別居何年で離婚できる?離婚成立に必要な別居期間は?1年未満も多い?
- 離婚成立に必要な別居期間は?
- 離婚までの別居期間は1年未満が最多?
- 別居年数が3~5年あると裁判離婚できる?
離婚を切り出しても相手が離婚に応じない、離婚条件の折り合いがつかないなど、話し合いによる離婚ができない場合は少なくありません。
ですが、このような場合でも別居期間を置くことで、裁判離婚できる可能性をひらくことができます。
離婚実務では、3年~5年以上の別居期間を置くと、離婚原因として認められ、裁判離婚の可能性がでてくるといわれています。
とはいえ、法律に「別居年数3年で離婚を認める」などと明記されているわけではありません。あくまで、総合考慮です。
同居期間と別居期間の長短、夫婦関係の修復の余地など、総合考慮され、裁判離婚の可否が決まるのです。不貞行為など別の離婚原因がある場合は、別居年数にかかわらず離婚が認められる場合もあります。
この記事では、実例や裁判の傾向などにもとづいて、裁判離婚に必要な別居年数、注意点等を分かりやすく解説しています。
現在、別居中の方、離婚をご検討中の方など、ぜひ最後までご覧ください。
目次
離婚成立までの別居期間は1年が多い?
別居期間1年未満で離婚する割合が最多?
まず始めに、別居開始してから離婚に至るまで何年かかったか調査した統計をご紹介します。
下の円グラフをご覧ください。
厚生労働省の令和4年度に公開された統計によると、令和2年度、別居の後に離婚した夫婦の別居期間について、最も多いのは1年未満で、全体の82.8%を占めています。
次いで、別居年数1年以上5年未満で離婚した夫婦が11.7%、5年以上が5.5%と続きますので、離婚までの別居年数としては1年未満が圧倒的に多いことが分かります。
厚生労働省 令和4年度「離婚に関する統計の概況」P18の情報を円グラフにまとめました。
次に離婚の方法による別居期間の違いも確認してみましょう。
協議離婚の別居年数も1年未満が断トツ!
協議離婚した夫婦の別居期間についても、最も多い別居年数は1年未満で、86.2%に上ります。
厚生労働省 令和4年度「離婚に関する統計の概況」P18の情報を円グラフにまとめました。
こちらの数字から、協議離婚の場合、別居を開始すると多くの夫婦がそれほど時間をかけずに離婚の合意に至っていることがわかります。
裁判離婚の別居年数も1年未満が多い!?
裁判離婚した夫婦の別居期間についても実は、最多が1年未満で56.8%、次に多いのが1年以上5年未満で34.1%となっています。
厚生労働省 令和4年度「離婚に関する統計の概況」P18の情報を円グラフにまとめました。
※ここで言う「裁判離婚」には、調停離婚、審判離婚、和解離婚、認諾離婚及び判決離婚の5種が含まれます。
裁判離婚では、別居期間が1年以上となるケースが、協議離婚の約3倍に増えます。
このように、裁判離婚をする夫婦の別居年数が長期化する理由は、二つ考えられます。
一つ目の理由
一つ目は、スムーズに円満離婚できず、裁判にもつれこむ程に話し合いがこじれたため、時間がかかり別居年数を重ねてしまったという理由です。
裁判所を利用する離婚方法では、少なくとも半年から1年程度、離婚するまでにかかるので、別居年数が長期化しやすいものです。
二つ目の理由
また、別居そのものを裁判離婚の理由にするために、長期の別居期間をもうけたという理由も考えられます。
別居による婚姻関係破綻を理由とする離婚の場合、ある程度、長期の別居期間をもうけることが必要となります。
これも、裁判離婚成立までの別居期間が長引く要因のひとつでしょう。
別居何年で裁判離婚できる?3年以上?
こちらの項目では、裁判離婚に必要な別居期間に関する実務や判例の考え方について、詳しく解説します。
裁判離婚に必要な別居期間は3年~5年?
協議離婚や調停離婚で合意に至らなかった場合、離婚訴訟を提起して、裁判離婚を目指すことになります。
離婚訴訟で離婚できる条件は、法定離婚事由が存在することです。
法定離婚事由とは、不貞行為をはじめとする、次の1~5までに該当する事由です(民法770条1項)。
法定離婚事由
- 不貞行為
例:肉体関係のある浮気 - 悪意の遺棄
例:生活費を入れない - 3年以上の生死不明
- 回復見込みのない強度の精神病
- 婚姻を継続し難い重大な事由
→夫婦関係の破綻
例:上記1~4に該当しないもの、DV、長期の別居
法定離婚事由について、詳しくは『離婚できる理由とは?|5つの法定離婚事由を解説』という関連記事をご覧ください。
ここでは、別居と法定離婚事由の関係について、話を進めましょう。
実務上、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)という法定離婚事由に当てはまるケースが最も多いといわれています。
「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、夫婦関係が破綻し修復の見込みがないことを指します。
そして、長期間の別居期間があることも、「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するケースがあります。
「婚姻を継続し難い重大な事由」があると認められる別居期間は、夫婦の有責性が同程度の場合、一般的に3〜5年程度が目安となります。
なお「有責性」とは、婚姻関係を破綻させた責任を意味します。
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裁判離婚では別居期間以外も考慮される?
たしかに、別居年数は「婚姻を継続し難い重大な事由」があることを裏付ける一つの事情にはなります。
ただし、別居年数が3年~5年であれば必ず離婚事由に該当するという形式的な判断はされません。
裁判離婚が認められる法律要件はあくまで「婚姻を継続し難い重大な事由」であって、「3年~5年の別居期間を経ること」ではないからです。
過去の判例や裁判例は、同居期間と対比した場合の別居期間の長さ、未成熟子の存否、別居後の婚姻費用の分担状況などを総合的に考慮したうえで、「婚姻を継続し難い重大な事由」の有無を判断しています。
判断要素の例
- 同居期間と対比した場合の別居期間の長さ
- 社会的・経済的に自立していない未成熟子の存否
- 別居後の婚姻費用の分担状況
夫婦の事情はそれぞれで、裁判所の判断もケースによって分かれます。
離婚成立を目指す場合は、まずは離婚をあつかう弁護士に、どのような対策が必要なのか相談してみるのもよいでしょう。
離婚までの別居期間が短くなるケース
以下の事情があると、離婚が認められる別居期間が短くなる傾向があります。
必要な別居期間が短くなる事情
- 婚姻期間が短い
- 離婚を請求される配偶者の有責性が比較的高い
- 未成熟子がいない
など
別居期間なしでも離婚成立は目指せる⁉
相手方配偶者の不貞行為がきっかけで、離婚前提の別居期間をもうけているケースもあるでしょう。
この場合、不貞行為(民法770条1項1号)など別の法定離婚原因の証明ができれば、別居期間の長さにかかわらず、裁判で離婚成立を目指すことができます。
不貞行為の証明をする場合は、配偶者と不倫相手の肉体関係をともなう浮気について、証拠をおさえる必要があります。
たとえば、録音・録音データ、メール・ラインのやりとり、探偵の調査報告書などが、不貞行為の証拠になります。
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離婚までの別居期間が長くなるケース
以下の事情があると、離婚が認められる別居期間が長くなる傾向があります。
必要な別居期間が長くなる事情
- 婚姻期間が長い
- 離婚を請求する配偶者の有責性が比較的高い
- 未成熟子がいる
など
離婚を請求する配偶者の有責性が比較的高いというのは、不貞行為をした側からの離婚請求、DVをした側からの離婚請求などのケースが考えられます。
このような有責配偶者からの離婚請求が裁判で認められるには、そうでない場合と比べて、2倍以上の別居年数が必要になる傾向があります。
くわしくは後述しますので、このまま本記事を読み進めていってください。
別居年数と裁判離婚の成立
○別居期間1年で離婚成立の事例
別居期間約1年の夫婦について、80歳になる夫からの離婚請求が認められた裁判があります(大阪高判平成21・5・26)。
▼裁判所の認定・判断
- 婚姻期間は約18年間
- 大きな波風は立たないが、結婚当初に比べて収入が減り、夫婦で口論も
- 平成15年、夫が手術を受けて退院後、妻が準備するのは夕飯のみに
- 平成19年、妻が、先妻の位牌を勝手に長男宅に送る、夫のアルバムを大護摩で焼却する等した
- 平成20年、長女の学校卒業式の後、口論になり、夫が家を出て別居開始
- 別居期間は約1年
こちらの事案では、妻が、夫の気持ちを理解できず、夫婦関係の修復についても真摯に語らないこと等から、夫婦関係の修復は困難であると裁判所は判断し、「婚姻を継続し難い重大な事由」が認められるとして、別居期間が1年余でも離婚成立となりました。
✕ 別居期間2年で離婚不成立の事例
別居期間約2年の夫婦について、妻からの離婚請求を認めなかった裁判があります(東京高判平成25・4・25)。
▼裁判所の認定・判断
- 夫の女性問題や暴行等により、妻は離婚の意思を固めたが、表面的には穏やかな婚姻生活を継続していた
- 離婚の申し出が唐突で、「夫婦関係改善の努力をしたが別居に至った」などの経緯はない
- 離婚を強く望んでいるが、夫婦関係を回復する見込みが全くないとまではいえない
など
別居期間約2年のこちらの事案では、夫婦関係が完全に破綻しているとは評価されず、裁判離婚は不成立でした。
○別居期間4年10か月で離婚成立の事例
同居期間約10年に対し、別居期間は4年10か月余りの事案で、妻からの離婚請求が認められた裁判があります(東京高判平28.5.25)。
▼裁判所の認定・判断
- 夫のモラルハラスメントにより、妻は、精神科に通院するようになった
- 妻が、長男を連れて別居を開始した
- 婚姻期間は約10年
- 別居期間は約4年10か月
←第一審時点の別居期間は約3年5か月 - 妻の離婚意思は強固。
←第一審では離婚不成立だったので、控訴した - 夫は調停で命じられた婚姻費用を十分に支払わない
←婚姻関係の修復に向けた行動ができていない
など
この事案では、第二審の高等裁判所で、妻からの離婚請求が認められ、裁判離婚が成立しました。
妻が強い離婚の意思を有している一方で、夫は関係修復に向けた具体的な行動をしておらず、しかも婚姻費用の支払も十分にしていないという事情も考慮され、「婚姻を継続し難い重大な事由」があると裁判所は判断し、別居期間約4年10か月で裁判離婚が成立しました。
ちなみに、第一審である家庭裁判所では、妻の精神疾患が妻の思考パターンによる部分も大きい、子どもと夫の関係性が良好、同居期間約10年に比べて別居期間は約3年5か月で短いなどとして、裁判離婚は不成立でした。
一度離婚が認められなくても、別居を継続する、その別居期間中に夫婦関係の修復に努めないなどの事情がある場合、結論が変わり、離婚判決をだしてもらえることもあります。
有責配偶者は別居何年で離婚できる?
有責配偶者とは?
有責配偶者とは、法定離婚事由(民法770条1項各号)にあたる行為をして、離婚の原因をつくった側の配偶者のことを指します。
有責配偶者の典型例は、不貞行為(浮気、不倫)をした配偶者などです。
有責配偶者の例
- 不倫した夫
- 悪意の遺棄
・理由もなく、一方的に家出
・生活費・婚姻費用を入れない - DVやモラハラをする旦那
など
実務では、不貞相手と再婚するために離婚したいなどの理由から、有責配偶者から離婚裁判が提起されるケースも多いものです。
有責配偶者も別居期間を置くことで離婚成立を目指せる?
基本的には、有責配偶者からの離婚請求は認められません。
しかし、別居期間が長期間で、婚姻関係が破綻していると評価された場合には、例外的に、有責配偶者からの離婚請求が通るケースもあります。
簡単にお伝えすると、①長期間の別居期間、②夫婦間に未成熟の子どもがいないこと、③離婚請求された側が苛酷な状況におちいらないことの3つの要件が満たされた場合に、有責配偶者からの離婚請求が認められます。
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離婚成立のためには別居期間10年?
離婚実務上、有責配偶者からの離婚請求の場合、別居期間が10年を超えるときは、離婚成立の可能性が高まると言われています。
ただし、別居期間は一つの目安であって、あくまで総合考慮によります。
双方の経済状況、別居後の婚姻費用の分担状況や、離婚後の他方配偶者の経済状況への配慮など、様々な事情を総合考慮して、離婚の成立・不成立は判断されます。
以下では、有責配偶者からの離婚請求が認められた事案と、認められなかった事案をそれぞれご紹介します。
なお、こちらでご紹介するのは裁判の一例にすぎません。
ご自身のケースで離婚成立の可能性があるかどうかについては、弁護士の個別相談などを活用してご確認ください。
○別居期間約6年で離婚成立
別居期間6年で有責配偶者である夫からの離婚請求が認められた事案があります(東京高判平14.6.26)。
こちらの離婚裁判では、以下のような事情が考慮されて、離婚成立となりました。
▼裁判所が考慮した事情
- もともと会話の少ない夫婦であり、妻が不貞を疑わせるような行動をしたことにより夫婦間の溝が大きく広がった
- 妻が相当な収入を得ている
- 夫が妻に対する離婚給付として、夫名義の自宅建物を分与し、住宅ローンの残りも完済するまで支払続ける意向を示している
など
✕ 別居期間9年以上で離婚不成立
同居期間約14年、別居期間9年以上で有責配偶者である夫からの離婚請求が認められなかった事案です(東京高判平19.2.27)。
こちらの離婚裁判では、以下のような事情が考慮されて、離婚不成立となりました。
▼裁判所が考慮した事情
- 夫婦間の子は、重い障害を有するため、日常生活全般にわたり介護を必要する状況にある
- 子の世話をする相手方配偶者(妻)は、54歳であり就業して収入を得ることが困難な状態である
- 離婚すると、妻は現住居から退去しなければならなくなる可能性があり、経済的に困窮することが十分予想される
など
✕ 同居約18年、別居期間約9年4か月で離婚不成立
同居期間約18年、別居期間約9年4か月で、有責配偶者である夫からの離婚請求が認められなかった事案もあります(仙台高判平25.12.26)。
こちらの離婚裁判では、以下のような事情が考慮されて、離婚不成立となりました。
▼裁判所が考慮した事情
- 夫は不貞行為をした有責配偶者
- 妻は離婚を望んでいない
- 夫婦の子はまだ大学生(未成熟子)
- 夫の不貞・別居後、妻はうつ病になり思うように働けず、離婚をすると、妻は精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状況に置かれる
など
○同居約10か月、別居期間約10年3か月で離婚成立
同居期間約10か月、別居期間約10年3か月で、有責配偶者である妻の離婚請求が認められた事案があります(最一小判昭和63・3・25)。
こちらの離婚裁判では、以下のような事情が考慮されて、離婚成立となりました。
▼裁判所が考慮した事情
- 夫婦双方の年齢
- 同居期間と比べ、別居期間が長期間におよぶ
- 夫婦には子がない
- 妻との離婚で、夫が精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状況に置かれる等の事情がない
など
○家庭内別居約11年、完全別居約5年で離婚成立
家庭内別居約11年、完全別居約5年で、不貞行為をした夫からの離婚請求が認められた事例があります(名古屋高判平成17・5・19)。
こちらの離婚裁判では、以下のような事情が考慮されて、離婚成立となりました。
▼裁判所が考慮した事情
- 同居期間(家庭内別居を含む)は約40年間
- 夫婦双方の年齢が高齢
- 住まいを完全に分けた別居期間は約5年間
- 子どもは成人した
- 夫に対する信頼や愛情が感じられる妻の言動がない
- 夫婦ともに関係回復の努力をほとんどしていない
- 妻は株などで利益を得ている
→離婚によって、妻が精神的・社会的・経済的に極めて困難な状態におかれるとまでは言えない
裁判離婚の別居期間でよくある質問
Q.家庭内別居は別居期間に含まれる?
家庭内別居とは、婚姻を継続し難い同じ屋根の下に住みながらも、生活を別にする状態をいいます。
「婚姻を継続し難い重大な事由」を主張するのであれば、完全別居のほうが効果的です。
しかし、家庭内別居状態であるという夫婦の事情が、一切考慮されないわけでもないでしょう。
たとえば、寝室や食事を別々にするなど、夫婦共同生活を営んでいるとはいえないような場合、夫婦関係の破綻を基礎づける一事情として、裁判で評価される可能性はあります。
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Q.単身赴任は別居期間に含まれる?
通常、単身赴任による別居は、裁判離婚の理由になる別居期間には含まれません。
仕事上の理由で別居しているだけであって、夫婦関係に亀裂が生じて別居するに至ったものではないからです。
ただし、単身赴任中に事情が変化して、離婚の前提となる別居が始まったと評価できる場合などは、その時点から離婚事由となる別居期間が始まったと判断される可能性はあります。
具体的には、単身赴任中に不貞行為が始まり、夫婦関係が悪化した場合が考えられます。
不倫相手とのラインなどのやりとり、夫婦関係が破綻していないことが分かるやりとりなどがあれば、証拠として残しておきましょう。
- 配偶者と不倫相手の性行為についてのやりとり
- 配偶者と不倫相手がラブホテルに立ち寄る写真
- 単身赴任中でも夫婦で頻繁に連絡をとりあっていることが分かる証拠
etc.
不貞行為による離婚・慰謝料請求では、単身赴任中の不貞行為の時点で、夫婦関係が破綻していないことが分かる証拠も必要になります。
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離婚に向けた別居期間の注意点
別居前に証拠収集を完了する
相手が離婚に応じない場合、相手に離婚原因があることを証明する証拠をいかに揃えるかが重要です
自分の主張を裏付ける証拠が充実しているほど、離婚調停で調停委員会の納得を得やすくなります。
調停委員会の理解を得れば、相手方を離婚に向けて説得してくれやすくなります。
離婚訴訟においても証拠は非常に重要です。
すでにご説明したとおり、裁判離婚するには、法定離婚事由が必要です。
そのため、法定離婚事由に当たる事実(不貞行為、DV、モラハラなど)を証明する証拠が多いほど、裁判離婚できる可能性が高まります。
証拠が多いほど、慰謝料の面でも有利になります。
以上の理由から、別居を考えている方は、別居前に証拠収集をできる限り終えておくことが望ましいです。
不貞行為を証明するためには、メールやLINEのやりとりなどが有効です。
DVやモラハラであれば、録音・録画、日記などがあれば主張が認められやすくなります。
DVやモラハラに限らず、別居に至る経緯を日記に書いておくと後々役に立ちます。必ず日付を書いた上、相手の言動などを具体的に記載します。
相手の有責性の高さを証明できれば、別居期間が短くても離婚が認められる可能性が高くなります。
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相手に別居する旨と今後の方針を伝える
別居をする際、できれば事前に相手の同意を得ることが望ましいです。
なぜなら、何も言わず家を出てしまうと、夫婦の同居義務(民法752条)に反する「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)に当たると主張され、慰謝料を請求されるおそれがあるからです。
もっとも、現実には事前の同意を得るのが難しいケースが大半でしょう。
その場合は、置き手紙が有効です。手紙には、別居を決めた理由や今後の方針を簡潔かつ冷静に書いておきます。
相手から「黙って出て行った」と主張されないために、置き手紙のコピーをとっておきましょう。
離婚を迷うなら別居半年~1年で協議を
離婚を明確に決意できない場合もあるでしょう。
そのような場合は、別居合意書を作成し、別居期間を明確に定め、一定の時期をむかえたら今後について協議する旨を約束しておくとよいでしょう。
長期の別居期間は、法定離婚原因に該当しやすくなるリスクがあります。
そのため、復縁を視野に入れる場合、別居開始から、長くても半年~1年以内には、夫婦の話し合いの機会をもうけるのが無難です。
離婚の話し合いが難航→離婚調停の申立て
別居をして冷静に話し合いができる状態になれば、当事者で協議離婚に向けて話を進めましょう。
それが難しければ、弁護士に早めに相談して離婚調停を申し立てるのがおすすめです。
離婚調停では、離婚だけでなく、親権者、面会交流、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割などの離婚条件についても決められます。
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別居後は早期に婚姻費用を請求する
婚姻費用は、夫婦が婚姻している間の生活費です。
たとえ別居しても、収入の多い方の配偶者は婚姻費用の支払義務があります。
婚姻費用の支払義務は、基本的に請求時点から生じます。
したがって、別居後は、できる限り早く婚姻費用の支払を求めましょう。
相手が支払に応じなければ、家庭裁判所に婚姻費用分担請求調停を申し立てます。離婚調停と一緒に申し立てる場合も多いです。
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別居期間中に離婚後の生活設計を立てる
別居して離婚の決意が固まった場合、離婚後の生活設計を具体的に立てることが大切です。
就職や、養育環境の整備、公的支援を調べるなど、別居期間を活用して再出発の準備を着々と整えましょう。
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離婚・別居期間のアドバイスは弁護士にお尋ねください
離婚成立に必要な別居期間まとめ
「別居何年で離婚できるの?」
「うちは別居期間が1年未満…離婚できる?」
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このような疑問・不安をお持ちの方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
話し合いによる離婚の場合、別居半年、別居期間1年というケースでも、夫婦で合意できれば離婚可能です。
一方、裁判離婚の場合は、離婚が認められる別居期間の目安として、一般的には約3年~5年程度が見込まれます。ただし、別居期間が3年~5年になれば必ず離婚できると決まっているわけではありません。
一般的に3~5年程度の別居期間が必要と言えども、同居期間と比べた別居期間の長さも問題になります。
また、不貞など法定離婚事由になる行為をした側が、裁判離婚を主張する場合、別居年数は少なくとも10年程度必要になるでしょう。
離婚できる別居年数、離婚事由は、夫婦によって様々です。
弁護士は、あなたのお話しをお聴きし、裁判例に照らし合わせて、別居期間をはじめとする離婚問題の解決に向けたアドバイスをいたします。
配偶者の不倫になやまされ、しまいには離婚を切り出されてしまったという方も、納得のいく解決をさぐるためにも、離婚をあつかう弁護士の無料相談を活用してみてください。
離婚をあつかう弁護士は、離婚に有利な別居期間だけでなく、慰謝料や財産分与など、離婚問題全般に関するご相談にも対応できます。
弁護士相談の内容(一例)
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離婚に踏み切る決意ができていない方も、将来の選択肢を広げるために、早期に情報収集をしておくことに越したことはありません。いつでもお気軽にご相談ください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
令和5年度の離婚の平均審理期間は、15.3か月という調査結果もあります(裁判所「人事訴訟事件の概況」)。裁判所の審理期間を考えると、裁判離婚のほうが、離婚成立までの別居期間が長期化しやすいといえます。