離婚の切り出し方は?|理由別の例文を紹介!
離婚を切り出すというのは、勇気のいる行動です。また、切り出し方次第で今後の話し合いの雰囲気が大きく変わる、重要な局面でもあります。
適切な準備をせずに離婚を突きつけると、相手はショックを受けてしまい、円満に話し合いが進まない可能性があります。相手の気持ちに配慮しながら、できるだけスムーズに話を進めるにはどうしたらいいのでしょうか。
この記事では、離婚の切り出し方の例や、事前にどんな準備が必要かについて解説します。
離婚を切り出す前に
いざ離婚を切り出す前に、以下のポイントをあなたの中で整理しておきましょう。整理しておかないと、冷静に話し合いができなかったり、反論された時に適切な対応ができなくなってしまいます。
どんな理由で?
なぜ離婚したいのか、どんなことが原因なのかをはっきりさせておきましょう。
「あなたが嫌だから離婚したい」と伝えただけでは、なかなか納得してもらえないでしょう。「嫌」という気持ちの裏には、その原因となったこと、例えばモラハラや意見のすれ違いなどがあるはずです。
気持ちを紙に書き出したり、他の人に話を聞いてもらって整理するのも良いかもしれません。
また、離婚以外の選択肢がないことも確認しましょう。それらを根拠にして話せば、こちらが本気で離婚を望んでいることが伝わるはずです。
どんな伝え方で?
離婚の伝え方は、面と向かって話すだけでなく、メールやLINE、電話、手紙など様々な形があります。
すでに別居している場合は、内容証明郵便もよく使われています。内容証明郵便とは、どんな内容の文書が、いつ、誰から誰に差し出されたかを証明してくれる郵便局のサービスです。
しかし、文章でのコミュニケーションは、直接話すよりも相手に冷たい印象を与えてしまいがちです。冷静に意見を伝えられるというメリットはありますが、使う場面は考えた方が良いかもしれません。
また、弁護士に依頼して、弁護士を通して離婚の意思を伝えることもできます。弁護士から連絡が行くと、こちらが本気で離婚を望んでいることが伝わるでしょう。
どんな態度で?
話し合いには、冷静な態度で臨むべきです。また、相手の方が明らかに悪かったとしても、相手の気持ちに配慮した言葉選びを心がけましょう。
こちらから一方的に責め立てると、相手の態度が硬化してスムーズに話し合いが進まない可能性があるからです。
ヒートアップしてしまいそうと感じたら、親や友人などに同席してもらったり、喫茶店など人の目がある場所で話し合いをするのも良いでしょう。
理由別!離婚を切り出す時の例文6選
配偶者に離婚を切り出すとき、何と言うべきか迷ってしまう方がほとんどでしょう。ここでは、離婚の理由ごとに6つの例文を挙げました。
もちろん離婚の切り出し方に正解はありませんので、これを参考にそれぞれの夫婦の状況に合わせた言葉を選んでください。
case1 性格の不一致が原因のとき
「この数年間、すれ違いばかりだったよね。このまま2人で過ごしていても、お互い幸せになれないと思うの。お互いに新しい人生を歩むために、離婚を考えてくれませんか」
性格の不一致が原因の場合は、すぐに離婚裁判を起こしても離婚が認められることはほとんどなく、協議や調停で離婚を目指すか、ある程度の別居期間を作ってから裁判で争うことになります。したがって、相手に同意してもらえなければ離婚は難しいと考えてください。
しかし、自分が性格の不一致で悩んでいても、相手は気づいていないことも多いようです。その場合、離婚の話し合いを当事者間で進めることは難しいものです。
性格の不一致による離婚の場合はとくに、切り出し方が重要となります。
相手に離婚に応じてもらうには、相手方配偶者のどのような言動について、自分がどのように思っているのか、寄り添おうと思ってもできない理由は何かなど、具体的なエピソードを伝えて説得してみるなど離婚の切り出し方を工夫してみましょう。
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case2 相手の不倫が原因のとき
「あなたは、二度としないと誓ったのにまた不倫をしました。もう信頼関係を取り戻すことは難しいので、離婚した方が良いと思います」
離婚の原因が不倫や浮気である場合は、事実に基づいて話すのが良いでしょう。相手がシラを切ることもあるので、証拠を揃えて言い逃れができない状況を作ると話し合いがスムーズです。
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case3 相手のモラハラ・DVが原因のとき
「あなたの言動(暴力)にはもう我慢できません。このままでは私の心が壊れてしまいます。離婚してください」
モラハラやDVをするような相手は、離婚の話し合いの際にあなたを傷つける行動をとる可能性が高いため、きっぱりと離婚を突きつけて、すぐに別居するのが良いでしょう。
このような相手との話し合いは、非常に難航することが予想されます。第三者を挟んでの話し合いも検討してみてください。
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case4 相手の金銭問題が原因のとき
「何度も歩み寄ったつもりだったけど、あなたのお金遣いは治らなかった。これ以上家のお金を使い込まれたら、子どもの学費も払えなくなってしまいます。離婚してほしいです」
金銭問題が原因の場合は、事実に基づいて離婚を決意した理由を説明するのが良いでしょう。相手の行動のせいでいかに家計が厳しくなってしまったか、こちらが今までどれほど寄り添ってきたかを説明すれば、離婚に納得してくれる可能性も高まるかもしれません。
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case5 自分に好きな人ができたことが原因のとき
「私たち、もう愛情が冷めてしまったと思うんだ。このまま一緒にいるより、お互いに自由になった方が幸せになれると思うので、離婚してください」
自分に好きな人ができたということは、円滑な離婚協議の妨げになる可能性が高いため、伏せておいたほうが良いでしょう。不必要に相手を責めることなく、円満な離婚を目指しましょう。
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case6 離婚を前提に別居を切り出す場合
「最近、意見が合わないことが増えて、あなたに冷たい態度を取ってしまっていると思うの。お互いの気持ちを整理するために別居をして、離婚に向けて話し合いたいと思っています」
関係修復のためではなく、離婚を前提とした別居であることをはっきり伝えると良いでしょう。
なお、相手に何も言わずに家を出てしまうと、悪意の遺棄にあたりこちらが有責配偶者になってしまう可能性があります。そうなると、こちらからの離婚請求が認められなくなったり、慰謝料を請求されてしまうことも考えられるため、別居を始める前には相手にその旨を伝えておく必要があります。
もちろん、暴力やモラハラで身の危険を感じる時は、安全に家を離れることを最優先にしてください。
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離婚を切り出した後はどうなる?
夫婦間での話し合い
離婚の意思を伝えたら、夫婦間での話し合いを始めます。既に別居している場合は、日程を調整し、どこかで会って話す必要があります。または、メールやメッセージ、電話で話し合うことも可能です。
弁護士に依頼している場合は、弁護士に交渉を任せることができ、相手と顔を合わせずに話し合いを進めることもできます。
話し合いで決める内容は、離婚をするか否かだけではありません。未成年の子どもがいる場合は必ず親権者を決めなければいけませんし、養育費、慰謝料、財産分与など、夫婦で決めることはたくさんあります。
再構築
夫婦で話し合った結果、離婚ではなく再構築を選ぶこともあります。再構築とは、破綻してしまった夫婦関係を一から作り直して、夫婦としてリスタートすることです。
再構築をするにあたっては、離婚カウンセラーなどの第三者からアドバイスを受けるのも良いでしょう。
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協議離婚
当事者間で離婚の合意に至ったら、役所に離婚届を提出することで離婚が成立します。
必要な手続きは離婚届の提出だけですが、取り決めの内容を離婚協議書や公正証書として残しておくこともあります。
話し合いで決着がつかない場合は、離婚調停や離婚裁判で争うことになります。
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離婚調停
離婚調停(夫婦関係調整調停)とは、夫婦間の話し合いで離婚に関して合意ができなかったときに、裁判所の調停委員会のもとで解決を図る離婚の方法です。
調停では、夫婦がそれぞれ調停委員と面談をして、意見の調整を行います。面談は1人ずつ行われますので、相手と顔を合わせることはほとんどありません。
調停を繰り返す中で夫婦が合意に至れば、離婚が成立します。
夫婦関係調整調停は必ずしも離婚を目指すものではないため、調停で話し合った結果、もう一度夫婦としてやり直すということも可能です。
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離婚裁判
調停もうまく行かなかった場合は、離婚裁判を起こして離婚を争うことができます。離婚裁判では、裁判官が双方の主張を聞いて、2人を離婚させるべきか、どのような条件で離婚させるかを決定します。協議離婚や調停離婚と大きく異なるのは、双方の合意がなくても結果が確定する点です。
また、裁判中に裁判官から和解を勧められることがあります。そこで双方が和解に応じれば、離婚は成立します。
なお、日本は調停前置主義を取っているため、調停を経ずに裁判を起こすことはできません。
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離婚を切り出す際に注意すること
その場で離婚届を書かない
離婚をする際には、話し合って決めることがたくさんあります。例えば親権や養育費、慰謝料、財産分与などです。それらを決める前に、勢いで離婚届を書いてしまうことは避けましょう。
また、養育費、慰謝料、財産分与などのお金のことについても、可能な限り離婚を成立させる前に決めておくことをおすすめします。きちんと話し合っておかないと、不利な条件で離婚してしまうおそれがあります。
子どもに離婚話を聞かせない
親の喧嘩は、子どもにトラウマを与えてしまう可能性があります。離婚を切り出す際は、子どもを同席させないようにしてください。離婚について子どもに説明するのは、両親が落ち着いて話せるようになってからにしましょう。
証拠を用意する
離婚を認めさせたり、慰謝料を請求するために、不貞行為やDV、モラハラなどの証拠が必要になる場合があります。
不倫相手とホテルに入っていく様子を写した写真や、暴力によって負った傷の診断書などが代表例です。
また、適切な額の財産分与を受け取るためにも、相手が保有している財産の証拠が必要になります。例えば、銀行の通帳や不動産登記簿などです。
相手に離婚の意思を伝えた後に証拠を確保しようとしても、証拠を消されてしまう恐れがあります。したがって、離婚を切り出す前に証拠集めをしておきましょう。
離婚後の生活について考えておく
離婚を切り出す前から、離婚後の生活の基盤を整えておきましょう。
経済面の備えとして、貯金を作っておくことや、仕事を探すこと、副業を始めることなどがあります。また、離婚時には配偶者から慰謝料や財産分与などの形でお金を受け取れる可能性があります。こういったお金は離婚後の生活の支えになりますが、最大限受け取るためには、離婚を切り出す前の準備が必要不可欠です。
生活面では、離婚後の住居についても、早めに準備を始めましょう。実家や友人の家に身を寄せたり、新しく物件を借りるなどの選択肢が考えられます。いずれにしても、あらかじめ目途をつけておく必要があります。
離婚後の具体的な計画を持っていると、「離婚したら生活していけないだろう」という反論を防ぐこともできるでしょう。
最後にひとこと
離婚の流れ・切り出し方で悩んだら弁護士などの専門家に相談!
離婚の流れや手続き、証拠集め、離婚後の生活などに疑問点があれば、早めに専門家に相談することをおすすめします。
弁護士には、離婚が可能か、どのくらいの慰謝料を受け取れるかなど、具体的な見通しを相談することができます。また、弁護士は依頼者の代理人となって相手との交渉ができるので、相手との話し合いに不安がある場合は依頼を検討してみてください。
また、離婚に向けて気持ちを整理したい、悩みを聞いてほしいといった場合は、離婚カウンセラーなどを利用することができます。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了