相続税申告はどこの税務署にする?管轄の税務署の調べ方も解説

更新日:
相続税の申告

「相続税申告はどこの税務署でする?」
「指定があるなら事前に知っておきたい」

相続税申告は人生で何度もするものではなく、どこに、いつまでに申告すれば良いのか不安な方も多いと思います。

相続税申告は、原則「被相続人が住んでいた住所地を管轄している税務署」に行います。

では、老人ホームへ入居中に亡くなった場合や、単身赴任中に亡くなった場合はどこの税務署に相続税申告するのでしょうか。

この記事では、ケース別の相続税申告すべき税務署と、住所または郵便番号から管轄の税務署を調べる方法を解説します。

相続税申告する税務署と申告期限

相続する財産の合計額が基礎控除額を超えると、相続税申告が必要になります。

相続税申告とは、相続する財産や納付する相続税を記入した相続税申告書と添付資料を、税務署に提出することをいいます。

相続税申告は「住んでいた住所地を管轄する税務署」に行う

相続税申告先の税務署

相続税申告は、原則「被相続人(亡くなった方)が住んでいた住所地を管轄している税務署」で行います。

被相続人の住民票がある住所地ではなく、「生活の本拠としていた場所」を管轄している税務署ですので注意しましょう。

もちろん住民票がある住所地が生活の本拠だったのであれば、その住所地を管轄する税務署が相続税申告先です。

生活の本拠とは、睡眠や食事など、日常生活を過ごしていた場所をいいます。

相続人の自宅の最寄りの税務署や、ほかの税務署では相続税申告できません。

なお、相続税の納付も申告先と同じ税務署に行います。

相続税の申告期限は10か月

相続税の申告・納付期限

相続税申告は、相続の開始日(被相続人の死亡を知った日)の翌日から、10か月以内に行わなければなりません。

申告期限の日が土曜日・日曜日・祝日の場合は、次の平日が申告期限になります。

そもそも自分は相続税申告が必要なのか確認したい、相続税申告の流れを知りたいという方は、関連記事『相続税申告の手引き|申告の要否、申告の流れを税理士が解説』をお読みください。

相続税申告する税務署に迷うケース|正しい申告先

ここでは、被相続人が亡くなった場所や生前の生活状況から、どこの税務署に相続税申告すれば良いのか迷ってしまうケースと、それぞれのケースの正しい申告先を紹介します。

相続税の納付も同じ税務署におこなってください。

(1)入院していた病院で亡くなったケース

被相続人が病院に入院しているときに亡くなった場合は、入院する前に生活していた場所を管轄している税務署に、相続税申告を行います。

入院する前に生活していた場所は基本的に、自宅になるでしょう。

いずれ退院して生活の本拠(自宅など)に戻ることが前提ですので、病院が生活の本拠という扱いにはなりません。

(2)老人ホームで亡くなったケース

被相続人が老人ホームに入居しているときに亡くなった場合は、老人ホームの所在地を管轄している税務署に、相続税申告を行います。

老人ホームは、介護サービスを受けながら生活し、そこで余生を過ごすことが一般的です。

そのため、住民票の住所を自宅に残していた場合であっても、生活の本拠は老人ホームにあると考えます。

(3)住民票がある住所とは別の場所で亡くなったケース

別荘や子どもの家に住んでいたときに亡くなった場合は、実際に住んでいた場所の所在地を管轄している税務署に、相続税申告を行います。

たとえば、別荘に住んでいるときに亡くなった場合には、その別荘がある場所を管轄している税務署が正しい申告先になります。

ただし、年に数日しか利用しない別荘に訪れたタイミングで亡くなった場合や、別荘に住み始めてすぐに亡くなった場合は、元の自宅が生活の本拠となりますので、元の自宅の住所地を管轄する税務署が相続税の申告先です。

どの税務署に申告するか自分では判断がつかない場合、税務署に無料相談することも可能です。

税務署への相談方法は、電話と対面の2つがあります。詳しくは関連記事『相続税申告の疑問は税務署で無料相談|相談できることや相談方法を解説』をお読みください。

(4)国内の単身赴任先で亡くなったケース

国内の単身赴任先で死亡した場合の申告先

国内の単身赴任先で亡くなった場合は、単身赴任の状況によって相続税申告すべき税務署が異なります。

一時的な単身赴任で、いずれは自宅に戻るような状況であれば、自宅の住所地を管轄する税務署が、相続税の申告先です。

対して、単身赴任が長期にわたり、自宅に戻る予定がない場合はついては、単身赴任先の住所地を管轄する税務署が、相続税の申告先になります。

ご自身で判断がつかない場合は、税務署に相談しましょう。

(5)海外の単身赴任先で亡くなったケース

海外の単身赴任先で亡くなった場合は、日本の自宅の住所地を管轄している税務署に、相続税申告を行います。

なぜなら、海外には日本の税務署がないためです。

長期にわたる単身赴任だったとしても、相続税の申告・納付先は日本国内の税務署です。

(6)複数の家を転々としていたケース

自宅や子どもの家など、複数の家で生活していた場合は、メインで居住していた家の住所地を管轄する税務署に、相続税申告書を提出します。

相続税法上、生活の本拠が2つあることは認められていないため、どの家で一番生活していたか判断して、申告先の税務署を決めましょう。

生活の本拠であるかどうかは、客観的事実によって判定するものとする。この場合において、同一人について同時に法施行地に2箇所以上の住所はないものとする。

相続税法第1条の3

(7)海外に住んでいて海外で亡くなったケース

住民票がすでに日本にはなく、生活の本拠が海外にある被相続人が亡くなった場合は、相続人の自宅の住所地を管轄している税務署に、相続税申告書を提出します。

これは、海外には日本の税務署がなく、被相続人の生活の本拠を相続税の申告・納付先とすることが不可能であるためです。

たとえば、被相続人がアメリカに住んでいて、相続人がそれぞれ東京都と愛知県に住んでいるとします。

この場合は、相続人がそれぞれの自宅の住所地(東京都・愛知県)を管轄する税務署に相続税申告・納付を行います。

なお、相続人も海外に住んでいる場合に、相続税の納税義務があるときは日本国内の税務署を自由に選択し、相続税申告・納付を行います。一般的には過去に住んでいたところを納税地とすることが多いようです。

関連記事

相続税の外国税額控除で二重課税を防ぐ|控除額の計算例も解説

相続税の相続税の無料相談

【画像つき】相続税申告する管轄の税務署を調べる方法

被相続人の生活の本拠がわかったら、その住所地を管轄している税務署を調べましょう。

管轄している税務署は、国税庁のホームページで調べます。

国税庁のホームページはこちら『国税庁|国税局・税務署を調べる

①国税庁のホームページを開くと、以下のような画面が出てきますので、郵便番号か住所を入力して、検索ボタンを押しましょう。

管轄の税務署の調べ方①

②検索ボタンを押すと、相続税申告・納付を行う税務署が調べられます。

管轄の税務署の調べ方②

ホームページ下部にある地図や、一覧からでも調べられますので、調べやすい方法をお使いください。

税務署に相続税申告する際によくある質問

(1)税務署から相続税申告の案内は届く?

相続税申告が必要なほどの財産を相続したとしても、税務署から相続税申告の案内が届くことはありません。

「相続税についてのお尋ね」という書類が税務署から届くことはありますが、これは相続税申告が必要な人に送っているわけではなく、市区町村に提出された死亡届をもとに、亡くなった方の親族に発送しているものです。

相続では、相続人が自らで相続する財産の評価額を計算して、相続税申告が必要かどうか判断しなければなりません。

相続税申告に関する不安がある方は、一度相続税に強い税理士にご相談ください。

関連記事

相続税申告で失敗したくない!評判が良い税理士の特徴7選を紹介

(2)相続税申告書はどこでもらえる?

相続税申告書は、最寄りの税務署で受け取ることができます。また、国税庁のホームページからダウンロードすることもできます。

相続税申告書は、相続が発生した年の様式を使用しましょう。

国税庁のホームページからのダウンロードは『国税庁|相続税の申告手続』から行えます。

(3)相続税申告書は自分で作成できる?

申告する内容によっては、相続人自身が相続税申告書を作成することも可能です。

相続人が相続税の申告書を作成できる申告内容とは具体的に、相続する財産が現金のみの場合や、相続税額を軽減できる制度などを適用しない場合です。

なお、相続する財産の中に不動産がある場合は、不動産の評価額や小規模宅地等の特例について検討しなければならないため、相続税の知識がない相続人が相続税申告書を作成することは難しいかもしれません。

自分で相続税申告書を書いてみようと考えている方は是非、関連記事『【記載例付き】相続税申告書の書き方|書く順番や用紙の入手方法も解説』を参考にしてください。

(4)相続税申告しないでいるとどうなる?

相続税申告が必要なほどの財産を相続したにもかかわらず、期限までに申告・納付しないでいると、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課されます。

本来支払うべき相続税に追加でペナルティが課されるため、税負担がより大きくなってしまいます。

相続税の申告が必要であることがわかったら、正しく相続税の申告・納付を行いましょう。

関連記事

相続税の脱税は税務調査でばれる?|ペナルティや回避方法を解説

相続税の相続税の無料相談

申告先の税務署がわかったら相続税申告しよう

相続税申告は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内に、被相続人が住んでいた住所地を管轄している税務署に行います。

相続税申告の手続きは、相続する財産が現金のみの場合や、税額軽減の特例を利用しない場合はご自身で進めることも可能です。

もしご自身で相続税申告してみたいという方はぜひ、関連記事『相続税の手続きは自分でできる|相続税申告の仕方を税理士が解説』を参考にしてください。

反対に、不動産を相続する場合や、特例を利用して相続税額の軽減や控除を受ける場合は、相続税に強い税理士に相談することをおすすめします。

相続する不動産の評価を間違えてしまったり、特例を利用する条件を満たしていなかったりすると、相続税の納付額が過少となり、ペナルティが課されるおそれがあります。

せっかく時間を使って申告手続きをしたのに、さらに税負担が増えてしまっては元も子もありません。

貴重な時間やお金を無駄にしないためにも、相続税申告に不安がある方はぜひ一度、相続税に強い税理士にご相談ください。

関連記事

相続税申告の税理士報酬の相場|「遺産総額の1%」が報酬って本当?

高部孝之税理士

監修者


高部孝之税理士事務所

税理士高部孝之

2019年税理士試験合格 2020年税理士登録
都内大手税理士法人にて約13年間勤務。資産税部門の責任者などを経て、2024年に独立し浅草にて資産税を強みとする税理士事務所を開業。
専門用語を用いず、平易な言葉で説明することを大切にしており、お客様が親しみやすく相談しやすい税理士を理想としています。

保有資格

税理士・FP技能士1級・相続診断士

全国/電話相談可能

相続税の無料相談をする