相続税申告書の提出先はどこ?納税地と管轄税務署の調べ方・提出方法を解説

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「相続税申告書の提出先はどこの税務署?」
「申告場所に決まりがあるなら、事前に知っておきたい」

相続税申告は人生で何度もするものではなく、どこに、いつまでに申告すれば良いのか不安な方も多いと思います。

相続税の申告先は、原則として「被相続人が住んでいた住所地を管轄している税務署」です。

しかし、老人ホームへ入居中に亡くなった場合や、単身赴任中に亡くなった場合など、迷うケースもあります。

この記事では、相続税申告書の提出先(申告場所)の基本ルールと、ケース別の正しい申告先をわかりやすく解説します。あわせて、住所や郵便番号から管轄税務署を調べる方法や、書類の綴じ方、提出方法のポイントも紹介します。

相続税申告書の提出先はどこ?納税地と管轄税務署の考え方

相続財産の総額が基礎控除額を超える場合、相続人は相続税申告書を作成し、所定の税務署へ提出しなければなりません。

相続税申告とは、相続した財産の内容や評価額、納付すべき税額を記載した申告書と必要な添付書類を、管轄の税務署へ提出する手続きです。

では、相続税申告書の提出先はどこになるのでしょうか。
ここでは「納税地」と「管轄税務署」の考え方を整理します。

相続税の申告先は「被相続人の納税地を管轄する税務署」

相続税申告書の提出先は、原則として被相続人(亡くなった方)の納税地、つまり被相続人が死亡時に生活の本拠としていた場所を管轄する税務署です。

単に住民票が置かれている住所ではなく、実際に日常生活を送っていた場所が基準となります。

生活の本拠とは、睡眠や食事など、継続して日常生活を営んでいた場所のことです。

そのため、以下では相続税の申告はできません。

  • 相続人の自宅の最寄りの税務署
  • 相続財産の所在地を管轄する税務署

なお、相続税の納付も、原則として同じ税務署に対して行います。

管轄税務署の調べ方

被相続人の生活の本拠がわかったら、その住所地を管轄している税務署を調べましょう。

管轄している税務署は、国税庁のホームページで調べられます。

国税庁のホームページはこちら『国税庁|国税局・税務署を調べる

①国税庁のホームページを開くと、以下のような画面が出てきますので、郵便番号か住所を入力して、検索ボタンを押しましょう。

管轄の税務署の調べ方①

②検索ボタンを押すと、相続税申告・納付を行う税務署が調べられます。

管轄の税務署の調べ方②

地域一覧や地図からも調べられるため、調べやすい方法を利用するとよいでしょう。

相続税申告する税務署に迷うケースと正しい申告場所

被相続人の死亡場所や生前の生活状況によっては、「どこの税務署に相続税申告すればよいのか」迷うことがあります。

ここでは、よくあるケースごとに、相続税の納税地および正しい申告先(管轄税務署)の考え方を解説します。

なお、相続税の納付先も、原則として申告先と同じ税務署になります。

(1)入院していた病院で亡くなった場合

被相続人が病院に入院中に亡くなった場合、原則として入院前に生活の本拠としていた住所地を管轄する税務署が申告先となります。

いずれ退院して生活の本拠(自宅など)に戻ることが前提ですので、病院が生活の本拠(=納税地)という扱いにはなりません。

(2)老人ホームで亡くなった場合

被相続人が老人ホームに入居しているときに亡くなった場合は、老人ホームの所在地を管轄している税務署に、相続税申告を行うケースが多いです。

老人ホームは、介護サービスを受けながら生活し、そこで余生を過ごすことが一般的です。

「介護型施設である」「終身利用契約をしていた」「実際に生活していた」などの点から生活の拠点と判断されるケースが多いでしょう。

そうした場合には、住民票の住所を自宅に残していた場合であっても、老人ホームの所在地を管轄する税務署が相続税の申告先となります。

(3)住民票がある住所とは別の場所で亡くなった場合

別荘や子どもの家に住んでいたときに亡くなった場合は、実際に住んでいた場所の所在地を管轄している税務署に、相続税申告を行います。

たとえば、別荘に住んでいるときに亡くなった場合には、その別荘がある場所を管轄している税務署が正しい申告先になります。

ただし、以下の場合は、従来の自宅が生活の本拠と判断される可能性が高いでしょう。

  • 年に数日しか利用しない別荘に訪れたタイミングで亡くなった
  • 別荘に住み始めてすぐに亡くなった

どの税務署に申告するか自分では判断がつかない場合、税務署に無料相談することも可能です。

税務署への相談方法は、電話と対面の2つがあります。詳しくは関連記事『相続税申告の疑問は税務署で無料相談|相談できることや相談方法を解説』をお読みください。

(4)国内の単身赴任先で亡くなった場合

国内の単身赴任先で死亡した場合の申告先

国内の単身赴任先で亡くなった場合は、単身赴任の状況によって相続税申告すべき税務署が異なります。

一時的な単身赴任で、生活の基盤は自宅にあると認められる場合は、自宅の住所地を管轄する税務署が、相続税の申告先です。

対して、単身赴任が長期にわたり、実質的な生活の本拠地が赴任先に移っていると判断される場合は、単身赴任先の住所地を管轄する税務署が、相続税の申告先になります

ご自身で判断がつかない場合は、税務署に相談しましょう。

(5)海外の単身赴任先で亡くなった場合

海外の単身赴任先で亡くなった場合は、日本の自宅の住所地を管轄している税務署に、相続税申告を行います。

なぜなら、海外には日本の税務署がないためです。

長期にわたる単身赴任だったとしても、相続税の申告・納付先は日本国内の税務署です。

ただし、赴任が長期にわたり家族も帯同しているなど、日本国内に生活の拠点がまったくない(非居住者である)と判断される場合は、日本国内の税務署を自由に選択し、相続税申告・納付を行います。

(6)複数の家を転々としていた場合

自宅や子どもの家など、複数の家で生活していた場合は、メインで居住していた家の住所地を管轄する税務署に、相続税申告書を提出します。

相続税法上、生活の本拠が2つあることは認められていないため、どの家で一番生活していたか判断して、申告先の税務署を決めましょう。

生活の本拠であるかどうかは、客観的事実によって判定するものとする。この場合において、同一人について同時に法施行地に2箇所以上の住所はないものとする。

相続税法基本通達 1の3・1の4共-5

(7)海外に住んでいて海外で亡くなった場合

被相続人の住民票がすでに日本にはなく、生活の本拠が海外にあった場合は、相続人の自宅の住所地を管轄している税務署に、相続税申告書を提出します。

この場合は、各相続人がそれぞれの住所地を管轄する税務署へ相続税申告書を提出します。

たとえば、被相続人がアメリカに住んでいて、相続人がそれぞれ東京都と愛知県に住んでいるとします。

この場合は、相続人がそれぞれの自宅の住所地(東京都・愛知県)を管轄する税務署に相続税申告・納付を行います。

なお、相続人も海外に住んでいる場合に、相続税の納税義務があるときは日本国内の税務署を自由に選択し、相続税申告・納付を行います。一般的には過去に住んでいたところを納税地とすることが多いようです。

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相続税申告書の提出方法|窓口・郵送・e-Tax

相続税申告書の提出方法には、主に「税務署窓口への持参」「郵送」「e-Tax(電子申告)」の3つがあります。

いずれの方法でも、提出先は被相続人の納税地を管轄する税務署です。
提出方法ごとの特徴や注意点を確認しておきましょう。

税務署窓口で提出する方法

相続税申告書は、管轄税務署の窓口へ直接持参して提出することができます。

窓口提出のメリットは、書類に不備がないかその場で形式的な確認を受けられる点です。また、控えを持参すれば受付印(収受日付印)を押してもらえます。

提出の際は、以下の点に注意しましょう。

  • 申告書と添付書類一式をまとめて持参する
  • 控え用の申告書(コピー)も持参する
  • 本人確認書類の提示を求められる場合がある

なお、税務署の窓口受付時間は原則として平日のみです。時間外に提出する場合は、税務署の時間外収受箱へ投函する方法もあります。

郵送で提出する方法

相続税申告書は、郵送でも提出できます。

郵送の場合も、送付先は被相続人の納税地を管轄する税務署です。税務署の代表住所ではなく、管轄を確認したうえで送付しましょう。

郵送提出で特に重要なのは、申告期限との関係です。

相続税申告は、原則として相続開始(死亡)を知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。郵送の場合、提出日は「通信日付印(消印)」の日付が基準となります。

そのため、期限当日に投函する場合は、消印が期限内になるよう注意が必要です。

また、以下の対応もしておくと安心です。

  • 控えが必要な場合は返信用封筒(切手貼付)を同封する
  • 書留や簡易書留など、記録が残る方法で送付する

e-Taxで相続税申告する方法

相続税申告書は、e-Tax(電子申告)による提出も可能です。

e-Taxを利用すれば、税務署へ出向くことなくオンラインで申告書を提出できます。ただし、利用には事前に利用者識別番号の取得や電子証明書の準備などが必要です。

e-Taxの詳細や利用手続きは、国税庁の公式サイトで確認できます。

なお、税理士に依頼している場合は、税理士が代理で電子申告を行うことも一般的です。

相続税申告書の添付書類の綴じ方・提出時の注意点

相続税申告書は、申告書本体だけでなく、多くの添付書類をあわせて提出します。

提出方法にかかわらず、書類のまとめ方(綴じ方)にも一定の実務ルールがあります。ここでは、相続税申告書の添付書類の綴じ方や提出時の注意点を解説します。

添付書類はどう綴じる?

相続税申告書は、原則として申告書を先頭にし、その後ろに添付書類をまとめて提出します。

一般的な順番は以下のとおりです。

  1. 相続税申告書(第1表〜各種明細書)
  2. 遺産分割協議書の写し
  3. 戸籍謄本等の身分関係書類
  4. 不動産の評価資料(登記事項証明書、固定資産税評価証明書など)
  5. 預貯金や有価証券の残高証明書

提出書類の順番に厳密な法定ルールはありませんが、税務署が確認しやすいよう整理して提出することが重要です。

ホチキス?クリップ?製本は必要?

相続税申告書の提出に際して、製本や特別なファイルは不要です。
一般的には、次のように綴じるケースが多く見られます。

  • 申告書本体(第1表〜各種明細書)
    左上をホチキス留め、またはクリップで一括。
  • 添付書類
    「身分関係書類」「不動産関係」「預金関係」など、内容ごとに分けてクリップ留めし、必要に応じて簡単な表紙を付ける。

ホチキスを使う場合は、左上の余白部分にとめ、四隅のマークに重ならないよう注意しましょう。

ただし、分厚くなりすぎる場合は、無理にすべてを一括でホチキス留めする必要はありません。
「ばらばらにならないこと」と「内容が追いやすいこと」が重要であり、過度な製本や立派なファイルは求められていません。

控えに収受印はもらえる?

税務署窓口へ持参した場合、控えの申告書を提出すれば、受付印(収受日付印)を押してもらえます。

収受印は、「確かに提出した」という証明になりますので、控え用の申告書一式を持参することをおすすめします。

一方、郵送で提出する場合は、自動的に収受印はもらえません。控えが必要な場合は、以下のものを同封しましょう。

  • 控え一式
  • 返信用封筒(切手貼付)

なお、e-Taxで申告した場合は、受信通知が提出の証明になります。

相続税の申告期限はいつ?遅れるとどうなる?

相続税の申告期限は10か月

相続税申告は、相続の開始(被相続人の死亡を知った日)の翌日から10か月以内に行わなければなりません。

たとえば、1月10日に死亡を知った場合は、翌日の1月11日から数えて10か月後が申告期限となります。

なお、申告期限の日が土曜日・日曜日・祝日にあたる場合は、次の平日が期限となります。

相続税の申告・納付期限

そもそも自分は相続税申告が必要なのか確認したい、相続税申告の流れを知りたいという方は、関連記事『相続税申告の手引き|申告の要否、申告の流れを税理士が解説』をお読みください。

期限後申告のペナルティ

相続税申告が必要なほどの財産を相続したにもかかわらず、期限までに申告・納付しないでいると、以下のペナルティが課される可能性があります。

  • 無申告加算税
  • 延滞税

無申告加算税は、本来納めるべき税額に一定割合が上乗せされる制度です。さらに、納付が遅れた期間に応じて延滞税も発生します。

その結果、本来の相続税額よりも大きな負担となるおそれがあります。

なお、やむを得ない事情がある場合や、自主的に期限後申告を行った場合には、加算税が軽減されるケースもあります。

相続税の申告が必要かどうか判断に迷う場合や、期限内に申告できるか不安がある場合は、早めに税務署や税理士へ相談することが重要です。

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申告場所がわかったら|不安がある場合の対処法

相続税申告は、被相続人の納税地を管轄する税務署へ、死亡を知った日の翌日から10か月以内に行います。提出先と期限を確認したら、早めに準備を進めましょう。

相続税申告の手続きは、相続する財産が現金のみの場合や、税額軽減の特例を利用しない場合はご自身で進めることも可能です。

もしご自身で相続税申告してみたいという方はぜひ、関連記事『相続税の手続きは自分でできる|相続税申告の仕方を税理士が解説』を参考にしてください。

一方、不動産を相続する場合や、特例を利用して相続税額の軽減や控除を受ける場合は、相続税に強い税理士に相談することをおすすめします。

相続する不動産の評価を間違えてしまったり、特例を利用する条件を満たしていなかったりすると、相続税の納付額が過少となり、ペナルティが課されるおそれがあります。

せっかく時間を使って申告手続きをしたのに、さらに税負担が増えてしまっては元も子もありません。

貴重な時間やお金を無駄にしないためにも、相続税申告に不安がある方はぜひ一度、相続税に強い税理士にご相談ください。

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高部孝之税理士

監修者


高部孝之税理士事務所

税理士高部孝之

2019年税理士試験合格 2020年税理士登録
都内大手税理士法人にて約13年間勤務。資産税部門の責任者などを経て、2024年に独立し浅草にて資産税を強みとする税理士事務所を開業。
専門用語を用いず、平易な言葉で説明することを大切にしており、お客様が親しみやすく相談しやすい税理士を理想としています。

保有資格

税理士・FP技能士1級・相続診断士

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