離婚を拒むようになるケースもあります。

また、離婚調停や離婚裁判では、有責配偶者からの離婚請求は認められない可能性が高いことに注意してください。有責配偶者とは、離婚の原因を作った方の配偶者のことをいい、不倫やDV・モラハラなどによって夫婦関係を破綻させた人は有責配偶者にあたります。

すでに別居している場合は、収入の多い方に対して婚姻費用(別居中の生活費)を請求する権利があります。しかし、調停や裁判においては有責配偶者からの婚姻費用の請求は認められない可能性が高く、生活が苦しくなってしまいます。

離婚調停中は特に発言に注意

離婚調停中の発言が重要な理由

離婚の話し合いがうまくいかない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てて、調停委員会を介して話し合いを行うことができます。

離婚調停では、夫婦が顔を合わせて話し合いを行うことは基本的になく、男女2名の調停委員と交互に面談を行います。調停委員は、一方の意見をもう一方に伝えたり、時には説得したりして、夫婦の合意を目指します。

離婚調停を有利に進めるために非常に重要なのが、調停委員を味方につけることです。そのためには、自分の主張をうまく伝えたり、調停委員の信頼を得る必要があります。

したがって、離婚調停中は、特に発言に注意しなければなりません。

離婚調停中に避けた方がよい言葉

矛盾する発言

以前の発言と食い違いがあったり、主張が行ったり来たりすると、調停委員の心証が非常に悪くなります。発言を信じてもらえなくなったり、味方についてもらえなくなってしまうことで、調停が不利な方向に進んでしまう可能性があります。

発言に矛盾を生じさせないためには、経緯や主張を整理したメモをあらかじめ作っておき、調停に持っていくのがよいでしょう。

根拠のない発言

特に証拠もなく「夫は不倫をしているんです」「毎日のように殴られます」と主張しても、調停委員が簡単に信じてくれるわけではありません。

不貞行為や暴力の証拠を用意し、証拠に基づいて主張することが重要です。

相手の批判に終始する

調停委員は、当事者の感情よりも、具体的な事実を重視します。そのため、相手がどんなに酷い人なのか、自分がどんなにつらい思いをしたのかばかりを話しても、それほど大きなメリットはありません。

一回の調停期日では、それぞれ30分程度の面談を2往復ほど繰り返します。限られた持ち時間の中で相手の批判に時間を割くと、肝心の争点が整理できず、せっかくの調停期日が無駄になってしまいます。

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離婚を有利に進めるためには弁護士に相談!

離婚の話し合い中に不用意な発言をしてしまうと、話し合いが不利な方向に進んでしまうおそれがあります。

話し合いを始める前に、まずは何をどのように伝えるかを弁護士に相談することをおすすめします。また、弁護士に離婚交渉を任せれば、話し合いをリードして離婚を有利に進めてくれるでしょう。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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