相続税申告の必要書類チェックリスト|財産の種類別・取得先別に一覧で解説

相続税の申告を前に、「どんな書類を集めればいいの?」「何から手をつければいいかわからない」と感じている方は多いのではないでしょうか。
相続税申告に必要な書類は、財産の種類や家族構成、適用する控除・特例によって異なり、全体像を把握しないまま集め始めると、後から追加取得が必要になることもあります。
この記事では、相続税申告に必要な書類を「全員共通の書類」「財産の種類別の書類」「控除・特例に必要な書類」の3カテゴリーに整理し、チェックリスト形式でわかりやすくまとめました。
取得先や取得にかかる時間の目安も紹介しているので、申告期限(10ヶ月)から逆算したスケジュール管理にもお役立てください。
目次
相続税申告の必要書類は3種類に分けられる
相続税申告の書類が多くて整理できない、という方は多いですが、大きく分けると次の3つのカテゴリーに整理できます。
- ①全員共通で必要な書類
財産の内容にかかわらず準備する書類 - ②財産の種類別に必要な書類
所有している財産に応じて準備する書類 - ③控除・特例の適用に必要な書類
配偶者控除や小規模宅地等の特例などを使う場合のみ必要な書類
まずはこの3つの枠組みを頭に入れておくことで、自分が何を準備すべきかが格段に整理しやすくなります。
3つのカテゴリーに沿って書類を一覧にした「相続税申告の必要書類チェックリスト」も用意しているので、準備状況の確認にお使いください。
以下では、各カテゴリーを具体的に見ていきましょう。
【全員共通】相続税申告に必ず必要な書類
相続税の申告で用意する書類には、申告書に添付して税務署へ提出する書類と、財産の確認や各種手続きのために準備する書類があります。
まずは、財産の内容にかかわらず共通して必要になるものを確認しましょう。
被相続人に関する書類
被相続人に関する書類のうち、まず申告書に添付するものを確認しましょう。
| 書類名 | 取得先 | 取得期間の目安 |
|---|---|---|
| 相続人が分かる戸籍謄本・除籍謄本 | 本籍地の市区町村役場 | 1~2週間程度 |
申告書には、被相続人のすべての相続人を明らかにする戸籍謄本等を添付します。相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたものが必要です。
相続人を確認するため、実務上は被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本を収集します。
戸籍謄本等に代えて、一定の要件を満たす図形式の法定相続情報一覧図の写しを提出することも可能です。被相続人に養子がいる場合は、その養子の戸籍謄本または抄本も必要になります。
戸籍証明書等の広域交付制度を利用すれば、本人・配偶者・直系尊属・直系卑属の戸籍を、本籍地以外の市区町村窓口でも請求できます。ただし、兄弟姉妹やおい・めいなどの戸籍、コンピュータ化されていない戸籍などは対象外です。
広域交付は本人が窓口で請求する必要があり、郵送や代理人による請求はできません。利用できない場合は複数の市区町村への請求が必要になることもあるため、早めに取得へ着手するとよいでしょう。
一方、被相続人に関する書類には、申告書への添付は一律に求められないものの、財産確認や不動産・金融機関の手続きで使うものもあります。
| 書類名 | 取得先 | 取得期間の目安 |
|---|---|---|
| 住民票の除票 | 死亡時の住所地の市区町村役場 | 即日~数日 |
| 戸籍の附票 | 本籍地の市区町村役場 | 即日~数日 |
住民票の除票は本籍地が記載されたもの、戸籍の附票は住所履歴の確認に使います。
ただし、相続時精算課税制度を適用していた人がいる場合は、被相続人の戸籍の附票の写し(相続開始の日以後に作成されたもの)の添付が必要です。
相続人に関する書類
申告時に用意する主な書類は、次のとおりです。
| 書類名 | 取得先 | 取得期間の目安 |
|---|---|---|
| 被相続人のすべての相続人が分かる戸籍謄本等 | 本籍地の市区町村役場など | 1~2週間程度 |
| マイナンバーの番号確認書類 | 手元のカードまたは市区町村役場 | ― |
| 身元確認書類 | 手元の書類を準備 | ― |
戸籍謄本等は、相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたものを添付します。一定の要件を満たす図形式の法定相続情報一覧図の写しで代えることも可能です。
被相続人の死亡の事実が戸籍に反映されるまでには一定の日数がかかるため、死亡届を提出した直後では取得できない場合があります。
また、相続税申告書には相続人など申告書に記載する人のマイナンバーを記載します。紙で申告する場合は、原則として本人確認書類の写しを添付します。税務署の窓口で本人が提出する場合は、自分の本人確認書類を提示することも可能です。
番号確認にはマイナンバーカードやマイナンバーが記載された住民票の写しなど、身元確認にはマイナンバーカード、運転免許証、パスポート、公的医療保険の資格確認書などを利用できます。
マイナンバーカードは1枚で番号確認と身元確認の両方に使えます。写しを添付する場合は、表面と裏面の両方が必要です。
e-Taxで申告する場合は、本人確認書類の提示や写しの提出は不要です。
なお、相続税申告とは別に、相続手続きで使う書類もあります。次の書類は申告書への添付が一律に求められるものではないため、必要に応じて準備します。
| 書類名 | 取得先 | 取得期間の目安 |
|---|---|---|
| 各相続人の住民票 | 各自の住所地の市区町村役場 | 即日~数日 |
遺産分割・遺言に関する書類
遺言書または遺産分割協議書の写しは、相続税申告の際に、通常は申告書とあわせて提出する書類です。遺言の有無や遺産分割協議を行ったかによって、準備するものが変わります。
| 書類名 | 対象・備考 | 取得先 |
|---|---|---|
| 遺言書の写し(公正証書遺言の場合は謄本) | 遺言書がある場合に準備・提出 | 公証役場・法務局・手元保管 |
| 遺産分割協議書の写し | 遺産分割協議を行った場合に準備・提出 | 相続人間で作成 |
公正証書遺言は公証役場、自筆証書遺言保管制度を利用している場合は法務局で確認できます。これらとは別に、自宅や貸金庫などに保管された遺言書がないかも確認しましょう。
なお、相続放棄した人がいる場合は、家庭裁判所が発行する相続放棄受理証明書も取得しておくと、相続人の範囲を確認しやすくなります。
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【財産の種類別】所有財産に応じて必要な書類一覧
ここからは、所有している財産の種類に応じて必要になる書類を確認しましょう。
自分が相続する財産に該当するカテゴリーだけ確認してください。
不動産(土地・建物)
| 書類名 | 取得先 |
|---|---|
| 固定資産税評価証明書(または固定資産税課税明細書) | 市区町村役場 |
| 名寄帳 | 不動産の所在地である市区町村役場 |
| 登記事項証明書(登記簿謄本) | 法務局(オンライン申請可) |
| 公図・地積測量図・建物図面 | 法務局 |
| 路線価図(国税庁ウェブサイトで確認) | 国税庁ウェブサイト(印刷して使用) |
| 賃貸借契約書の写し(賃貸中の物件がある場合) | 手元の書類を準備 |
固定資産税が非課税の不動産や他者と共有している不動産については、毎年自宅に届く固定資産税課税明細書に記載がない可能性がある点に注意が必要です。
このような不動産の存在については、不動産を管轄する役所で名寄帳を取得すると確認することができます。
所有不動産記録証明制度の利用
2026年2月2日から所有不動産記録証明制度により、被相続人が登記名義人となっている不動産をリスト化した書面(所有不動産記録証明書)を請求できるようになりました。
この制度を利用することで、相続税の対象となっている不動産について漏れが生じる可能性を減らせるでしょう。
所有不動産記録証明書は、登記名義人本人(終活等での利用)または相続人をはじめとする一般承継人(代理人による請求も可)が、すべての法務局で書面またはオンラインで請求できます。
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預貯金・現金
| 書類名 | 取得先 |
|---|---|
| 残高証明書(相続開始日現在のもの) | 各金融機関 |
| 通帳の写し(過去数年分) | 手元の書類を準備 |
| 入出金履歴書 | 各金融機関 |
| 定期預金の証書の写し | 手元の書類を準備 |
| 経過利息計算書 | 各金融機関 |
過去5年分の入出金が確認できるものであることが望ましいでしょう。
通帳の記載については、過去5年間分で不足している期間の入出金履歴書を各金融機関で取得することができます。
また、定期預金がある場合は、残高証明書と併せて「経過利息計算書」の発行も依頼しましょう。
残高証明書の取得手続きや注意点については、『相続税申告に残高証明書は必要?通帳ではダメな理由と取得方法』で詳しく解説しています。金融機関ごとに手続きが異なるため、早めに各銀行へ問い合わせることをおすすめします。
有価証券(株式・投資信託・債券など)
| 書類名 | 取得先 |
|---|---|
| 残高証明書(相続開始日現在のもの) | 証券会社・信託銀行 |
| 取引残高報告書 | 証券会社から送付される書類 |
| 上場株式の評価に用いる価格を確認できる資料(相続開始日の終値、相続開始月・前月・前々月の各月の月平均終値等) | 証券取引所・証券会社の資料 |
| 投資信託の基準価額証明書 | 証券会社・運用会社 |
有価証券の持ち主であることを証明する書類や、評価額がわかる書類が必要となります。
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生命保険金・死亡退職金
| 書類名 | 取得先 |
|---|---|
| 生命保険金支払通知書(保険金計算書) | 保険会社から送付 |
| 保険証券の写し | 手元の書類を準備 |
| 死亡退職金・弔慰金の支払通知書 | 勤務先から送付 |
生命保険金・死亡退職金については、受取人が相続人(相続放棄した人・相続権を失った人を除く)である場合に限り、500万円×法定相続人の数の非課税枠が適用されます。
課税対象かどうかを確認するためにも、支払金額の確認書類は必ず保管してください。
借入金・債務(マイナスの財産)
| 書類名 | 取得先 |
|---|---|
| 借入金残高証明書 | 金融機関 |
| ローン返済予定表の写し | 手元の書類を準備 |
| 未払いの医療費・税金等の領収書・通知書 | 手元の書類を準備 |
| 葬式費用の領収書(葬儀社等) | 葬儀社・お寺等から受領 |
借入金や未払い費用は相続財産から差し引ける「債務控除」の対象になります。
また、葬式費用も同様に遺産総額から差し引くことができるため、領収書等は必ず保管しておきましょう。
その他の財産
| 財産の種類 | 必要な書類の例 |
|---|---|
| 車両(自動車・バイク) | 車検証の写し、任意保険証書、価格を示す資料 |
| ゴルフ会員権・リゾート会員権 | 会員権証書の写し、時価を示す資料 |
| 貸付金・未収入金 | 金銭消費貸借契約書の写し |
| 農地・山林 | 固定資産評価証明書、農地台帳の写し |
| 海外財産 | 残高証明書・評価証明(現地言語の書類+翻訳が必要な場合あり) |
| 相続開始前に受けた贈与 | 贈与契約書や振り込みを受けた記録など |
財産の内容や金額がわかる書類が必要です。
相続や遺贈などで財産を取得した人が、相続開始前の一定期間内に被相続人から暦年課税による贈与を受けていた場合、その贈与財産を相続税の課税価格に加算することがあります。
加算対象期間は相続開始日によって異なります。2026年12月31日以前に相続が開始した場合は相続開始前3年以内、2027年1月1日以後は段階的に延長されます。加算対象期間や加算額の詳しい取扱いは『暦年贈与(暦年課税)とは?非課税枠や注意点、やり方をわかりやすく解説』をご覧ください。
確認資料として、贈与契約書、贈与税申告書の控え、預金通帳、振込記録などを準備しておきましょう。
準確定申告が必要ならその資料も
準確定申告が必要な場合は、申告に必要な資料もそろえましょう。
準確定申告とは、年の途中で亡くなった方(被相続人)について、1月1日から死亡日までの所得を計算し、相続人が代わりに所得税の確定申告と納税を行う手続きです。
申告期限が相続開始を知った日の翌日から4か月以内と相続税よりも短いので、早期の資料収集が必要な点に注意しましょう。
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相続税の控除や特例を受ける場合の必要書類
相続税には、一定の要件を満たす場合に税額を大きく減らせる控除・特例があります。
これらを適用する場合は、通常の書類に加えて追加書類が必要になります。
配偶者の税額軽減
配偶者が相続する場合、法定相続分または1億6,000万円のいずれか大きい金額まで相続税が非課税になる制度です。
| 追加書類 | 取得先 |
|---|---|
| 戸籍謄本(被相続人との婚姻関係を証明) | 本籍地の市区町村役場 |
| 遺産分割協議書または遺言書の写し | 相続人の合意に基づいて作成 |
| 相続人全員の印鑑証明書 | 市区町村役場 |
印鑑証明書は、遺産分割協議書に押印した印鑑のものを用意してください。
申告期限までに遺産分割協議が整わない場合は、「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出が必要です。
なお、この控除の適用を受けることで相続税額がゼロになる場合でも、申告書の提出は必須です。
配偶者の税額軽減の要件やデメリットについて知りたい方は『相続税の配偶者控除とは?計算方法と二次相続への影響を解説』の記事をご覧ください。
小規模宅地等の特例
被相続人が居住や事業に使っていた土地などについて、一定の要件を満たすと相続税評価額を減額できる特例です。
必要書類は、適用する宅地等の区分や被相続人の居住状況などによって異なります。すべての書類を用意するわけではありません。
| 追加書類 | 該当するケース |
|---|---|
| 遺産分割協議書の写し、印鑑証明書など | 遺産分割により取得した場合 |
| 過去の住所や家屋の所有関係を確認できる書類 | 一定の要件を満たす別居親族が特定居住用宅地等の特例を適用する場合 |
| 戸籍の附票の写し、要介護認定等を確認できる書類、施設の入所契約書の写しなど | 被相続人が老人ホームなどに入所していた場合 |
| 貸付事業を3年を超えて行っていたことを確認できる書類など | 相続開始前3年以内に新たに貸付けを始めた宅地に適用する場合 |
被相続人が老人ホームなどに入所していた場合は、入所前の居住状況や要介護認定等、施設の要件を確認できる書類を準備します。戸籍の附票の写しは、相続開始の日以後に作成されたものが必要です。
小規模宅地等の特例の適用要件や注意点については『小規模宅地等の特例とは?要件・計算方法をわかりやすく解説【フローチャート付き】』の記事で詳しく知ることができます。
相続時精算課税制度を使っていた場合
被相続人から生前に相続時精算課税制度による贈与を受けていた場合は、相続税の課税価格に加算して申告する必要があります。
なお、2024年(令和6年)1月1日以後の贈与については、年110万円の基礎控除額を控除した後の残額が相続税の課税価格に算入されます。
| 追加書類 | 取得先 |
|---|---|
| 被相続人の戸籍の附票 | 本籍地の市区町村役場 |
| 贈与税の申告書の写し(過去に提出したもの) | 手元保管または税務署で確認 |
| 相続時精算課税選択届出書の写し | 手元保管 |
このうち申告書に添付するのは、被相続人の戸籍の附票です。住所を確認する書類として、住民票ではなく戸籍の附票が必要となります。また、戸籍の附票は相続開始の日以後に作成されたものでなければなりません。
贈与税の申告書の写しと相続時精算課税選択届出書の写しは、過去にいくら贈与を受けたか、いつ制度を選択したかを確認するために手元で準備する資料です。
相続時精算課税制度がどのようなものなのかについて知りたい方は『相続時精算課税制度をわかりやすく解説!改正の変更点などもわかる』の記事をご覧ください。
未成年者控除・障害者控除
相続人が未成年や特定の障害を負っている場合には、支払うべき相続税額から一定額の控除が可能です。
| 追加書類 | 備考 |
|---|---|
| 相続人の戸籍謄本(生年月日の確認) | 全員共通書類と兼用可 |
| 障害の程度などを確認できる書類(障害者手帳、障害者控除対象者認定書など) |
障害者控除について詳しく知りたい方は『相続税の障害者控除|等級などの要件や申告義務は?控除しきれない時はどうする?』の記事をご覧ください。
必要書類収集の流れや収集のコツ
必要書類収集のスケジュール目安
相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です(多くの場合は死亡日の翌日が起算点となります)。
書類収集は早ければ早いほど安心ですが、優先順位を意識して動くことが重要です。
| 時期の目安 | やること |
|---|---|
| 相続開始後すぐ(~1ヶ月) | 被相続人の戸籍収集を開始(最も時間がかかるため最優先)、金融機関へ残高証明書の取得を問い合わせ |
| ~3ヶ月 | 相続財産の全体像を把握、遺産分割の方針を決定、相続人全員の書類を収集 |
| ~6ヶ月 | 財産種別ごとの書類を収集・整理、控除・特例の適用要件を確認して追加書類を収集 |
| ~9ヶ月 | 申告書の作成・内容確認、書類の最終チェック |
| 10ヶ月以内 | 申告書・添付書類を税務署へ提出 |
期限内に相続税の申告が行えない場合には、無申告加算税や延滞税といったペナルティが生じることがあります。
仕事や家事で忙しく、期限内に書類の収集や申告を行うことが難しいと感じている場合には、専門家である税理士に相談しましょう。
相続税の申告期限や、間に合わない場合のペナルティについて知りたい方は『相続税の申告期限はいつまで?10か月の計算方法と遅れた際のリスク』の記事をご覧ください。
必要書類を効率よく収集する方法
相続税申告に必要な書類を、申告期限内に効率よく収集するためには、以下のような点を意識すると良いでしょう。
- 戸籍謄本や住民票などの身分証明書は最初に収集する
- 即日発行できない書類は早めに収集する
- 領収書や証明書なども早めに確認・収集する
戸籍謄本については、金融機関から書類を発行してもらう際に利用することもあるので、最初に収集すると効率的といえます。
金融機関や保険会社から書類を発行してもらう際には、時間がかかる可能性があるので、なるべく早期に請求を行いましょう。
領収書や証明書は、紛失しているなら再発行が必要となるので、まずは手元にあるかどうかを確認してください。
必要書類収集に関して知っておくべきこと
Q. 必要書類の収集をすべき人とは?
相続税の申告が必要な人です。
課税価格の合計額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合は、原則として相続税の申告が必要です。
国税庁の統計では、令和6年分の相続税の課税割合は10.4%で、亡くなった方のおよそ10人に1人が相続税の課税対象となっています(国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」)。
なお、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を適用して相続税額が0円になる場合でも、適用を受けるには申告が必要です。
Q. 相続税申告の添付書類はどこまで提出する?
一般の場合、税務署へ提出する主な書類には、被相続人のすべての相続人が分かる戸籍謄本等や、遺言書または遺産分割協議書の写しがあります。特例を適用する場合などは、追加の添付書類が必要になります。
残高証明書や通帳などは、申告書を作成するために確認する資料で、原則として申告書への添付は必要ありません。
Q. 書類がそろわない場合はどうする?
書類がそろわなくても、相続税の申告期限が延びるわけではありません。取得に時間がかかる書類がある場合は、早めに税務署や税理士へ確認し、期限内の申告・納税を進めましょう。
遺産分割協議がまとまらない場合は、未分割のままでも申告できます。未分割財産を法定相続分で取得したものとして申告し、必要に応じて「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出します。
未分割財産には、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を原則として適用できません。ただし、一定の要件を満たせば、分割後、原則として分割が行われた日の翌日から4か月以内に更正の請求をすることで、特例を適用できる場合があります。
遺産分割が終わらず必要書類が揃わない場合の対応については、『相続税は遺産未分割でも申告が必要|デメリットと申告書の書き方』が参考になります。
Q. 税理士に依頼する場合の「書面添付制度」とは?
書面添付制度とは、税理士が申告書の作成にあたって計算・整理した事項などを記載した書面を、相続税申告書に添付する制度です。
この書面が添付されている場合、一定の実地調査では事前通知の前に税理士への意見聴取が行われます。意見聴取で疑問点が解消し、実地調査に至らないこともありますが、調査を省略するための制度ではありません。
書面添付制度について詳しく知りたい方は『書面添付制度とは?相続税申告のメリット・デメリットを解説』の記事をご覧ください。
相続税申告の必要書類チェックリスト
ここまで紹介した書類を、3つのカテゴリーごとに一覧でまとめました。準備状況の管理にご活用ください。
全員共通の書類
| 書類名 | 備考 | |
|---|---|---|
| ☐ | 被相続人の相続人が分かる戸籍謄本・除籍謄本 | 申告書に添付 |
| ☐ | 申告書に記載する人のマイナンバー確認書類・本人確認書類 | 原則として写しを添付※ |
| ☐ | 遺言書の写し | 遺言書がある場合に準備・提出 |
| ☐ | 遺産分割協議書の写し | 遺産分割協議を行った場合に準備・提出 |
| ☐ | 相続人全員の戸籍謄本 | 相続人の確認に使用 |
| ☐ | 被相続人の住民票の除票・戸籍の附票、相続人全員の住民票 | 住所や財産の確認に使用 |
※窓口で申告書を提出する人は自分の分を提示でも可。e-Taxの場合は提示・写しの提出とも不要
財産別の書類(該当する財産がある場合のみ)
| 書類名 | 財産の種類 | |
|---|---|---|
| ☐ | 固定資産税評価証明書・登記事項証明書・公図等 | 不動産 |
| ☐ | 残高証明書・通帳の写し | 預貯金 |
| ☐ | 残高証明書・取引報告書 | 有価証券 |
| ☐ | 支払通知書 | 生命保険金・死亡退職金 |
| ☐ | 残高証明書・ローン返済予定表 | 借入金・債務 |
| ☐ | 領収書 | 葬式費用 |
控除・特例の書類(適用する場合のみ)
| 書類名 | 控除・特例 | |
|---|---|---|
| ☐ | 戸籍謄本・遺産分割協議書等 | 配偶者の税額軽減 |
| ☐ | 遺産分割協議書・印鑑証明書等 | 小規模宅地等の特例 |
| ☐ | 被相続人の戸籍の附票 | 相続時精算課税 |
| ☐ | 障害の程度などを確認できる書類 | 障害者控除 |
相続税申告の書類は種類が多いため、一度にすべて集めようとすると整理が難しくなります。
まずは「全員共通の書類」を集め、財産の内容に応じて追加書類をそろえていくと、準備を進めやすくなります。
チェックリストとあわせて、国税庁の「相続税の申告の際に提出していただく主な書類(令和8年分用)」も参考にするとよいでしょう。
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必要書類のチェックについては税理士に相談を
相続税の必要書類は、財産の内容や適用する特例によって異なります。書類に漏れがないか不安な場合は、税理士に相談するとよいでしょう。
書類を準備した後は、相続財産を評価し、相続税申告書を作成・提出します。特に土地や建物の評価には、専門的な知識が必要になる場合があります。
また、期限内に申告・納税できない場合は、無申告加算税や延滞税がかかることがあります。申告期限に余裕を持って準備を進めましょう。
相続税に強い税理士の探し方を知りたい方は『相続税に強い税理士の探し方とは?評判の良い税理士の選び方7選』の記事をご覧ください。
アトム相続税理士法人では無料相談が可能です。
相談予約は24時間いつでも受け付けているので、相続税の申告に関して気になる点がある方はいつでもご連絡ください。

監修者
高部孝之税理士事務所
税理士高部孝之
2019年税理士試験合格 2020年税理士登録
都内大手税理士法人にて約13年間勤務。資産税部門の責任者などを経て、2024年に独立し浅草にて資産税を強みとする税理士事務所を開業。
専門用語を用いず、平易な言葉で説明することを大切にしており、お客様が親しみやすく相談しやすい税理士を理想としています。
保有資格
税理士・FP技能士1級・相続診断士