夫婦喧嘩で離婚する前に読んで!離婚して後悔しないための注意点
- 夫婦喧嘩にはもう疲れた・・・
- 喧嘩した後から夫に無視されている・・・
- 喧嘩中に離婚したいと言われた・・・
夫婦喧嘩は、多くの夫婦が一度は経験する問題です。
言い合いがきっかけで夫婦の信頼関係が深まるケースもあれば、喧嘩から仲直りできず離婚に至ってしまうケースもあります。
喧嘩の中で「離婚」という言葉が出てきたら、互いに引き下がれない空気になってしまいがちです。しかし、喧嘩の勢いで離婚の決断を下すのは非常に危険です。
この記事では、喧嘩が原因で離婚を考えている時に気を付けたい注意点や、喧嘩が原因の離婚を回避する方法について解説します。
目次
喧嘩が理由で離婚できる?
夫婦喧嘩を理由に協議離婚・調停離婚することは可能!
夫婦の合意があれば、夫婦喧嘩を理由に離婚することは可能です。
離婚の方法は、大きく分けて「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3種類です。
このうち、協議離婚と調停離婚は、夫婦の合意に基づいて離婚する方法です。どのような理由で離婚するか、どんな離婚条件を定めるかは、夫婦が自由に決めることができます。
そのため、夫婦喧嘩が多いことや性格が合わないことなどを理由に協議離婚・調停離婚ができるのです。
夫婦喧嘩で裁判離婚は難しい
裁判離婚は、裁判官の判断で夫婦を強制的に離婚させる手続きのため、離婚が認められるための厳しい条件が設けられています。
その条件が、民法770条に定められる法定離婚事由です。この5つのうちいずれかの理由がなければ、裁判離婚は認められません。
法定離婚事由
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
- その他婚姻を継続しがたい重大な事由
すなわち、肉体関係のある不倫・浮気や、生活費を渡さない行為、相手の失踪、重度の精神疾患などが1~4の各号にあたるほか、5号の「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」には、DVやモラハラ、長期間の別居などがあたるとされています。
したがって、夫婦喧嘩が暴力や暴言に発展している場合は別として、夫婦喧嘩だけが理由で裁判離婚をするのは難しいと言えます。
逆に言えば、夫婦喧嘩の中で相手から離婚を突きつけられても、こちらが拒んでいる限りは強制的に離婚させられる可能性は低いと考えることもできます。
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・離婚できる理由とは?民法770条の5つの条件(法定離婚事由)も詳解
夫婦喧嘩が原因で離婚する際の注意点
本当に離婚していいかもう一度考える
喧嘩の勢いで「離婚する!」と言ってしまった方も、本当に離婚していいのか今一度検討してください。
離婚すればもう喧嘩をしなくてよくなりますが、離婚には見過ごせないデメリットも多いのです。
離婚のデメリットの例
- 経済的に苦しくなる
- 子どもの親を奪ってしまう
- 一人で家事や育児を担うことになる
- 困った時に頼れる先が少なくなる
後から後悔しないためには、離婚の決断をする前にメリット・デメリットをよく比べることが重要です。
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・女性の離婚のメリット・デメリット|リスクを理解して後悔ない離婚を
喧嘩の勢いで離婚届を書いてはいけない
夫婦喧嘩がエスカレートすると、「もう離婚する!」と言ってしまったり、こっそり用意していた離婚届を突きつけるということも起こります。
しかし、その場の勢いで離婚届に署名してはいけません。
「喧嘩の勢いで離婚届にサインして提出してしまったけれど、やっぱり取り消すことはできませんか」というご相談も少なくありませんが、一度受理された離婚届を撤回するのは難しいことです。
法律上は、離婚届を提出した時点で夫婦の一方に離婚の意思がなければその離婚は無効であると解釈されており、家庭裁判所で調停を行うことで、離婚が無効であることを確認できます。
しかし、一旦成立してしまった離婚の効力を争うためには、離婚届を提出するときに離婚の意思がなかったことを証明できるような録音や文書などの証拠を提出しなければならず、無効であると認められないケースもあります。
このように、一度離婚届にサインしてしまうと、取り返しのつかないことになるおそれがあります。
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子どものことを第一に考える
両親の離婚は、子どもに大きな影響を与えます。
片方の親と会えなくなって寂しい思いをしたり、経済的に苦しくなり満足な教育を受けられなくなったりと、離婚によって子どもが苦境に立たされるケースは少なくありません。
一方で、険悪な関係の両親と同じ家で生活することは、子どもにとって大きなストレスとなっていることもあります。
子どもの前でも喧嘩が絶えない家庭の場合は、両親が離婚することで子どもの置かれる環境が改善することもあるでしょう。
いずれにしても、子どもの幸せを第一に考えて離婚の決断をしたいところです。
また、養育費や面会交流についても、子どもの福祉を最優先に検討してから離婚するようにしましょう。
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暴力・モラハラ・不貞行為をしない
いくら夫婦仲が悪く、離婚の見込みが高いとしても、不貞行為(不倫、浮気)をしてはいけませんし、暴力やモラハラ行為に及んでもいけません。
離婚のときに重要なのは、有責配偶者にならないことです。
有責配偶者とは、有責行為をして夫婦関係を破綻させた側のことをいい、有責行為の典型例は、不貞行為(不倫、浮気)、DV、モラハラ、悪意の遺棄などです。
有責配偶者は、離婚の交渉において不利な立場におかれます。
Point
- 有責配偶者からの離婚請求は認められづらい
- 有責配偶者は婚姻費用が受け取れない
- 離婚慰謝料を請求される
例えば、不倫や暴力で相手を傷つけた上に、離婚まで求めるというのは許されないのです。
自分は口喧嘩のつもりでも、相手にはDVやモラハラと受け取られてしまうかもしれません。円滑に離婚を進めるためには、感情に任せた行動は慎むべきです。
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・不倫・浮気による離婚慰謝料の相場は?請求の条件は?不貞慰謝料まとめ
証拠集めをする
相手が有責配偶者であることを証明できれば、離婚調停や離婚裁判を行う際に非常に有利になります。そのためには、相手の有責行為の証拠を集めなければなりません。
例えば、相手のDVによって負った怪我の診断書、モラハラ行動を記録した日記、不貞行為の様子を写した写真などが典型例です。
相手から暴力を受けていて身の危険を感じる場合は、警察や公共機関への相談を検討してください。身を守ることができるだけでなく、離婚調停や裁判では、公的機関への相談記録がDVの証拠として役に立ちます。
また、財産分与や婚姻費用、養育費の話し合いの中でも、相手の財産や収入を証明する資料があると有利に働きます。
喧嘩を繰り返していると感情的になってしまいがちですが、有利に離婚を進めるためには冷静に証拠集めを行いましょう。
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離婚条件をしっかりと話し合う
夫婦喧嘩が原因で離婚することになった場合、もう話したくない、顔も見たくないと思うかもしれませんが、後から後悔しないためにも離婚条件は納得できるまで話し合っておきましょう。
離婚時に夫婦が決める事項は、財産分与や慰謝料、親権、養育費など多岐に渡ります。
親権以外については離婚後に決めることも可能ではありますが、離婚後に相手と連絡が取れなくなることも考えられるため、離婚届を提出する前に話し合うのが望ましいです。
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・離婚の話し合いで気をつける6つのポイントと進まないときの対処法
夫婦喧嘩による離婚は回避できる?
夫婦喧嘩が離婚に至るケースとは?
相手を無視する
夫婦喧嘩の最中や喧嘩後にパートナーを無視するというのは、離婚に繋がりやすい状態です。
無視は、相手とのコミュニケーションを完全に拒む行為であり、「あなたとは話したくない」というメッセージでもあります。
また、話し合いの機会が損なわれることで、喧嘩の原因となった問題の解決が困難になってしまいます。
生活費を渡さない
夫婦喧嘩の仕返しなのか、生活費を渡さなくなる人も存在します。
生活費を受け取れないのは主婦・主夫の方にとっては死活問題であり、女性側の離婚原因第2位となっているほど、離婚に繋がりやすい行為です。
生活費を払わないことは、法定離婚事由のうち悪意の遺棄にあたる可能性があり、裁判で離婚が認められるほか、慰謝料請求が認められる原因にもなり得ます。
子どもの前で険悪になる
子どもの前でも喧嘩をしてしまう状態は、夫婦関係が深刻な状態にあることを示しているほか、子どもにも悪影響を与えます。
子どもは親の関係性から愛情や安全性を学びますが、両親の険悪な関係を目の当たりにすることで、心理的なトラウマを負う可能性があります。
このような状態では、相手に「子どものためにも離婚した方がいい」と思わせてしまうかもしれません。
暴言や暴力がある
夫婦間での暴言や暴力は、即座に離婚の原因となり得る深刻な問題です。
暴言や暴力は裁判で離婚が認められる法定離婚事由にあたるため、被害を受けた側が離婚を申し立てれば、認められる可能性が高いです。
また、その時は離婚に至らなくとも、暴言や暴力を受けたことはずっと忘れられないもので、離婚が頭をよぎったときに、最後の一押しになってしまうこともあります。
夫婦喧嘩による離婚を回避する方法は?
素直に謝る
自分に悪いところがあるならば、素直に謝り、改善する姿勢を持つことで、喧嘩の原因となった問題を取り除くことに繋がるでしょう。
もっとも、「喧嘩を終わらせるためにとりあえず謝る」ということを続けると、問題の根本的な解決にならないほか、夫婦間に上下関係が生まれてしまうこともあるため注意が必要です。
「言わなくても分かってほしい」をやめる
喧嘩が絶えない夫婦の多くは、「言わなくても分かってほしい」という暗黙の期待が原因で衝突しています。
この考え方を改め、自分の気持ちや要望を明確に伝えることが大切です。たとえば、「休日は家事を手伝ってほしい」と具体的に伝えれば、相手も行動を改める機会が得られます。
しかし、ただ要求を並べるだけでは逆効果になる可能性もあります。
相手の立場や気持ちを考慮しながら、建設的な対話を心がけましょう。「お互いの時間も大切にしながら、家事の分担について話し合いたい」といった形で提案すれば、協力的な関係構築につながりやすくなります。
第三者を挟んで話し合いをする
家庭裁判所の円満調停という制度をご存知でしょうか。
円満調停とは、夫婦関係を修復するために、家庭裁判所の調停委員会を介して話し合いを行う制度です。
基本的な手続きは離婚調停と同じで、男女2名の調停委員と夫婦の一方とが交互に面談を行いながら意見を調整します。
基本的に、調停の中で夫婦が顔を合わせる必要はないため、二人になるとついヒートアップしてしまうという方も冷静に話し合える機会です。また、社会経験豊富な調停委員からの客観的なアドバイスも受けられるでしょう。
また、夫婦関係に精通したカウンセラーに相談するのもひとつの手段です。夫婦カウンセリングでは、専門家のガイダンスのもと、お互いの気持ちを安全に表現できる環境が提供されます。
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離婚に応じると言わない
離婚を回避したいと考えている方は、相手から強く離婚を迫られても、応じる素振りを見せてはいけません。
もし相手が本気で離婚したいとは思っていなかったとしても、こちらが離婚に応じる姿勢を見せると、撤回しづらくなってしまいます。
また、一度離婚に応じる発言をしてしまうと、後々離婚に同意したことの証拠としてその発言を使われてしまうかもしれません。
「しばらく考えます」と伝え、その場を切り抜けるのがよいでしょう。
喧嘩が原因の離婚は弁護士に相談!
夫婦喧嘩の中で「離婚したい」という言葉が出てくると、大きなショックを受けて冷静さを失ってしまう方がほとんどです。
しかし、すぐに答えを出すのは危険です。
離婚を真剣に考えざるを得ない状況に陥ったら、離婚の決断をする前に一度弁護士にご相談されることをおすすめします。
喧嘩が原因で冷静さを欠いている状態では、自分の権利を適切に主張できなかったり、不利な条件を受け入れてしまったりする可能性があります。
弁護士は法律の専門家として、あなたの状況を客観的に分析し、最善の選択肢を提示します。
弁護士に相談することが即、離婚を意味するわけではありません。むしろ、専門家の助言を得ることで、夫婦関係を客観的に見直し、最後の修復の機会を得られる可能性もあるのです。
アトム法律事務所では、初回無料の弁護士相談を行っています。
- 本当に離婚すべきか分からない
- 財産分与で損したくない
- 離婚手続きをサポートしてほしい
こういった離婚に関するお悩みは、アトム法律事務所の弁護士に是非ご相談ください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
もしも離婚する気がないのに離婚届を書いて相手に渡してしまったら、相手が離婚届を提出してしまう前に離婚届不受理申出を行いましょう。
離婚届不受理申出とは、自分以外の誰かが離婚届を提出しても受理しないよう、役所に届け出る手続きです。