相続税を節税する方法12選!死後と生前それぞれの相続税対策を解説

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相続税の節税対策

「相続税を安くする方法はない?」
「相続税の効果的な節税方法が知りたい」
「死後にできる相続税対策はある?」

相続税は自身の状況にあった節税方法を知っていれば、大幅に負担を少なくできる税金です。

場合によっては、相続税が数千万円かかるところが、節税によって0円になるケースも存在します。

基本的には、生前から相続税対策をおこなった方が節税効果は高まりますが、死後でも相続税を少なくする方法はあります。

この記事では、生前からできる相続税対策9つと、死後にできる相続税対策3つをそれぞれ解説します。

生前にできる相続税の節税9選

1. 暦年課税で毎年少しずつ非課税贈与

贈与税の課税方法には「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあります。通常は暦年課税で、税務署に届け出ると相続時精算課税に変更できます。

暦年課税には、受贈者(贈与を受ける人)1人あたり年間110万円の非課税枠があります。

この年間110万円の非課税枠を利用して、生前から財産を配偶者や子などに渡しておくことで、相続税の課税対象が減り相続税の節税につながります。

暦年課税の非課税枠を利用した贈与を暦年贈与といいます。

暦年贈与のメリット

年間110万円の非課税枠は受贈者単位のものなので、たとえば子どもが5人いる場合には、1年でそれぞれ110万円ずつ、合計550万円を非課税で贈与できます。

また、暦年贈与を始めるにあたり、贈与税申告や税務署への特別な申請は必要ないため、だれでも簡単にできる相続税対策といえます。

暦年贈与は早いうちから始めるべき

暦年贈与の非課税枠内で贈与した財産についても、「相続開始から3年以内」の生前贈与は、相続財産に加算されてしまいます。

相続財産に加算されるということは、3年以内に贈与したその財産に対して、相続税が課税されるということです。

なお、税制改正により、令和6年(2024年)1月1日以降、加算期間が「相続開始から7年以内」に段階的に延長されることとなりました。

今まで以上に早いうちからの計画的な贈与が必要となるので、ご自身で贈与計画を立てるのに不安がある方は、一度税理士にご相談ください。

定期預金とみなされないよう注意

税務署に「定期贈与」とみなされないよう注意してください。

定期贈与とは、最初から贈与額や贈与期間を決めている贈与を意味します。定期贈与とみなされると、非課税枠内の贈与であっても贈与税が課税されてしまいます。

定期預金とみなされないための対策として、贈与のたびに「贈与契約書」を作成し、お互いに保管しておくことをおすすめします。

名義預金とみなされないよう注意

また、税務署に「名義預金」とみなされた場合は、相続税の課税対象となってしまうので注意が必要です。

名義預金とは、口座の名義人と実際の管理者が違うことをいいます。母が息子名義で口座を開設・運用しているケースが典型例です。

名義預金とみなされないために、受贈者の名義の預金通帳、印鑑、カードは受贈者本人に管理してもらうようにしましょう。

受贈者本人が預金通帳を管理していることを示すためには、受贈者が実際にお金を引き出して使える状態であることもポイントです。

2. 特定の目的の贈与が非課税になる特例を使う

特定の使用目的で資金を贈与した場合、贈与税が一定額まで非課税になる特例があります。

大きな金額を非課税で生前贈与できれば、相続財産が大幅に減り、強い相続税の節税効果を得られます。

  • 教育資金の一括贈与
  • 結婚・子育て資金の一括贈与
  • 住宅取得資金等の一括贈与
  • 贈与税の配偶者控除

以下でひとつずつ解説します。

教育資金の一括贈与

父母や祖父母が、30歳未満の子や孫に対し教育資金を贈与する場合、最大1,500万円が非課税になる特例です。

なお、非課税となる1,500万円のうち、学習塾や習いごとなど学校以外への支払いに使える金額は500万円までです。

この特例は受贈者ごとに贈与できるため、多数の子や孫にそれぞれ教育資金を一括贈与すれば、相続税の節税効果は非常に高くなります。また、暦年贈与との併用も可能です。

しかし、受贈者が30歳に達した場合などには、贈与額の残額に贈与税が課税されます。

なお、この特例を使用できるのは令和8年(2026年)3月31日までです。

関連記事

教育資金の贈与に相続税はかかる?相続税対策になるって本当?

結婚・子育て資金の一括贈与

父母や祖父母が、18歳以上50歳未満の子や孫に対し、結婚・子育て資金を贈与する場合、最大1,000万円が非課税になる特例です。

非課税となる1,000万円のうち、結婚資金に使える金額は300万円までです。

この特例も受贈者ごとに贈与できるほか、暦年贈与との併用も可能です。

ただし、受贈者が50歳に達した場合、その時点の残額に贈与税が課税されます。

さらに、結婚・子育て資金として認められる範囲をしっかりと理解しておくことが肝心です。たとえば、挙式費用は非課税の範囲内ですが、婚約指輪の購入費用は非課税の範囲外です。

結婚・子育て資金として非課税になる範囲について詳しくは、関連記事『結婚・子育て資金の一括贈与は1,000万円まで非課税|適用条件も解説』をお読みください。

なお、この特例を使用できるのは令和7年(2025年)3月31日です。

住宅取得資金等の一括贈与

父母や祖父母が、18歳以上の子や孫に対し、マイホームの新築や中古住宅の購入、増改築等の資金を贈与する場合、最大1,000万円が非課税になる特例です。

購入または改築する住宅が省エネ等住宅の場合は1,000万円、一般住宅の場合は500万円が非課税になります。

省エネ等住宅の基準については、国税庁『住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税等のあらまし』をご覧ください。

この特例も暦年課税との併用が可能です。

なお、この特例を使用できるのは令和8年(2026年)3月31日です。

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住宅購入資金の生前贈与で活用できる非課税制度|要件や注意点を解説

贈与税の配偶者控除

20年以上の婚姻期間がある夫婦間で、居住用不動産、または居住用不動産の取得資金を贈与する場合、最大1,000万円が非課税になる特例です。

20年の婚姻期間という条件から「おしどり贈与」とも呼ばれています。内縁関係の相手には適用できません。

配偶者相手への贈与に適用できる特例なので、配偶者への相続で相続税を節税したい場合に有効な対策です。

ただし、贈与で住宅を取得すると、相続で住宅を取得するよりも高い登録免許税がかかります(贈与の場合は税率2%、相続の場合は税率0.4%)。

さらに詳しくは『相続税を減らせる各種控除を使う』で解説しますが、配偶者からの相続では「配偶者の税額軽減」により、1億6,000万円まで相続税を非課税にできる制度があります。

そのため、住宅を含む相続で節税を希望する場合には、生前に贈与しておくのと相続で渡すのと、どちらの方が節税効果が高いのか、一度税理士にご相談されることをおすすめします。

3. 非課税の範囲で生命保険を契約する

生命保険の死亡保険金のうち「500万円×法定相続人の人数」は相続税がかかりません。

そのため、受け取る死亡保険金がこの非課税枠に収まる範囲で生命保険の契約をおこなえば、相続税の節税につながります。

なお、法定相続人とは民法で定められた被相続人の財産を相続できる相続人のことです。

法定相続人の調べ方や条件については、関連記事『相続税の基礎控除がわかる|計算方法や法定相続人の数え方も解説』で詳しく解説しています。

死亡保険金の受取人を子にすると、さらに節税効果が高まります。

なぜなら配偶者は「配偶者の税額軽減」で少なくとも1億6,000万円まで相続税がかからないため、生命保険の非課税枠がなくとも相続税がかからないことが多いのです。

生命保険契約のメリット

生命保険の死亡保険金は、被相続人の死亡後すぐに取得できるため、相続税の納税資金になります。

相続税は、現金一括納付が原則であるため、相続する財産に不動産が多くすぐに現金を用意できない場合などには効果的です。

また、死亡保険金は受取人固有の財産とされ、遺産分割の対象外です。したがって、お金を渡したい相手に確実に渡すことができるメリットがあります。

契約よっては別の税金がかかる場合も

死亡保険金にかかる税金は、契約者・被保険者(保険料負担者)・受取人がだれになっているかによって変わります。

たとえば父が亡くなったケースで相続税がかかるのは、被保険者と契約者が父で、受取人が母や子のときです。仮に契約者が母の場合には、所得税がかかります。

死亡保険金にかかる税金について知りたい方は、関連記事『死亡保険金にかかる税金|相続税・所得税・贈与税について解説』をお読みください。

4. 不動産を購入する・貸し出す

相続税の節税につながる不動産の活用方法は大きく分けて、「不動産の購入」と「不動産の貸し出し」の2つです。

現金を1億円相続するよりも、1億円で購入した土地や建物を相続した方が相続税が安く済みます。

そのため、生前に不動産を購入しておくことが相続税の節税につながるのです。

また、不動産を人に貸すと、所有者がその不動産を自由に使える範囲が狭まります。たとえば、人が住んでいる貸家で、オーナーが居住者に無断で鍵を開けて入ることはできませんよね。

不動産に対する所有者の自由が制限される分、その不動産の評価額は下がり、かかる相続税も安くなるため、不動産を人に貸し出すことは相続税の節税になります。

評価額とは相続税を計算するときに元となる価額です。評価額が安くなると相続税も安くなります。

どのくらい相続税の節税になる?

建物を建築すれば、評価額は約40%下がります。

建物の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じです。固定資産税評価額は、建築費用の約60%であるため、現金で相続する場合と比べて約40%評価額が下がります。

土地を取得すれば、評価額は約20%下がります。

土地の相続税評価額は、路線価などにより決まります。路線価は時価の約80%であるため、現金で相続する場合と比べて約20%評価額が下がります。

その不動産を貸し付ければ、土地は約20%、建物は約30%評価額が下がります。 貸家建付地の評価は借地権割合90%の地域で73%、借地権割合70%の地域で79%です。90%の地域はほとんどなく、70%程度が多い印象です。貸家の評価は70%のみ(100%貸付の場合)です。

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不動産活用で相続税を節税するときの注意点

不動産を貸し出す場合は、経営上のリスクを負うことになります。

たとえば、賃貸アパートやマンションの評価額は、賃貸割合によって上下します。賃貸割合とは、実際に貸し出している面積の割合です。

そのため、空室があると賃貸割合が下がってしまいます。そして賃貸割合が下がると評価額は上がり、そのアパートやマンションにかかる相続税も高くなってしまいます。

また、節税を重視するあまり財産の大半を不動産にしてしまうと、相続できる現金が少なくなり、相続税の納税資金が不足するおそれもあるので注意してください。

5. 墓地や仏具を購入しておく

生前から所有していた墓地、墓石、仏壇、仏具などは、相続税の計算上「非課税財産」とされ、課税対象には含まれません。

そのため生前に墓地や仏具を購入しておけば、その分現金が減り、相続税の節税につながります。

ただし、税務署に骨董品や投資目的で保有していると認定されると、相続税の課税対象になってしまいます。また、ペットの墓や霊園も相続税の課税対象なので注意しましょう。

墓地購入で相続税を節税する具体例

被相続人が父、相続人が息子1人の場合を例に解説します。

相続税には基礎控除が設けられており、「3,600万円+(600万円×法定相続人の人数)」までは非課税になります。今回の法定相続人は息子1人なので、3,600万円まで非課税です。

父が所有している財産の合計額が3,800万円である場合、基礎控除額の3,600万円を超えているので、このまま相続すると相続税がかかってしまいます。

そこで、父が生前に200万円の墓地を購入しておくと、財産の合計は3,600万円と墓地(200万円)となります。墓地は非課税財産のため、課税対象の財産は基礎控除の3,600万円に収まり、相続税がかからなくなります。

6. 被相続人と相続人で同居する

被相続人が住んでいる自宅を相続する場合には、生前相続人も同じ家に住むことで、相続税の節税になる可能性があります。

自宅として使っていた宅地(土地)の相続では、小規模宅地等の特例が適用できることがあります。小規模宅地等の特例は、相続する宅地の評価額を最大で80%減らせる特例です。

非常に大きな相続税の節税効果がある特例ですが、この特例の適用要件の一つが「被相続人との同居事実」なのです。

【小規模宅地等の特例を使える人】

  • 被相続人の配偶者
  • 被相続人と同居していた親族
  • 被相続人と別居していた親族(条件あり)

被相続人と別居していた親族も「相続開始3年前から一度も持ち家を持ったことがない」など、いくつかの要件を満たしている場合には特例を適用できます。

しかし、小規模宅地等の特例を適用したいと考えている場合には、生前に、相続する家で同居しておくのが確実です。

小規模宅地等の特例や、持ち家の相続税について詳しく知りたい方は、関連記事『持ち家の相続税はどのくらい?特例を利用すれば大幅節税できる!』をお読みください。

7. 相続時精算課税制度を利用する

相続時精算課税制度とは、累計2,500万円の非課税枠内であれば、複数回贈与しても贈与税が課されない制度です。

しかし、贈与者(贈与する人)の死亡時に、非課税枠の2,500万円内で贈与した財産が相続財産に加算され、相続税の課税対象になります。

イメージとしては、贈与にかかる税金を後払いにするイメージです。

なお、相続時精算課税制度を利用する場合は、税務署への届け出が必要です。

相続時精算課税制度のメリット

贈与税が非課税になっても、後から相続税が課税されるなら節税にはならないと思われるかもしれません。

しかし、相続時精算課税制度のポイントは「贈与時の時価」を基準に相続財産に加算される点です。

将来値上がりする可能性の高い土地がある場合、相続時精算課税制度を使って値が上がる前に、贈与税をかけずに贈与することができます。また、相続税は値上がる前の贈与した時価にかかるため、普通に相続するよりも節税になるのです。

さらに、賃貸アパートなどの収益物件を被相続人が持っていると、家賃などの利益が相続財産としてどんどん積み重なっていきます。

相続時精算課税制度で贈与してしまえば、贈与財産から生じる家賃などの利益は受贈者のものになります。この利益には相続税も贈与税もかかりません。

相続時精算課税制度の注意点

上記で、値上がりしそうな財産の贈与に効果的だと解説しましたが、仮に贈与時よりも相続時の方が値下がりした場合でも、贈与時の時価で相続財産に加算されます。

そのため、財産の価値が今後どう推移していくか、ある程度予測できる場合に使うことをおすすめします。

また、一度相続時精算課税制度を選ぶと、暦年課税への変更ができません。

以前までは相続時精算課税制度を選ぶと、暦年課税にある年110万円の基礎控除が利用できなくなることが大きなデメリットでしたが、税制改正により、相続時精算課税制度にも年間110万円の基礎控除が新設されました。

8. 養子縁組で法定相続人を増やす

法的相続人が増えると、相続税の基礎控除額や死亡保険金(生命保険)の非課税枠が拡大します。

【相続税の基礎控除額】
3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)

【死亡保険金の非課税枠】
500万円×法定相続人の人数

ただし、法定相続人として認められる養子の人数には限りがあります。被相続人に実子がいる場合は1人まで、被相続人に実子がいない場合でも2人までです。

養子縁組をすればするほど、基礎控除額や非課税枠が増えるわけではないため注意しましょう。

9. 家族信託する

家族信託とは、主に高齢者が認知症などで資産の管理が難しくなる前に、信頼できる家族に資産の管理・運用を託すことをいいます。

家族信託自体に相続税を節税する効果はありませんが、節税を行う上で重要なステップですので解説します。

まず、財産の管理運用の決定権は所有者に帰属します。所有者の認知能力が衰え適切な判断ができなくなった場合であっても、原則として所有者以外が管理運用を行うことはできません。

たとえば、前述したように相続税の節税を目的に不動産を貸し出そうと考えても、所有者以外が貸し出すことはできません。

しかし、家族に不動産を信託しておけば、信託された家族がその不動産の管理運用を行えるようになるのです。

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死後にできる相続税の節税3選

1. 小規模宅地等の特例を適用する

宅地(土地)を相続した場合は、まず小規模宅地等の特例が適用できるかどうか確認しましょう。

小規模宅地等の特例とは、相続や遺贈で宅地を取得した場合、要件を満たせば、その宅地の評価額を最大80%減額できる特例です。

評価額が80%になるのではなく、80%減額、すなわち適用前の20%になるため、非常に大きな相続税の節税効果が期待できます。

特例が適用できる宅地は4種類

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例は、上図の4つの宅地に適用できます。

なお、宅地を複数相続した場合や、限度面積を超えた宅地に適用する場合の計算方法などは、関連記事『【相続税】小規模宅地等の特例の計算方法がわかる|ケースごとの計算例付き』をお読みください。

小規模宅地等の特例を適用するときの注意点

小規模宅地等の特例を適用する場合は相続税申告が必要です。仮に特例を適用して相続税がかからなくなったとしても、相続税申告しなければならないので注意してください。

また、小規模宅地等の特例の適用対象は、申告期限までに遺産分割が完了している宅地に限られます。

もし遺産分割が終わっていない宅地に適用したい場合には、相続税申告の際に「申告期限3年以内の分割見込書」を添付すると、3年以内に遺産分割が終了した場合に限り、あとから特例を適用することができます。

あとから適用する場合には、更正の請求を行います。

相続税申告までに遺産分割が終わらず、後から特例を適用したいと考えている方は、関連記事『相続税申告までに遺産分割すべき?未分割で申告するときの注意点は?』をお読みください。

2. 土地の評価額を下げる

土地の評価額は、国税庁が定めた路線価をもとにした路線価方式か、倍率方式を使って算出します。

ただし、相続した土地に奥行きが深かったり、形がいびつだったりする場合はそれらが減額要素となり、土地の評価額を下げることができます。

土地の評価額が下がると、その土地にかかる相続税も減額されるため、相続税の節税になります。

土地の調査は税理士に依頼するのがおすすめ

土地の減額要素や計算方法は非常に複雑なため、個人で対応するのは困難な場合が多いです。

税理士に依頼すれば、土地の形による減額要素はもちろん、近くに鉄道路線が通っている、土地の上空に高圧電線が通っているなど、周辺環境からも評価額の減額要素をみつけられます。

こういった土地の再評価を依頼する場合は、相続税に強い税理士をお探しすることをおすすめします。

税理士にも相続税や所得税、法人税などそれぞれ得意分野があります。相続税に強い税理士であれば、過去の事例に基づき、土地の評価額を減らす要素を多く発見し、評価額に反映できるでしょう。

相続税に強く、評判のいい税理士をお探しの方は、関連記事『相続税申告で失敗したくない!評判が良い税理士の特徴7選を紹介』を参考にしてください。

3. 相続税を減らせる各種控除を使う

相続税には、税額控除制度が多くあります。ここでは、代表的な4つの税額控除について、適用できる相続人や控除額の計算方法をご紹介します。

配偶者の税額軽減

被相続人の配偶者が財産を相続する場合、配偶者が支払う相続税から、「1億6,000万円」と「配偶者の法定相続分」のいずれか大きい金額を控除できます。

すなわち、最低でも1億6,000万円の相続税がかからなくなるため、相続税の節税にはうってつけです。

ただし、二次相続まで意識するのであれば、扱いに注意が必要です。

両親からの相続を例に挙げると、父が先に亡くなったとして、母と子が父の財産を相続することを「一次相続」、次に母が亡くなって、子が母の財産を相続することを「二次相続」といいます。

配偶者の税額軽減の控除額が多いからといって、一次相続で母にたくさん相続させてしまうと、二次相続で子が相続する財産が多くなってしまいます。その分、支払う相続税も膨らみます。

そのため、子や孫がいる場合は、二次相続まで意識した相続の計画を立てることをおすすめします。

なお、配偶者の税額軽減は相続税申告をすることが、適用の条件の一つになっています。仮に相続税がかからなかったとしても相続税申告を忘れないようにしましょう。

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障害者控除

85歳未満の障害者が財産を相続する場合、支払う相続税額から、障害の程度により一定額控除できる制度です。

控除できる金額は以下の通りです。

【一般障害者の場合】
10万円×(85歳-相続開始時の年齢)

【特別障害者の場合】
20万円×(85歳-相続開始時の年齢)

また、障害者控除の控除額が余った場合、扶養義務者の相続税から余った控除額を差し引くことができます。

たとえば、障害者の相続人にかかる相続税が100万円で、控除額が150万円だった場合、50万円控除額が余ります。この余った50万円の控除額を扶養義務者にかかる相続税から差し引けます。

なお、障害者控除の適用で相続税がかからなくなった場合には、相続税申告は不要です。

一般障害者と特別障害者の判断方法など、相続税の障害者控除について詳しくは、関連記事『相続税の障害者控除を使える人は?控除額の計算方法は?申告は必要?』をお読みください。

未成年者控除

18歳未満が財産を相続する場合、支払う相続税額から一定額控除できる制度です。

【未成年者控除額の計算式】
10万円×(18歳-相続開始時の年齢)

障害者控除と同様に、相続税額が控除額よりも低く、控除額が余った場合には、余った控除額分を扶養義務者の相続税額から差し引けます。

また、民法の成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことに伴い、未成年者控除の適用範囲も18歳未満に変更されました。計算式を間違えないように注意してください。

未成年者控除の適用で相続税がかからなくなった場合も、相続税申告は不要です。

暦年課税分の贈与税額控除

贈与税額控除とは、同じ財産に贈与税と相続税が二重に課税されることを防ぐための控除制度です。

前述したように、被相続人が死亡する前3年以内に生前贈与があった場合、そこで贈与された財産は相続税の課税対象になります(2024年以降、段階的に死亡前7年まで延長)。

しかし、贈与された年にその財産にかかる贈与税を払っており、かつ相続税も課税されると、二重課税となってしまいます。

そこでこの贈与税額控除を適用すると、相続発生前の一定期間内に生前贈与で取得した財産が、相続税の課税対象になった場合、その財産についてすでに納付している贈与税額分を、相続税額から控除することができます。

相続税や贈与税など、自分で税額を算出して申告・納付する方式を「申告納税方式」といいます。申告納税方式の税金では、本来払わなくて良い税金を気がつかずに納めてしまうことがよくあります。

相続税を適切に計算して、必要以上に納付しないことも相続税の節税では大切なことです。

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ここまで、相続税を節税する方法を解説してきました。

一つひとつの節税方法は、実行する難易度がそこまで高くないものが多かったかもしれません。

しかし、相続税をより効率的に節税するためには、今回紹介した節税方法を、財産や相続人の状況によって組み合わせて利用することが重要です。

そして、ご自身の状況にあった節税方法の組み合わせを知るためには、相続税に強い税理士への相談が一番確実です。

もし生前にご相談いただければ、相続と贈与全体を通して節税効果の高い組み合わせをご提案できます。

相続開始後でも、相続人に最適な税額軽減の特例や控除制度をご紹介したり、土地の再評価を行い評価額を下げる要素を見つけたりと、節税のサポートをさせていただきます。

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監修者情報

アトムグループ 協力税理士

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