離婚したらもらえるお金は?離婚補助金はある?手当や公的支援を解説

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離婚したらもらえる

離婚をきっかけに、女性や母子家庭が経済的に苦しくなるケースは少なくありません。
そのような状況に備え、国や自治体はさまざまな支援制度を設けています。

この記事では、特に子どもを育てながら離婚後の生活に不安を抱える方に向けて、利用できる手当や貸付制度、各種サポートについてわかりやすく解説します。

なお、インターネット上で話題になる「離婚補助金」という制度は存在しませんが、児童扶養手当や各種減免制度などを組み合わせることで、生活を実質的に支えることが可能です。

ここで紹介する以外にも、各自治体が独自に実施している支援があります。より自分に合った制度を見つけるために、お住まいの地域の窓口や公式サイトも確認してみてください。
自治体への相談方法については、『市役所で離婚相談はできる?何課に相談すべき?無料相談や支援制度も紹介』で解説しています。

離婚したらもらえるお金をまとめてチェック

離婚時のお金は、大きく分けて配偶者から支払われるお金国や自治体の公的支援があります。

また、税金や公共料金が安くなる減免制度も家計を助ける大きな要素です。

種類主なもの
相手から
もらえるお金
・養育費
・財産分与
・慰謝料
・年金分割
国・自治体から
もらえるお金
・児童手当
・児童扶養手当(母子手当)
・就学援助
・住宅手当
支出を減らす
減免・割引制度
・国民年金や健康保険の免除
・水道料金の減免
・JR通勤定期の割引
・保育料の減免

離婚にかかる費用の平均や相場は、関連記事『離婚にかかる費用はいくら?生活費シミュレーションと相場』で詳しく解説しています。

配偶者へ請求できるお金の種類と相場

まずは、離婚相手に対して請求できる権利があるお金について解説します。

これらは自動的にもらえるものではなく、離婚協議での取り決め(請求)が必要です。

養育費

子どもを監護・養育する親が、他方の親から受け取るお金です。

金額は夫婦双方の年収と子どもの人数・年齢によって、裁判所の算定表に基づき決定されるのが一般的です。

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財産分与

結婚してから離婚するまでの間に、夫婦で協力して築いた財産を分け合う制度です。
名義に関わらず、基本的には2分の1ずつ分けます。

預貯金だけでなく、家、車、生命保険の解約返戻金、将来の退職金なども対象になります。

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慰謝料

相手の不法行為(不貞行為やDVなど)によって離婚に至った場合、精神的苦痛に対する賠償として請求できます。

性格の不一致のように、どちらか一方に明確な責任が認められない場合は、慰謝料を請求できないこともあります。

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年金分割

結婚期間中に納めた厚生年金記録を夫婦で分割する制度です。

離婚後も将来の年金額を確保するための重要な手続きです。

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離婚したらもらえる子ども関連のお金

児童手当

児童手当は、18歳まで(18歳に達する日以降最初の3月31日まで)の子どもを育てている親であれば誰でも受け取れる手当で、離婚前も受け取っている方が多いでしょう。

離婚時には、受給者の変更を忘れずに行いましょう。
基本的には子どもと暮らす方の親が児童手当を受け取ることができます。

児童手当
もらえる人児童(0歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子)を養育している人
月額(最大)3歳未満 15,000円(第3子以降は30,000円)
3歳以上 10,000円(第3子以降は30,000円)

※2025年4月時点。

児童扶養手当(母子手当)

児童扶養手当は、18歳まで(18歳に達する日以降最初の3月31日まで)の子どもを育てるひとり親の方などが受け取れる手当で、以前は母子手当と呼ばれていたものです。

子どもが一定の障害を持っている場合は、子どもが20歳になる年まで児童扶養手当を受けることができます。

ただし、離婚後に異性と同棲していたり、事実婚関係のパートナーがいる方は、児童扶養手当を受給することができません。また、再婚した場合も受給資格を失います。

児童扶養手当の支給額は受給者の前年の所得や扶養親族の数によって決定されます。

児童扶養手当(母子手当)
もらえる人18歳までの子どもを扶養しているひとり親
20歳までで障害を持つ子どもを扶養しているひとり親など
月額児童1人 46,690円~11,010円
児童2人目以降1人につき11,030円~5,520円加算

※2025年4月時点。児童扶養手当の金額は毎年変動するため、必ず最新情報を確認してください。

基準となる所得は、総収入から必要経費を差し引いた所得と元配偶者から受け取る養育費の8割を足したものから、様々な条件ごとの控除額を控除して計算します。

なお、障害基礎年金等の公的年金を受給している方は、児童扶養手当との差額のみを受給することができます。

所得制限やその他の要件について、詳しくはこども家庭庁や各自治体のホームページ等をご確認ください。

児童育成手当

児童育成手当とは、東京都が独自で行っている支援制度で、東京都内で18歳までの子どもを扶養しているひとり親の方などが受け取れます

この手当の対象は東京都内に住んでいる人のみです。

しかし、それ以外の道府県でも同様の支援制度が整備されている場合もありますので、お住まいの自治体の制度について調べてみるとよいでしょう。

児童育成手当
もらえる人東京都在住で18歳までの子どもを扶養しているひとり親など
月額児童1人につき13,500円

※2025年4月時点。

なお、受給者の所得が一定額を超えると、児童育成手当は支給されなくなります。

所得制限について、詳細は各自治体のホームページをご確認ください。

児童扶養手当と児童育成手当の違い

児童扶養手当と児童育成手当の大きな違いは、手当を受給できる条件にあり、児童扶養手当の方が厳しい条件を設けています。

児童育成手当が受給者1人の所得のみを審査対象とするのに対し、児童扶養手当は同居している扶養義務者(祖父母など)の所得も審査対象にしています。

また、児童扶養手当は、元配偶者から受け取る養育費も所得に算入する点や、遺族年金や障害年金などの公的年金を受給している場合に受け取れる額が少なくなるという点でも、児童育成手当より厳しい条件があるといえます。

なお、双方の要件を満たしているのであれば、両方とも受給することが可能です。

特別児童扶養手当

特別児童扶養手当は、心身に障害をもつ子どもを育てる親が受給できる手当で、離婚前でも受け取ることができます。

障害の程度に応じて1級と2級に分かれており、それぞれ支給額が異なります。

特別児童扶養手当
もらえる人心身に障害をもつ20歳未満の子どもを扶養する親
月額1級 56,800円
2級 37,830円

※2025年4月時点。

なお、受給者の所得が一定額を超えると、特別児童扶養手当は支給されなくなります。

離婚前は世帯収入が上限を超えていたために受給できなかった方でも、離婚後なら受給できる可能性があるため、確認してみてください。

障害の程度や収入制限については、厚生労働省や各自治体のホームページなどをご確認ください。

障害児福祉手当

障害児福祉手当は、心身に重度の障害をもつ20歳未満の子どもに対して支給される手当です。

障害児福祉手当
もらえる人心身に重度の障害をもつ20歳未満の子ども
月額16,100円

※2025年4月時点。支給額は毎年改定されます。

なお、受給者本人や配偶者、扶養義務者の所得が一定額を超えると、障害児福祉手当は支給されなくなります。

親が離婚していなくても受給できますが、離婚前は親の所得が上限を超えていたために受給できていなかった方も、離婚によって支給の対象に入る可能性があります。

障害の程度や収入制限については、厚生労働省や各自治体のホームページなどをご確認ください。

就学援助

就学援助は、経済的な理由で就学が難しい子どもの保護者に対し、学用品や給食、修学旅行などの費用の援助を提供する制度です。

離婚前でも援助を受けられますが、離婚によって援助の対象になる方は多いでしょう。

就学援助
もらえる人経済的な理由で就学が難しい小・中学生の保護者
月額

就学援助制度は自治体ごとに行われているため、自治体ごとに援助の対象となる条件や援助の内容が異なります。
まずは通っている学校や自治体にご確認ください。

離婚した家庭が利用できる貸付金

母子父子寡婦福祉資金貸付金

母子父子寡婦福祉資金貸付金は、20歳未満の子どもを扶養している母子家庭や父子家庭、寡婦の経済的自立を支援するために、自治体から資金を貸付する制度です。

事業開始資金や就学資金、生活資金、転宅資金など様々な用途でお金を借りることができ、まとまったお金が必要な場面で役立つでしょう。

生活福祉資金貸付制度

生活福祉資金貸付制度は、所得の少ない世帯や障害者、高齢者のいる世帯が安定した生活を取り戻せるよう、自治体が資金の貸付を行う制度です。

収入や就労状況が一定の条件を満たすと利用できます。

女性福祉資金貸付制度

女性福祉貸付資金制度は、配偶者のいない女性の経済的な自立生活を支援するために自治体が資金の貸付を行う、東京都独自の制度です。

その他の支援制度

ひとり親家庭の医療費助成

18歳以下の子どもを持つひとり親家庭であって、所得が一定以下の場合、自治体から医療費の助成を受けることができます

自治体ごとに助成を受けられる要件や助成の内容が異なりますので、お住まいの自治体のホームページ等をご確認ください。

生活保護

世帯収入が一定基準を下回る世帯は、生活保護を申請することができます。

基準額や支給額は、地域によって異なります。

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養育費に関する公正証書等作成支援

自治体によっては、離婚時に養育費に関する公正証書を作成するための費用を負担する制度を設けています。

公正証書とは

養育費や面会交流、財産分与などの取り決めの内容を記す公文書で、公証役場に手数料を支払って作成することができます。

養育費の取り決めを公正証書にしておくと、相手が養育費の支払いを怠ったときに、強制執行(財産や給与の差し押さえ)を行えるようになります。

離婚後しばらくして養育費の支払いが途絶えるケースは少なくないため、離婚時に公正証書を作成しておくと安心です。

公正証書を作成する際には本来数千円〜数万円ほどの公証人手数料がかかりますが、自治体によってはその費用の一部または全額を負担してくれる場合があります。

自治体ごとに制度が異なるため、まずは各自治体のホームページなどをご確認ください。

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意外と知らない減免・割引制度

現金が支給される手当だけでなく、生活支援のための減免・割引制度も存在します。

これらの制度の多くは申請が必要であり、自動的に適用されるものではありません
必ず市区町村役所などで確認しましょう。

国民年金保険料や国民健康保険料の免除・軽減

所得が少ない場合、申請により国民年金保険料の全額または一部が免除される制度があります。

また、国民健康保険料についても、所得等に応じて軽減措置が設けられている場合があります。

交通機関の割引や無料乗車証

児童扶養手当を受給している世帯は、JRの通勤定期乗車券が3割引になる制度があります。

また、自治体によっては、バスや地下鉄の無料乗車証が交付される場合もあります。

交通機関の割引や無料乗車証の制度は、自治体ごとに内容や対象が異なるので、詳しくはお住まいの市区町村役所でご確認ください。

上下水道料金の減免

市区町村によっては、児童扶養手当の受給世帯など、ひとり親家庭や低所得世帯を対象に上下水道料金の減免が受けられる場合があります。

具体的な対象や内容は自治体ごとに異なるため、詳しくはお住いの市区町村のホームページをご確認ください。

保育料の無償化・減免

3歳~5歳児は所得にかかわらず保育料が無償となります。
0歳~2歳児については、住民税非課税世帯が無償化の対象です。

ひとり親世帯等については、保育料の減免・軽減措置が設けられており、申請により保育料が減額される場合があります。

粗大ごみ処理手数料の減免

一部の自治体では、ひとり親世帯や生活保護受給世帯などを対象に、粗大ごみ処理手数料を減免する制度を設けている場合があります。

ただし、これは国が一律に定めた制度ではなく、自治体ごとに運用が異なります。

公営住宅への優先入居や家賃補助

都道府県や市区町村が運営する公営住宅は、民間より家賃が低く設定されています。

多くの自治体では、ひとり親世帯に抽選倍率の優遇や優先入居制度が設けられています。
家賃補助や減額が適用される場合もあります。

ただし、公営住宅は募集時期が限られているため、最新の情報は役所の住宅課で確認するようにしましょう。

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離婚前後のお金の手続きとスケジュール

離婚前後でやるべきお金の手続きを時系列でまとめました。
チェックリストとして活用してください。

別居中・離婚前にやること

  • 配偶者に婚姻費用(生活費)を請求
  • 別居の場合は児童手当の受給者変更の手続き
  • 財産分与の対象となる財産や金額を正確に把握する

離婚届の提出時にやること

  • 世帯主の変更手続き(世帯主変更届を提出)
  • 国民健康保険や国民年金に加入・変更
  • 児童手当の受給者変更や振込先変更の手続き

離婚後直ちにやること

  • 児童扶養手当の認定請求
  • ひとり親家庭等医療費助成の申請
  • 各種減免制度の申請

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離婚後に忘れてはいけない手続き一覧

離婚したらもらえるお金についてよくある質問

Q. 離婚補助金はどこでもらえる?

離婚補助金という名称の公的制度はありませんが、離婚後の生活を支える仕組みはいくつもあります。

たとえば、児童扶養手当や住宅関連の支援、医療費助成、公営住宅の優遇、福祉資金の貸付などの制度が実質的な支援として機能しています。

Q. パート勤務でも児童扶養手当はもらえる?

パート勤務でも、所得が基準以内であれば児童扶養手当を受け取ることができます。

判定の際には給与収入に加え、元配偶者から受け取る養育費の8割も所得として扱われます。

なお、所得制限額は扶養親族の人数などによって変わり、一定額を超えると手当が減額されたり、支給が停止されたりします。

Q. 実家に住んでいても手当はもらえる?

実家で親と同居している場合は、同居している扶養義務者の所得も審査の対象になります。

親の所得が一定額を超えていると、児童扶養手当が減額されたり、支給停止となることがあります。

Q. 弁護士に依頼すると、もらえるお金は増える?

弁護士が介入することで、適正な財産分与や慰謝料、養育費を法的に適正な基準で算定し、相手と粘り強く交渉するため、結果として獲得できる金額が増えるケースは多くあります。

また、離婚後の生活設計や利用できる制度についても適切な助言を受けられるため、将来の生活基盤をより安定させることができます。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了