最新の離婚原因ランキングを解説!1位は男女ともに…
夫婦の3組に1組が離婚する時代と言われますが、世の中の夫婦がどのような理由で離婚しているのか気になっている方も多いかと思います。
この記事では、最新の統計に基づく離婚原因ランキングを解説します。
現在離婚を検討中の方は、自分と同じ悩みを抱える人がどれくらいいるのかが分かるでしょう。
今は離婚を考えていない方にとっても、離婚の原因を知ることは、離婚を回避するためのヒントとして役立ちます。
目次
離婚原因ランキングを男女別に紹介!
離婚原因を知る資料としては、裁判所が公開している司法統計年報が代表的です。
この記事では、令和5年度 司法統計年報 家事編から、離婚調停の申立ての動機、すなわち離婚を申し入れた理由について見てみます。
男女別の離婚原因ランキング|1位は男女ともに性格の不一致!
男性 | 女性 | |
---|---|---|
1位 | 性格が合わない(59.92%) | 性格が合わない(38.02%) |
2位 | 精神的に虐待する(21.41%) | 生活費を渡さない(28.91%) |
3位 | 異性関係(11.96%) | 精神的に虐待する(26.12%) |
4位 | 浪費する(11.51%) | 暴力を振るう(18.51%) |
5位 | 家族親族と折り合いが悪い(10.98%) | 異性関係(12.87%) |
6位 | 性的不調和(10.48%) | 浪費する(8.52%) |
7位 | 同居に応じない(8.81%) | 性的不調和(6.34%) |
8位 | 暴力を振るう(8.69%) | 家庭を捨てて省みない(6.09%) |
9位 | 生活費を渡さない(4.86%) | 酒を飲み過ぎる(5.75%) |
10位 | 家庭を捨てて省みない(4.74%) | 家族親族と折り合いが悪い(5.60%) |
11位 | 病気(3.90%) | 病気(1.61%) |
12位 | 酒を飲み過ぎる(2.47%) | 同居に応じない(1.44%) |
※離婚調停申立件数に対する割合(申立の動機は複数選択可)
このことから分かるように、暴力や不倫といった重大な原因がなくても離婚する夫婦は多いのです。
どんな離婚原因がある?具体例は?
性格が合わない(性格の不一致)
離婚原因の第1位は男女ともに「性格が合わない」です。
離婚調停を申し立てた人のうち48%が、性格の不一致を離婚原因のひとつに挙げています。
性格の不一致の例
- 考え方の違い
- 衣食住の嗜好・趣味の違い
- 子どもの教育方針の違い
こういったすれ違いは、ひとつひとつを取ってみれば些細に感じるかもしれません。しかし、今後も毎日同じ家で生活すると考えると、耐え難くなるものです。
人の性格は、結婚や出産、子育てを経験したり、年齢を重ねたりすることで変化します。結婚当初は良好な関係を築けていても、いつまでもそうとは限らないのです。
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精神的に虐待する(モラハラ・精神的DV)
「精神的に虐待する」が、女性では第3位、男性では第2位にランクインしています。
これは、一般的にモラハラ(モラルハラスメント)や精神的DVと呼ばれるものです。
モラハラ・精神的DVの例
- 配偶者を無視する
- 配偶者が意見を主張すると大声で怒鳴る
- 気分が悪い時に配偶者へ八つ当たりする
結婚・同居する前には、相手のモラハラ気質に気づきづらいとよく言われます。結婚してからモラハラが発現し、モラハラから逃れるために離婚をするケースが多く見られます。
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生活費を渡さない(経済的DV)
「生活費を渡さない」は、女性に特に多い離婚理由です。
夫の収入に頼って生活している専業主婦やパート・アルバイトの女性にとって、夫が生活費を入れてくれないのは死活問題です。
夫が生活費を渡さない理由は、単に妻にお金を渡すのが惜しいというだけでなく、妻を経済的に支配しようとする目的のこともあります。
このような行為を、経済的DVと呼びます。
経済的DVの例
- 生活費を渡さない
- お金の使い方を強く制限する
- 家計の収支を把握させない
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暴力を振るう(身体的DV)
「暴力を振るう」は、女性が多く挙げている離婚理由で、身体的DVとも呼ばれます。
内閣府男女共同参画局の調査によれば、DV相談者のうち女性が9割弱を占めています「DV相談+(プラス)事業における相談支援の分析に係る調査研究事業」報告書より)。
DV行為の例
- げんこつで殴る
- 足で蹴る
- 物をなげつける
身体的DVは、精神的DVや経済的DVと併発することが多く、被害者の心身を危険にさらす悪質な行為です。
DVで離婚を考えている場合は、弁護士に相手方との交渉を任せることで、自分の身を守りながら離婚手続きを進めることができます。
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異性関係(不倫・浮気)
「異性関係(不倫・浮気)」は、男女ともに多い離婚原因です。男性では第3位に、女性では第5位にランクインしています。
異性関係の例
- 配偶者以外の異性と食事やデートに行く
- 風俗店やキャバクラに通う
- 配偶者以外の異性と性交渉をする
こういった行為のうち、法律で裁判離婚や慰謝料請求ができる理由として定められている不貞行為とは、性交渉を伴う関係のみをいいます。
しかし、肉体関係はなくとも、配偶者が自分以外の異性と恋愛関係にあることが分かったら、夫婦間の信頼関係は損なわれてしまうでしょう。そのため、プラトニックな恋愛も離婚の原因になり得ます。
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浪費する
「浪費する」は、女性で第6位、男性で第4位にランクインする離婚原因です。
自分の稼いだ給料や夫婦の生活費を使い込まれてしまったら、もう一緒には暮らせないと思うかもしれません。
浪費の例
- 高額商品の購入や趣味にお金を使いすぎる
- 個人的な浪費で借金を作る
- ギャンブル依存症に陥り貯金や生活費を使い込む
何を浪費と捉えるかは人それぞれです。育った環境や、職業・収入の違う人同士が価値観をすり合わせながら一緒に生活するのは、簡単なことではないのでしょう。
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性的不調和(セックスレス・性の不一致)
「性的不調和(性の不一致)」は、女性では第7位、男性では第6位の離婚原因となっています。
性的不調和とは、セックスレスのことだけを言うのではありません。
EDなどの性的不能や相手の特殊性癖、あまりに高い頻度で性交渉を求められるなど、性生活のズレのせいで苦しむ方は少なくありません。
性的不調和が原因で、日常的な会話が減ってしまったり、外で不倫相手を作ってしまったりと、夫婦関係の破綻に繋がる場合もあります。
性的不調和の例
- 性交渉を拒まれる(セックスレス)
- 子どもが欲しいのに性交渉してくれない
- SMプレイを強要される
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家族親族と折り合いが悪い
「家族親族との折り合いが悪い」は、男性では第5位、女性では第10位にランクインしています。
嫁姑問題や義両親との同居は、結婚生活のストレスとしてよく挙げられることです。
義実家・配偶者の親族との問題は、直接的には夫婦間の問題ではありませんが、親の側に立って全く味方してくれない配偶者には愛想も尽きてしまいます。
配偶者の親族との問題の例
- 酷い嫁いびりを受けている
- 義両親が子育てに口出ししてくる
- 配偶者が自分の親と仲良くしてくれない
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家庭を捨てて省みない
「家庭を捨てて省みない」は、女性では第8位、男性では第10位となっています。
少し抽象的な言葉ですが、家族のための責任を果たさない状態と考えてよいでしょう。
民法で定められた悪意の遺棄にあたる行為も、「家庭を捨てて省みない」に含まれると考えられます。
家庭を捨てて省みない行為の例
- 趣味や仕事を優先してほとんど家に帰ってこない
- 専業主婦(主夫)なのに家事を全くしない
- 子育てに全く関わらない
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酒を飲み過ぎる
「酒を飲み過ぎる」は、男性よりも女性が多く挙げている離婚原因です。
飲酒が離婚原因となる例
- 酔っ払って暴力を振るう
- 飲み歩いて頻繁に朝帰りする
- 酒を飲んでばかりで仕事をしない
単に酒癖が悪いだけではなく、アルコール依存症に陥って抜け出せないケースもあり、お酒は簡単には解決できない問題です。
同居に応じない
「同居に応じない」は、女性よりも男性が多く挙げている離婚原因です。
民法は、夫婦に同居義務・協力義務・扶助義務を課しており、正当な理由もなく同居に応じないのは、夫婦の義務に反する行為です。
同居義務違反の例
- 勝手に家を出て帰ってこない
- 家出して不倫相手と同棲している
- 家から追い出された
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病気
自分や配偶者の「病気」も離婚原因として挙げられます。
配偶者ががんなどの重い病気や精神疾患に罹患してしまったときに、闘病生活を支えきれなかったり、配偶者の病気をなかなか受け入れられずに離婚に至ってしまうケースがあるようです。
病気を抱える側からすると、なんと無責任なことかと思う方も多いでしょう。
一方で、治療費や看病で相手に負担をかけまいと、病気にかかった人の方から離婚を切り出す場合もあります。
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他にはどんな離婚原因がある?
ここまでで紹介した離婚理由の他にも、夫婦が離婚に至る原因には様々なものがあります。
以下は、その他の離婚理由の一例です。
- 夫婦喧嘩が多い
- 束縛が激しい
- 配偶者が失踪した
- 配偶者の宗教活動
- 配偶者の逮捕・服役
- 単身赴任・海外赴任
- 配偶者が子どもを虐待する
- 不妊・子どもができない
- 経歴や収入が嘘だった
- 夫婦別姓にしたい(ペーパー離婚)
まとめ|離婚のお悩みは弁護士に相談!
性格の不一致やDV、金銭問題、異性関係などが、上位の離婚原因であることが分かりました。
日本では、離婚理由が何であっても、夫婦間で話し合いがつくのであれば離婚することが可能です。
今回使用した統計は、夫婦間で問題が解決できずに家庭裁判所に離婚調停を申し立てた方が対象のものです。
つまり、夫婦の話し合いで協議離婚を成立させた夫婦の中には、離婚調停を申し立てるほどでもない、もっと些細な理由で離婚した夫婦も多いと予想ができます。
世の中の夫婦は、思ったよりも小さなきっかけで離婚していると感じた方もいるのではないでしょうか。
なお、話し合いがまとまらず裁判で離婚を目指す場合は、法律で定められた5つの離婚原因(不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、強度の精神病、婚姻を継続しがたい重大な事由)のうちどれかを満たさなければなりません。
ご自身のケースで離婚が可能なのかについて気になっている方は、弁護士に相談して離婚の見通しを聞いてみるとよいでしょう。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了